破産手続き開始決定
破産開始決定後の動きが報道されています。ヒューザーは、高裁へ抗告したようです。その一方で、破産手続きには、協力的とのこと。

「9月以降資産は目減り」 ヒューザー管財人が会見


 耐震強度偽装問題で、マンション販売会社ヒューザーの破産手続き開始決定を受け、破産管財人に選任された瀬戸英雄弁護士が17日午前、東京都内で記者会見した。同弁護士は16日夜に小嶋進社長と面談し、財務について説明を受けたとした上で「昨年9月の中間決算以降、資産は相当目減りしている。全容を早期に把握し、保全に努めたい」と述べた。
 瀬戸弁護士によると、管財人代理の弁護士らが東京都大田区の同社事務所や、世田谷区の関係会社などに立ち入り。ヒューザーの現金約540万円の交付を受けたほか、引き出し可能な預金残高が約2300万円あること、役員保険の解約で約5000万円を現金化できることを確認。小嶋社長は協力的だったという。
(共同通信) - 2月17日13時40分更新


今さらですが、最後まで主張を貫いて欲しいと思うと同時に、最後は、きれいに退席して欲しいと思います。

私は、小嶋社長およびヒューザーの関与については、疑問視していて、風評による魔女狩りだったと思っています。魔女狩りは、失敗したとき程、ヒステリックにエスカレートして行くものですが、関心がほかに移っているので、これ以上のエスカレートはないものと思います。

都による宅建取引についての処分は、今さら、事態には影響しません。刑事告発にしても、うちのマンションの件ではないし、この事件についての枝葉にすぎません。

ところで、決定に関しては、住民の申し立ての通りであったことが、手放しに歓迎されているという印象を与える報道も多いようですが、

ヒューザー破産手続き開始決定、住民らの不安消えず


 耐震強度偽装問題が表面化して3か月。

 多くの欠陥マンションを売っていた開発会社「ヒューザー」(小嶋進社長、東京都大田区)の破産手続き開始が16日、決まった。これにより同社に残る資産が保全できることになり、破産を申し立てていた住民らは安堵(あんど)の表情を見せた。

 だがヒューザーにどれだけの資産が残されているのか。十分な配当は得られるのか。偽装により人生計画が大きく狂った住民らの不安は消えない。

 地裁決定を受け、破産を申し立てていた住民や代理人の弁護士らは16日夜、都庁内で会見。「グランドステージ(GS)稲城」(稲城市)対策委員会の赤司俊一委員長(38)は、「資産の流出を食い止めるという私たちの真意が裁判所に判断され、うれしく思っている」と語った。「GS住吉」(江東区)対策委員の男性(43)も、「申請から2週間余というスピードで決定してもらい、感謝している」と歓迎した。

 破産手続きでは、抵当権が付けられた不動産などの処分は、抵当権者が優先される。このため赤司さんは、抵当権を設定している金融機関に対し、「住民への特段の配慮をお願いしたい」と呼びかけた。

 ヒューザーへの破産申し立てに参加したのは9件のマンションの住民ら。これに対し、ヒューザーが自治体などに起こした損害賠償請求訴訟に望みを託して、申し立てに加わらなかったマンションもあった。「GS東向島」(墨田区)対策委員会の田中拓代表(32)は、「訴訟に勝って住民側に補償するという道は不確かになった」と落胆する。

 破産手続きに詳しい宇都宮健児弁護士は、「現状では、会社を存続させて、その利益を住民の補償に充てるという方法はかなり厳しい。破産が認められれば、資産の散逸や資産隠しを防ぐことができる」と、破産手続き開始を評価する。
(読売新聞) - 2月17日9時8分更新


私は、東向島に近い立場ですが、会社が事業で利益を上げる見込みがないという点を重視したいと思います。ヒューザーは、訴訟に勝つ「見込み」を主張していましたが、訴訟に勝つ「見込み」は、事業で利益を上げることとは異なると思います。また、訴訟についても、全責任をあの訴えでカバーするのは難しいと考えています。全面的に勝つことはなく、結局、足りなくなるだろうと思います。

ひょっとしたら、抗告では、この「見込み」について、つっこんだ検討が行われるかもしれませんが、ヒューザーが自治体に対して起こした訴訟とは、区別して考えなくてはいけません。そんな「見込み」を勘定することができるかどうかは、あくまで破産手続きの枠内で理解しなくてはいけないと思います。

ところで、読売新聞は、

小嶋社長は、「ここまで事態が拡大したことは心外だ」と話したという。

という談話を載せたりと、最近、すこしスタンスが異なるようです。

また、破産手続きについては、

asahi.com ヒューザー破産手続き開始決定 地裁、債務超過と判断



2006年02月16日20時57分
 耐震強度が偽装されたマンションの建築主のヒューザー(小嶋進社長)について、東京地裁(西謙二裁判長)は16日、破産手続きの開始を決めた。同社が債務超過状態にあると判断した。住民たちが「財産の散逸を防ぎ、配当を建て替え費用に充てたい」と手続き開始を申し立てていた。ヒューザーの財産は管財人の管理下で分配されることになり、住民が期待する配当が実現するかどうかは、財産の額や債権の届け出額などにより今後決まる。

