カテゴリ:真相 構図 処分( 81 )
控訴断念
イーホームズ社長も木村建設東京支店長も、控訴せず、判決は確定のようです。不正な会計は許されるべきものではないので、摘発され立件され告訴された以上、当然の判決だと感じました。

こうした問題は、法の解釈が難しい一方で、何らかの手続きで問題を克服するケースもあるようで、敢えて罰することは多くはなかったように思います。そういう意味では、徹底した取り締まりは、公正な企業活動のために必要なことです。

ただ、なぜ彼らなのかとという事は明示されているとはいえません。不正な会計や経理は彼らだけで行ったことではないように思われます。耐震偽装との関連で立件して来たという経緯が、裁判の対象になった問題よりも重視されているように思われます。

公正な企業活動のために取り締まりを行っている点からは、判決を評価することができます。しかし、他の関係者や、同様のケースがどのように立件され、裁かれているのかという点を考えると、公正な企業活動の確保という目的からは逸脱しているように思います。

結局、何か面倒な事件に巻き込まれると、その事件自体で直接罰せられることがなくても、企業の手続きに関する法律でお仕置きが行われるという教訓が残ったように思います。

逆にいうと、面倒な事件に巻き込まれたり、目立ったことをしていなければ、取り締まりの対象にならないということでもあるような気がします。また、経理の不正さえなければ、罰しようもないということでもあります。

検察側が主張しようとしたことが認められなかったことは、とても大切なポイントです。判決によって罰せられはするものの、立件され告訴されるにいたった事情については、否定的な判断が下されているからです。

単純に、企業の不正な手続きの取り締まりを強化すべきだと思います。今回は、別の事件で問題になった人を、その事件との直接の関連で罰することができないからという理由で、企業の不正な手続きが問題が取り上げられました。不正な手続きを適当に野放しにしておいて、こういう時に持ち出すという方法が、企業の公正な活動の上でも、事件を解決する上でも、妥当なやり方なのでしょうか?

不正な経理に関しては、法律解釈の問題は残るものの、動かしようがないことです。検察が控訴するのかどうかはわかりませんが、被告側が控訴しないのは、不正な経理と耐震偽装発生の関係が否定されているので、事実上、主張が認められているからなのだろうと思います。
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by gskay | 2006-11-07 11:26 | 真相 構図 処分
検察の主張への裁判所の判断
イーホームズ社長に続いて、木村建設東京支店長が有罪になりました。しかし、これも、耐震偽装には関係ない経理の不正で、検察が主張する耐震偽装との関係は認められませんでした。

経理担当の役員が裁かれず、彼が裁かれたのは、耐震偽装への関連からだと思います。耐震偽装で罰することはできないが、耐震偽装に関連する容疑で罰することで、耐震偽装への責任を追及したことと同じと位置付ける考えだったのかもしれません。

違法な経理を行っている会社が、構造設計の担当者に無理な圧力をかけて、偽装を続けるきっかけを作ったという構図が描かれていたようです。圧力といっても、「頑張って、経済性に優れた設計を!」ということなら違法性はないと思われますが、「違法になっても、コストを下げろ!」というなら、元建築士と共謀です。

捜査段階で、共謀は早々に否定されてしまいました。そうすると、違法とはいえない圧力が偽装の原因になったかどうかが問題になり、その背景として経理の不正が追及の対象になりました。結局、裁判所は、経理の不正は認めたものの、耐震偽装との関連は認めなかったようです。

直接的な関与を証明できないため、経理をごまかすような悪徳な輩が、耐震偽装のきっかけを作っているから、厳重に罰する必要があるというのが追及の意義だったと思いますが、認められなかったようです。

そうなると、耐震偽装への責任があるという理由で、経理担当の役員をさしおいて、東京支店長を訴えているので、検察の主張が敗れたという位置づけになると思います。イーホームズ社長に続いて、事実上の連敗ということになると思います。

この人たちが裁かれ、同じようなことをしても他の人たちは追及されないという違いは、耐震偽装への関与という点です。その点を裁判所が認めなかったということは、裁判にいたる最も重要な点が認められなかったということです。

検察は、控訴するのでしょうか?

