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耐震偽装への刑事裁判開始
実質的には、唯一の耐震偽装での刑事裁判だと思います。経済設計を目的として偽装が行われたという「構図」が、広く信じられていると思います。しかし、偽装が先にあり、副次的に経済設計が加わったという構図も浮上しています。多くの記事が、広く信じられている構図に基づく中、引用した記事は、偽装が先にあったという立場からみているようです。


asahi.com冒頭陳述、「偽装の連鎖」の構図指摘 耐震偽装事件


冒頭陳述、「偽装の連鎖」の構図指摘 耐震偽装事件
2006年09月06日23時41分
 収入を増やすため、うそを重ねて強度の偽装を拡大させ、責任は他人に転嫁した——。姉歯被告の初公判で検察側は、冒頭陳述や、姉歯被告の捜査段階の供述を明らかにして「偽装の連鎖」を描き出した。

 「偽装で仕事が早く、より多く受注できた。金もうけに慣れ、人命を軽視していることが頭に浮かばなくなっていった」(捜査段階の供述から)

 姉歯被告は96年ごろ、元請け設計事務所にマンションの構造設計の変更を依頼され、強度に余裕があったためコストダウンに成功した。事務所側は「経済設計ができる建築士」と評価し、東京都中央区の8階建てマンション「ゼファー月島」の構造設計を依頼した。

 ところが、姉歯被告は高度な構造計算が必要な高さ20メートル以上の鉄筋コンクリート造りの構造設計は未経験で、能力もなかった。それでも受注を維持するには構造計算書を偽造するしかないと考え、96年12月ごろ実行。その後、木村建設などの物件でも偽装を続けた。

 「得意先を失って減った年間売り上げをバブル期の2000万円にしたかった。偽装しなければ多くても1000万円だが、2100万円を超えた」(同)。検察側は、姉歯被告が、欲しかった高級外車のベンツとBMW、ブルガリの70万円の時計を買ったほか、妻が長期入院する中、愛人に金銭やネックレスを貢いでいたことも明らかにした。

 しかし、偽装は発覚する。検察側は国会での偽証の動機について「能力不足や受注継続のためと正直に証言すれば、非難が一層激しくなる」と考えた姉歯被告が、03年ごろ、木村建設元東京支店長の篠塚明被告(45)=建設業法違反の罪で公判中=からコストダウンを要請されたのを思い出し、責任を転嫁しようとした、と指摘した。

 「ゼファー月島で始めたことははっきりと頭に浮かんだが、言う気になれなかった。責任を軽くしようと思った」。検察側は、偽証の経緯について語った姉歯被告の供述調書も明らかにした。


もともと、構造計算について誤った認識をしていたため、まともな計算はできていなかったのではないかと思います。いくら計算しても答えが出ないような誤った計算をしていたため、苦し紛れに偽装をしたのが真相ではないかと、私は思います。

偽装が通るなら、経済設計は簡単です。その結果、二次的に経済設計が売り物になったのだと考えています。偽装で、全ての物件で経済設計が達成されていたのなら、理解の上で経済設計を目的とした偽装を行っていたといえると思います。しかし、経済設計にもばらつきがあり、デタラメで、結果として過剰設計もあり、技術的な能力は低かったと思います。

高い能力を背景に経済性を追及していたというずるさより、低い能力をごまかすための偽装が、大事になったという事件ではないかと思います。専門家としては、謙虚に自分の技術を高める努力を怠っていたという恥ずべき行為だったのではないかと思います。
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by gskay | 2006-09-07 07:03 | 真相 構図 処分
引き渡し直前
去年の今頃は、新居の準備のためにいろいろと手配をしていました。

お金に関しては、ローンの本契約をすませるとともに、必要な金額の振込をしました。

ちなみに、ローンを組むために口座を作ることになりましたが、その口座は時間外の口座開設のコーナーで出来てしまったので便利でした。その後、その支店には、今回の耐震偽装に関連し何度も行っていますが、実は、営業時間内に正面から入ったことはありません。客なのに、カウンターの中にしか入ったことがありません。

その他、鍵の引き渡しから逆算して、様々な手続きや手配をしました。1ヶ月前からはじまって、3週間くらい前からは、連日のようにいろいろな手続きや手配をしていたように記憶しています。登記の為の司法書士への依頼もしました。

