カテゴリ:真相 構図 処分( 81 )
責任の所在
ホテルの耐震偽装に関わる民事裁判の判決は、施工にあたった木村建設の責任を認め賠償を命じるとともに、イーホームズの建築確認における過失は否定しました。

木村建設については、すでに破産しているので、破産債権として認められるかもしれませんが、配当は賠償をみたすのは難しいと思います。ただ、債務保証をした別の企業が登場しているので、このホテルは請求額を確保できるかもしれません。

耐震偽装 ホテル休業に4億7500万円賠償命令(産経新聞) - Yahoo!ニュース


10月30日0時31分配信 産経新聞

 元1級建築士、姉歯秀次受刑者(51)=建築基準法違反などの罪で実刑=による耐震偽装事件で休業に追い込まれたとして、「サンホテル奈良」(奈良市)のオーナー会社が損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長は開業指導を行った「総合経営研究所」(東京都)と指定確認検査機関「イーホームズ」(同、廃業)への請求は棄却。ホテルを建設した「木村建設」(熊本県八代市、破産)の債務保証をした「日動工務店」(熊本市)のみ賠償責任を認め、請求とほぼ同額の約4億7500万円の支払いを命じた。

 訴えていたのは、サンホテル奈良を所有する「増富」(奈良市)。

 坂倉裁判長は判決理由で、「ホテルは耐震基準を満たしておらず、構造上主要な部分に欠陥があった」と認定。木村建設には「瑕疵(かし)担保責任」があり、賠償責任は偽装の認識の有無に左右されないとした。

 一方で、総研については偽装を指示した事実は認められないと判断。偽装を見抜けなかったイーホームズにも過失はないとした。

 木村建設の社長は、姉歯受刑者による構造計算書偽造を知りながらサンホテル奈良側に工事代金を支払わせた詐欺や建設業法違反の罪で有罪が確定している。


「総研」についてはコンサルタント会社にすぎず、施工や設計、監理、検査・確認のどの立場でもないので、直接の不法行為がなければ追及は難しかろうと思っていました。施工や設計、監理、検査・確認については、建築の中で負うべき責任があります。あいにく、そこが曖昧でデタラメなので、ややこしいことになっています。

木村建設の場合、木村社長がこのホテルの引き渡しについて詐欺に当たるという刑事裁判で一審で有罪が確定しています。争わなかった以上は、この点については、木村建設側に有利になることはないと思います。

一方、イーホームズについても、藤田社長の有罪が一審で確定していますが、この有罪は、経理の不正に関するもののみ。耐震偽装が起こったことについての責任は、判決で明確に否定されています。

これまでの刑事裁判の経緯を考えても妥当な判決だと思います。

イーホームズに責任がないということについては、仕組みをある程度理解すると、了解できます。しかし、それでは、「建築確認」の意義は、どこに行ってしまうのでしょうか?

手続きが問題を抱えているということが明らかにされていたにもかかわらず、修正されずに放置されていたことが、耐震偽装の拡大を招きました。これは、重大な問題だと思います。

ついでに言うなら、建築確認という行政の判断自体がなければ、構図はもう少し単純になったのではないかと思っています。事前の建築確認は、役に立っていなかったどころか、不正の舞台になっていたのですから……。

これについては、本格的には争われてきませんでしたが、マンション住民の訴訟では、国を相手取っているということなので、争点になるのではないかと思います。
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by gskay | 2008-11-02 06:35 | 真相 構図 処分
民事再生のもとでの建て替え
最初の耐震偽装物件の売り主が民事再生手続きを申し立てたというニュースがありました。引用の記事などでは、金融機関の融資が悪影響を及ぼしたと分析しています。マンションのデベロッパーは、一般的には、融資をうけて、土地を購入したり、施工や設計などの関連業者との取引をしています。その資金繰りが狂えば、すぐに経営に影響が出てしまいます。

