政治改革と行政改革
与党の公務員改革は、これまでのように「大きな進歩だが、中途半端」ということになりかねないと思います。それは、失望を生むのみでなく、将来に問題を先送りすることになり、破局につながりかねないと危惧しています。

また、与党では、衆議院の選挙制度を中選挙区にもどすことを目指す勢力が無視できないように思います。これは、これまでに実現して来た政治改革、選挙制度改革を逆行させるものだと思います。

それに対し、引用した小沢代表の発言は、与党の立場よりも大幅に踏み込んだものであり、私は好感をもちました。

統治機構改革案を披露=政権交代へ決意アピール−民主・小沢氏(時事通信) - Yahoo!ニュース


7月13日14時3分配信 時事通信

 民主党の小沢一郎代表は13日午前、都内で開いた「小沢一郎政治塾」で、自身が思い描く統治機構の改革案を披露した。次期衆院選に向けて「政権構想の一端」(周辺)を示すことで、政権交代への決意をアピールする狙いがありそうだ。
 小沢氏は「自公政権は官僚の言いなりだ。政治家が政策決定に責任を持たなければいけない」と強調。政権を取った場合は、官僚をコントロールするため、与党の国会議員約200人を政府の役職に就ける考えを表明。同時に「政府・与党は一体だから政策調査会はいらない」とし、党の政策調査会は廃止すると明言した。 


小沢氏「政府に登用する議員の大幅増を」 官僚の根回し廃止も(産経新聞) - Yahoo!ニュース


7月13日13時55分配信 産経新聞


 民主党の小沢一郎代表は13日午前、都内で開いた「小沢一郎政治塾」の会合で講演し、政府と与党の機能の一体化を柱とした、同党が政権を獲得した場合の行政改革構想を明らかにした。

 小沢氏は「大きな変化の時は、官僚の積み上げで適切な決定はできない」と政治主導への転換の必要性を強調した上で、「英国はブレア首相の時に200人ぐらいの政治家が政府部内のポストについたといわれる。政策決定の責任者は政治家が行う仕組みになっているわけで、当然のことだ」と述べ、副大臣、政務官などとして政府に登用する議員を大幅に増やす考えを示した。さらに「自分らで政権を持っているのだから、党に政務調査会はいらない」と政策決定機関を政府に一本化する方針を示すとともに、官僚の国会答弁や、官僚による与野党議員への根回しを廃止する考えを明らかにした。
 また、首相公選制に関しては「天皇陛下が存在する中で、首相公選制というのはあり得ない。(大統領制ではなく)議院内閣制だからリーダーシップを発揮できないというのは議論は間違いで、国民と政治家の資質にかかっている」と否定的な見方を示した。


耐震偽装では、民主党は、問題を解決するより、混乱させる方向であったと感じているので、私はネガティブな印象を持っています。政治的な問題として、議論もなく有耶無耶にならないようにと取り上げてくれたことには感謝するものの、取り上げた中身は良くはなかったと思います。

ところで、政治や行政のことを考えると、与党の公務員改革は中途半端だし、中選挙区復活をめざす姿勢は、選挙というものを通じて議院内閣制や二院制を考える時、逆行であると感じていました。

小沢代表は、小選挙区や比例代表という選挙制度を、きちんと理解している政治家ではないかと思います。今の選挙制度に移行する時にも、大きな役割を果たしています。

現在の選挙制度は、中選挙区における金権政治の権化のようにいわれる田中角栄が問題視し、改めようと考えた制度だと私はきいています。田中角栄は、中選挙区の闘い方を熟知していたからこそ、勝つために「金権」化するとともに、その仕組みが適当ではないと感じていたからこそ、小選挙区と比例代表という選挙制度を構想したのではないかと思います。

中選挙区は、金のかかる選挙を避ける事ができません。同じ政党の候補同士の闘いが金権や利権による政治の温床になります。その一方で、政策本位で多数を獲得するという努力はおざなりになってしまいます。

小選挙区であれば、政策を基準とした多数獲得のための競争になります。一方、比例代表であれば、支持に比例した代表を選出することができます。その組み合わせが中途半端であるものの、現在の選挙制度は、昔の中選挙区や、全国区にくらべれば、はるかに良いと思います。

引用の記事から、選挙制度の改革に続いて、議院内閣制の強化が行われるのだと感じました。

私は、首相公選よりも議院内閣制を強化するべきだと思っています。これなら、憲法を改正する必要もありません。そして、議院内閣制をとる限り、時にねじれる二院があることには大きな意味があると思っています。一方で、憲法を改正してでも首相公選にするというのなら、我が国には、二院は必要ないだろうと思っています。

私は、選挙制度が中途半端であることと、官僚に権限をありすぎて議院内閣制が弱いという実情をのぞけば、我が国の制度は、良く出来た制度だと思っています。しかし、あいにく、行政改革や省庁再編は、これまで、中途半端な成果しか挙げてこられなかったように思います。

それは、議院内閣制をとるにもかかわらず、政治改革と、行政改革や公務員改革を別のものであるかのように議論して来たからではないかと思います。

その点で、小沢代表に期待が出来るのではないかと感じました。ただし、この方針は、みんなに受け入れられるとは思えません。

官僚にとっては、内閣を飛び越えて議員に接触し根回しをすることができたことが、都合が良かったはずです。中選挙区の金権、利権型の政治家にとっても、ギブ・アンド・テイクがあったと思います。それが、根刮ぎなくなってしまいます。そこに、陰に陽に抵抗がおこることになると思います。

政策の中身というより、政治をどのように進めるかという枠組みの話であり、どのようなメリットがあるのか、なかなか実感できませんが、小沢代表の理屈に、きちんと耳を傾けるべきではないかと感じました。もし小沢政権が実現したなら、公務員改革と、政治改革が一気にはかどることになると思います。これまで,二つの別の改革だと思われていたものが、融合することで、しかるべき方向に進みだすのではないかと期待します。

ところで、国会議員の数を減らすべきだという議論がありますが、それは、問題がある国会議員がいるということが問題なのであって、そうした人が選ばれないようにするべきだという問題がすり替えられてしまっているのではないかと思います。

きちんと政府の仕事をするためには、国会議員の数を減らしてはいけないと思います。

そして、数より質が問題です。

将来的には、衆議院は、小選挙区を中心とし、内閣を組織する与党の議員が政府部内で働くという役割が強化されることを期待します。一方、参議院は、比例代表を中心とすることで少数意見を尊重し、政党間の調整するためのより政治的な議院になるべきだと思います。
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by gskay | 2008-07-14 12:28 | 政治と役所と業界