内覧もこの時期でした。うちは、少ししか問題を指摘できず、再内覧では全てOKでした。

そうしたことをしている時期に、引き渡しまでの流れを止めるのは、簡単ではないと思います。藤沢の物件で、詐欺が問われています。この流れを止められなかったし、止めようとしなかったからだと思います。

この流れを止めるのは、とても強い意志が必要です。それを支える根拠も必要でした。すでに、今までの住居の売買を済ませている人もいれば、賃貸契約を終了するための手続きも進んでいたと思います。広い範囲に影響が及ぶ問題です。

引き渡しに関する意思をいかに決定すべきかは、小嶋社長の裁判を通して明らかになるのかもしれません。
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by gskay | 2006-08-19 23:59 | 真相 構図 処分
篠塚元支店長初公判
耐震偽装とは直接は関係ない経理の不正の容疑での裁判です。企業の経理の不正は重大なことであり、不正は罰せられるべきです。しかし、それが、元支店長への狙い撃ちに終わってしまうのだとしたら、不正経理問題も明らかにならない中途半端な追及になってしまうような気がします。

「不正な経理をしてしまうような会社が体力を装って、身の丈に合わない事業に手を出し、問題を起こしてしまった」という決着が目指されているように思います。経理は遵法でなくてはならないので、教訓になっていると思います。そういう問題があっちこっちで噴出していますが、その一つに位置付けられると思います。

ただ、経理の担当者の責任を積極的に問わず、元支店長への追及の後始末の口実として経理を持ち出しただけではいけません。それでは、企業の健全さを保つための経理の意味をないがしろにしてしまうことになると思います。経理の不正は、それ自身が重大な問題なので、付随した問題であるかのような軽い扱いではいけません。

私は、篠塚元支店長に会ったことはありません。元支店長に会ったことのある人によれば、まじめで賢く鋭い人物だったようです。メディアで取り上げられる話し方や表情ではわからない部分だと思います。

コスト削減を企業の収益を上げるために追求する努力は徹底していたようです。しかし、無闇矢鱈に目の前のコスト削減を目指すという態度ではなかったようです。「無駄」に対して敏感である以上に、「コスト削減」と「コストの削減によるリスクという新たなコスト」を天秤にかけることができ、堂々と主張し、決断することができる人だったようです。しかし、限界があったようです。

元建築士が関わった物件以外には問題は指摘されていませんが、木村建設と組んで仕事をした人は、それだけで巻き込まれて迷惑を被ったことと思います。それにもかかわらず、中には、早い時期から、元支店長についての世間の評価に疑問を感じている人がいました。

私は、早い時期には、元支店長という人がどうのように関与しているか見当もつかず、世の中の評価に翻弄されているだけでした。注目されている人物として知ってはいましたが、どのような人なのかとは考えていませんでした。

ようやく保釈だそうです。裁判による最終的な処分の決定には時間がかかると思いますが、多分、新奇な情報は元支店長からは出ては来ないような気がします。耐震偽装とは関係ない事件として、経理の不正の中身とそれに対する責任の有無だけが争点になるのだと思います。
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by gskay | 2006-08-08 16:54 | 真相 構図 処分
公判スタート
関係者の初公判が行われました。イーホームズの社長です。

問題となっている不正な手続きによる増資が、見落としの直接の原因だとはいえません。正しい経理をしている民間機関も、特定行政庁も検査能力については不足していたからです。だとしても、不正は不正です。

指定の取り消しも、見落としという能力不足の問題のみならず、直接考慮されるかどうかは別として、指定プロセスの不正も重大だったのではないかと思われます。結果としては、見せしめのようになっていると思います。

発覚の経緯が明らかになり、少し残念に思います。そこに、指定にいたるプロセスの不正と同じような姑息さが感じられるからです。

マスコミやメディア、それに国会までを都合良く巧みに使って責任逃れをしようとした点は、問題の元建築士と変わらないと思います。

不正な増資、能力不足、そして発覚した後の責任逃れのでまかせ。

最初は、彼に怒りを感じました。能力不足に対しての怒りです。しかし、その能力不足は、彼の会社に限った話ではないことがわかりました。パンドラのはこを開いた本人として、建築の民主化に寄与できる人材かと期待したこともありました。