サブプライムローン問題と、我が国の不動産向け融資が絞られていることの間には、直接の関係はないように思います。サブプライムローン問題に巻き込まれた金融機関の業績が悪化していて、それが融資を行う能力を下げているのではないかと思います。不動産に限定されない一般的な問題のように思われます。

<ゼファー>民事再生申し立て 負債総額は949億円(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


7月18日20時45分配信 毎日新聞

 マンション分譲中堅のゼファーは18日、東京地裁に民事再生手続き開始を申し立てた。負債総額は949億円。マンション市況の悪化で子会社の近藤産業(大阪市)が今年5月に大阪地裁に破産を申し立てたことで資金繰りが悪化した。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で金融機関が不動産向け融資を絞ったことも響いた。

 東京証券取引所は同日、ゼファーを8月19日付で上場廃止すると発表した。

 94年創業のゼファーは、首都圏を地盤にマンション分譲のほか、商業ビルの設計・施工などを展開している。近藤産業関連の特別損失計上に伴い、今年6月、08年3月期連結決算を11億円の最終黒字から113億円の最終赤字に訂正した。

 東証で記者会見した飯岡隆夫社長は「再生に向け全力を尽くす」と話した。姉歯秀次元1級建築士による耐震偽装事件が発覚した「ゼファー月島」(東京都中央区)について、同社は「計画通り建て替える」としている。【太田圭介】

この件については、マンション市況の悪化が重要だと思われます。資材の高騰なども追い打ちをかけていると思われます。そして、資金繰りという面からいえば、建築基準法の改正による混乱の影響もあるのではないかと想像します。

多くの建築関連の会社が、仕事の内容は優れているのに、資金繰りに躓いて倒れています。これは、建築基準法の改正によって、事業のスケジュールが大幅に変更になっていることに、うまく経営や融資が適応できていないことが原因だと思います。

融資を行う金融機関に、そうした状況や環境の変化に対応するだけの余力があるなら、融資のスケジュールを少し見直すだけで、多くは解決してしまうのではないかと思います。ところが、あいにく、サブプライムローン問題に金融機関が巻き込まれてしまったためか、それが難しくなっているようです。そのとばっちりが、このような事例につながっているように思います。

引用の記事では、最後に、耐震偽装による建て替え物件への対応が記されています。

この物件が、元建築士が偽装にのめり込んで行く契機になりました。そして、発覚後には、肝心のこの物件をとりあげず、ヒューザーや木村建設、イーホームズばかりを取り上げたために、人々の意識が偏り、問題が歪曲されてしまいました。そのような流れを決定付けた元建築士の国会での証言は、議院証言法違反で厳しく処罰されています。

建築確認の民間開放も、木村建設も、ヒューザーも、耐震偽装の脇役にすぎません。ゼファーもそうした脇役の一つですが、重要な役割をはたしていました。ゼファーのこの物件がなければ、この耐震偽装は無かったかもしれません。とはいうものの、あまり大きくはとりあげられずに済んできました。

今後、この会社は、民事再生のもとでの瑕疵のある建物の建て替え事業をどのように進めるのかという問題についても、取り組んでいくことになると思います。
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by gskay | 2008-07-21 22:09 | 真相 構図 処分
小嶋社長への有罪判決
小嶋社長の判断は適当でなかったと思います。それについては、被害を被った立場からの民事の請求で追及する必要があったのかもしれません。しかし、会社も社長自身も申し立てによって破産という処分を受けています。請求に実質的な意義がないため、民事の訴訟では争われていません。

ところで、有罪判決となった小嶋社長の刑事裁判では、詐欺の成立について論じられていたようです。私は、「改ざん」と「強度不足」と「違法」が、同じものであるという前提を疑っています。このため、「だまし取った」といえるかどうかについて疑問を感じています。

問題の時期には、「改ざん」は確かでした。「強度不足」は疑われていました。しかし、「違法」については、しかるべき判断は下されていませんでした。

11月17日に国土交通省によって公表されることになったときが、「強度不足」が明らかになったときです。「違法」については、特定行政庁の判断や処分が必要です。一方で、建築確認による「適法」という判断についての取り扱いは、今でも曖昧なままです。このあたりの取り扱いは公的な立場の方に混乱があって、その影響を小嶋社長は、まともに受けてしまった形になっています。

