カテゴリ:安全と安心( 45 )
インフラの安全性
地震による原発の損傷について、東京電力や公的機関の対応が批判されているようです。まず、安全に設計されていたかどうか。ついで、事後の対応が適切であったか。それに加えて、メディアに露出することになる上層部の態度。

安全については、今後、徹底的に検証する必要があると思います。想定以上の地震であったが、操業停止などはスムーズで、「想定以上」という想定の想定通りだった可能性があります。

漏れ出した放射性物質については、原子力発電所の本来的な構造というより、付属的な構造の部分からのものである可能性もあり、仮に本体が完璧だったとしても、そちらに目が行き届いていなかった可能性があります。幸い、影響が無視できる程度であるようですが、盲点があったのではないかと想像します。

衝撃的な映像として流れている火災については、これが、原子力発電所に特有な構造なのか、それとも発電所であれば存在する構造なのかによって、評価が分かれると思います。火災への対応状況も問題視されていますが、これは、しっかりと反省しておくべき問題です。

事後の対応では、特に、状況の把握や公表、公的機関への報告などが批判されているようです。これについては、その時点での暫定的な情報把握にすぎず、その後、悪い情報が増えるのは当然のことのように思われます。情報の仕事をしている割には、マスコミはそのあたりのことを配慮できないようです。

情報を公開する担当者は、当然それを配慮するべきです。もしかしたら、その配慮が不十分だったのかもしれません。これは、東京電力からの発表についても、公的機関からの発表についても、何ら差がないことだと思います。

しかし、マスコミもマスコミ。公表された内容を垂れ流しにしておいて、その後の情報の修正について、情報を公開した側の責任を問うのは、おかしいことだと思います。なぜなら、マスコミ自身も、その情報が暫定的で、その時点で把握されている情報にすぎず、その後の情報の収集によって増えるという当然のことを前提に報道すべきだからです。

そうした前提がおざなりにされているばかりか、センセーショナルに取り上げようとしているのか……。そんな理不尽な取り上げ方ばかりであるため、情報公開に後ろ向きな風土が生まれ、隠蔽にもつながるのではないかと思います。

ところで、公的機関への情報伝達の遅れは、毎度のことですが、訓練などとどのように違ってしまったのか事後に充分検討するべきです。影響が限定的であるものの、しっかりとした対応が必要です。それほどの施設を扱っているのですから。

放射性物質の漏れ出しの程度については、訳のわからないたとえでなく、きちんと数値を出すべきだと思います。放射線作業従事者への研修などでもよく使われるたとえですが、「ラドン温泉が……」というのは、イマイチだと思います。それより、自然界の放射線、ついで医療放射線との比較の方がいいのではないかと思います。

さて、地震への対応の本筋からズレてしまうものの、東京電力の上層部の発言は、困ったものだと思います。昨今の一連の事件や事故は、そうした事態への組織への対応の重要性を教えてくれていたはずです。すなわち、「危機管理」。

現場レベルでは同じことかもしれません。しかし、後方にいる上層部の危機への対応が適切であれば、信用を上げることにつながります。逆に不適切なら、信用は失われます。

漏れ出た放射性物質の影響については、漏れ出させた会社は数値などを出すにとどめ、その評価は第三者や公的機関に委ねるべきでした。なるべく早く安心してもらおうという気持ちからの発言だと思います。その気持ちはわかりますが、迅速に第三者や公的機関が引き継いでくれることを信じ、発表すべき事をだけを発表すべきでした。

また、知事への報告で、「いい経験になった」とか、何とか。それは、知事の方が評すること。その知事がどういう人物か私は知りませんが、不機嫌になって当然だと思います。若造だとなめられたのでしょうか?そもそも、地震の影響は発電所だけではありません。対応に忙殺されている知事を前に何を言っているのでしょう。

東京電力の現場の対応や、これまでの安全対策については、今後、徹底的に究明されるべきだと思います。しかし、上層部の危機管理能力の欠如は、そういう問題とは別に、組織にとって重大なことではないかと思います。

ところで、ニューヨークの中心地で、蒸気のダクトが爆発しました。マンハッタンの街中にダクトが張り巡らされていることは有名ですが、このダクトが老朽化しています。爆発したダクトは、1920年代のものだそうです。