でも、今は、元建築士同様、混乱を招き、「構図」をあおり、不要な悪影響をばらまいた張本人の一人だと、私は位置付けます。半年にわたり、彼にも騙されてきたということです。
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by gskay | 2006-07-08 15:25 | 真相 構図 処分
「オウム事件以来」の成果
耐震偽装の捜査終結に関する報道が約1ヶ月前から伝えられてきましたが、本当に終わるのだと実感させる記事です。引用した記事では、規模の大きさを改めて強調しています。

耐震偽装の捜査本部解散へ 4万5000人投入し終結


 耐震強度偽装事件を捜査していた警視庁と千葉、神奈川両県警による合同捜査本部は7月1日、一連の捜査を終えて解散する。昨年12月の設置以来、延べ約4万5000人の捜査員を投入した。
 「オウム事件以来」とも言われた大規模捜査で、構造計算書を偽造した元1級建築士姉歯秀次被告(49)=議院証言法違反罪などで起訴=ら9人を逮捕、うち6人が起訴された。
 国土交通省が昨年12月、建築基準法違反容疑で姉歯被告を告発したのを受け、警視庁が捜査本部を設置。その後、千葉、神奈川両県警の捜査員が加わって90人態勢の合同捜査本部となった。
 同月以降、約250カ所で家宅捜索を実施して約1万4000点の証拠資料を押収。
(共同通信) - 6月30日18時42分更新

この捜査に対し、不十分であったとか、「構図」を証明できなかったとか、微罪の別件しか立件できていないとか、黒幕を逃がしたとか、様々な批判があると思います。「構図」を取り上げ、それに沿って考えて来た場合、納得できないのではないかと思います。

ただ、もし、早くから「単独犯行」を自供してたり、ウソを見抜く事ができれば、これ程の大きな事件にならずに済んだのではないかと思います。捜査のための労力や費用は尋常ではなかっただろうと思います。構造計算書の偽装と、関係者を巻き込むことになったウソという二つの罪が彼にはあると思います。

名義貸し問題は、業界の常態のようで、見せしめかもしれませんが、有資格者による業務独占についてインパクトがあったと思います。他の耐震強度偽装では、無資格者の取り扱いが苦慮されているようです。この一連の事件で、今後、建築士の業務が適切化されることになると思います。

ところで、この事件では、建物の違法性の摘発や分析に対し、警察は慎重であったと思います。一つは、建築行政は、国土交通省の責務であり、しかも専門家による民主的な仕組みが尊重されていたという点から慎重になったのではないかと思います。決して、弱気ではなく、領分をわきまえた捜査だったと思います。日進月歩の技術に対しての配慮があったのだと思います。

ちなみに、建築を分析できる捜査官はいないそうです。それを、体制の未整備とみるべきだとは思いません。やはり、専門的なことは、専門家によって対処されるべきだと思います。警察に建築の専門家を配置すべきだとは思いません。ただ、専門家による対処が不十分というのは、この事件で明らかになった点です。国土交通省も特定行政庁も、付託にたる組織とは言えないようです。

微罪で別件にすぎないと批判されている内容のうち、木村建設の粉飾決算は、一種の取引ではないかと思います。破産財団にとって不利にならない材料です。

しかし、木村建設と小嶋元社長の発覚後の代金受け取りという詐欺容疑は、関係者は罪を認めていないようようです。罪の有無はともかく、今後、詳細に検討し、裁判の過程で、どのような関係者が関与し、後戻りができなくなったのかということが明らかになると思います。金融機関や登記等の手続きとの関係を中心に検証されなくてはなりません。

また、この詐欺容疑の検証では、発覚から公表に至るまでの公的な権限が果たした役割と責任についても裁判を通して明らかにして欲しいと思っています。

イーホームズの架空増資は、木村建設の粉飾決算同様、不誠実な会社は問題を起こすという教訓になったようで、ライブドアや村上ファンドなどと同様に、コンプライアンスの問題と位置付けられるのかもしれません。経理のコンプライアンスと、検査の能力とは別の問題なので、検査の能力の問題として取り扱って欲しい問題だったのですが……。経理が誠実でも、実力不足はダメです。また、それは特定行政庁の建築主事についても同じことです。

