都内最初の建て替え
この物件は、元建築士が自覚の上で耐震強度を減らした最初の物件といわれていたと思います。耐震偽装に相当する行為のはじめは、それよりも前の別の物件で、ヒューザーとは関係ありませんでした。これは、元建築士の議院証言法違反とも関連し、ヒューザーや木村建設を巻き込んで描かれた構図の根幹にかかわる重大事です。
また、これらの物件の建築確認は、特定行政庁です。民間検査機関ではありません。民間開放の前の出来事なのですから。 耐震偽装や見落としと民間検査機関への開放の問題は、因果関係はないと私は今でも思っています。前後関係から考えても、荒唐無稽です。
この物件は、築年数が経過している物件です。品確法以前です。そういう点で、瑕疵担保責任の取り扱いなどは微妙で、品確法以降の物件で耐震偽装に巻き込まれたケースとは、趣が異なることになるのではないかと当初思っていました。結局、売り主のヒューザーの破産が成立したことにより、そのような問題による差異は小さくなりましたが……。 この物件については、大田区には、建築確認のための構造計算書などの書類が残されておらず、強度の確認に手間取ったことが問題にもなりました。保管期間がすぎていたのだから、これは仕方がないことですが……。 すでに何年も生活してきたマンションの耐震性能が問題になり、退去して除却、建て替えを行うということは、とても複雑なことです。このことで生じる悩みは、新築で巻き込まれた場合とは異なると思います。 それまでの生活は何だったのか? それまでの生活を、否定されてしまったようなものです。 そういう権限が、「無謬性」を前提とした「行政の裁量」に含まれてしまっていて、歯止めがききません。ほとんどのメディアも、そこに気付いていないような伝え方。そして、世論とやらも、そこに迎合するするばかり。 仮住まいや二重ローンという負担以上のダメージがあったのではないかと想像します。 そのような複雑な状況を克服し、所有者としての責務を誠実に果たし、建て替えを完了させたことに敬意を感じます。
by gskay
| 2008-06-30 07:41
| 建て直し
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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