ところで、支店長の存在をはじめて知ったのは、国会の参考人質疑です。その時は、良い印象こそ持たなかったものの、筋は通っていると思いました。その時の私は、もっぱら、イーホームズの社長に怒っていました。

その後、私の友人が支店長と仕事をしたことがあるということで評判を聞く事ができました。印象ががらっと変わり、好転しました。

ほとんど暴力と変わらないリンチやつるし上げのような取材がほとんどである中、それとは一線を画した丁寧な取材による報道を目にする機会もありました。

彼について、私が知る範囲で、個人的に気に入らないのは、キックバックを受けていたらしいという点くらいです。

彼を巡る騒動は、一体、何だったのでしょうか?辻褄が合わないまま、忘れられて行くのかもしれないと思います。
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by gskay | 2006-11-02 17:03 | 真相 構図 処分
イーホームズの社長のこれから
執行猶予つき有罪判決だそうですが、耐震偽装とは関係ない裁判です。強いて言うなら、財務を装ってまで無理な会社を作ってしまったことが、業務に対して実力の足りない検査機関を作り、それが見逃しにつながったとこじつけることができるのかもしれません。世間はそれでいいとしても、さすがに裁判所では、そのこじつけは認められなかったようです。

見逃しについては、イーホームズに限った話ではありません。技術的な問題についての議論や、責任の体制についての議論がなされたなら、他の機関や自治体にも影響が及ぶ問題になったかもしれませんが、そこまでの追及は無かったようです。

技術の問題は、国土交通省という行政当局のなわばりのままとなり、司直の及ばないところとして続きそうです。司直としては、民主的な建築の仕組みを尊重しているとも考えられますが、結局、行政の力が強くなっただけのように思われます。また、法律の網についても民主的な仕組みには制限が加えざるを得ない方向に進みつつあるように思います。

これは、責任の所在が曖昧で、誰も責任を背負うという態度を示さなかった以上、仕方がないことかも知れません。責任を背負おうとしなかったという点では、この社長の態度には腹が立つところもありましたが、仕組みがわかってくると、仮に責任感が強かったとしてもどうしようもなかったのかもしれないと思います。

建築は、民主的な仕組みが目指されていたはずですが、誰もが無責任な仕組みへと成り果てていたのかもしれません。彼は、その中で、じっとしていても良かったのに、自分の責任と他人の責任を区別しようと頑張ってしまいました。このために足をすくわれたのかもしれないと思います。無責任な仕組みの上に成り立っているということを見極めていれば、別の対応もあり、異なった状況が生まれていたかもしれません。

無責任体制についていえば、業界の人々はそれでいいかもしれませんが、こちらとしては困ります。何も起こらなければいいのですが、そうでない以上、責任についての曖昧さを解消していく必要があると思います。この社長には、そういう責任の仕組みを追求して欲しいと期待します。

ところで、関連して、他の耐震偽装が浮かび上がっているようですが、その会社には体力があると思われるので、問題自体は重大ですが、ヒューザーのようなことにはならないと思います。耐震強度に問題があったとしても、混乱がないように処理されることを期待したいと思います。未完成なら、手付けの倍返しで済みますが、すでに住民がいるのなら、特別な配慮が必要だと思います。

そういう点では、ヒューザーについて、この社長はあまり上手に後始末をつけられず、むしろ混乱の原因を作ってしまったように思います。他の耐震偽装についても、真実の公表は大切だと思いますが、少し考えた上で、適切な方法でなされるべきだと思います。
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by gskay | 2006-10-19 22:40 | 真相 構図 処分
情報把握
藤沢の物件の建築費を融資した金融機関はこの事情をいつ把握したのでしょうか?住民と同様、公表されてからということなら仕方がないことのような気がします。私は、公表されてからのような気がします。

もし、知っていて住民への引き渡しを黙認し、ちゃっかり回収したということだと、責任を問うことはできないとは思うものの、完全に妥当であったは言い切れないような気がします。とはいうものの、知っていたなら、企業としての利益の確保のため、むしろ回収を急いだだろうと思われます。

木村建設破綻の引き金になったメインバンクの行動も、そうした論理に貫かれているのだと思います。

ところで、金融機関や住民に知らせなかったことが、ヒューザーの判断ミスと言えるでしょうか?

