転居の促進
この問題に関する国土交通省のページから、転居状況に関する資料をダウンロードすることができます。2月13日現在の資料をみると、最初に発覚した物件のうち、都内の物件からの退去は終了したようです。ほとんど足並が一緒です。

退去が本格的に開始したのは、12月末です。ほぼ一斉の退去には、5ないし6週間を要したことになります。当事者としては、「円滑」であったと思います。

転居先については、民間への退去が、半分以上を占めている様です。公営ないし公的住宅とURをあわせても、民間には及びません。私自身は、URへの転居組で、周りも区が確保した住宅への転居が多く、このため、公的に確保された受け入れ住宅が、主な転居先かと思っていました。

本格的な退去は、公的な住宅の確保と割り振りが終わってから始まりました。退去を促進した要因は、公的住宅確保ではないかと想像しています。しかし、民間への転居が多いのは意外でした。

民間への転居には、二つのパターンがあると思います。

早期の退去に意欲的で個別に民間の住宅を探した人は、早期に退去を済ませていると想像できます。ただ、それほどの数にはならないように思います。

早期の退去とは別に、事実上の「一斉退去」の時期にも、民間への退去があったものと思われます。早期に退去しなかった人が、「一斉退去」に該当しました。この時期の民間への退去は、確保された公的住宅には条件が合わないというような事情によるものと思われます。

このような事実上の「一斉退去」が、円滑な退去のポイントであったと思います。円滑な退去を可能にする条件として、私は、公的住宅の確保の意義は大きかったと考えています。これは、実際に公的な住宅に転居するかどうかという問題ではないと思われます。

ところで、神奈川県内物件で、退去の状況が良くないものがあります。とりわけ、横浜での退去が進んでいません。個々の特殊な難しい問題を抱えているのではないかと思います。特に、この物件は、部屋が広いと言う特徴があり、転居先の確保が難しいのではないかと早い時期から言われていました。

ただ、早い時期に対策を発表し、退去勧告を飛び越えて使用禁止命令を出すという処置をとっているわりには、芳しい状況ではないように思います。加えて、首長からは、勇ましい発言が出ています。この状況を、よくよく考えておく必要があります。

使用禁止命令を出した経緯や転居先の確保への取り組みなど、他に先駆けた点について、適切であったかどうかの検証が必要です。残念ながら、他と比べて、良好であったという評価を下すことはできません。

あせって、いきなり使用禁止命令を出したのは不適切だったと思います。まず、退去勧告により、退去を促すべきでした。

さらに、公的住宅の確保についても、退去の動向にあわせて提示すべきものだったと思われます。結果としては、諸々の条件で、民間への退去が多くなるかもしれません。しかし、公的住宅の確保という手だてを不適切な時期に行使してしまったために、一斉退去を促すための打つ手を失ってしまったようです。

二重に判断を誤っています。

もとはといえば、「違法建築」からの「退去」と、「災害」からの「避難」とを混同していたことが発端だと思います。

後は、「強制的」な措置くらいしか残っていないかもしれません。

過去の事例があるわけでもなく、想定マニュアルがあるわけでもないので、失敗は仕方がないことかもしれません。しかし、大胆な政治的判断によって実施されていることを考えると、失政として責められても仕方ないような気がします。

そういえば、あの時点では、マスコミもこの方針を歓迎し、他の自治体の出遅れを非難していたのを思い出します。

結局、大げさで目立つパフォーマンスに、マスコミが飛びついただけだったような気がします。

たった2ヶ月のことであり、他の自治体はさりげなくこなしています。しかし、そのパフォーマンスをやり抜く力さえなく、結果がともなわず、他との水があいてしまっています。

そのやり抜く力の欠如を検証できないマスコミにも疑問を感じます。

うまくこなしている都内の自治体が「後出しじゃんけん」をしたのではないと思います。軽率なフライイングが手こずっている原因だと思います。結果論になりますが、あれは、歓迎すべき迅速な対応ではありませんでした。

現状では、国のスキームにさえ、置いてきぼりにされているような気がします。とはいえ、他も一歩進んでいるとはいえ、まだ解決に向けて入口を通過したにすぎません。早く、挽回して欲しいと願います。

(追記)2006.02.20
置いてきぼりどころか、確信のもとのことだったのですね(2006.02.18のエントリ)。それは、それで、えらいことになっていると思います。「ここだけ」の説明がつかないし、始めの勢いは何だったんだ!と思います。ここが、早期に過激な行動をとったことは、安全パニックに拍車をかけた要素のひとつであると考えています。
[PR]
by gskay | 2006-02-16 18:29 | 公的対応