スチームがもくもくと上がり、土砂が噴出する様子は映画のよう。同時多発テロを彷彿させる光景です。

爆発後、すぐに市長が、テロを否定しました。そして、交通機関の代表者や、ダクトを管理する会社の代表者が状況や対応を説明しました。交通への影響や、周囲への電力や水道の提供が問題になりますが、それについての説明でした。加えて、古いダクトであることから、アスベストの被害について注意が発せられました。

何となくスムーズな対応です。これに安心してか、何となくのんびりしていて、道行く人は、足をとめ、携帯で写真をとっています。ちょっと離れた場所の警官は、飲み物を片手に警戒をしています。また、ニュースは、配管に用いられたアスベストによる発ガンへの影響と、混乱による経済被害を心配しています。

街中に同じようなダクトが埋まっているということは、今後、同じような爆発が起きてもおかしくないということだと思うのですが、あまり気にかけていないようでした。結構、「危ない街」だと思わせてくれます。

すでに、約20年前から同様の事故は起こっており、抜本的な対策が必要なはずです。しかし、諸般の事情で不十分であるようです。インフラの安全性と利便性や経済効率との間にてんびんをかけて考えているのかもしれません。日本人の「ゼロリスク」追求社会であったら、許してはおけない程の状況だと思います。

まあ、そうは言っても、日本の「ゼロリスク」追求も、耐震偽装への対応や、古い建物への対応で明らかになったように、不勉強なメディアの狂騒と、それに人々が一時的に煽られているだけで、喉元をすぎると、誤解や偏見などを残して、忘れ去られていくようですが……。
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by gskay | 2007-07-20 04:33 | 安全と安心
新潟の地震
平成16年の時には、冬になり、暖をとるため、自家用車で寝起きしてエコノミークラス症候群になった人が少なからず出たという話がありました。今度は、夏なので、脱水も加わるので、平成16年の時と同じではないものの、注意が必要だと想像します。

電気などが止まってしまうと、涼しいのは車の中だけということになり、冬の暖房と同じようなパターンになってしまうかもしれないと心配します。

血栓による循環障害が、そんな単純な説明で解決できるとは思えませんが、念には念を入れる必要があると思います。

夏ということで、衛生面が心配です。食中毒にはじまり、トイレの清潔の確保は健康に密接にかかわる一大事だと思います。また、悪臭に対する対策は早期に行わなくてはならないと思います。

建物の被害については、少しずつ情報が流れているようなので、今後、注意しておこうと考えています。流れている画像を見る限り、木造家屋に被害があったように思われます。日本人の多くは木造家屋に住んでいます。公的に手をつけやすいマンションだけでなく、どちらかというと放置されてきた木造家屋にしっかりとした対応をしなくてならないと思います。
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by gskay | 2007-07-16 23:33 | 安全と安心
「最悪でも……」
耐震強度は、計算の前提になる部分が、計算する人の主観に左右されます。計算の仕方によって数値が異なることは仕方がないことです。ただ、どのようなデータを利用して計算するのかということについては、実態に即した数値を利用するのが妥当だと思います。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 安全ショック:構造計算書偽造 グランドベイ横浜「最悪でも53%」と修正 /神奈川


6月17日12時0分配信 毎日新聞

 ◇耐震強度調査で市
 耐震偽装マンション「グランドベイ横浜」(横浜市鶴見区、10階建て)の耐震強度が横浜市の調査と住民の調査で大きく異なった問題で、強度が基準の63%と発表していた横浜市は16日、「最悪でも53%」と修正した。住民が調査を依頼した浜田幸慶1級建築士と同じく、窓やドア周辺の壁を「耐震壁」とみなさないなどの条件で再計算した結果という。
 横浜市建築企画課によると、同市は05年12月、マンション完成前の「建築確認変更図」をもとに業者に耐震強度を計算させ、63%と発表。しかし今年6月、住民側が依頼した浜田氏の再計算で21%となったことから再検証を進め、16日の住民説明会で「耐震強度は53〜63%」と修正した。
 また、同課は06年1月にマンションの竣工(しゅんこう)図を入手していたにもかかわらず、建築確認変更図をもとに計算させた耐震強度を再検証していなかった。担当者は「竣工図を入手後も検証しなかったのは適切であったとは言えない」と釈明している。【池田知広】
6月17日朝刊

