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県の過失否定
愛知県のビジネスホテルの耐震偽装問題では、一審で、建築確認をした県の責任が認められていました。しかし、その判決が二審でくつがえりました。

同様の訴訟では、建築確認を行った特定行政庁の責任は認められていません。おそらく、県の責任を認めた判決が例外的なものなのだろうと思います。一審の判決は、建築確認制度のあり方についてのひとつの考え方を示したとして評価することができますが、一般に認められるものではなかったということなのだろうと思います。

建築確認を行った特定行政庁の責任は認めない判決は、ますます、建築確認の意義を低下させるのではないかと思います。建築確認は、建築を行ううえの、余計な手間と負担にすぎなくなってしまいます。

違法建築が出現した場合の責任を負わないのであれば、建築確認のような事前の取り締りには意味がなく、事後の取り締りを徹底したほうが良いと思います。「無謬」ではないということが明らかな制度では、責任を免除するという方法は適切ではありません。一方で、裁量の余地を広げ、大幅に許可としての権限を強くすれば、少なくとも建築主事の判断は「絶対」となるので、「無謬」とすることができます。そのような強い権限の制度にするか、やめてしまうのがいいだろうと思います。せめて、建築確認の意義を大幅に限定すべきです。

従来、建築確認の効力や能力についての誤解があったと思います。それが裏切られたのが耐震偽装だったと思います。今でも、建築確認に位置づけは、人それぞれに違った捉え方をしているのではないかと思います。明確にすべきです。


中日新聞:二審、県の過失否定 半田耐震偽装で名古屋高裁:社会(CHUNICHI Web)


2010年10月30日 朝刊

 姉歯秀次・元1級建築士(53)による耐震強度偽装事件で、愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の運営会社がホテル建て替えを余儀なくされたとして、建築確認をした県などに計2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁は29日、「当時の法令で建築確認審査に落ち度はなかった」として違法性を否定。県の過失を認めた1審判決を変更し、県への請求を棄却した。

 一方、姉歯元建築士に設計を委託した業者を選んだコンサルタント会社、総合経営研究所(総研)の賠償責任は1審に続いて認定。県と総研に計5700万円の支払いを命じた1審判決を変更し、総研にのみ改修費や休業補償として1億6100万円の支払いを命じた。

 判決理由で岡光民雄裁判長は、建築確認を担当する県の建築主事の役割を「関係法令で直接定められた項目以外、審査する義務はない」と指摘。見逃された偽装の一部は「図面を詳細に検討すれば判断できた」と認めつつ、時間的制約や法令が定める審査基準を理由に建築主事の注意義務違反はないと判断した。

 1審の名古屋地裁判決は建築確認を「危険な建築物を出さない最後の砦(とりで)」と定義した上で、「法令が明示した基準だけでなく、安全確保のために一般的な基準も考慮すべきだ」と判示。偽装を見逃した建築主事の落ち度を認め、県と総研側が控訴していた。

 神田真秋愛知県知事の話 主張が認められた妥当な判決。今後も適正な建築確認を行い、県民の安心、安全の確保に努める。

 総研の代理人弁護士の話 到底納得できない。上告も考える。



この判決では、コンサルタント会社が負うべき責任を大幅に認めています。これについて、私は違和感を感じます。

おそらく、報道からしか情報を得ていないからだと思いますが、理由がよくわかりません。どのようなコンサルタント契約だったのかによると思います。また、建築については、所有者、建築主、設計、施工、監理といった業務の中で、原告である所有者(建築主?)の責務があると思います。そこがどのように扱われたのかによって、コンサルタント会社という曖昧な存在の責任が変わってくると思います。

建築関係の法律や制度は、責任関係などが、現実に即していないまま放置され続けているので、抜本的に見直すべきです。それは、司法の場で行われるべきものでも、行政の裁量によって行われるべきものでもなく、立法府が取り組まなくてはいけないものだと思います。
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by gskay | 2010-10-31 04:49 | 真相 構図 処分
改竄……
厚労省の郵便不正に関わる事件は、結局、担当の係長の単独の犯行であり、その動機は、何らかの利益を求めるとか、巨悪の一部であったというよりは、「面倒だったから」というのが真相のようです。

この事件では、法廷での証言によって検察の調書が覆されることの連続で、違法性をともなう取り調べを想像させます。裁判で重要視されてきた署名入りの調書が、恣意的で執拗な方法でとられてきたことが、裁判を通じて明らかになってしまいました。

この裁判の経過をうけて、今後、「取り調べの透明性の確保が必須」という流れになるものだと思いましたが、「証拠の改竄」という話が浮上し、大混乱という状況になってしまい、どうなるか想像もつきません。