まだまだ、検証しなくてはならないことがあるものの、捜査は、大きな成果を残していると思います。同時に、行き届いた配慮のもとで行われていたと思います。不満を持つ人が少なくないと思いますが、それは、前提に誤りがあると思います。
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by gskay | 2006-06-30 22:36 | 真相 構図 処分
偽証の影響
耐震強度偽装をした元建築士が、国会証人喚問での偽証で告発されました。偽装をしただけでも、影響が大きい問題であったのに、発覚後の発言で、さらに影響を拡大させてしまいました。

偽装だけだったら、ヒューザーは営業不能にはならなかったかも知れません。さすがに、木村建設のいきなりの倒産は避けらなかったかも知れませんが、ヒューザーについては、黒幕であるというバッシングが起きなければ、事情は変わっていたと思います。

マスコミの前で、彼が責任逃れのためのデタラメを語ったことで、事態が悪化しました。マスコミをデタラメで翻弄した彼は、ある意味で見事でした。しかも、国会での証言も、捜査によって偽証が明らかにされるまで、人々を欺き続けました。

あの大捜査は、このウソを見つけるためにあったのかもしれません。だとしたら、何と不経済なことでしょう。

偽装に偽証を重ねることで、ヒューザーは道連れにされたのではないかと思います。おかげで、私たちは、先の見えない状況に放り込まれました。彼に無関係なヒューザーの分譲済み物件まで巻き込まれ、風評に苦しんでいます。元に戻すのは難しいと思います。

偽装によって一次的に発生したマンションやホテルの関係者への影響に加え、偽証によってヒューザーにトドメを刺し、二次的に被害を拡大してしまいました。

マスコミは、この二次的被害の拡大に大きく関与していると思います。一部の政治家も同様ではないかと思います。そして、おおかたのネットの中の論者も。

「構図」が否定された今、たかが一人のデタラメな発言によって、なぜこのような暴走になってしまったのかを検証すべきではないかと思います。この暴走は、止めることができないものだったのでしょうか?

私の目の前にある厄介な問題は、偽装と偽証の二つデタラメによって生まれたものです。ただし、どちらも、関係者によって拡大しました。そして、影響が出る前に、関係者によって止めることができたかもしれない問題です。

偽装は、建築確認が正当に実施されていれば、違法建築が出来上がることはなかったはずです。もちろん、申請の前に元請け設計事務所や建築主が気付くチャンスもあったはずですが、建築確認で「合法」に化けてしまいました。

偽証によって、ヒューザーをはじめ、関連する業者がグルであるという「構図」が作られました。この「構図」は、マスコミやネット、それに政治の舞台で作られました。ヒューザーに経営体力があるか、補償のための保険に加入しているかという状況であれば良かったというのは、重大なポイントです。ただ、もしこの時、「構図」が誤っている可能性を、少しでも考慮していれば、狂騒による二次被害は小さくなっていたのではないかと思います。

人々の関心が薄れる中、私は、なぜこのような事態になってしまったのかを考え続けています。この問題は様々な重大な問題が複合しています。その一つ一つについて納得ができる答えを求めていきたいと考えています。
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by gskay | 2006-06-21 20:18 | 真相 構図 処分
組織犯罪という「構図」の結末?
捜査は、「構図」の解明への期待は裏切ったものの、問題の様々な背景を明らかにしたと思います。関係者の起訴・追起訴のニュースが流れました。同時に、当初の見立てである組織的な犯罪という「構図」については、立証できないという方向だという見通しも報道されています。大捜査が行われた割には、煮え切らないという評価もあると思います。

力が足らず真相に辿りつけなかったのかも知れません。だとしたら、捜査陣の能力を追及しなくてはいけません。発覚から強制捜査までの期間が長過ぎて、証拠隠滅があって立件できないのではないかという批判もありました。その後の捜査も随分時間がかかっています。

しかし、全体像は、ほぼ把握されているのではないかと思います。膨大な書類と、膨大な関係者の取り調べが行われ、異例の検証もすすみ、最大のポイントは押さえられていると思います。