主観に左右されること。計算のプロセスに仮定がたくさん含まれていること。解析が数学的に単純化されすぎていること。などなど。

絶対の数値のように扱われるには問題がある数値でしかないようです。一般的には、耐震性能を表す絶対の指標と考えられているようですが、実際のところ、どのように扱うべきか再検討すべきです。

実際の地震で何がおこるのかということを表す数値というより、規則が要求する数値という性格が強い数値になっています。今や、この数値を基準に考えるのは、技術の問題ではなく、制度の問題になっているようです。

欠陥のあるマンションの紛争でも、耐震強度を巡った争いが行われるようになっているようですが、民事の紛争では、この数値を巡って争うのは難しいのではないかと思います。計算によって異なってしまう数値で、いつまでも再計算を繰り返し、この数値を巡って議論が進展しない可能性があるからです。

費用と時間がかかる再計算は、拘泥しすぎてはいけないのかも知れません。

姉歯元建築士ほかの第一次の耐震偽装事件では、計算した本人が偽装を認めていることと、行政の判断による措置が講じられている点が重要です。

これに対し、アパほかの第二次では、計算した本人は偽装を認めておらず、強度については解釈の違いであると粘っています。行政は措置を講じているようですが、第一次の対応とは温度差があるようです。アパでは、確認や検査後の数値の差し替えの手続きの問題が発端で、結局、強度の低下が指摘されるにいたったという事件だったのではないかと思います。

耐震性能についての争いというより、妥当な図面を計算に選んだかどうかや、手続きが妥当であったかというような点が問題として重要視されるように変化してしまったような気がします。

とりあえず、建築確認の申請では、不適切な修正が認められない制度になったようですが、修正に限って言えば、融通がきかないため、負担が重い面倒な仕組みになってしまっているようです。

ところで、横浜については、建て替えや補修についての判断が柔軟であり、適切でない再計算については問題であるものの、今後の対応については、あまり数値に拘泥せずに最も適切な方向性を見いだしていくのではないかと期待されます。「0.5」という数値をクリアしているからといっても、ほかの条件も考慮した対応になるのではないかと想像します。
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by gskay | 2007-06-25 00:31 | 安全と安心
公開すべき共通の指標
耐震偽装について、今後の教訓になるような分析や提案は、メディア上には少ないという印象を持ってきました。また、公的な仕組みも改正されてはいますが、根本的な発想が変わっておらず、脆弱な基盤の上に、これまでの仕組みと大して変わらない仕組みを積み上げているだけのように思われます。余計な負担になるだけで、解決策とはいえないと危惧しています。

そんな中、以前のエントリでも取り上げた『日経ビジネス』の山岡淳一郎さんのコラムで、興味深い提案を知りました。


(3)私に、あなたに、構造欠陥は見抜けるか? (マンションに住んで幸せになろう):NBonline(日経ビジネス オンライン)



「何しろ耐震偽装は、一級建築士をそろえた建築確認検査機関も歯止めにならなかったし、消費者のマンション選びをサポートする会社に依頼してさえ、危険を察知できなかった例も個人的に知っている。素人にはとても太刀打ちできない。」という前提で考えている点が重要な視点だと思います。

その上で、「東京電機大学建築学科の今川憲英教授」が登場し、ヒューザーの販売用パンフレットをこき下ろし、かつ、「これはどのデベロッパーのパンフレットも似たようなものです」と指摘しています。

これには共感します。今でも、マンションの宣伝がどんどん配達されて来ますが、ヒューザーのそっけないパンフレットとの違いは、周囲の環境を強調したり、イメージ画像に凝っているいる位で、肝心の情報は、ヒューザーのそっけないパンフレットと変わらないと思います。そういう点では、あまり反省されてはいないのかもしれません。

そんな状況に対し、購入者が対抗するための提案をコラムでは取り上げています。

ひとつは、「建物の設計や施工にかかわる5種の図書類を調べたほうがいい」と。5種として、『基本設計図書』、『実施設計図書(構造図や構造計算書、設備図など含む)』、『施工図』、『竣工図』そして、『パンフレット』をあげています。