この混乱にあたり、取り調べなどの可視化はもちろん重要ですが、さしあたっては、無理な立件を行わないという原則をたて、その上で、徹底的な捜査をするべきだという体制を再確立する必要があると思います。

ところで、耐震偽装の一連の裁判を通じて知った事は、今日の検察は、別件にすぎない問題で、立件不能なもともとの事件をすり替えるのが常套手段になっていることでした。

ひとたび検察に「関係がある」とみなされると、たとえ、その関係に合理性がなくても、別件で起訴されます。もともとの容疑を織り交ぜた検察の無理矢理な主張が繰り返され、それがマスコミを通じて流れます。もともとの容疑については無罪や無実であっても、別件での有罪によって、もともとの容疑でも有罪であったかのような錯覚が生まれます。

裁判所は、「もともとの容疑とは関係ない」という文句を判決文に入れたりすることで、検察の主張を退けてはいますが、それは、なかなか人々には届かず、もともとの容疑が先入観となって、「悪」というイメージが残り続けます。

このような裁判のあり方は、歪んでいます。

また、そもそも、問題になるような「別件」についても、会計上の判断など、法令に曖昧なところがあって解釈が分かれるようなものがほとんどです。そこに、「悪」が潜んでいるようなものではないようなものも多いと思われます。それを、こらしめの切り札のように使っているのは姑息であると思います。

現与党の有力者をめぐる「政治とカネ」の問題も、同じようなものです。

贈収賄があるというふれこみでしたが、問題になっているのは、帳簿の記載の解釈の違いや、登記にかかわる土地種目の変更手続きの日付の解釈の問題。それらは、誤りがあった場合には、まず、行政の担当の当局と当事者が話し合って修正すべきものであって、捜査当局がしゃしゃり出るべきものではありません。

しかし、執拗なマスコミを利用したキャンペーンが行われ、すでに、担当の行政当局の手が届かぬところに来てしまっています。また、多くの人々は、何が問題なのかわからないまま、「悪」というイメージを植え付けられているように思います。

私は、裁判所が、すでに起訴されている関係者にどのような判断をするのか、関心をもっています。

元建築士を除く耐震偽装に巻き込まれた関係者の一連の刑事裁判も、与党の有力者の「政治とカネ」も、実質的に、検察の見込み違いであったと、私はみなしています。それに対し、執拗な追及を止めることができないところが、現在の検察をとりまく問題であろうと思います。誰も、冷静に、引き際を判断することが出来ていません。

こうした検察の姿勢が基盤にあるため、取り調べの透明化がすすまない上に、違法ではないのかと思われるような陰湿な情報リークが続いてしまうのだと思います。

さて、今回発覚した「証拠の改竄」は、構造計算書の偽装や、郵便不正に用いられた偽の証明書と同じ性質の問題だと思います。ただ、この3者の中で、国家にとってもっとも深刻なのは、「証拠の改竄」ではないかと思います。刑罰という国家が独占する権限の信頼性が崩れてしまいました。厳格な処分を行うことは当然だと思いますが、改竄の発覚の影響についての適切な対処が必要だと思います。

検察の取り調べや証拠についての信頼性が損なわれたために、多くの裁判が混乱することになると思います。これに対し、検察が基本に立ち返ることは不可欠ですが、裁判所にも、毅然とした判断が必要だと思います。裁判所は、検察側の不十分な主張や、不適切な主張を、的確に退けていかなければ、裁判所の権威を保つことが出来ません。裁判所の自律が試されると思います。

この時期に、このような混乱をしているのは、国際的には、大損失です。「中国漁船問題」があり、日本の司直の信頼性が疑われることが、国益を損なうことにつながります。中国側の強い圧力に口実を与えるような事件だと思います。

この混乱は、あまりに重大です。しかし、適切な出口を、この事件でも、見つけられなくなってしまうのではないかと恐れています。

誰が主体になって取り組むべき問題であるのかという点からきちんと議論し、なるべく早く、立法による解決の道筋を示すべきだと思います。検察の自浄作用や自律にまかせるのは、政治の無責任だと思います。官僚を大切にすることは、放ったらかしにすることは違います。

まず、「正しい検察」を作らなければいけないと思います。「強い検察」は、この状況では、二の次です。
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by gskay | 2010-09-22 04:39 | 真相 構図 処分
検察の上告断念
一審を不服として、検察も弁護側も控訴し、二審の判決が一審と同じでした。そういう場合、当然、検察は一体であるはずなので、二審は不服であるはずですが、最高裁への上告をしないという判断がありました。

<耐震偽造>東京高検、ヒューザー元社長の上告を断念(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


<耐震偽造>東京高検、ヒューザー元社長の上告を断念

3月23日20時48分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件で詐欺罪に問われた販売会社「ヒューザー」(破産)元社長、小嶋(おじま)進被告(55)に対し、1審に続いて懲役3年、執行猶予5年を言い渡した東京高裁判決(6日)について、東京高検は23日、上告しないと発表した。検察側は実刑を求めていたが、渡辺恵一次席検事は「明確な上告理由がない」としている。無罪主張の弁護側は既に上告している。

明確な上告理由がないのなら、そもそも、控訴する理由もなかったのでは?

