口喧嘩の作法
ここは、非「ヒューザー陰謀説」ブログのまま続いてきてしまいました。別に確信があった訳ではありません。信頼に足る根拠があれば、いつでも、「ヒューザーが悪者だ」に変わっていたと思います。でも、3ヶ月経っても、この有様。

ヒューザーが黒幕でない証拠はないではないかと言う人がいます。しかし、そんな証拠は無理。しかも、無意味。「ないという証拠」を出すのは、「あるという証拠」を出すより難しいことだし、それは、証明にはなりません。

ところで、口喧嘩や言い争いでは、相手を責めてねじ伏せたり、責められていることから言い逃れたりしなくてはいけません。それには、作法とコツがあります。

「ちゃんとやってないじゃないか」と責められた時には、責められた側が、「いや、ちゃんとやっている」という「あるという証拠」を出して言い逃れをします。前提となる約束の存在は、責める側が証明しなくてはいけないものの、ちゃんと約束を果たしていることは責められる側が証明します。

一方、「そんなことしちゃいけない」と責められた時には、「いや、そんなことをしていない」と言い逃れをしますが、言い逃れは、「ないという証拠」を出すのではありません。責める側が「あるという証拠」を出して証明しなくてはならず、責められる側は、責める側が出して来た「あるという証拠」を突き崩して言い逃れます。

ちゃんとした商品を提供したり、瑕疵担保責任については、「ちゃんとやってないじゃないか」のケースです。ヒューザーが「こんな風にちゃんとやっているから大丈夫」と言い逃れをこころみることもできましたが、設計図がちゃんとしていないことが明瞭であるため、そこでの議論は起きませんでした。その代わり、実際に瑕疵担保責任が果たされたかどうかの部分で躓き、結局、約束を果たしていません。

しかし、ヒューザーが偽装に関わったかどうかは、「そんなことしちゃいけない」のケースであり、責める側が証拠をつきつけなくてはいけません。それが、全然だめです。

また、ヒューザーにとっては、建築確認検査も、設計も、問題の構造計算も、「ちゃんとやってないじゃないか」という訴えです。訴えられた側は、そんな約束はないと否定するか、ちゃんとやっていることを証明しない限り、ヒューザーの勝ちだと思います。そのうち、今のところ、建築確認の部分だけが訴えになっています。

ヒューザーがイーホームズを訴えているのは、変な言いがかりをつけやがってということのようで、「そんなことしちゃいけない」のケースだと思います。ヒューザーは、根拠もなくこんな迷惑をかけやがってと証明すればいいことです。イーホームズは、ヒューザーの偽装への関与という根拠を証明するか、迷惑を否定しなくてはいけません。これも、ヒューザーに勝ち目があるように思われます。

また、刑事告発になりそうな発覚後の契約や引き渡しは、「そんなことしちゃいけない」のケースで、告発にあたって、ヒューザーが性能不足を認識していたことを証明することがまず必要です。さらに建築確認などの検査の誤りがあった場合、重要事項として説明しなくてはいけないというルールがあることを明らかにしなくてはいけません。これは、グレイ。

ヒューザーの発覚後の隠蔽をこころみたとされる件は、未然に防がれているので、「そんなことしちゃいけない」と咎める必要もないと思います。もし、試みただけでも違法ということなら違法。

この辺りの口喧嘩や言い争い心得の全然ない人が、代議士であったり、首長であったりすることには、疑問です。大声を出したり、センセーショナルな表現を使ったりするのは、口喧嘩の作法としてはイマイチです。

マスコミは、さすがに、心得があるのだと思いますが、わざと、逸脱させて描いているような気がします。そうしないと、ストーリーが単調で、面白くないのでしょう。

ただし、「正しい」と「説得力がある」は、別のことです。

現在、マスコミでも、議会でも、ゴチャゴチャになっているように思います。口喧嘩や言い争いに負けても、国民の説得と言う点で戦略的には意義があることがあります。私たちは、「説得力がある」主張で「思い込まされる」方が、論理的な「正しさ」を「理解して納得する」ことよりも好きだからです。

ついでに補足すると、どうにもならなかった時には、強制とか暴力とかいうパワーに頼った方法もあるようです。
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by gskay | 2006-02-21 12:37 | いろいろ