従前資産
再開発のための権利変換のルールが検討されています。過日、集会で不動産鑑定士から従前と従後の資産を割り出しについての考え方の説明がありました。
所有している土地が再開発に使われることへの同意が済み、事業計画認可同意にいったっています。その一方で、厄介な問題に取り組む段階に入っています。 従前と従後の資産を割り出しは、費用負担のルールに直結します。費用負担の問題は、単純な建て替えのケースでもデリケートな問題だと思います。間取りを変更した建て替えでも、ルールをつくることは簡単ではないと思います。まして、再開発で、全く別の建物になるとなると、かなり複雑です。 再開発では、再開発の意義は了解できても、権利変換になかなか納得できず、時間がかかってしまう事例が多いようです。納得するためには、従前の資産と、従後の資産をきちんと算出して不公平感がないように工夫するしかありません。 このうち、従後の資産については、新築マンションの価格などを参考に決めて行く事ができるようです。それでも、いろいろと複雑で、販売会社から購入する場合の価格とは違って、住民同士お互いに納得できる金額を算出しなくてはなりません。 一方、従前の資産については、様々な取引事例などを調査して検討するようです。中古マンションの相場や、他の再開発の事例などを参考にするようです。 ところが、新築状態のマンションについて再開発などのために資産を評価した事例はないそうです。まして、建築基準法違反による使用禁止命令が出ている物件の取引などというものは絶無……? しかし、何と、これには、前例があるということです。 といっても、その前例は、藤沢の物件です。藤沢の物件は、ヒューザーの売れ残り物件について、破産管財人から住民に対し売却が行われたそうで、建物については価値をゼロとして、土地に相当する金額で取引されたとのことです。 他にも、ヒューザーの破産管財人に認められた破産債権や、破産債権に準拠して算出した所得税の雑損の金額なども根拠にすることができるかもしれません。 いずれにせよ、今回の件の破産管財人の判断の影響力は絶大だということを、あらためて感じています。前代未聞の出来事で、事前に法律に明記されているわけでもなく、行政が介入できることでもないようで、拠り所は多くありません。破産管財人よってはじめて判断が示されている問題が少なくありません。法律家の仕事の重要性をあらためて認識しました。 ところで、前例とされた事例を根拠にすることが妥当かどうかや、建物の評価の妥当性を考え始めると異論があるものと思いますが、この算定自体が、最終的な負担金額の決定のための道具の一部に過ぎません。従前資産についての考え方の差が、もし最終的な負担金額に大きな影響を与えるのであれば、納得するまで話をつめなくてはいけません。これは、それぞれの築年数などが異なる通常の再開発だったら、重要なステップです。 しかし、同じマンション内のこと。しかも、新築で転売などもなし。ここで敢えて足踏みをしてでも、住民同士の調整をしなくてはならないほどの大きな影響はないようです。おかげで、従前資産の評価という再開発のネックの一つは、少なくとも住民内ではスムースに乗り切れることになりそうです。
by gskay
| 2008-05-02 11:08
| 建て直し
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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