もし、知らせていたら、公表前に混乱が起こってしまった可能性があります。これは、ヒューザーの経営的にも、公的な機関にとっても不都合があったと思われます。

公的な機関の対応は、深刻さが判明してからは、手の平を返したようなものになっていて、発覚から公表までの経緯まで、ヒューザーなどの関係者の問題だとしています。まるで、公的な機関は関係がなかったかのような態度です。

金融機関からの借入の決済等は、ヒューザーの判断であるし、住民に知らせなかったという責任もヒューザーにあるといえると思います。しかし、一連の流れで公的な機関が、この問題をどのように捉えていたかは、公表等の鍵を握るものでした。

発覚から再計算を経て公表に至るまでの経過で、それぞれがどのような情報を把握し、どのような責任を負っていたのかをはっきりさせる必要があると、私は思っています。息をひそめて嵐が過ぎ去るのを待っている関係者がいるのではないかと思っています。
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by gskay | 2006-10-18 07:50 | 真相 構図 処分
発覚当初のヒューザーの資金繰りについての考え方
ヒューザーの小嶋元社長の公判で指摘されたポイントの一つが、資金繰り。藤沢の物件が引き渡しに至る過程で問題になるのは、建設の費用の借入金の決済であって、その後の瑕疵担保責任を果たすために必要になる資金ではありません。

冒頭陳述で、検察側は、「入居済みの7物件で、購入者から買い戻しを行った場合、約50億円の債務超過に陥り、買い戻しは財務上不可能だった」という点を指摘し、いかにヒューザーの資金繰りが不調であったかを強調しようとしています。

しかし、これは、藤沢の物件を引き渡すかどうかには全く関係のない問題です。公表後の対応の問題です。このことが、小嶋元社長を罰する根拠にはなりません。心証をつくるためのテクニックというのはこういうものなのかと勉強になります。

一方、弁護側は、「むしろ物件の引き渡しをすることによってヒューザーは建設費について金融機関の借入金約7億円を返済しなければならず、資金繰り的にはかえってマイナスになる」という点を指摘しています

もし、強度不足が深刻であるということが判明していたなら、ヒューザーが取るべき態度は別だったと思います。あの時、ヒューザーが「金融機関に対しての決済を優先しない」と決断できれば、藤沢の物件の住民の被害は最小限に留めることができたのかもしれません。ヒューザーにとっての被害も少なくて済んだかもしれません。

契約内容次第ですが、借入金の決済については、担保が金融機関に取られて代物で決済されることになるだけだったのではないかと思われます。おそらく、担保は、完成済みの物件の建物や土地についていたのではないかと思われます。また、住民に対しても、ヒューザーは、手付けの倍返しをすれば解決することができました。

そうするべきだと判断するための材料が足りなかったのだと思います。
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by gskay | 2006-10-17 13:00 | 真相 構図 処分
小嶋元社長の無罪主張
耐震偽装問題では、元建築士、木村建設元社長、元東京支店長に、イーホームズ元社長と刑事被告人になっている人たちがいますが、直接、目の前にしたことがある人は、この人だけです。

asahi.comヒューザー小嶋被告、無罪主張 耐震偽装で初公判


2006年10月05日21時44分
 耐震強度偽装事件で、構造計算書の偽造を知りながらマンションを販売したとして詐欺罪に問われた「ヒューザー」(破産手続き中)社長、小嶋進被告(53)の初公判が5日、東京地裁(毛利晴光裁判長)であった。小嶋社長は罪状認否で「そのような犯罪を行ったことは一切ございません」と、無罪を主張した。被害を受けたマンション住民に対しては「(結果的に)誤った判断で大変なご迷惑をおかけした」と謝罪した。

