一院制?
私は、衆参のねじれによる政権運営の困難さを理由に一院制を考えることには反対です。

政権を運営することを念頭にしている政治家や、政権にぶらさがっていこうと考えている政治家にとっては、安定した政権運営は魅力かもしれません。しかし、政治的なプロセスがないのなら、官僚制と変わりません。

安定多数になったかと思えば、ねじれができたりと、民主政治はダイナミックであるべきです。全ての人が同じことを考えているわけではないから、政治が必要なのであり、それを的確に問題として取り上げる必要があります。簡単に思ったようにならないのが当然だと思います。不安定を前提としたルールの中で、結果的に安定した状況を作るのが政治家としての腕の見せ所です。政治を安定を前提とした枠組みに閉じ込めてはいけません。

一院制検討の議連発足=自民:時事ドットコム


2008/05/16-13:14
 衆参両院の「ねじれ」打開策として、一院制移行を検討する自民党有志の議員連盟が16日発足し、党本部で初会合を開いた。代表世話人に就任した衛藤征士郎元防衛庁長官は、与党が次期衆院選で、法案の再可決が可能となる3分の2の勢力を失うのは確実と指摘した上で、「(民主党が)参院で政局中心の国会運営をすればたちまち行き詰まる。責任政党として何をすべきか考える必要がある」と訴えた。

一院制でも、ダイナミックな政治は可能かもしれませんが、選挙制度が重要です。議院内閣制である我が国では、国会、とりわけ衆議院と内閣が一致することにより、巨大な権限を持っています。無闇にルールをいじってしまうと、「大政翼賛」の悪夢を再現することになりかねません。

特に、小選挙区を前提とした場合、少数意見を代表する候補のチャンスは乏しくなります。候補たちは大政党に群がり、政党が官僚組織になってしまうことになると思います。また、政権党に有利な仕組みを作る事も不可能ではないため、選挙を適切に実施しないと、「大政翼賛」や、言論や政治活動の弾圧につながりかねません。逆にいえば、小選挙区を前提とした一院制議会による議院内閣制を実現したいなら、選挙制度の研究が第一に必要です。

一方、比例や大選挙区に比重を置いた議会を作ると、連立が前提の議院内閣制になります。これは安定した政権にはなりにくくなります。また、大選挙区の場合、政党内政党である「派閥」が、衆議院中選挙区時代のように選挙のための団体として力を取り戻すことになり、選挙や政治に金がかかる国に逆戻りです。派閥が小政党として分立し、それが連立するという形になるかもしれませんが……。

ところで、衆議院の中選挙区の復活を狙っている政治家は少なくないようですが、小選挙区を導入した時の問題意識を忘れているように思います。政党内政党である派閥同士の駆け引きの熾烈さが、様々な弊害を生んでいたことを思い出すべきだと思います。

一院制の実現のためには、憲法改正が必要です。このため、簡単には進まないと思いますが、そこまでやるのなら、大胆な変化も期待できます。

一院制を目指すのであれば、議院内閣制という枠組みにもこだわる必要はないように思います。首相公選を同時に進めることもできると思います。また、地方分権を一気に進め、中央政府の権限や規模を小さくすることを平行して行うこともできると思います。

その場合、新たな政治手法を開発して対応する必要が出てくると思います。おそらく、そこまでは考えが及んでいないのではないかと想像します。

ところで、現在においても、政治家やマスコミでさえ、制度を理解し活用しているとは言い難いと思われます。大きな見直しは現行の制度を徹底的に活用してからでもいいような気もします。

私は、現行の仕組みは、不徹底ではあるものの、優れた制度だと思っています。特に不徹底と感じる点は、参議院の選挙区選挙です。実質的に小選挙区になっている選挙区が少なくありません。これは、少数意見を反映させる議院としては不適当だと考えています。

参議院は、比例代表のみにした方が、議院の性格が明確になると思います。なるべく、政党の支持率に比例した勢力分布になるようにすることに意味があると思います。

今の参議院の機能は、衆議院と参議院の選挙制度が大して違わなかったころとは大違いです。「良識の府」というようなキャッチフレーズは、同じような選挙制度が行われていたころの古い観念にすぎないと思います。現在の制度で参議院が果たすべき役割を再確認するとともに、仕組みの徹底のため、参議院の選挙制度を再考することが、まず、必要だと思います。

一院制をめざす議論は結構ではあるものの、もう少し、今の制度のことをよく考えてみるべきだと思います。
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by gskay | 2008-05-17 02:04 | 政治と役所と業界