「適法」な手続きで建ってしまった「実質的な違法建築」については、違法性の程度によっては、引き渡しの方が優先されるべき状況もあり得るのではないかと思っています。

「結果として、重大な違法性が、後から明らかになった」ことについて詐欺に問われているということは問題だと思います。単に違法性の重大さが後から明らかになっただけでなく、11月17日に新たに提示された基準で、10月28日の行為を糾弾することができるのかどうかも問題です。

こうした問題点があるため、これを詐欺に問えるかどうかは、はっきりしないように感じています。弁護団があげている控訴の理由控訴とはの観点からも、控訴は当然であり、上級の裁判所の判断が必要になると思います。むしろこの点こそ重大な問題だと、私には思えるのですが……。

「耐震偽装の一連の裁判」とひとくくりにされていますが、この裁判は、耐震偽装の行為とは直接の関係はありません。木村建設の人たちやイーホームズの社長の裁判と同様、強いていうなら関連づけることはできます。しかし、あくまで耐震偽装自体の裁判ではありません。

「一連の裁判」の中でも、この小島社長の裁判は特別です。他の裁判は,なぜその人たち「だけ」が裁かれ罰せられるのかということは謎ですが、違反は明瞭だったようです。しかし、小嶋社長の裁判については、簡単に判断ができない難しい事情を裁判しています。

ところで、魔女裁判は、どっちみち結末は決まっていて、裁判所や告発者は、いかにもっともらしい理由をつけるかが腕のみせどころです。そういうメンタリティーの裁判が、我が国で行われているとは思いたくはありませんが……。
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by gskay | 2008-03-26 14:22 | 真相 構図 処分
上告棄却
姉歯元建築士の有罪が、上告棄却によって確定したそうです。量刑について、「厳しすぎる」ということはないだろうと、私も感じていました。ただ、理由ついて、議院証言法違反と構造計算の問題を抱き合わせていたかのように伝えられていたので、その点には、疑問を感じていました。

「抱き合わせ」が正当であるか不当であるかについては、判断されていないと想像しています。仮に、抱き合わせが不当であっても、実質的な量刑に影響がないということなら、上告は棄却されると思います。少なくとも、抱き合わせを容認するようなものではなかったと想像しています。というより、願っています。

今後、議院証言法違反については、元防衛事務次官などが裁かれることになると思います。国会での発言、とりわけ証人喚問における発言は、嘘やごまかしがあってはなりません。しっかりとした政治体制の確立のためにも、このルールを最大限に活用するべきだと思います。けしからん人への「抱き合わせ」のために使われるべきルールではないと思います。

官僚や官僚制を中心とした社会のシステムが信用できなくなっています。不信が高まる分だけ、ますます密室に閉じこもろうとしています。証人喚問は、それに対する国会に与えられた最大の武器の一つだと思います。しかし、それが国会内の政治闘争の道具に使われてしまいがちな現状は、悲しむべきものだと思います。

確かに、耐震偽装は、姉歯元建築士が引き金をひいた大事件です。それが大事件であるからこそ、真相の解明がきちんと行われるべきでした。それを,彼が妨害してしまったということに対し、耐震偽装自体以上に重い罰を果たすのは、国会の正常な機能のために必要なことだと思います。

ところで、耐震偽装に関連し、証人喚問の場で喚問してもらいと思った人はもっとたくさんいます。マスコミでとりあげられた「構図」の中の人物たちのことではありません。役所の中で、何が行われ、どうしてこのような判断になったのかということを明らかにしておくべきでした。

その辺を有耶無耶にしてしまった延長に、建築基準法の改正による深刻な影響もあるのではないかと私は考えています。
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by gskay | 2008-02-24 15:10 | 真相 構図 処分
「非難されるべきは……」
ヒューザーの小嶋社長の刑事裁判が結審だそうです。この裁判は、耐震偽装そのものが裁かれているわけではありません。問題が発覚してから、公表されるにいたるまでの微妙な期間に行われた引き渡しが、詐欺かどうかが問題になっています。

