間違いを指摘されれば……。
横浜の構造計算のミスの件については、当事者が過失割合を話し合って、改修の費用を負担することになったようです。

ところで、私が興味深いと思ったのは、強度不足を認識していたという点と、「間違いを指摘されれば勉強にもなる」というところです。

構造計算書偽造 セントレジアス鶴見、ERIもミス見落とす /神奈川


 ◇研究所がミス直さず再提出、ERIも見落とす
 横浜市鶴見区のマンション「セントレジアス鶴見」(10階建て、37戸)の耐震強度が国基準の1・0を下回る0・64だった問題で、横浜市と同マンションの建築確認をした指定確認検査機関日本ERIは18日、同区内で住民説明会を開いた。原因はERIから設計ミスを指摘された田中テル也構造計画研究所(東京都杉並区)が本来すべき構造計算をせず、ミスの残った確認申請書を再提出し、ERIも見落とした初歩的なミス。同研究所は、強度不足を認識しながら、ERIに確認申請書を提出していた。市は「あり得ないミス。担当者に能力がなかった」と両者を厳しく批判した。
 市まちづくり調整局によると、同マンションの構造計算は、設計者の下河辺建築設計事務所の下請けの田中テル也構造計画研究所が担当。同研究所の確認申請をERIが審査。耐震壁などが基準を満たしてないと指摘した。基準を満たすにはコンクリートと鉄筋の強度補強が必要だったが、同研究所は鉄筋だけを補強し、ERIに再提出、ERIは見落として建築確認を出した。
 市によると、計算式に当てはめればコンクリートと鉄筋の補強が必要なことは一目りょう然。また修正数値でも構造計算書を再計算をすれば強度不足は分かるが、同研究所では再計算しなかった。
 一方、ERIは見落とした原因を不明としているが、市は「普通は見落とさない。結果的に指摘した項目を確認していなかったのでは」とする。
 また同研究所所員は、今回を含め以前から強度不足を認識しながら、指定確認検査機関に確認申請していた。所員は市の聴取に「時間に追われ、ミスを指摘されたあとで修正すればいいと思った。間違いを指摘されれば勉強にもなる」と述べたという。
 説明会でERIは住民に謝罪。今後、マンションの実態調査と耐震改修案を立案すると説明。一方改修にかかる工事費は同研究所などと過失割合を話し合い、負担額を決めると説明した。住民代表の男性(31)は「こんな図面で審査を通ったと思うと苦笑してしまった」と話した。【堀智行】

2月19日朝刊
(毎日新聞) - 2月19日14時1分更新

まず、強度不足を認識していて、なぜ、提出していいのかが解りません。誤摩化そうと工夫して偽装を働いた建築士は、無駄骨だったということでしょうか?

無資格の社員の発言とはいえ、検査機関は、間違いを指摘するものだと言う前提があったのだと思います。偽装をはたらいた建築士も、「すぐに見抜かれると思った」という趣旨の発言をしていました。

誤摩化そうと工作して見抜けなかった件よりも深刻です。偽装の有無にかかわらず、建築確認は、問題を見抜くことができないことが解ってしまいました。(予想されていたことですが……)

このケースのような、「ミス」といっていいかどうか迷うような「ミス」から、本当のケアレスミスまで、目を皿にして探すべきだということになってしまったのではないでしょうか?事実上、コンピューター導入後の現在の制度で建築確認された全物件を再検証しなくてはならなくなり、とても大ごとになりました。

また、この件の発覚は、どのような過程であったのか、改めて興味を持ちました。「強度不足」がいつ明らかになったのかということです。

かつて、非姉歯物件に偽装なしという結論が発表されました。その後に、偽装とはいえないものの、強度不足の物件があるということで、九州で問題になりました。このとき、偽装がないからと言っても、強度不足を報告しないとはけしからんということになったことを思い出します。

横浜の件は、手柄かと思いましたが、同じ過ちである可能性もあるのかと思うと、少し複雑です。どういう経緯であったのかもう少しわかると、一連の再検査の意義を検証できるような気がします。
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by gskay | 2006-02-20 11:21 | 揺れる システム