捜査を通し、大々的な捜査の根拠になった元建築士の発言がひっくり返りました。事件の経緯のうち、最大のポイントは、これで解明されたと思います。

結局、世の中も、マスコミも、立法府も、そして捜査機関も、元建築士の発言に振り回されたということだと思います。

一方で、最初から、「構図」には、無理があったとみる人もいました。そんな事件だったとしたら、なぜ、このような大々的な捜査に踏み切り、「別件」ではないかという疑問の声が出るような逮捕劇まで演じられたのでしょうか?しかも、「別件」ではないかという逮捕劇の一部には、処分にもちこみにくいケースも含まれているように思われます。

しかし、それは「別件」と捉えるからおかしいのであって、その容疑自体が、業界の中の悪弊をえぐり出したと思います。メディアは微罪にすぎない「別件」と非難しますが、ひとつひとつの容疑には、議論しなくてはならない問題が満載だと思います。

むしろ、そちらの方が、悪党の組織的な悪だくみという「構図」より、問題の背景となる本質に迫っているような気がします。そうした成果だけでも、画期的であったと思います。しっかりと、最終的な司法の判断を見極めたいと思います。

今まで、大々的に報道してきたメディアは、このような結末に対し、どう振り返っているのでしょうか?「構図」を受け入れて展開された「世論」は、これをどのように捉えるのでしょうか?いずれも、「構図」が解明されなかったことを非難するのでしょうか?

状況と、元建築士の発言だけがたよりの「構図」でした。私は、巻き込まれた立場で、近くから見ていて、極端な空想のひとつにすぎないと思っていました。

結局、関係者の誰からも、「構図」を支持するような発言は得られなかったようです。「誰も口を割らなかった」とみなし、想定された以上に強力に「組織的」だったとみることもできます。そのように信じたい人は、信じていればいいと思います。立証できなかっただけで、真実はわからないという見方もできると思います。

しかし、今や、「構図」を前提として考える妥当性は無くなってしまいました。

あっという間に、世の中を席巻したのは、登場人物のキャラクターが際立っていて、それをおもしろおかしくエスカレートさせて報道することができたからではないかと思います。被写体という材料として、格好の存在だったのだと思います。それを売り込むのに「構図」は都合が良かったのではないかと思います。

ただ、この結末により、今まで、「構図」で事件をみてきたほとんど人にとって、事件自体がどうでもいいことになってしまったのではないかと思います。この事件がはらむ他の大事な問題に一顧もせず。

偽装のきっかけは、「構図の」通りではなかったとしても、偽装が続けられ、エスカレートしていく経緯は明らかになったとはいえず、検証の余地は残っているのではないでしょうか。

私は、そこに新たな悪意を見出すのは難しいとは思っていますが、関係者の過失や不法行為の積み重ねは明らかにできると思っています。ひとつひとつは些細なものかもしれませんが、システムの根幹にかかわる問題があると思っています。「構図」のように、面白いものではありませんが……。

「構図」は、松本清張の世界のように壮大で、ハラハラとするものでした。しかし、それは、エンターテイメントとして整理され、素材が取捨選択されて、単純化されているから、面白いのだと思います。そういう気分で、人々は「楽しんだ」のではないかと思います。

しかし、現実は、ちっぽけな行為が、デタラメなシステムにより増幅され、深刻になってしまったという事件なのではないでしょうか。その全体像は、複雑で一筋縄で読み解く事は困難です。だからこそ、それを読み解く努力が必要なはずでした。しかし、その努力の機会は、松本清張ばりの「構図」によって奪われてしまったのではないかと思います。

結局、「構図」は、問題を矮小化してしまったと思います。

盛り上がったけれど、肝心な問題はぼけてしまいました。意図的にそのように仕組んだのならすごいことだと思います。例のブログさえ、筋書きの中の歯車のひとつにすぎないのでしょうか?それとも、たまたまなのでしょうか?それはそれで、新たな「構図」のネタになるかも?そっちこそ本質?