個人的には、引き渡しをやめておくべきだったと思います。しかし、公判でも問題になったように、代金の流れは、金融機関を介していて単純なものではありませんでした。それでも、決断さえできたなら、様々な障害はあるものの、引き渡しをやめられた可能性は有るようです。そういう意味で、肝心な決断ができなかった経営者であり、被害を拡大させてしまいました。

ただ、引き渡しを期日に行うという契約の履行に対する責任もあります。その上、問題となった耐震性能の問題は、発覚の時点で確定したものではなかったし、その重大さも明らかになっていませんでした。そうした事情を、よく検証する必要があると思います。

ところで、仮に、あの時点で、引き渡しを中止できたら、問題に正面から取り組もうとしたイーホームズに近い立場から問題に取り組む事ができた可能性があります。耐震偽装は、全く異なる事件となっていたことでしょう。しかし、公表までの水面下の努力は実を結ぶ事はなく、イーホームズとは独自に建築確認の問題点を追及するという方針は裏目に出てしまいました。

少なくとも、小嶋社長の努力で、国土交通省のデタラメさを明らかにすることはできなかったと思います。懇意にする政治家をまきこんだスキャンダル騒動へと矮小化され、肝心の問題から目をそむけるための格好の材料を提供しただけになってしまいました。

<耐震偽造>ヒューザー、小嶋被告の公判結審 来年3月判決(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


12月17日20時41分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件で詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」元社長、小嶋進被告(54)は17日、東京地裁(毛利晴光裁判長)の最終意見陳述で「完全に無罪です。そのことだけは証明しないと死んでも死にきれません」と改めて無罪を主張した。検察側は懲役5年を求刑しており、公判は結審。判決は来年3月25日。

 小嶋被告は「信頼してマンションを購入したお客様におわび申し上げます」と冒頭で謝罪しつつ「恥ずべき犯罪行為は一切ない」と述べた。弁護側も最終弁論で「非難されるべきは姉歯秀次元1級建築士であり、耐震偽装を容易にできる仕組みを作った国土交通省だ」と主張した。

 起訴状によると、小嶋被告は05年10月、神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」の耐震強度が不十分と知りながら、売買契約していた住民11人に伝えず、購入代金計約4億1410万円をだまし取った。検察側は論告で「業者としての最低限のモラルを欠いた卑劣な行為」と指摘している。【銭場裕司】

引用した記事では、「耐震偽装を容易にできる仕組みを作った国土交通省だ」という主張を取り上げています。私は、国土交通省について非難すべきポイントは、別だと考えています。

たとえ容易に偽装できるような仕組みであったとしても、違法を許すべきではありません。たとえ国土交通省が脆弱な仕組みしか提供していなかったとしても、違法行為について国土交通省を非難することは適当ではありません。

問題は、10月末に発覚してから、11月17日の公表に至るまでの過程で、国土交通省も、担当する特定行政庁も、しかるべき判断をしていないという点にあります。11月17日までは、この問題が引き渡しを中止するにふさわしい欠陥や違法状態であるとは考えられてはいませんでした。ようやく一部の再計算が終わり、それが重大な事態であると公的に判断されて公表されたのは、あくまで、11月17日です。

11月17日の公表からさかのぼって、10月末の発覚直後の引き渡しの問題を問うことができるかどうかが、私は、この裁判のポイントの一つだったと考えています。

違法な建物だという点は前提だと考えられているようですが、ここに疑問を感じています。あくまで適法という手続きのもとで行われた引き渡しであり、公的な判断や処分はありませんでした。

そのような、後からの公的な判断や処分が、このような「詐欺」を問う根拠になるのかどうかがポイントになるのではないかと思っていました。しかし、どうも、この裁判では、そうした方向では争われなかったように感じています。