 管財人には倒産事件の経験が豊富な瀬戸英雄弁護士(第一東京弁護士会)が選任された。瀬戸弁護士は同社の資産がどれぐらいあるか調べ、債権届け出を受け付けてヒューザーの債務を確定させる。そして財産を売却するなどして換金し、債権者に配当する。

 ただ、金融機関が融資の担保にしている不動産などは手続きから除かれる。また手続きでは税金や給料・退職金などが優先的に配当され、そのうえで残った分を住民ら債権者に配当する。

 ヒューザーは偽装を見逃した責任があるなどとして東京都など18自治体に計約139億円の賠償を求める訴訟を1月30日に起こしている。この訴訟を続けるかどうかも管財人が判断する。

 債権届け出期間は6月30日まで。マンション住民以外でも、債権がある人ならだれでも届け出ることができる。債権者に財産状況を報告する集会は9月13日午後1時30分からと決まった。

 破産手続きの開始を申し立てたのはグランドステージ住吉(東京都江東区)など首都圏の9マンションの住民たち。「ヒューザーの損害賠償債務は判明分だけでも約130億円に達し、同社は約103億円の債務超過だ」と主張。ヒューザーは「自治体相手の訴訟に勝訴して賠償金が入る見通しなので債務超過ではない」と反論し、棄却するよう地裁に求めていた。

 16日夜、東京都庁で記者会見したグランドステージ稲城(東京都稲城市)の赤司(あかし)俊一さん(38)は「こうも早く決定が出るとは思っていなかった。私どもの気持ちがしっかり伝わり、非常にありがたい」と語った。


という具合に、朝日新聞に詳しく書かれています。また、すで取り上げた内容ですが、

asahi.com 自治体、ヒューザーに費用返還請求へ 国交省と方針確認


2006年02月15日23時06分

 耐震強度偽装事件で国土交通省と関係自治体は15日、建て替えが必要な偽装分譲マンション11棟の住民支援に要した引っ越し代や転居先の家賃について、各自治体が建築主のヒューザーに返還を求める方針を確認した。今後の展開によっては、住民が同社に対して持つ賠償請求権を住民から譲渡してもらう必要もあるため、今週末から各地で説明会を開き、住民の理解と協力を求める。

 ヒューザーは住民たちから破産を申し立てられている。破産手続きに入るまでの公費支出については、同社が本来負担すべき費用を免れた「不当利得」と位置づけ、自治体が不当利得返還請求をして返してもらう。

 しかし、今後、破産手続きが始まった場合、手続き開始以降の公費支出は、新たに発生した債権としては請求が認められない。このため、住民たちの損害賠償請求権を自治体が譲り受け、住民の代わりに賠償請求する形をとって公費支出分の返還を求めることとした。

 解体、建て替えに伴う公費支出についても、住民たちの損害賠償請求権のうち、公費補助に見合った金額分を自治体に無償で譲渡してもらい、自治体がヒューザーに請求する方法を検討する。


と、朝日新聞は詳しく報道しています。

魔女狩りからは、一線を画した報道だと思います。

今後の駆け引きは、

ヒューザー、早期資産処分進める=訴訟引き継ぎは慎重判断−破産管財人


 耐震強度偽装事件をめぐり、マンション開発会社「ヒューザー」(東京都)の破産管財人、瀬戸英雄弁護士は17日、東京都内で記者会見し「処分可能な資産は早期に売却処分を進めたい」と述べた。管財人主催の債権者説明会を4月26日に行うことを明らかにした。
 瀬戸弁護士は、同社が自治体相手に起こした約139億円の損害賠償訴訟について「請求が成り立つかを含め、引き継ぐか慎重に判断する」と述べた。担保権を持つ金融機関などに債権放棄を要請するかどうかは、「今後、検討する」とした。 
(時事通信) - 2月17日13時0分更新


と、複雑です。

訴訟については、私は、いくら何でも、その金額は無理だろうと思っています。中には、建築主は、請求する立場にないという意見もあるようですが、そうするとビジネスホテルの訴訟はどうなるのでしょう?また、買い主も、微妙です。こんなことが、争われたことはないようなので、意見は分かれるようです。

また、破産手続き開始決定への抗告も、珍しいことではないかと思いますが、とりあえず、破産手続き開始です。

破産手続き開始決定後については、すでに、国のスキームに従いつつ、どのように手続きを進めるべきかという議論が行われているので、あまり不安はありません。

発覚した直後、12月中には、ヒューザーは破綻するのではないかという噂があり、頻繁にニュースをチェックしていたことがあったことを、懐かしく思います。仕事の合間合間に、ヒューザーが破綻していないことを確認して、安堵していました。

あの頃は、今に比べて、情報も知識も乏しく、覚悟もしっかりしていませんでした。
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by gskay | 2006-02-17 17:13 | 損害と回復