 検察側は、小嶋社長がマンション引き渡し前に構造計算書の改ざんを認識しながら、隠蔽(いんぺい)していたと指摘。被告・弁護側と主張が真っ向から対立する構図となった。

 検察側の冒頭陳述によると、小嶋社長は、姉歯秀次元建築士(49)=公判中=が構造計算を担当した「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)を購入者に引き渡す3日前の昨年10月25日、知人の設計事務所代表から姉歯元建築士が構造計算を担当した別の建物で改ざんがあったと知らされた。小嶋社長は同代表に「おれは知らなかったことにした方がいい。極力この問題は口外しないようにしよう」などと語ったという。

 さらに、引き渡し前日にはGS藤沢の改ざんも知らされたが、住民11人に代金約4億1400万円を自社口座に振り込ませ、だまし取ったと指摘した。

 小嶋社長は「購入者をだます意思はまったくなかった」などと述べ、自らの責任については「判断の過ちで民事的、道義的なものにとどまる」と主張した。弁護側は「捜査は政治的意図でなされ、違法」と公訴棄却を求めた。


弁護側が言うように、公訴棄却を目標にするのもいいとは思いますが、建築のシステムの問題点を洗いざらいぶちまけて欲しいと期待しています。特に、行政の関与が適切であったのかどうかを検証して欲しいと思います。

建築確認の問題も重要だと思いますが、違法建築の処分について手続きも滅茶苦茶でした。この裁判は、違法が発覚してからの滅茶苦茶な手続きが問題になると思います。

ところで、偽装が発覚したことは、耐震強度が不足しているということとイコールではありません。むしろ、オーバースペックの建物もあったくらいですから。

また、耐震強度の不足が、直ちに取引を中止しなくてはならない重大な問題であると断定できません。まして、偽装の発覚をもって、取引を中止すべき重大な問題としてよいのかどうかわかりせん。

公表以降になって、やっと判断基準のようなものが出来たにすぎません。当時は、些細な不具合と同列であるとしか評価されていなかったかもしれません。そんなはずはないと思いつつ、それが、実態だったと思います。道義的には許せない事ですが、刑事事件になるのかどうかは別です。

検察側の主張は、そのあたりを充分に吟味できていないように思われます。報道の通りだとすると、論理的には厳しいのではないかと思われます。

さらに、公表は、再計算の結果が出て、偽装によって耐震強度が深刻に不足しているということが確認されてから行われています。その経緯も問題にしなくてはならないと思います。

そっちの方に、気がまわっているようには、報道の限りでは見えませんが……。

「知らなかったことに」発言も、あの時点でどういう意味があるかを評価しなくてはなりません。すでに、耐震強度が不足し、重大な問題になってしまっているということを知っている今の時点の発想で考えると間違えます。

公表までのタイムラグこそ、この裁判の重大なポイントです。ただ、いつも書いて来たように、あの時点で、取引を中止していたら良かったのに。もし、そうしていたら、この人は英雄だったかもしれないとさえ思います。
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by gskay | 2006-10-05 23:54 | 真相 構図 処分
木村社長の詐欺容疑
そもそも、引用の記事のように認識がなくても、罪は成立するのでしょうか?木村社長の詐欺容疑は、ヒューザーの小嶋社長への容疑とは異なっていますが、ややこしい問題です。

元支店長と異なり、経理の不正については認めていて、こちらには争う点は少ないようです。

弁護側が冒陳「詐欺は無罪」=耐震強度偽装事件、木村被告公判−東京地裁


 耐震強度偽装事件で、詐欺と建設業法違反の罪に問われた木村建設元社長木村盛好被告(74)の公判が3日、東京地裁(角田正紀裁判長)で開かれた。弁護側が冒頭陳述を行い、元1級建築士姉歯秀次被告(49)=公判中=による偽装を知りながら、ホテルの工事代金を受領した詐欺について無罪を主張した。
 弁護側は冒頭陳述で、木村被告は姉歯被告を「仕事が速く、能力が高い」として優秀と評価していたと指摘。姉歯被告がヒューザーのマンションの構造計算書改ざんを認めた後、「木村さんのホテル、マンションはやっていません」と木村建設側に伝えたことなどから、ホテルの耐震強度が不足しているとの認識はなかったと訴えた。 
(時事通信) - 10月3日13時1分更新