弁護側は、無罪を主張しているので一貫しています。

事実関係については、ほとんど争われていないと思います。その事実の位置付けだけが問題になっていて、一方に極端に解釈すると検察の主張になりますが、逆の方向に解釈すると弁護側の主張になります。

結局、裁判所の判断は、「被告も被害者」であるが、「弱い故意」があったという判断。

小島社長の行為は、被害を与える行為であったことは間違いがありません。しかし、騙しとったといえるかどうかは、あの状況を考えると、微妙だと思っています。

そういう微妙な状況でも、免許をうけて事業をしていることも考えると、細心の注意を払うべきで、そういう方向で取り締まる法律があれば、確実に処罰できると思います。今後を考えて、そういう法律を整備するべきかもしれません。
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by gskay | 2009-03-24 07:23 | 真相 構図 処分
検査の実際と意義(イーホームズ答弁書の論点4)
すでに奈良で判決が出ているように、建築確認施行規則による大臣認定プログラムとその証明書の添付による検査については、イーホームズには違法な手順はなく、確認検査に過失はなかったとされています。

その一方で、愛知の判決では、特定行政庁の建築確認の責任を認めています。愛知のケースでは、検査自体を特定行政庁自身が行っていたようです。

異なる判断のようにも見えますが、奈良の判決では、耐震性能が劣っている事を知っていながら木村建設が引き渡しを行ったということを重視していて、その引き渡しを損害の主な原因と見なしていたように思います。

また、そもそも、民間検査機関と特定行政庁では役割が異なっているようにも思います。民間検査機関が行えるのは、検査済み証の発行にとどまります。これに対し、特定行政庁は、最終的な建築確認を行う機関です。加えて、特定行政庁は、違法建築を取り締まる役所でもあります。

私は、建築確認のような建築前の業務と、取り締まりのような建築後の業務を同時に担う機関というのは、うまく機能しないだろうと思っています。阪神大震災の教訓から、民間検査機関が登場して、特定行政庁の役割が取り締まりに特化していくべきであったのに、その方向には進んでいかなかったように思います。その結果、中途半端な形でかかわる特定行政庁を軸に、無責任な体制が出来上がっていたことが問題だと思っています。

建築確認という制度がある以上、果たすべき役割と責任があると思います。それが曖昧で明記されていないために、当局の責任逃れが可能な仕組みができてしまいました。その責任逃れを批判した判決が愛知の判決だと思います。

役割も責任も負わないのなら、やらなければいいのです。でも、法によって定められた手続きである以上、明記されていなくても、しかるべき役割と責任があると考えるべきではないかと、私は思います。

同様に、大臣認定プログラムの問題も、曖昧な制度が作り出した落とし穴であったと思います。手続き的には、絶対の信頼と権威をもつ大臣認定ですが、少なくとも、プログラムについては、欠陥があったり、セキュリティーについての改悪が行われていたという事実があります。それを放置していた「大臣認定」に欠陥があるように思います。これは、制度の問題と同様に、その認定を担っていた人たちの認識に問題があったと考えなくてはいけないと思います。

イーホームズが、建築確認の中で果たしていた役割を明確にすることは、建築確認の意義や、特定行政庁の役割と責任、それに大臣認定制度の欠陥を明確にすることにつながると思います。これは、原告にとって不利な論点ではないように思います。

イーホームズは、責任逃れをしているのではなく、責任逃れをして隠れている人たちを表に引っ張りだそうとしているのだと思います。
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by gskay | 2009-03-14 01:09 | 真相 構図 処分
騒ぎの背景と真相?(イーホームズ答弁書の論点3)
結局、ヒューザーや木村建設といった業者がグルになっていたという構図は、空想の産物にすぎず虚構でした。その的外れな虚構に踊らされて、本質がみえにくくなってしまったと思います。いまだに、ほとんどの人は、構図を何となく記憶していて、それを信じているように思います。

イーホームズの答弁書はそうした無意味な虚構や騒ぎには一切触れていません。それよりも、執拗で理不尽な捜査への違和感を取り上げています。その挙げ句の刑事裁判の判決では、解釈次第で変わってしまいそうな「資金の位置付け」の問題では有罪でしたが、肝心の耐震偽装との関連は否定されています。