引き渡しにいたるプロセスだけが問題になっていて、前提となる「違法」という判断がどのように行われたかは問われていません。

検察は、「業者としての最低限のモラルを欠いた卑劣な行為」と指摘したと記事は言っていますが、違法の取り扱いが曖昧なだけでなく、公的な判断や処分に時間がかかったことが、藤沢の物件の引き渡しが行われてしまったことの最大の背景だと思います。

イーホームズには、建築確認などの検査をし、適法であることの証明書を発行することはできますが、それを取り消したり、違法を指摘する権限はありません。あくまで、特定行政庁が違法を指摘し処分を決定することが要求されているはずです。

そうした点を、国土交通省も、検察も、マスコミも誤摩化しています。それに、世論は流されています。

違法の深刻さは、その時点では明らかではなく、再計算を行うことによってはじめて確定した問題です。それが、引き渡しの契約を果たすというヒューザーの責任を否定できるのでしょうか?これは、刑事裁判より、民事裁判で争うべき内容だと思いますが、この「詐欺」を考える上で、重要な要素だと思います。

また、公的な判断がなくても、このような引き渡しの違法性を問う事ができるとしたら、どのような問題が発覚した場合、「詐欺」になるのかという基準も必要になるのではないかと思います。程度の問題があるからです。加えて、後から公的な判断や処分が行われたり、変更された場合、「詐欺」がどう取り扱われるべきなのかという点にも関心があります。

無罪となったら、検察が控訴することになると思いますが、有罪なら小嶋社長のやる気次第です。今の弁護団は人権については積極的ですが、少し、追求のポイントを変更する工夫も必要ではないかと思います。

もし、最高裁まで争うことになったなら、行政の「後だしじゃんけん」の正当性について判断してもらいたいと思います。
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by gskay | 2007-12-18 13:35 | 真相 構図 処分
重要事項の説明
問題を認識して以降の対応の問題です。ヒューザーでは、小嶋社長をはじめとする宅建主任の免許が取り消されていたように記憶しています。

鉄筋不足マンション 施工ミス伝えず契約 販売会社の野村、三井(産経新聞) - Yahoo!ニュース


11月14日22時36分配信 産経新聞

 千葉県市川市に建設中のマンション「ザ・タワーズ・ウエスト・プレミアレジデンス」(45階建て)の鉄筋が不足していた問題で、同マンションを販売する野村不動産と三井不動産レジデンシャルが、施工ミスを認識した後も販売契約を結んでいたことが14日、わかった。

 野村は「補修工事をするので品質上の問題はない。引き渡し時期も遅れないので顧客に説明する必要はないと判断した」としているが、宅地建物取引業法では、購入予定者に対し、建物の構造など重要事項の説明を義務付けている。

 清水建設など5社のJV(共同企業体)が30階まで建設したところで、住宅性能表示制度に基づく評価機関の検査で先月、鉄筋128本が不足していたことが判明した。清水建設は施工ミスを認めている。

 売り主は野村、三井と清水建設で、販売は野村と三井が行っている。野村によると、10月12日に清水から鉄筋不足の連絡があり、その時点でマンションは、全573戸のうち地権者住宅を除く407戸が完売していたが、契約手続きが終わっていない物件があった。13日以降に66戸分の契約をしたが、その際、購入者に施工ミスを説明していなかった。

最終更新:11月14日22時36分
産経新聞


ヒューザーの場合、設計とは同じでしたが、性能が損なわれていて、違法建築と判断されました。一方、この超高層マンションの場合、設計とは異なるものの、性能が違法な程まで損なわれていたとは断言できないようです。ヒューザーと同じように扱うのは適当ではないかもしれません。

ただ、ヒューザーの場合も、設計の違法性は指摘されていたものの、それが性能的な違法を伴うか明らかになっていない期間のことを問われました。そういう意味では、この超高層マンションも同じということになります。