代金の受領については、木村建設とヒューザーでは立場が違います。ホテル自体が「建築主」だったと思われ、建築主と施工業者との関係も問題点になると思われます。

ただ、問題の根本は設計にあり、しかも、建築確認されており、おそらく代金受領の時点では、竣工時の検査も済み、検査済み証も出ていたのではないかと想像します。そうした要素が絡まり複雑です。建築主と、施工、監理、それに設計の責任関係が明確であれば、混乱が少なく処理できるのではないかと思いますが、仕組みが曖昧です。その上、建築確認や検査の制度がからんで、さらにゴチャゴチャです。

今回の場合、建築主が施工業者に代金を支払うにあたっての条件が問われています。この建築主と施工業者の関係は、住宅で言えば、注文住宅の場合に近い関係です。判決によっては、一部の欠陥住宅問題の捉え方に大きな影響をもたらすものと思われます。

建築主は、建築という事業そのものに関与している分、様々な責任を負わなくてはならない立場です。住宅の場合は、「品確法」の瑕疵担保の枠組みで対応することになっているものの、厄介な問題がたくさんあるようです。

もし、「耐震強度が不足しているとの認識はなかった」にもかかわらず、木村社長に厳しい判決が出た場合、建築主の保護という点で重大な判断になると思います。

ところで、木村建設については、元建築士がかかわった物件だけの問題にとどまりません。そうでないまともな物件にまで、様々な影響が出ています。

もし、元建築士が初期にしかるべく事態の全容の解明に協力していれば、この影響は、最小限にできたと思われます。あるいは、事態の公表について、しかるべき配慮があっても、影響を少なくすることができたと思われます。しかるべき対応でなかったことが、残念です。

この問題も、初期の動きがしかるべきものであったなら、問題にならなかった可能性があります。
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by gskay | 2006-10-04 10:11 | 真相 構図 処分
小嶋社長の弁護団
小嶋社長とその弁護団は今のところ、法律的に負け続きです。ヒューザーを守ることも、間接的に住民の損害を回復することも失敗でした。少なくとも、破産に至る経緯を見る限り、有能ではなかったということになると思います。その他、様々な手続きが後手後手でした。

ヒューザーという会社を守ることに失敗した弁護士と、小嶋社長の刑事についての弁護団の弁護士の顔ぶれが同じであるかどうかは知りません。悪評高い国会の証人喚問の時に登場した弁護士の印象もあり、批判的に扱われる可能性もあると思います。

小嶋被告、徹底抗戦へ=事前協議で主張示さず−耐震偽装事件、5日初公判


 否認、留保、それとも黙秘?。耐震強度偽装事件で、詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」社長小嶋進被告(53)の弁護団が、初公判前の裁判所、検察側との協議で、検察側証拠のほとんどに同意しない意向を見せる一方、争点や主張を明かしていないことが30日、分かった。審理進行を月2、3回とする案にも反対し、徹底抗戦の姿勢を示している。
 東京地裁で開かれる初公判は10月5日。小嶋被告の罪状認否が注目されるが、裁判の長期化は必至の様相だ。 
(時事通信) - 10月1日6時1分更新

引用の報道は、どのようなメッセージが含まれているのか気になります。他に同様の報道はみられないように思われます。

争点としては、事実についての議論は、小嶋社長側からは何も出ないような気がします。争っても仕方がない部分だと思います。争うポイントとしては、法律の解釈になると思います。

行政の裁量の行使の妥当性や、建築確認をはじめとする検査の有効性と違法発覚時の取り扱いは、制度面における大きな争点になると思います。発覚の時点で未確認であった要素についての取り扱いについては判断が分かれると思います。構造の問題についても、瑕疵としてどれだけ重要なのかは、後から判断されたということも状況を複雑にしています。

弁護団の力量次第では、国土交通省の担当者や、藤沢市の担当者まで引きずり出されることになると思います。その人たちが、道連れになる可能性もない訳ではないと思います。この裁判には、無謬であるという前提に守られてきた行政の責任を表に引っ張り出すことができる可能性があります。