この刑事裁判の判決が、今回の裁判でどのように影響するか展開が気になります。

なお、偽装の張本人である元建築士をのぞけば、他の耐震偽装関連の刑事裁判で、耐震偽装の責任で有罪になっている人はいません。藤田社長と同様です。小嶋社長は、控訴審判決で、「被害者」とさえ言われています。

ところで、答弁書は、騒ぎとしてはそれほど大きくはならなかったけれども、各所で問題視されていたことを取り上げています。ここには、藤田社長自身の執念のようなものも感じられます。

それらのいくつかは、答弁書自体に記されているように、この裁判の論点にするべきかどうかは疑問です。しかし、はじめて公的な場所で取り上げられると言う点では、意義があるのかもしれません。

これらは、耐震偽装そのものの問題というよりも、耐震偽装の取り扱い方の問題です。なぜ、あの時だけ、この耐震偽装だけが、あそこまでの騒ぎになってしまったのかという問題です。他の事件や、他の違法建築、さらには、違法ではないが性能不足であるとされる既存不適格とのバランスなど、いびつです。

答弁書では取り上げていませんし、関連性は薄いのかも知れませんが、当時、旧住宅公団の杜撰な実態が明らかになっていました。むしろ、そちらの方が大きな問題になっても良さそうだったのに、それほどではありませんでした。

当時の騒ぎの意味や、一連の出来事の意味は、何かの機会に見極める必要があるように思います。

さて、藤田社長を耐震偽装と無関係とした刑事裁判の判決ですが、ひょっとすると、その判決を理由に、イーホームズは、裁判から排除されてしまうことも考えられます。被告が裁判で主張するべき事は、原告の主張を退けることです。それが達成されてしまったら、それ以上の関与はできません。刑事裁判の判決を根拠に、さっさと場外に追い出されてしまうかもしれません。

それは、イーホームズにとっては勝利ですが、この裁判を通じて、いろいろなことを追及しようという姿勢を貫くことができるかは微妙だと思います。おそらく、藤田社長の目的は、単なる裁判の勝訴ではないと思います。
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by gskay | 2009-03-13 13:48 | 真相 構図 処分
違法建築への処分としての妥当性(イーホームズ答弁書の論点2)
イーホームズの答弁書では、耐震偽装による除却という処分に妥当性がないため、除却や建て替えによって生じた損害は、特定行政庁による「不必要な措置」によるものだとしています。

この視点に、賛同します。

ただ、原告である住民がすでに処分に異議を申し立てずに受け入れているため、不適切な措置であったかどうかが論点にはなりにくいのではないかとも思います。原告の主張に取り入れて展開していくのは難しいと思います。

しかし、藤田社長が、被告としてイーホームズへの請求を棄却させるための主張として展開するのは良いと思います。

構造計算は、「危険度」を計算するテクニックというよりも、いかに「安全」かを示すために行われる数学的モデルを用いたテクニックだと思います。上手にモデルを作って計算をすれば、「安全」が高まる一方で、下手に計算すれば、どんなに優れた建物でも、「安全」を証明できません。また、「危険」を説明する論理構造にはなっていないため、一つの構造計算で基準をクリアしていなかったとしても、「危険」を証明したことにはなりません。

もちろん、構造計算で基準をクリアすることを法が求めている以上、そのように設計されなくてはいけませんが、このテクニックは、既に存在する建物の「危険度の測定」には使えないものだと考えるべきだと思います。

耐震偽装においては、可能なら再計算で、「安全」をクリアしていることを示せば良く、それが無理でも、補強によって「安全」が確保されることを示せば良いと考えるべきだったと思います。

この点については、横浜での物件は、当初は除却・建て替えに相当するとされていたのに、補強で対応しました。しかるべき方法があれば、しかるべき手続きを経て、判断を覆すことができるということを示しています。

よく考えれば当たり前のことのようですが、当時も今も、この物件は例外的な扱いになっているように思います。

ところで、イーホームズが提案した方法を国交省が取り入れず、国交省の当初の方針がごり押しされていたとしたら、国交省には、対応方法をいたずらに制限することによって、損害を増やしたという責任があります。

薬害関連で示されているように、官僚が判断や対処の遅れで被害が拡大した場合、不作為が追及される方向です。同じように、必要なテクノロジーに背をむけたり、とりあおうとしなかったことを追及できるように思います。