私は、重要なのは、「構図」の証明や、悪者の成敗ではなかったと考えています。世の中が「構図」に拘泥している間に、ほとんどの人には注目されないようなポイントがいくつも明らかになっています。捜査も、それに貢献しています。

今こそ、そのポイントのひとつひとつに対し、的確な解決を目指さなくてはならないと思います。マクロな構図はともかく、ミクロな問題点に真剣にならなくてはなりません。少なくとも、関係者はそのつもりで、捜査の事実上の終了を「けじめ」のひとつとしなくてはならないと思います。

私も、購入者、所有者として、やらねばならないことをひとつひとつやっていくつもりです。

何だか、消化不良です。しかし、それは、「構図」についての消化不良なのではなく、肝心な問題のひとつひとつについての消化不良です。
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by gskay | 2006-06-08 16:52 | 真相 構図 処分
「国会証言はうそ」
圧力があってはじめた偽装であるのか、自分ではじめたのかは重要なポイントではあると思います。国会証言で最初の偽装であるとしたヒューザー物件以前の物件に偽装がみられるという点は、随分前から報道されていることでした。結局、「圧力」がきっかけではないということを、本人が認めたらしいという報道がありました。

状況から見て、始めたきっかけについては、早い時期から疑問符がついていました。それが、本人の口から確認されたというだけのことのようです。これで、ヒューザーや、木村建設などが、偽装の開始に関与していたかどうかは微妙になっているようです。

しかし、その後、そのような偽装を続けることになり、近年、偽装件数を増やすに至った経緯は、別の問題として検証されなくてはならないと思います。ことによると、「構図」が証明されることになるかもしれません。

偽装を続けることの背景には、「圧力」はあったと想像します。「圧力」を加えた側にいわせれば、より高度な経済設計に対する技術的な圧力とのこと。しかし、それが、偽装という犯罪への直接の圧力でなかったかが問題になるのだと思います。

「構図」を信じる人の一部は、「国会証言はうそ」という発言自体が、どこかからの「圧力」によるものだと思うかもしれません。そういう人は、ここで幕引きになった場合、「世の中なんて、そんなものだ」と納得しつつ、ますます、想像を膨らませるのかもしれません。

矮小化されたままの幕の幕引きになるのでしょうか?「構図」はともかく、偽装のきっかけや、その継続とエスカレートについては、もっと追求しなくてはいけないことがあるはずなのに……。

ところで、そもそも、当人の発言などから、能力に疑問符がついてます。経済設計どころではないレベルで、普通の建物を本当に設計できたかどうか心配されています。まともな数値が出ているのは、「まぐれ」ではないかとさえ思われています。

一方で、高度な経済設計を達成していれば、「優秀」とみなされます。インチキでも。その結果、仕事も増えることになると思います。しかし、本当に高度な経済設計をすると手間がかかるし、能力も要求されるので、苦しみまぎれに、ますます偽装でごまかしていたのではないかと思います。

偽装していようがいまいが、建築確認は下り、「適法」とされてしまうということを知ってしまっていたというのが、続けることになった背景ではないかと思います。一旦、適法であるとされてしまうと、それを疑ったり、覆すのは難しいと思います。

それでも、「その構造計算はおかしい」といえる立場の人は大勢います。設計の元請けの設計事務所や、建築主、そして、当然、検査機関。さらに、施工や、特定行政庁、強いて加えるなら購入者、事業に融資した金融機関など。そのどこかから、然るべき指摘があれば、止まるはずでした。

ここまで、事態が拡大した原因は、設計事務所も建築主も下請けの仕事を点検せずに、デタラメな申請をしたことと、自治体であろうと民間であろうと検査機関が見逃し続けたことにあります。その責任は、手をゆるめることなく、追及し検証していかなくてはいけないと思います。

なぜ、気付かなかったのか?気付いていたとしたら、なぜ、黙っていたのか?そもそも、意図的ではなかったのか?……そういう疑念が、「構図」をつくりました。「構図」は、一つの仮説にすぎず、他のあらゆる可能性に含めて検討されなくてはなりません。「構図」を証明することになるのか、否定することになるのかわかりませんが、しっかりと追及しなくてはいけないはずです。「構図」が否定されたとしても、さらに検討しなくてはいけない問題があるはずです。しかし、怪しい雲行きで、これ以上は望めないのかもしれません。