また、引き渡しに先立つ様々な手続きについての議論も行われる可能性があります。ローンを組んだ金融機関からの振込のタイミングもあるし、買い手からみれば、その前の家の処分などもあります。そうした手続きを、実際問題として、止めることができたのかと言う問題です。

公表の直前のことならまだしも、発覚直後であり、その72時間くらいの間に何が行われたのかということに迫る必要があると思います。

「裁判の長期化」は、そうしたことを洗いざらいにすることにつながると思います。どさくさにまぎれて、適当なポイントだけおさえてさっさと裁判を終わりにしたいというのが、検察側の考えであると思います。その方針に、弁護団が応じないということだと思います。

少なくとも、発覚から公表までの、時間経過だけは解明し、関係者の責任について明確にして欲しいと思います。

検察や、関係する行政当局にとっては、しぶい裁判になるかもしれないと思います。
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by gskay | 2006-10-02 10:19 | 真相 構図 処分
行き過ぎたコストダウン
篠塚元支店長の裁判が結審したという記事です。問題は、不正な書類作成に実際に関与しているかどうかだと思います。本人が否認している点がポイントになると思います。共謀の事実が立証されているかどうかの問題です。

強度偽装・木村建設元東京支店長に懲役1年6月求刑


 耐震強度偽装事件で、偽装物件を多数施工していた木村建設(熊本県八代市、破産)が特定建設業の許可を受けられるよう不正書類を国に提出したとして、建設業法違反(虚偽申告)の罪に問われた同社元東京支店長・篠塚明被告(45)の論告求刑公判が27日、東京地裁であった。

 検察側は「債務超過に陥ったことを十分認識し、粉飾決算に積極的に加担した。この結果、行き過ぎたコストダウンに走り、姉歯秀次元1級建築士による一連の耐震偽装事件を誘発した側面もある」として、篠塚被告に懲役1年6月を求刑した。

 これに対し、弁護側は「債務超過の認識もなく、粉飾決算や虚偽の書類申請で共謀したことはない」と無罪を主張し、結審した。判決は11月1日に言い渡される。
(読売新聞) - 9月27日11時54分更新

行き過ぎたコストダウンと耐震偽装の関係を切り出せば、確かに社会的影響の大きさから問題視することはできるかもしれません。裁判官の心証に影響を与えることができるのかもしれません。

ただ、耐震偽装のきっかけは、元建築士単独の問題であるとされている手前、それ以上の真相を推定して語ることには疑問を感じます。また、元建築士は、免許をもった専門家であった以上、自らが判断したことについての責任は、自らが負うべきであり、今となっては、元支店長を責めるのは筋違いではないかと思われます。まして、設計事務所も関与していることです。

コストダウン圧力の有無についても、どこからが行き過ぎなのかは示されたのでしょうか?また、その圧力と、専門家の判断との関係についての責任関係は整理されているのでしょうか?

企業は、利益を出すための組織であり、コストダウンの努力自体は悪ではないはずです。

ところで、元建築士の構造設計によってコストダウンできたコストというのは微々たるものでした。強いていえば、設計料の安さがコストダウンだったのかしら?

いずれにせよ、判決に注目したいと思っています。
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by gskay | 2006-09-28 18:06 | 真相 構図 処分
木村元社長の祈願書
粉飾決算およびそれに関連する建設業法違反容疑については、認めているようです。しかし、耐震偽装の発覚後に代金を受け取った件について、だますつもりはなかったという主張です。なお、耐震偽装が行われたことへの直接の関わりは否定されているようで、問題にすらなっていません。

引用した記事では、「祈願書」というものがとりあげらていますが、耐震偽装に関与していると思い込んでいる人が読むと、やましいところがあったに違いないと感じると思います。おそらく、そういう文脈ではないと思いますが……。