これについては、計画段階で販売が始まるという点を考えると、必ずしも実情にあっている提案ではないと思います。まあ、少なくとも引き渡しを回避することには役立ちそうですが……。

これらの図書を調べるという発想は、従来からもありました。しかし、「消費者のマンション選びをサポートする会社」が、ことごとく空振りをしていたという実情が問題意識の前提になっていることを考えると、現実的だとはいえないと思います。また、特定行政庁や検査機関が検査してもわからなかったという点で、ますます苦しい提案ではないかと思います。再検査も、極めて長い時間がかかっています。

今後、試験で誕生した構造検査の「判定員」の活躍次第で、これが現実的なものになるかどうかが決まるのかもしれませんが、今は、これを優れた提案だとは思えません。

次に、「共通の指標の公開が必要」と提案しています。私は、これを興味深い提案だと思いました。

「素材」、「構造」、「荷重」、「接合方法」、「最適価格」、「耐久性」、「建て方」という7つの指標から得られる「空間デザイン認識関数」というものの有用性を提案しています。もし、それが簡単に理解できるものであるなら、とても価値があるものだと思います。

図面からこの指標を読み解くのは難しいと指摘していますが、それは、現状の検査の様子を見る限り、納得できることです。発想が逆転している点が、この提案のポイントだと思います。どのような考えで設計し、何を実現しようとしているのかということを明確に示す指標こそ、全体像を把握する上で価値があるということだという考えだと思います。

契約における宅建主任による「重要事項」の説明では、そういう点までつっこんだ話はありませんでした。この指標なら、取り入れることは可能かも知れないと思います。図面をもとにした議論をするのは非現実的だと思いますが、これなら受け入れることができるのではないかと思います。

既存の発想の延長で、いくら検査制度を高度にしても、素人にとっては、ブラックボックスが一つ増えるに過ぎません。これまでの建築確認をはじめとする検査制度も、性能評価の制度も、期待に沿う事ができませんでした。今後の検査制度の充実も、「合格」と書かれた紙切れが増えるだけで、購入者の判断の材料にはならない仕組みになりかねないと考えています。

検査制度を高度にする努力だけでは得られない何かが、まだまだあります。その一つへの有効なアプローチが、提案された指標の共通化と公開だと思います。これを、「重要事項」として説明し、違背した場合に考慮すべき対象とすることが必要ではないかと思います。

ところで、「消費者のマンション選びをサポートする会社」についてですが、そろそろ、しかるべきあり方をきめた方がいいのではないかと思います。肝心なことを指摘できなくても、「ダメでもともと」という商売は、あまりに無責任です。然るべき責任を負う仕組みの中でしっかりと「サポート」していく会社を作らなくてはならないと思います。
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by gskay | 2007-05-14 08:00 | 安全と安心
「規制緩和」がなかったら?
耐震偽装は、規制緩和の負の側面の象徴であるという通念があります。しかし、私は、そうではないと思います。

耐震偽装は、民間検査機関への建築確認や検査業務の開放より以前から行われており、特定行政庁の建築主事が見落としています。その見落としは、民間開放後に特定行政庁が行った建築確認や検査でも続いています。

通常の検査では、誰も耐震偽装を見抜く事はできませんでした。民間開放によって、業務の程度が下がったとは言えません。もともと、低く、それが開放後も、特定行政庁でも民間機関でも向上しなかっただけなのです。

これは、構造設計という業務や検査のシステムの根本に問題があって、どうしようもないことなので、特定行政庁や民間機関を責めるのは、あまり意味がないことですが……。

民間開放と言う規制緩和を悪玉視することは、耐震偽装に関する限り誤りです。むしろ、民間検査機関が果たした役割を積極的に評価すべきだと思います。検査で見逃したことだけを問題にすると、ポイントを見失います。発覚に至る経緯こそ重要です。