どのような問題が明らかになった場合、「重要」であるのかということが曖昧です。また、どの時点までさかのぼって責任を追及できるのかも曖昧です。

手続きの違法にとどまるのか、それとも、性能の違法をともなうのかは、問題認識の時点ではすぐにはわからず、次第に明らかになることです。重要性や重大性も同様です。そのプロセスを無視しているように思います。

問題を指摘され、それが違法であると明らかになるまでの期間のことを、小嶋社長の刑事裁判では問われています。決して、小嶋社長の有罪は、当然ではないと思います。
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by gskay | 2007-11-15 00:34 | 真相 構図 処分
元建築士の上告
元建築士が最高裁に上告したそうです。

地裁、高裁と異なり、最高裁では法律解釈が中心になり、高裁の判決に憲法違反や解釈の誤りがあるかや、判例に反するかどうかが判断されることになり、そうでなければ、「上告理由に当たらない」ということで棄却されるそうです。

もともと、事実認定については、被告側も認めていることなので、量刑の妥当性だけが問題になっているのだと思われます。

関連する罪をひきあいに出して量刑してよいかどうかや、異なる事件の抱き合わせによって刑罰を厳しくして良いかが問題だということで上告しているのかもしれません。

議員証言法違反自体が重大であり、調査に大きな混乱を与えたことだけを重視して、余計なことを判決に加えていなければ、上告は棄却される可能性が高いのではないかと感じます。しかし、今回の裁判は、耐震偽装が許しがたいという別の問題をひきあいに出して量刑の妥当性を主張しているので、そういう主張の妥当性までが問われるとなると、確実に上告が棄却されるとはいえないように思います。

世の中には、しばしば、「これは、別件では?」と疑われるような警察や検察の捜査や、刑事裁判があります。そうした捜査や裁判の妥当性を問う問題と位置付けるなら、最高裁判所が判断を示す可能性もあると思います。

「別件」ということについて、法令の解釈の仕方が示される可能性もあります。

また、多数意見とは別に、個別意見が加わることもあり、決して無謀な上告ではないと思います。

その内容は、必ずしも的確に報道されているとは言えないと思います。上告というのは、法解釈の根本に疑義を表明する行為です。どこが疑義の対象なのかという点が明らかになるような報道が必要だと思います。
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by gskay | 2007-11-14 06:22 | 真相 構図 処分
被告に同情?
私も当初、似たようなことを考えました。

ずれてるかな? - 世迷言、なれど本人至って真面目

少し、ブログ主さんの主旨には反しますが、このブログの「Windowsのバグ」というたとえは、大臣認定プログラムの脆弱性にふさわしいと思います。

その脆弱性を放置して大臣認定してしまいました。その脆弱性をかえりみることもなく、検査手順も決められていました。ちなみに、その脆弱性は、汎用性の確保という名目で、もともとあった安全確保のための制限を、わざわざ取り払ったことによって発生しているために、ややこしい。二重三重にいい加減な制度だったのです。しかも、それに公的権威があった。

Windowsを設計をした人の責任を問わず、それを用いた結果は、それを用いた人が責任を負うべきだということは、その通りだと思います。もし不都合で損害が生じたら、その人の責任で、バグをつくってしまった人やマイクロソフトに賠償を請求すればいい。

罪とは別だというのは、そういう点からも言えます。

ところが、公的権威があるため、手続きについて違法性が明確ではありません。むしろ、公的権威があったばかりに、責任を追究できない仕組みになっているように思います。

そこは、あまり注目されていない点のようです。私は、公的権威を尊重するなら、一種の既存不適格として取り扱うことが、出口になりえたのではないかと考えています。

さらに、大臣認定のような制度では、民事にとどまらず、刑事の観点からも問題を問える仕組みの強化が必要ではないかと思います。

また、販売企業の責任を問うのは当然ですが、建築に関わる業者には、施工にも、設計にも、監理にも、検査にも、それぞれの責任があるので、その関係者の責任は問われると考えています。(ちなみに、今、所有している私たちにも、果たすべき責任があります)

しかし、元建築士は、所詮、設計事務所の下請けにすぎなかったことを考えると、責任ある立場ではなかったのではないかと考えています。この事件が発覚するまで、構造設計は、部分的な仕事にすぎないとみなされていました。無資格者でも下請けができたような仕組みだったのですから。彼が下請けにすぎなかったという観点からみれば、責任は設計事務所の全体をまとめた建築士にあります。

また、検査機関は、問題に気付くべきでした。ただ、公的な取り決めは、それを要求していなかった!