違法建築への行政の処分が適切に行われてなかったために生じた損害については、瑕疵のある物件への責任とは、きちんと区別して議論する必要があるように思います。

これは、原告である住民にとっての必要な議論ではありません。被告の中に様々な立場がいるからこそ、被告同士が立場を鮮明にするために必要な議論だと思います。
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by gskay | 2009-03-11 10:19 | 真相 構図 処分
国土交通省の担当者の判断(イーホームズ答弁書の論点1)
まず、藤田社長は、「違法建築」に対して行われた命令が適法であるかどうかを論じています。除却という判断の妥当性を論じ、除却は是正措置として妥当ではなかったとしています。その上で、その判断を行った国交省の担当官を、技術的なレベルの低さや、道義的な点から批判しています。

イーホームズは、最初に耐震偽装を告発をすることができたということで、それまで見過ごしてきた官庁や機関とは、技術的に一線を画しているという立場から、除却という判断は不適切で、修繕による補強をするべきだったとしています。

除却、建て替えは、国交省他の誤った判断による不必要な措置であり、行政権の濫用であるとして、その真相を明らかにするべきだとしています。

そのために列挙された国交省の官僚を証人として召還するのは望ましいと思います。しかし、それは、裁判に関わる人たちの判断によって決まるのだと思います。

できれば、この人たちは、国会で発言して、きちんと国政に反映される形にするのがよかったと思いますが、どうやら手遅れです。この民事裁判の法廷は、公的に真相究明をするために現在残された唯一の機会かもしれません。

実現し、真相が明らかになった場合、様々な措置が根本的に覆る可能性さえあると思います。
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by gskay | 2009-03-10 23:23 | 真相 構図 処分
イーホームズの答弁書
イーホームズの藤田社長 が、

「ヒューザーマンションの住民が、イーホームズ・国土交通省・世田谷区・川崎市を訴えた裁判に対する、答弁書です。*転載して下さって構いません。 」

ということで各所に掲載している答弁書を読みました。

読んだ感想として、転載しておくのが仁義というものかと思い転載します。
(「*転載して下さって構いません。 」は、「*転載してみんなで読んでください」ということだと思ったので)

このエントリは、この転載で終わります。


事件番号 平成20年(ワ)第28174号損害賠償請求事件
原告 ***** 外
被告 イーホームズ株式会社 外

答弁書

東京地方裁判所民事第22部甲1号議係御中

平成21年3月9日
東京都新宿区南元町***番地
イーホームズ株式会社
代表取締役 藤田東吾

原告から当社に対して提起された本件損害賠償請求につき、その請求を棄却し、訴訟費用を原告の負担とすることを求める。

当社の答弁の主張理由は、二つに大別される。

=理由その1=
1. 原告が主張する損害とは、原告がすんでいたマンション(以降、「当マンション」という。)が、特定行政庁等による命令(以降、「当命令」という。)で取り壊された結果に生じたものである。

2. 当命令を行った事実が適法であるか否かが、第一に議論されるべきものであると考える。

3.なぜならば、建築基準法第9条には、いわゆる違法建築物に対する措置の選択肢が定められており、当マンションが違法建築物であった場合には、その違反を是正するための必要な措置として、「取り壊し(=除却)」だけでなく、「修繕」を選択できるものと定められている。以下の、建築基準法第9条を参照頂きたい。

*(違反建築物に対する措置)
建築基準法 第9条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

4. 当社は、本件事件において、特定行政庁の長及び国土交通省の担当官(以降併せて、「本件公務員」という。)が行った、建築基準法第9条に基づく是正措置が、適法であったとは、技術的にも道義的にも正当であるとは考えられないのである。

5.なぜならば、当社は、国土交通大臣指定の指定確認検査機関として、いわゆる耐震偽装事件(本件事件はこの耐震偽装事件の一事案である)を、平成17年10 月25日に、最初に国土交通省に対して告発を行ったものであり、耐震偽装事件を告発する過程の中で(以降、「当過程」という。)、耐震偽装事件の技術的な因果関係の分析と対策を十分に行った指定機関であります。

6. 故に、当命令が不当であることを断じることができるのです。

7. 取り壊し(除却)をしなくても、十分に修繕で足りたはずです。実際に、公表上では百棟に及ぶ姉歯元建築士により偽装された構造計算図書に基づき建築されたマンション等は、全てが違法建築物であるにもかかわらず、取り壊し(除却)となった建物はほんの数棟です。

8.当社は、当過程の中で、平成17年11月上旬ころ、当時の国土交通省住宅局建築指導課を統括していた小川冨吉課長の部下である、構造担当の係官に対して、耐震偽装事件で生じた違法建築物の是正措置として、NASAで開発された、劣化したRC構造を補強強化できる「アラミド繊維等の化学剤」によって修繕を図るべきであることを進言しました。

9. 実際に、現在、耐震偽装事件が風化する中で、多数の違法建築物となったマンション等が、当社が進言した工法により修繕が行われ、その結果、建築基準法を満たしたマンションとして使用されています。