一方、施工や、最終的な建築確認に責任を負う特定行政庁、購入者や金融機関は、「適法」という判断が前提で動いています。ところが、今回、その前提を疑うべきだという教訓ができたように思われます。これは、建築確認や、その後の検査の存在意義を根本から揺るがしています。その点についても考えなくてはなりません。

建築確認によって「適法」が確認されていて、その後の工事がぬかりなく行われていたとしても、設計が違法なら違法建築になってしまいます。当然だと考えられるようになっていますが、このようなケースは、これまで少なく、判断も対応もはっきりとはしていなかったと思います。この影響は、国民にとって未体験のものです。「構図」に登場する悪人をこらしめるという決着よりも、真剣に検討するべき問題が山積みのはずです。

しかし、肝心なことを忘れ、「構図」ばかりが先行してしまいました。今や、それさえ、霧の中に消えていきそうな気配です。

一人のデタラメの技術者のおかげで、システムの欠陥が白日のもとにさらされました。その上、そのデタラメな技術者の言葉に振り回され、私たちは考え違いをし、問題を真剣に考えるための貴重な機会を棒にふってしまったのかもしれません。事件そのものも問題ですが、事件への対応も別の問題として反省しなくてはいけないのかもしれません。
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by gskay | 2006-06-03 23:50 | 真相 構図 処分
小嶋元社長の取り調べへの期待(5)
竣工検査・完了検査が済み、登記がなされて以降、引き渡し前の内覧、振込手続き、保険関係の手続き、引越手続き……などが行われています。それまで住んでいた家を売却した人もいるようです。そうした一連の流れが、引き渡しに先だってにあります。

引き渡し前後の流れは、経験していないとわかりにくいかも知れないと思います。一戸建てでも、分譲であれば、似たような経験をすると思いますが、建築主として注文した場合は事情が違うのではないかと想像します。

報道を見る限り、そうした流れがおさえられていないと思います。そうした流れを検証すると、いつまでなら、スムーズに取引を止められたのかがわかるはずですが、そうした検証はないようです。

また、表沙汰になっているイーホームズとヒューザーという関係者の他に、国土交通省という重要な関係者の存在が忘れられているいるように思います。国土交通省および特定行政庁である藤沢市は、この複雑な手続きを強制的にストップすることができたはずです。金融をふくめ、様々な利害があっても、公的な強制力なら、ギリギリまで発動可能なはずです。しかし、していません。

発覚から公表までのタイムラグの経緯も、よく考えると不明瞭です。被害の拡大の要因の一つになっていると思います。未完成の物件については、工事や計画の中止の対応が取られています。にもかかわらず、完成していたり、引き渡しが済んでいる物件では、契約者や所有者にも事情が知らされないないままでした。未完成の物件でも、契約者は、事情を知らされず、契約解除に至るまでに無駄な時間をすごしています。

さらに、重大性の認識という点も、「震度5強で倒壊のおそれ」という評価や「0.5」という基準は、はじめからあったというよりは、後からの理屈のようです。その妥当性の検討も含め、どの段階から関係者に了解され、一般化したのかも検証されなくては行けない問題だと思います。

耐震性能が下がっている時点で重大の問題だと、今では考えられています。ところが、この事件に関係していない物件でも、1割も問題があるとされています。どういう重大さを持っているのか再検討する必要があると思います。

こうしたことは、悪事を追及する上では役に立たないかもしれません。しかし、システムの問題を明らかにし、将来に備えるためには必要な検討の機会になると思います。

おそらく、捜査に進展があっても、「どうすれば良かったか」ということは明らかにならないでしょう。捜査は、あるべき形を模索するものではありません。しかし、あるべき姿を模索するための材料を提供してくれると思います。

建築行政の当局や、立法府、それにマスコミや業界関係者、一般国民が広く取り上げるべき問題です。耐震偽装の構図や、「詐欺」という悪事は、野次馬にとっては面白いかもしれませんが、そちらにばかり目を奪われ、その周辺で明らかになった重要な問題を軽視してはいけないと思います。
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by gskay | 2006-05-23 20:43 | 真相 構図 処分
小嶋元社長の取り調べへの期待(4)
耐震強度の数値の「意味がわからなかった」という言い訳は、感心できない弁明だと思います。「1」以上を満たさなければ、全部ダメです。このため、弁明にはなりません。