施工の段階でも、ストップできたかも。しかし、公的権威のもとで適法に手続きされていることに疑問を感じろというのは無理ではないでしょうか?

販売会社である建築主は、違法建築について大きな責任を負うのは当然かもしれませんが、他の関係者もやるべきことがあったはず。でも、それが妨げられてしまう構造があった。

あいにく、そういうことは問題にはならないようです。

ちなみに、この刑事裁判は、あくまで、国会でのウソが中心だったと思います。

これは、トカゲの尻尾切りというより、別件に近いと思います。裁判自体に文句はありません。しかし、社会的な処罰感情とやらが騒いだ点については、「別件」ではないかと思っています。

無限の責任を彼に背負わせて、肝心なことから目を背けているように思います。
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by gskay | 2007-11-08 04:36 | 真相 構図 処分
木村社長と小嶋社長
いずれの刑事裁判も、耐震偽装そのものの裁判ではありません。

木村社長の場合、経理の不正が第一の問題で、これは否認していませんでした。これに加えて、問題を承知の上で建築主に引き渡したということが詐欺にあたるかどうかが争われました。木村社長はこれを否認しています。

判決では、詐欺にあたるということになったようです。しかし、木村社長は控訴していません。おそらく、経理の不正が、破産財団にとって税務などの点で有利になることがポイントだと思います。いたずらに裁判を長引かせることの方が不利だというのが、経済人としての判断なのだと思います。

この判決は、最高裁での施工や設計の責任を認めた判断と並んで、建築の基本的な仕組みに大きな影響を与える判断だと思います。

私自身は、木村建設への債権の請求に関しては、地裁の査定をうけて断念していますが、最高裁の判断やこの判決が査定以前にあったなら、簡単にはあきらめなかったかもしれません。

特に、破産債権に関する地裁の査定は、技術的な問題を重視した判断でしたが、最高裁の判断もこの詐欺について判決も、結果をめぐる判断であり、根拠が異なっているように感じられます。

ただ、そうはいっても、私は、木村社長に同情的です。経理の問題はともかく、詐欺については、公的な判断が出るまでのタイムラグの間の出来事であるので、悪意があったと単純に決めつけることはできないと思います。また、最高裁が問題にした「重大性」についても、行政的な判断や権限の行使に混乱があったことを忘れてはいけないと思います。

これは、小嶋社長についても同様です。問題になっている引き渡しの時期は、事件の発覚後ではあったものの、その事件の重大性が明らかになって公的な措置として公表されるにいたった11月17日よりも前でした。問題の引き渡しは、発覚後ではあるものの、重大性は不明な時期のことでした。

それでも、結果に対して責任を負うべきだという判断がくだされる方向にあるのかもしれません。

単に懲らしめるということが目的であるなら、フェアではないと思います。しかし、いい加減であった建築に関する責任関係を明確にするということであれば歓迎したいと思います。

ただ、あくまで、私は、小嶋社長にも同情的です。

小嶋社長に厳しい判決を下すのであれば、同じようなケースに対して厳しく対処するべきです。

また、11月17日以降の展開が、判決に影響するのだとしたら、言語道断です。事後の規則で裁くというのは、法定主義に反します。

たとえば、11月17日以降に広められたQu/Qunが0.5以下が重大であるという判断は、発覚の時点や、引き渡しの時点にあったのでしょうか?それは、11月17日にかけての国土交通省の担当者の「創作」にすぎないのではないでしょうか?その根拠をふくめ、それを司法の判断に組み込むことは問題だと思います。