10. 従って、当マンションも、同工法により耐震基準が補強されれば、あえて、取り壊す必要はなかったのです。

11. すなわち、本件公務員が行った措置は、「不必要な措置」であり、行政権の濫用ともみなすことができると考えます。

12. よって、不必要な措置を行った因果関係を明らかにするために、すなわち、当裁判が適正に遂行されるためにも、本件公務員が当裁判に証人として召喚されることを求めます。
以下に、本件公務員に該当するものを列挙します。

1) 北川一雄(当時の国土交通大臣、現衆議院議員)
2) 佐藤信秋(当時の国土交通事務次官、現参議院議員)
3) 山本繁太郎(当時の国土交通省住宅局長、現民間人)
4) 小川冨吉(当時の国土交通省住宅局建築指導課長、現住宅局審議官)
5) 阿部孝夫(川崎市長)その他、当時の世田谷区長、川崎市建築指導課長、世田谷区建築指導課長

13. そもそも、耐震偽装事件とは、姉歯元建築士という一構造設計士が、大臣認定の構造計算プログラムを用いて作成した構造計算図書を偽装した事件です。

14. しかし、この大臣認定ブログラムに基づく構造計算図書とは、「安全という概念を経験則によって数学的モデルに変換して表現したものにすぎない」のであります。

15. 換言すれば、「机上の空論」なのです。

16. 情報化社会の中で、不確実な価値観に一つの客観的指標を与えるために、数学的なモデルで「安全」を測定しようという目安に過ぎないのです。但し、法が定めるものでもあるわけです。

17.だからこそ、建築基準法9条は、違法建築物が生じた場合に、その措置の如何では、多くの人間が不当な負担を強いられる恐れもあることから、特定行政庁に対して、その最終判断の是正措置の選択肢を複数用意し、十分な検討期間を要した上で、命令をすることが「できる」という法律なのです。

18. つまり、最終的には、公僕たる公務員の長によって、人知を結集して、その命令を出来る権限が与えられているのです。(しなくてもよいのです)

19. 故に、本件事件の損害の原因である、「取り壊し(除却)」の命令が、不当であると考えられるので、当社に対する請求は、棄却されるものであると考えます。

20.また、本件事件とは直接の関係はないかもしれませんが、耐震偽装事件を告発した当社では、平成18年の2月において、アパグループのマンションやホテルに耐震偽装がある事実を認識し、国土交通省に対して告発を行いました。しかし、この告発はもみ消され、当時のマスコミも一切が無視をしました。ヒューザーだけがあれほどマスコミで叩かれる最中に、なぜ、アパグループの事案を国土交通省も特定行政庁も、そしてマスコミまでもが無視をするのかは理解できませんでした。

21. アパグループを追求する姿勢をやめないイーホームズに対して、平成18年3月3日には、第2回目となる強制捜査が入り、アパグループや他の事案に関する資料もパソコンも警察が押収しました。

22. 姉歯夫人がビルから転落して亡くなったのは、イーホームズの代表者が東京地検に任意出頭を命じられた3月27日の頃でした。

23. また、当社代表者が、耐震偽装事件とは全く関係ないと裁判所も断じた、会社創業時の資本増資の資金の流れが見せ金ではないかという嫌疑によって逮捕されたのは、翌4月26日です。

24.この逮捕時には、さらに全く関係のない、増資の登記を行った司法書士までも逮捕をしたのです。この逮捕の理由は、検察が、当社代表者に「資金の流れを見せ金だと認識してわざとやった」という証言をしなければ、「この司法書士を起訴処分にして司法書士の資格はく奪に至らせる」という、ある種の脅迫の状況を作り、自白をねつ造させるためのものでした。

25.当社代表者の逮捕、当社の指定機関の資格はく奪、そして、当マンションの住民のように、数棟のマンションを取り壊し、それを、マスコミがこぞって取り上げ、他のマンション住民の不安感情をあおり、「騒ぐと損」のイメージを関係者に与えることで、事件の鎮静化を図ったものであると考えます。

26.その後の、京都市におけるアパグループのホテルの偽装が明らかになったことを契機に、当社が指摘していた、アパグループのマンションの偽装は明らかになりました。しかし、当社が別に指摘していた、川崎市内のマンションは、阿部孝夫川崎市長によっていまだに隠ぺいされたままです。

27.後日、多くの関係者から聞いた話では、平成18年前半において、小泉内閣の官房長官であった、安倍晋三を小泉の後の総理大臣にしようという大きな動きがあり、安倍晋三の後援会(安晋会)の会長を務めていた、アパグループ会長の会社の物件が表に出ると、安倍晋三に傷がつくという判断で、アパグループの偽装物件は表に出ることがなかったという話です。