もし、「独立系」のイーホームズが、問題の重大さを認識し、対処のために行動をおこさなければ、耐震偽装が表に出ることはなかったと思います。

そもそも、問題については、誰も気付いていませんでした。問題に気付いた人から指摘があっても、その問題の重大さを認識できず、対処しようとしなかった機関もあります。

その一方で、イーホームズは、耐震偽装の公表に積極的な役割を果たしてます。また、再検査についても他の機関よりも積極的に実施していたとされています。

民間開放によって生まれた「独立系」のイーホームズがなければ、耐震偽装はそのまま続いていたり、見過ごされていたかもしれません。ことによっては、隠蔽されていたかもしれません。

民間開放と言う規制緩和は、耐震偽装に関する限り、積極的に評価されるべきです。
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by gskay | 2007-02-28 11:16 | 安全と安心
阪神淡路大震災の日
「いやー、大きく揺れたねぇ」と呑気にいっていられるような、大地震があっても平気な街が出来ているかといえば、残念ながらNO。

地震を防ぐ事はできないものの、災害にならなければいいわけで、その要は建築だと思います。

私は、これまで、震災被害には無関心だったように思います。耐震偽装に巻き込まれて、ようやく真剣に考えるようになりました。認識不足であったと反省しています。

耐震を巡って、1年以上も考え続けています。

今の発想の体系は、いくら法律を積み重ねていったところで、根本的な考え方がしっかりしていないため、デタラメになりやすいという脆弱な体系だと思います。

建築基準についても、建築に関する資格についても、それを司る公的機関の位置付けについても、それを総括的な定めたものがないのではないかと思います。関わる人や組織の責任や義務がはっきりと定められていないと思います。

震災の反省から、少なからぬ制度の変更がありました。しかし、それで充分ではなく、耐震偽装など、不適切な建築を防ぐ事はできませんでした。さらに、制度改正が進められていますが、私は、今行われているような制度改正では、問題の根本的な解決は不可能であると考えています。

関わる人や組織の責任や義務をはっきりさせることからはじめなければなりません。特に、公的な立場が果たす役割を明確にする必要があると思います。公的な立場は、決して無謬ではないということを認めることも必要だと思います。

無謬を前提とした無責任でデタラメな仕組みでは、対応が不適切になったり、遅延する原因を作っているだけではないかとさえ思います。

無謬ではないという前提のもと、公的機関の責任や役割を明確にすることが必要だと考えます。

あれだけの震災があって、これだけの時間が経過しても、こんな状態であるという現実をどのように受け止めるべきかと反省しています。
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by gskay | 2007-01-17 22:05 | 安全と安心
耐震診断
耐震診断の推進については、自治体毎に温度差があるようです。耐震偽装問題発覚後、横浜市が積極的な姿勢を示していましたが、どれだけ効果が出ているのか興味がわきます。

取り組みの制度整備が不十分な自治体が多いと言う報道がなされてきましたが、積極的に実施しているという報告は、あまり多くなかったように思います。

東京・千代田区、全マンションに耐震診断の報告を要請


 東京都千代田区は10日、耐震診断や構造計算のチェックを受けていないとみられる区内のマンションに対し、診断を受け、結果を年末までに報告するよう求める要請書を郵送した。対象のマンションは最大で466棟に上る。

 耐震強度偽装事件が起きて以降、マンションの安全性への関心が高まっているが、国土交通省によると、自治体がこうした要請をするのは珍しいという。

 同区では、同事件を受けて昨年1月から、マンション耐震診断などへの助成(1棟の上限は分譲250万円、賃貸125万円)を始めたが、同制度を利用したのは区内のマンション472棟のうち6棟だけ。同制度を使わずに診断を受けているケースも考えられるが、区では、ほとんどのマンションは診断を受けていないと見ており、残る466棟の管理組合や所有者らに要請書を送付した。

 区では、安全性を確認できたマンション名を公表していく方針。

(2007年1月11日0時25分 読売新聞)

都心では、オフィスビルでの取り組みは進んでいるように思います。所有者がはっきりしているからかもしれません。所有者にとって、責任という点でも、資産という点でも、耐震性能は重要なポイントであり、動機付けがしっかりしています。

しかし、マンションでは、管理組合の足並を揃えるのが難しいのではないかと思います。区分所有者の理解こそ、克服しなくては行けない点ではないかと思います。横浜など積極的な姿勢を打ち出しているところが、この問題をどのように解決しているのか、知りたいと思います。