私は、疑問を感じながらも、行政の判断には従っています。しかし、司法の判断は、行政の判断とは意味が異なっていて、厳密でなくてはならないと思います。

曖昧なことがすっきりするような大胆な判断は歓迎します。しかし、原則からの逸脱を納得してはならないと思います。
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by gskay | 2007-09-27 12:54 | 真相 構図 処分
元建築士の証言
ヒューザーの小嶋社長の刑事裁判の証人として、事件を引き起こした元建築士が証言に立ったそうです。

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 「鉄筋減らせと求められた」=姉歯被告が初めて証人出廷−耐震偽装・東京地裁


6月15日21時35分配信 時事通信

 耐震強度偽装事件で詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」元社長小嶋進被告(54)の公判が15日、東京地裁(毛利晴光裁判長)であり、元一級建築士姉歯秀次被告(50)=一審実刑、控訴=が一連の事件で証人として初めて出廷し、耐震偽装の原因は「(施工した)木村建設側から鉄筋量を減らすよう求められたため」とするなど、従来の責任転嫁発言を繰り返した。
 弁護側証人として出廷した姉歯被告は、偽装発覚後の会議での自身の発言について、「はっきりしない。100%の記憶がない」と述べるなど、あいまいな言い回しに終始。自身の控訴審が控えていることを理由に、証言を拒む場面もあった。

あるいは、

Yahoo!ニュース - スポーツ報知 - 姉歯被告 耐震偽装「見る方が怠慢」


耐震強度偽装事件で、詐欺罪に問われたマンション販売会社ヒューザーの元社長・小嶋進被告(54)の公判が15日、東京地裁で行われ、元1級建築士の姉歯秀次被告(50)=1審実刑、控訴=が弁護側証人として出廷した。厳しい質問にも、人ごとのような口調の“姉歯節”がさく裂した。

 事件の根幹にある、構造計算書の改ざんを行った張本人でありながら、悪びれた様子はなかった。10日に50歳になった姉歯被告は、黒いシャッポを手に黒いスーツ姿。髪も伸び、1審の時より顔がふっくらしていた。

 偽装物件名について「あっはい。池上についてはそうですね」「千歳烏山も〜、ハイ、改ざんしました」と軽いノリ。複数ある改ざん手法を「やっぱり一番効き目があるのは地震力の低減ですね」と堂々と説明した。

 また、改ざんを確認検査機関で見抜かれなかったことには「見る人が見ればわかるんですがバレませんでした。見る方が怠慢だったと言う事じゃないんですか?」と衝撃の発言。自身の控訴審に関係しそうな内容には「ここでお話ししたくない」と言葉を濁した。

 姉歯被告は1審で裁判長から「大変なことをしでかしたという気持ちが伝わってこない」と、叱られたことがある。一連の裁判で、姉歯被告が証人出廷したのは初めて。

 また、小嶋被告の弁護団から、事情を聞きたいと希望する文書などを何度か受け取りながら「家から出たくない」との理由で応じていなかったことも明らかに。小嶋被告は上目遣いで、姉歯被告にじっと見入っていた。

と、伝えられています。法廷での実際の発言の詳細はわかりません。

「鉄筋を減らせ」に関しては、しかるべき実力がある設計者であれば実現できたという点で、意義のない発言です。単に、自らの実力不足を明らかにしているに過ぎません。

「見る方が怠慢」に関しては、再計算には、費用も時間もかかるという実態に反します。また、この裁判の証言の中には、彼の構造設計を再検討していながら問題を指摘できなかったという設計事務所の発言もあります。

元建築士は実力不足で、苦し紛れにデタラメな計算をしたに過ぎない事件だったと私は見なしています。強度低下の意味についても、どのように理解しているのか疑問です。

また、「私は正直者です」と言っているうそつきの発言は本当なのか、嘘なのかという問題と同じように考えなくてはならない部分もあるだろうと思います。

それはそうと、報道されている限り、一体、どこが、小嶋社長の詐欺と関係しているのか全然わかりませんでした。
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by gskay | 2007-06-21 13:10 | 真相 構図 処分