参議院選挙から1年
昨年の参議院選挙では、耐震偽装発覚当時の国交省事務次官が当選しました。ねじれ状態にあって、次回の衆議院選挙では劣勢が伝えられる与党の議員として活動しているようです。議員のサイトをのぞいてみると、たまに更新されてはいるようです。ただ、相変わらず、耐震偽装や建築についての考えは、よくわかりません。

道路局長経験者なので、道路財源の問題については、複雑な立場ではないかと思いますが、感心したのは、水防や砂防についてです。土木を通じた災害の防止への熱意を感じました。盲目的で観念的な完璧主義の安全追求志向ではなく、技術の限界や、経済力の限界を見据えて、一歩一歩確実に進めるような発想をしているようです。

かつて官僚として考えたことについて、議員として発言するのですから、お手のものだと思います。座る場所と発言する立場が変わっただけなのかもしれませんが、議員として、得意なことに力を注いで欲しいと思います。

ところで、この議員の活動を目にして、災害に対する備えでも、土木についての発想と、建築や住宅の発想には、大きな違いがあることをあらためて感じました。

土木は、もっぱら、「公」の仕事です。公費を用いて、作っては壊すことを繰り返しながら、災害が防ぐための営みが続きます。

一方、建築や住宅は、「民」あるいは「私」です。災害を防ぐための営みも大切ですが、本来は、生活のためのものです。そして、固有な財産としての価値があります。

防災のための営みを、ひたすら続けなくてはいけない水防や砂防と、住宅の災害対策とを、同じ発想で処理しようとするのは乱暴なことではないかと思います。しかし、あの時は、そうなってしまったように思われます。それは、彼が、土木のエキスパートで、土木の立場からの災害への意識が高かったことにも関係しているのかもしれません。

また、耐震偽装発覚当時、違法建築の問題と、起きてしまった災害や切迫した災害への対応が、ゴチャゴチャであったことも気になりました。これについても、土木による災害への備えを専ら意識していたすると、納得ができます。

災害に対する基本姿勢や考え方には、いろいろなものがあり、一つではありません。根拠となる考え方は、状況によって変わります。一つの考え方だけで対応をごり押しすると無理が生じてしまいます。だからこそ、複数の考え方が用意されているのだと思います。

あいにく、耐震偽装では、土木で培われた発想が強く出過ぎてしまって、異なる考え方のバランスの調整がおろそかになってしまっていたように思われます。その点では、リーダーとしての事務次官という立場の彼の業績には疑問を感じますが、今の立場では、得意なことに、とことんこだわることは、美徳だと思います。

目下、次の衆議院選挙が、どのようなことになるのか難しい状況です。得意なことを活かすことと、政治の情勢にうまく適応することは別のことです。今後、苦労があることと思います。
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by gskay | 2008-07-29 13:48 | 安全と安心