28.当時、多くのマスコミは、記者クラブの捜査と、会社上層部からの不当な指示で正しい報道をできない現状がありました。この現状を知ったので、当社代表者は、築地に朝日新聞社に出向き、耐震偽装事件の担当デスクに会い、正しい報道をしてほしいと申し出て、情報提供を行うことにしました。斎賀孝治さんというデスクです。

29. 斎賀孝治さんは、アパグループや他の偽装案件を追求する最中、平成18年2月に、通勤のために自宅から駅に向かう途上で自転車に乗りながら事故に遭い亡くなりました。

30. この耐震偽装事件を経て、当時の国土交通省事務次官であった佐藤信秋は、平成19年7月の選挙で自民党から比例区で公認され参議院議員になりました。

31. 同じく、住宅局長であった山本繁太郎は、国土交通省審議官まで昇格した後退任し、平成20年春に行われた山口県第一区の補欠選挙において、自民党から公認され出馬をしましたが、選挙民の得票を得られずに落選しました。

32. 同じく、建築指導課長であった小川冨吉は、住宅局審議官に昇格をしました。

33. しかし、国土交通省内で、真摯に対応していた、課長補佐や係長の多くは不遇な人事措置にあったと聞いています。

34.耐震偽装事件とは、公務員として責任ある立場の者が、自分の将来の地位のご褒美と引き換えに、適正確実かつ公平に行うべき行政権限を不当に行使して、損害を国民に与えた事件であると、この事件の告発者として、その全容に立ち会ってきたものとして断じることができます。

35.本件事件では、原告が国土交通省に対して、耐震偽装事件では初めてとなる訴訟を行いましたので、全貌をお伝えし解明いただくことが、住民の被害の救済になると考え、また、第一告発者としての責務からも、本件事件についての因果関係やアパグループや安倍晋三氏との関係などを以上の如く理由として申し上げた次第です。

以上が第一の理由です。

=第二の理由=
1. 耐震偽装事件では本件事件の他にも複数の損害賠償請求事件が提起されています。

2. そのうちの一つの判決が、平成20年10月29日に、奈良県地方裁判所で出ました。(事件番号 平成18年(ワ)第133号 損害賠償請求事件)

3. 同判決において、本件事件と同様に、姉歯元建築士による耐震偽装の建物が生じた原因は確認検査業務における見過ごしのあるのではないかと問われた争点(論点)について、判決は下記の通り断じています。

記(判決文のP30-P31)

4 争点(3)(被告イーホームズに対する損害賠償請求の可否)について

 一般的に、建築基準法に定める建築確認の審査においては、その申請に当たって提出された書類(申請書及び添付図書)を資料として、申請に係る計画が建築関係規定に適合するかどうかを書面上で審査する。従って、本件のような、耐震強度が建築基準法令の基準を満たしているか否かという点については、当然に審査の対象となる。

 しかしながら、証拠(甲44)及び弁論の全趣旨によると、本件において姉歯が作成した構造計算図書には、建築基準法施行規則1条の3第1項本文の認定に係る性能評価を取得した大臣認定プログラムを使ったことを証明する旨の利用者証明書が添付されていた上、同計算書の末尾には、「一連計算処理をすべて正常に終了」、「ERROR数 0」とそれぞれ表示されていたことが認められるのであるから、被告イーホームズが、これらを確認したことをもって、必要な強度を満たしていると判断したとしてもやむを得ないといえる。

 また、平成18年法律第92号による改正前の建築基準法第6条4項は、同条1項1号から3号までに係るものにあっては申請書を受理した日から21日以内に、同項4号に係るものにあっては申請書を受理した日から7日以内にそれぞれ審査し、規定に適合することを確認したときは、申請者に確認済証を交付しなければならないとし、同条5項は、規定に適合しないと認めたとき又は申請書の記載によっては規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を上記期限内に申請者に交付しなければならないとしており、建築確認の審査期間が、このように限られた短期間であることに照らすと、被告イーホームズが、上記期限内に、姉歯が作成した構造計算図書の数値を逐一確認したり、独自に構造計算を行うことはほぼ不可能であったといえるから、被告イーホームズにおいて、姉歯が行った構造計算所の偽装を見抜けなかったとしても、それについて過失があるということはできない。

なお、原告は、平成17年10月20日の時点(検査済み証交付時)においては、被告イーホームズは、既に姉歯が構造計算図書を偽装した事実を把握したものであることから、原告に対して検査済証を交付するべきではなかったと主張するが、本件全証拠によっても、上記事実を認めることはできないから、原告の主張はその前提を欠くものとして、採用することはできない。