耐震偽装 木村被告、詐欺罪を否認 東京地裁初公判


  耐震データ偽造事件で、強度不足を知りながらホテル建設代金をだまし取ったとして詐欺罪などに問われた木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)元社長、木村盛好被告(74)は7日、東京地裁(角田正紀裁判長)の初公判で「構造計算書の結果が虚偽であることは知りませんでした。金をだまし取ろうと企てたことは一切ありません」と詐欺罪について起訴事実を否認した。建設業法違反は認めた。
 検察側の冒頭陳述によると、木村被告は05年8月、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)=公判中=が構造計算した同社受注のホテルについて、常務のホテル部長から「別の事務所が検証したところ、耐震強度が不足しているとの結果が出た」と報告された。しかし「建築確認も下りているし、続行するしかない」と工事の続行を指示した。
 また、同年11月7日に「ばれたらのがれる道がありません」「過去工事を調査されたならつぶれます。国土交通省の調査が木村建設に飛び火しないようお願い申し上げます」と記載した「祈願書」をファクスで信仰する神社に送っていた。
 起訴状によると、木村被告は奈良市の「サンホテル奈良」について、姉歯被告が構造計算書のデータを偽造し建物の耐震強度が不足していることを知りながら、同年11月7日、ホテル側から建設費の未払い残金2億2500万円をだまし取った(詐欺)。また、実際には債務超過だった同社の04年6月期決算を黒字と粉飾した決算書類を国土交通省に提出し、特定建設業の許可の更新を受けた(建設業法違反)。【佐藤敬一】
(毎日新聞) - 9月7日17時29分更新

「ばれたらのがれる道がありません」「過去工事を調査されたならつぶれます。国土交通省の調査が木村建設に飛び火しないようお願い申し上げます」という危惧は、現実のものになってしまいました。しかし、だからといって、木村建設が耐震偽装そのものに関与していたとは言えないと思います。

調査が入るだけで、企業には大きなダメージがあります。何の問題がなくても、調査の対象になっただけでピンチになります。全く関係ないのに名前が似ているということだけでも、ダメージがある程です。受注は減るし、キャンセルに対応しなくてはなりません。また、建設業の場合、決済までのタイムラグなど、資金的な悪条件もあります。祈願書は、そうしたことへの苦悩のあらわれだと思います。

逆に考えると、公表や調査、報道が適切に行われれば、被害は回避できたかもしれません。巻き込まれながら生き残れた会社は、会社自身の体力のよる部分もあると思いますが、調査や報道を適切にコントロールすることで、破綻が回避されているところもあるようです。

粉飾決算について認めていることについては、本人の反省以上に、会計上の意味があるようです。法人税還付との関係があるからです。

一方、代金受領が詐欺かどうかは、判断が難しいと思われます。公表に至るまでの公的な判断の経緯が重要です。木村建設側は事情を知っていたが、ホテル側は知らなかったという点が問題になるようですが、「違法」と公的に判断されておらず、公表もされていない時点でした。問題の深刻さについての評価も定まっていませんでした。これでは、取引を止めるべきだという前提条件が揃っていたとはいえないのではないかと思います。

もともと、建築確認や検査は、無謬であるという前提があり、誤りがあった場合の対処について明確な定めがありません。違法への対処の規定は、曖昧なものです。これが、混乱の元になっています。そうした条件では、判断が下される経緯を慎重に検討する必要があると思います。少なくとも、公的な判断を下した当局も重要な当事者とみなして、検討するべきだと思います。

これは、小嶋元社長の容疑についても同じだと思います。

ところで、ホテルは建築主であったと思われ、建築そのものに重要な責任を負う立場です。もし、ホテル側が何も知らなかったとしたら、なぜ、知らされなかったという点は重要なポイントではないかと思います。代金受領以上に、建築の体制を考える上で、重要な問題だと思います。

また、8月の時点で問題になっていたとされるケースと、10月以降の問題は区別して検証されなくてはならないと思います。8月の時点で疑いが生じた時点で、違法を追及する方向に進むことができなかったということは、建築を民主的に責任をもって管理することができなかったということだと思います。

下手に公的な建築確認や検査を行っていたために、形骸化して、無責任になってしまっていたということだと思います。悪意の有無以上に、深刻な問題として受け止めなくてはならないと思います。
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by gskay | 2006-09-08 11:31 | 真相 構図 処分