建築確認番号偽造の責任
広島の積水ハウスの事件は、建築確認手続きを再考させられる事件だと思います。

耐震偽装は、少なくとも建築確認という手続き自体をないがしろにした訳ではなく、建築確認や構造設計の内容にかかわる問題でした。

広島の事件は、建築確認を申請しなかったどころか、確認番号を偽造していたという事件です。耐震偽装で問題になったような事柄とは全く異なっています。

私は、建築確認のあり方や技術的な限界に疑問を感じていて、抜本的に見直すべきところがたくさんあると思っています。しかし、現行の規則で建築を行う以上、法律を無視することは許せません。まして、確認番号を偽造するなど、言語道断だと思います。

建築には、公的な資格や公的な検査が要求されます。建物は、たとえ私的に利用される私有物であっても、周辺への影響があり、公共的な配慮を怠ってはなりません。工事に携わる事業者は、営利性だけで事業を行っているわけではなく、公共に影響を及ぼす事業を行っているということを忘れてはならないと思います。


積水ハウスに広島市が工事停止命令、建築確認申請せず|ケンプラッツ


2008/09/08
建築確認   個人住宅・集合住宅   建て主  

 積水ハウスが、建築確認を申請しないまま広島市安佐南区でアパートの建設工事を進め、広島市から工事停止命令を受けていたことがわかった。

 アパートは2棟あり、それぞれが軽量鉄骨2階建て、約260m2、4戸。積水ハウス広島東支店が個人の施主から仕事を受託した。ところが、設計を担当した同社の30歳代半ばの社員が確認申請を出さずに、架空の確認番号を現場に掲示して2008年5月、工事に着手した。

 この社員は、架空の確認番号と確認取得日などを社内のコンピューターに入力していた。同社のルールでは、ほかの社員が確認済み証などの書類と照合することになっていたが、守られていなかった。

 事件を起こした積水ハウスは事態を重く見て、完成間近だった建物を解体しているところだ。正規の確認申請手続きを行って、同じ設計でアパートを造り直す。9月4日には建築確認が下りている。

 積水ハウス広報部では、「許可を得ていない建物だったので、施主の了解を得ていったん取り壊すことにした。担当者が確認申請をしなかった理由は調査中だ。今後は、社内のルールを徹底したい」と話している。

 広島市によると、7月に付近で道路関係の調査をしていた安佐南区の職員によって不備が発覚した。市と広島県は8月に合同で、積水ハウスの広島東支店に立ち入り検査を実施。会社ぐるみの偽装ではないと判断した。

瀬川 滋[ケンプラッツ]


私は、この事件では、問題の社員だけでなく、企業自体を処罰の対象にするべきだと思います。たとえ、会社ぐるみの偽装でなかったとしても、建築という事業に携わる企業には、その責任があると考えるからです。

ところで、建物を解体してつくり直していることに疑問を感じます。建築主への誠意にはなるかもしれませんが、公共的には何の免罪符にもならないと思います。解体してつくり直すことは、資源の無駄であり、避けるべきだったと思います。工事の期間も長くなり、周辺環境や交通への悪影響も長引くことになると思います。

どうやら、同じものをつくるようですが、だったら、建物そのものが遵法であるということを明らかにするための特定行政庁の配慮があれば良かったのではないかと思います。

本末が転倒しています。手続きの問題と、本来の目的である性能などの規格への適合の問題とでは、そのいずれがより重要であるかを忘れています。

一方で、建物を遵法にすることとは別に、関係者には厳しい処分を行うべきだと思います。とりわけ企業に対しては、厳しい処分が必要だと思います。

建築関係では、関係者が複雑で入り組んだ関係をつくっています。その責任や役割は、曖昧な部分が少なくありません。問題があったとしても、誰が責任をとるべきなのか、誰を処分するべきなのか、よくわかりません。それを整理する必要があると思います。その整理については、建築基本法に期待しています。

建築という公共的影響の強い事業にかかわる企業については、このような姑息な対応で責任を有耶無耶にすることを許すべきではないと思います。
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by gskay | 2008-09-11 23:38 | 揺れる システム