この弁明については、
(1)耐震性能が深刻に下がりすぎていて重大だという認識
(2)耐震性能が下がっているのは瑕疵として、無条件に重大だという認識
という2点から考えてみる必要があると思います。

そもそも、あの時点で、耐震性能低減の深刻さをわかっていた人は少ないし、わかっていたとしても、例の「震度5強で倒壊のおそれ」という評価や、「0.5」についての基準が、はっきりしていたかどうかわかりません。いずれも、この耐震偽装事件を契機に一般化したのではないかと思います。

といっても、「1」しか基準になりません。それを、下回ればダメです。

ところで、「震度5強で倒壊のおそれ」という表現については、理論的予測と経験的予測がごちゃ混ぜになっているという指摘があり、妥当性に疑問を感じてる人もいるようですが、学術や技術の限界なのかと思います。今後、もっと精密な分析で判断が変わるかもしれませんが、仕方がないことです。

「0.5」についても、「なぜ?」という疑問を感じない訳ではありませんが、根拠が曖昧とはいえ、理論的に説明できる数値のようです。現在のところ、少なくとも、うちの物件では、妥当な補修方法もはみつかっておらず、「経験的」にも妥当なのかもしれないと思います。

いずれも、現状では、納得せざるを得ないと思われます。

しかし、あの時点では、そのように判断ができる条件が整っていたかどうかは疑問です。「震度5強で倒壊のおそれ」も「0.5」も、公表までのプロセスで取り上げられるようになったものではないかと考えています。11月17日以降に、一般化した概念だと思います。すでに用いられてきた考え方なのかもしれないし、新規に用いられるようになったのかもしれませんが、一般的ではなかったように思われます。

そうした程度を表現する方法の妥当性はともかく、小嶋元社長の嫌疑は、そのような耐震基準違反の深刻さが問題ではないと思います。「意味がわからなかった」は、深刻さの程度をわからなかったということで弁明しているつもりなら、それは意味がありません。

そもそも、基準以下はダメだといえるからです。

だとしても、耐震性能が基準を下回るという問題は、無条件に「重大な瑕疵」であるかどうかはポイントとして残ると思います。「重大な瑕疵」を過小評価するという判断の大きな過ちをおかしたと糾弾されています。

どのように判断すべきなのかは、必ずしも自明ではないと思います。小さな問題と考えて、後で対応できると判断した可能性はあると思います。この違反を、補修工事で対応できると考え、他のもろもろの小さな瑕疵と同じように考えた可能性はあると思います。

理屈の上では、耐震補修や、免震という選択肢があり、そうした対応での解決も不可能でありません。おそらく、政治家と大手ゼネコンへ訪問したりしたのもそうした発想の延長ではないかと思います。

新築マンションでは、完璧な状態での引き渡しは、ほとんどないと思います。内覧に内覧を重ねて、補修工事を重ねて、やっと引き渡し可能な状態になって引き渡されます。それでも、問題は発生し、それは、売り主によって補修されます。それと同じレベルで考えてしまったのではないかと思います。本当は、そんな風に考えるべきではなかったというのは、後知恵です。

重大性の認識について、問題となっている構造は、「重大な瑕疵」と言い切っていいのかどうかわかりません。公表後は、疑いも無く「重大」と認識できます。しかし、あの時点で、断定できたことなのかわかりません。対応しなかったり、あるいは、判断を適切に下さなかったという点では、国土交通省も同じです。きちんとした解釈を示していませんでした。対応らしい対応もしておらず、防げる問題を防げませんでした。

「認識」できなかったことや「告知」しなかったことの「重大さ」を見極める必要があると思います。認識や告知の有無の「重大さ」と、認識や告知されなかった内容の「重大さ」は、区別して考えなくてはなりません。

私は、「告知」し、引き渡しの保留等の提案をすることができたと思っています。しかし、そうではないという考えも成り立つかもしれないと考えています。

確かに、今となっては、「重大」です。そのように「重大」であるという認識が形成されるプロセスがあります。そのプロセスを解明するような取り調べを期待します。
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by gskay | 2006-05-22 10:42 | 真相 構図 処分