したがって、被告イーホームズは、原告に対し、損害賠償責任を負わない。

4.本件事件において、原告が提出した証拠(甲第M3号証の2、新—1)、ユニオンシステム株式会社の大臣認定の構造計算プログラム、SuperBuild SS2によって作成された構造計算図書(出力枚数172枚)の172頁には、「一連計算処理をすべて正常に終了」、「ERROR数 0」と記載されています。

5. よって、前3項及び4項により、本件事件において、当社が確認検査業務上の過失はなかったといえる。

以上
提出証拠 
乙1 書籍、ドキュメント「月に響く笛 耐震偽装」藤田東吾著、出版imairu
乙2 奈良地裁での判決文
乙3 姉歯元設計士が行った偽装物件のリスト

*上記書籍は、講談社からも、「完全版」として出版されています。事件の全貌を、資料や事実に基づいたメールなどの対話記録により記述したものです。

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by gskay | 2009-03-10 11:54 | 真相 構図 処分
小嶋社長を有罪だとして
小嶋社長の刑事裁判の議論には、煮え切らないものを感じています。藤沢の耐震偽装された物件の引き渡しの時期の微妙さが問題になっていない点です。

検察としては、そこを追究されたくはないのかも知れません。そうなると、国交省の中での出来事を暴いていかなくてはいけなくなってしまいますから……。

ところで、問題の藤沢の物件で被害にあった人たちにとって、これが詐欺だと認められたところで、メリットは少ないのではないかと思います。もちろん、罰を下して欲しいという気持ちはわからないでもないのですが……。

仮に、藤沢の人たちの被害が詐欺によるものだとしたら、損害の回収され方が変わってくるのではなかと思います。違法建築があることが前提になり、その引き渡しによって損害が生じたことになると思います。マンションが計画され、それが建築確認され、建設されるというプロセスの責任を求めることが難しくなってしまうと思います。

その一方で、現行では無理かも知れませんが、建物を販売という行為の重大さから考えて、違法建築や欠陥建築を引き渡すということ自体に罪を認めることもできるのではないかと思います。

後で問題が発生するような物件を販売したということについては、原因の如何を問わず、また、知らなかったとしても、罰することができるようにすれば良いと思います。そうすることで、販売前の徹底的な調査が必須になります。それは、業者の意識を高めることにつながります。瑕疵担保責任についての考え方を拡大して考えれば、不可能ではないと思います。

免許をともなう行為でもあるので、もっと業者に大きな責任を負わせることも可能だと思います。そうなれば、微妙な問題の取り扱いを苦慮する必要はなくなります。

それでも、実際の問題としては、性能不足のような問題を指摘したり立証したりすることさえ大変だとは思いますが……。

「弱い故意」というような曖昧な概念でこじつけようとすることで、矮小化された議論になっていると思います。
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by gskay | 2009-03-09 01:20 | 真相 構図 処分
小嶋社長の二審判決
一審と同じということなので、検察側も、弁護側も、上告という運びになるのだと思います。

この裁判は、耐震偽装の裁判ではありません。引き渡し間際に、建築確認の問題が指摘され、違法となる可能性がある建物を引き渡したことが詐欺にあたるかどうかの裁判です。

代金をだましとる意図についての議論よりも、建築確認の問題が発覚し、結局、その物件は違法建築と判定されるまでのプロセスが問題になります。

でも、弁護側も、検察側も、そういう議論はしなかった様子。それでは、いずれにとっても決定的な判断を裁判所が下すことはできないと思います。

この物件の住民にとっては、小嶋社長は許すことはできないとは思いますが、その物件が「黒なのか、白なのか」ということは、あの時点では判定されていなかったはずです。

もし、すでに判定されているのなら、その判定は、建築主、売り主はもとより、この物件をふくめた買い手や所有者、住民に周知されていなくてはいけないはずです。でも、周知はされなかった。

その周知の問題なのか、それとも、あの時点での周知が可能だったのか?

私は、あの時点では、問題の存在が指摘されてはいただけで、その程度も、どう対処すべきかも明らかではなかったと思っています。つまり、周知は不可能。

少なくとも、私たちは、どこからもこのことを知らされていません。知らされていなかったために、そのタイムラグで、いろいろと買い物をしたりして、無駄にしたものが沢山あります。

あのタイムラグの意味を、この裁判の関係者が誰も考えようとしないのが不思議です。

あのタイムラグの発生は、建築行政の中にあります。あのタイムラグがなければ、発生しなかった損害がたくさんあります。同様に、小島社長の詐欺という行為も発生しなかったと思います。
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by gskay | 2009-03-08 05:09 | 真相 構図 処分