ところで、この取り組みのポイントは、「安全性を確認できたマンション名を公表していく」という点だと思います。都心では、物件が限られていることもあり、中古の資産価値は重要です。安全性が確認できているかどうかが、資産としての価値の基準になりうるのではないかと思います。

物件の売買において耐震診断の結果を明示しなくてはいけないとか、耐震強度に問題がある物件の売買を制限できるというルールが区の条例などで作ることができればば、更に良いのではないかと思いますが、私有財産の処分をそこまで制限できないのかもしれません。

少なくとも、遠からず、千代田区では、耐震診断の結果が良好な物件と、そうでない物件との差がはっきりすることと思います。

これだけの仕組みでは、売るつもりがないという人を積極的にできないかもしれませんが、とても大きな進歩だと思います。
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by gskay | 2007-01-11 23:54 | 安全と安心
大手や公団だったら安心できたのか?
大手のデベロパッパーであろうが、公団であろうが、あてにはできないと思います。

大手や公団の価格設定にはゆとりがあります。ヒューザーのようなギリギリの価格ではないようです。ヒューザーでさえ、実際には、さらに低価格が可能であったかもしれないとされていて、ギリギリではなかったようですが、少なくとも大手や公団に比べれば、価格は低く抑えられていたことは間違いないと思います。そこが目玉であり、競争力の一つでした。そして、問題視されているポイントでもあります。

安心につながるから、高い価格を受け入れるべきだと強く主張されています。余裕があるから、何かあった時の対応がスムーズであるとされています。これに対し、ヒューザーからの購入者は「安物買いの銭失い」だと非難されているのだと思います。

確かに、スムーズに対応されることは歓迎です。しかし、期待通りになるかどうかはわかりません。

上乗せされた価格の行方が問題です。

大手だからと言って、経営に余裕があるという話は聞きません。分譲はやめてしまったものの、公団の借金の巨大さも有名です。スムーズに対応できるかどうかは、微妙ではないかと思います。

一体、上乗せされた分はどこに消えたのでしょうか?

広告会社などに流れているのではないかと想像します。「など」の中には、様々なものが含まれているのではないかと思います。その結果、問題が起こったとしても、ヒューザーのように、問題が単純に直撃せずにすむ体制が組まれているのではないかと思われます。

もし、補償に対応するための余裕の方に、上乗せ分がまわっているなら安心です。しかし、問題が大きくならないようにするための努力の方に費用がまわっているとすると、安心には程多く、むしろ、疑心暗鬼の元凶になるのではないでしょうか。

本当に、補償が可能な体力を持っているデベロッパーなのかどうかは、企業の規模とか、価格設定の高さなどでは測れないと思います。

また、大手なら、違法にならないようにきちんとしていると信じたいところですが、違法建築の問題も、適法を確認するための検査システムが根本的にデタラメである以上、何がどのように問題になるかわかりません。

結局、大手なら安心できると言う主張は、そういう主張が都合の良い立場のためのものに過ぎないと思います。大手だろうが、中小や新興だろうが、ひとつひとつ、きちんとチェックしないとダメだということに、何の変わりもありません。もし、建築確認などの検査の制度がきちんとしてさえいれば、そんな心配は無用なはずだったのに。
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by gskay | 2006-12-14 01:48 | 安全と安心
透明性の高い価格
競争力のある価格をめざすのは意味のあることです。価格競争は消費者としては歓迎すべきだと思います。しかし、価格の安さだけがいつまでも競争力を持つとは思えなくなって来ました。

品質についての「安かろう悪かろう」ということではありません。うちの物件の「違法」は、「安さ」とは直接の関係はありません。「安さ」を基準に、ヒューザーを忌避したところで、違法建築を免れることはできません。

検査機関でさえ見抜けない違法性を、「安いから何かある」という「漠然」とした直感で回避できたとしても、それは運が良かっただけのこと。それが、現在の仕組みの限界です。むしろ、価格が性能を保証できていない点が問題です。「高い」ということで安心はできず、「漠然」とした直感に頼らざるを得ません。

