公務員改革は、官僚バッシングではない
我が国の行政制度は、制度疲労に陥っています。もともとの理念が忘れ去られ、形骸化しているばかりか、問題を振りまくようになってしまっています。

確かに、この制度の中核にいる官僚は、これまでのやり方を反省しなくてはいけません。しかし、それが、官僚バッシングで終わってはいけません。

現在、公務員制度改革を進めるための道具立てが少しづつ整いつつあるように思います。しかし、この改革に取り組む姿勢や、その改革を見守る姿勢にも問題があるように思います。

改革がスタートするかしないかの段階で、すでに改革が形骸化してしまっているように思います。

これは、改革の対象になっている官僚の抵抗によって骨抜きになったということとは違うと思います。改革に取り組む側の姿勢が一面的にすぎることと、改革のゴールが不明確であるため、改革が始まるか始まらないかという段階から、改革の側にも、悪しき「官僚主義」がはびこっているのではないかと思います。


<公務員改革>推進本部が発足 事務局人事固まらず(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


7月11日22時41分配信 毎日新聞

 政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長・福田康夫首相)が11日発足し、東京・虎ノ門のビルで事務局開きが行われた。国家公務員制度改革基本法に基づいて各府省の幹部人事を一元化することになる内閣人事局の運用方法など、改革の制度設計を担当する。

 「公務員一人一人が、自分の仕事に誇りと責任を持って励むことができる体制作りに力を合わせてほしい」。首相はこの日、事務局長に就任した立花宏・日本経団連前専務理事らに訓示した。

 推進本部の看板の設置には、首相のほか渡辺喜美行革担当相、町村信孝官房長官らも出席した。基本法をめぐっては、町村、渡辺両氏の確執が取りざたされ、成立までに紆余(うよ)曲折を経た経緯があったが、3人は和やかな雰囲気で、木製の看板を入り口に立てかけた。

 同本部は、キャリア制度の廃止に伴って設置される「総合職」「一般職」「専門職」の各定員や、官僚が政治家と接触する際の基準の作成など、基本法の具体的な制度設計を行う。本部に設置される省庁幹部、労組代表、学識経験者からなる「労使関係制度検討委員会」は、国家公務員の労働基本権拡大について協議する。

 50〜60人規模を予定している事務局は、事務局長人事やメンバーの公募のあり方などで閣内の調整に手間取ったこともあり、次長以下の人事が固まっていない。推進本部の初会合も来週にずれ込むなど、やや不安を残す船出となった。【塙和也】


ところで、現在の行政には、「裁量」の余地がありすぎます。これは、明治あるいはそれ以前の仕組みが残っているのだと思います。本来、政治の場で決着すべき事柄まで、行政の官僚に委ねられてしまっている点をまず解消すべきです。

また、「無謬」という前提があるため、誤りを認め、正すことができず、根本的な反省もおざなりになっています。目標と前提がごちゃごちゃになっていることがしばしばで、問題に直面しても、危機を感じるべきポイントがずれてしまっているように思います。なぜか、問題を解決するという方向には進まず、「あやまりはない」というこじつけが目指されます。同時に、取り締まりのしくみも、反省のしくみもいい加減です。

そうした問題に加えて、官僚となる人材が、今や、最優秀とはいえないことが問題です。登用された時点では、最優秀な人材が選ばれているかもしれませんが、高学歴化した現在、様々な点で見劣りしています。長寿国である日本で、そのような人材の集め方や養成の方法が適切とは思えません。もっと、歳を重ね、学歴を高めたり、社会経験をした人材を用いてもいいはずです。

しばしば、天下りが問題として取り上げられますが、それは枝葉です。行政の裁量が大きいために、天下りを受け入れるメリットがあります。そういう裁量を何とかしなくてはいけません。これは、政治によって調整されるべきです。

また、天下りは、せっかくの人材を放出してしまうことであり、大きな損失です。その損失を感じることができないという鈍さがあります。優秀な人材を放出しても平気でいられるのは、無謬という前提があるからではないかと思います。取り締まりや監視をしっかりとすることで、緊張感をもたせるべきです。あいにく、今のマスコミはその立場を全うすることはできないようです。

批判があるにもかかわらず天下る人たちも、実は大変です。長寿をよりよく過ごすためのあせりがあります。ただの再就職以上の意味が付加されて、人生設計の大切な要素になってしまっています。天下りに頼らざるを得ないという現実は、特権という側面よりも、長寿社会への対応を考えている国の当局の担当者でさえ、実は、自分の足下がおぼつかない状況であることが深刻です。

官僚組織を弱体化させたり、待遇を悪くすることを、公務員制度改革のゴールにしてはいけません。もっと強力な組織を構築するために、しっかりと取り組んで欲しいと思います。公務員改革は、我が国の社会の問題点が凝縮されています。
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by gskay | 2008-07-12 13:07 | 政治と役所と業界