この問題の打破のためには、価格の透明性が必要だと思います。そして、価格の透明性が確保されれば、その延長上に、少なくとも二つの点で魅力が生まれると思います。

一つは、売り主の経営体力の強さを示すことができます。これは、別の手段でも調べることができるものの、売り物と価格を見ただけでわかるものではないと思います。売り物の質と経営が一致するとはいえないものの、問題発生時の対応に差が出ます。それは価格に反映させられるポイントになり得ます。私が迂闊だったところです。

ヒューザーの場合、価格の安さが会社の資産を減らしていて、補償を困難にしたという可能性があるとは思います。ただ、破産財団の中身をみると、意外に資産が残っていて、しかるべき融資や信用保証のようなサポートがあれば、補償をやり遂げることはできたと思います。しかし、今さらです。なお、ついでに言うなら、大勢に影響のある資産隠しなど、世間で言う程には、簡単には出来ないものだという印象を受けました。細かくみると、結構あるかもしれませんが……。

今後、このような問題が発生しても、補償については、保険でのサポートが行われる方向のようで、安心といえば安心です。そうなると、価格に反映する価値では無くなるのかもしれません。

もう一つは、社会的貢献や環境への貢献です。価格に反映されないような悪影響を考えて、その悪影響を取り除くための活動への貢献があるなら、それが価格に上乗せされてもいいのではないかと思います。

環境への配慮は、周辺だけに留まるものではなく、材料が通って来た過程の全てに対して必要です。そうした配慮を徹底的にしていくのは現状では無理かもしれませんが、配慮している姿勢を明確に打ち出しているのなら、費用がかかってもいいと思えるようになりました。

そうした配慮が足りないところからやってきたモノを、安いからといって歓迎し続けることに疑問を感じるようになりました。まやかしの免罪符にすぎないかもしれませんが、無頓着ではいられないと思うようになりました。こちらは、これからの課題だと思います。
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by gskay | 2006-07-28 09:19 | 安全と安心
戸建て住宅の「建築主」
共同住宅では、住宅取得者が「建築主」であるという事業は、ほとんどないのではないかと思います。通常、売り主になる業者が「建築主」になっています。

ところが、戸建て住宅の場合、建て売りの分譲と、注文建築では異なっているようです。建て売り分譲では売り主になる業者が「建築主」になっていますが、注文建築では住宅取得者が「建築主」です。

「家を買う」のか、「家を建てる」のかの違いです。業者と住宅取得者の関係では、建て売り分譲では売買ですが、注文建築では請負です。

そのような差はあるものの、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、建て売り分譲の売買であろうが、注文建築の請負であろうが、瑕疵担保によって住宅取得者は保護されています。

ところで、今回の耐震偽装に関連して実施されている公的な対応は、「建築主」に対して冷淡です。ビジネスホテルや賃貸マンションについては公的な対応が施されていません。「建築主」には、建築確認を申請したという責任があるからだと位置付けることができますが、もし、ここで「建築主」の責任を強調しすぎると、注文建築の場合の住宅取得者の責任が重くなってしまいます。

欠陥住宅は、従来、施工レベルで発生するものが多く、その立証が困難であったり、責任関係が曖昧である事から、住宅取得者は放置されて来ました。その状況は、共同住宅であろうが、建て売り分譲であろうが、注文建築であろうが、同じ状況に置かれてきたのではないかと思います。

今回、違法な設計と、違法な建築確認による欠陥という新しいパターンが登場しました。この場合、証拠はふんだんにあり、立証は困難ではありません。

しかも、たまたま、注目されたのが分譲マンションであったので、住宅取得者には、違法な設計や違法な建築確認への関与はありませんでした。「建築主」として責任を負う必要はありませんでした。

しかし、これが、注文住宅であったなら、住宅取得者の立場は、ビジネスホテルのオーナーや、マンション業者と同じ「建築主」であり、建ててしまった責任を逃れることはできなくなるのではないかと思います。

欠陥を指摘し立証するのは容易でも、責任を追及したり、損害を回復しようとすると、注文建築による住宅取得者は、「建築主」としての責任を負わねばならない立場になってしまうのではないかと思います。

欠陥住宅の問題を考えるとき、住民という立場を守るという発想が重要だと思います。現状では、建築という事業からの視点ばかりが強いように思われます。最終的に、人が住む建物だということに価値をおくという観点から考える必要があると思います。
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by gskay | 2006-07-10 11:33 | 安全と安心