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住民による国への提訴
私のマンションでは、裁判を行うという話はありません。自治体による最大限の配慮のもと、まだまだ調整しなくてはいけないことがたくさんあるようですが、建て替え事業は着実に進んでいます。

耐震偽装という問題が発生した経緯や責任の有無の追及は切り離し、その後の対応だけを考えれば、建て替え事業が最大の関心です。それが頓挫しているのなら、訴訟も辞さない覚悟はあります。しかし、幸いにして、その必要は感じていません。

国や自治体などを相手取った住民による裁判が提訴されたということですが、提訴したのは、住民の強い意志によって、早い時期から建て替えに取り組んだマンションです。建て替えを速やかに行うことで負担を最小限にするとともに、損害の回復や費用負担についての追及は、建て替えの後にじっくりと取り組むという方針だったのだと想像しています。その取り組みに決着がついていないのであれば、時効を考慮し、この時期に提訴する必要があります。

行政の不適切な手続きが、不作為や恣意的な裁量と判断されるケースが増えているように思います。権限にともなう責任が法令には明記されていないことが多いものの、裁判所が司法の論理で判断すれば、しかるべき判断が下されると思います。

ただ、行政を統治と考え、司法を行政による統治の一部を分権したものと考える裁判官も多いと思うので、簡単には好ましい判断を得るのは難しいと思います。加えて、法律は、責任が明記されていないどころか、公的な権限に責任が及ばないような工夫までされていますし……。


耐震偽装の姉歯マンション、住民が国などに10億円損賠提訴(読売新聞) - Yahoo!ニュース


10月6日21時57分配信 読売新聞

 耐震強度が偽装された2つの分譲マンションの住民が、国と自治体、指定確認検査機関イーホームズ(廃業)に建て替え費用や慰謝料など計約10億4500万円の損害賠償を求める訴訟を6日、東京地裁に起こした。

 耐震偽装を巡る訴訟で、国を訴えたのは初めて。

 訴えたのは、「グランドステージ(GS)千歳烏山」(東京都世田谷区)と「GS溝の口」(川崎市)の住民38世帯57人。

 訴状によると、原告らは2002年〜04年、元1級建築士・姉歯秀次受刑者(51)が構造計算を行い、ヒューザー(破産)が販売したこれらのマンションを約4000万〜6000万円で購入した。しかし、05年11月の耐震偽装問題発覚で、いずれも解体の対象となり、住宅ローン以外に、建て替え費用約2000万円の追加負担を強いられたという。

 訴状では、「国は偽装が容易な構造計算プログラムを認定し、確認検査機関の監督も不十分だった」と主張。

 「国土交通省は02年ごろには、他の検査機関に関する不正の情報をつかんでいたのに、イーホームズなどへの立ち入り検査を怠った」と国の過失を指摘している。

 提訴後、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見した原告の西川智さん(38)は「国は建築確認の民間開放を進めたが、経済効率を優先するずさんな検査がまかり通り、いくつもの欠陥住宅が生み出された。国民の安全を守る義務を放棄した責任は重い」と話した。

 井上俊之・国交省建築指導課長の話「確認検査機関の監督などは適正に行っており、法的責任はないと考えている」


大した問題ではありませんが、国を訴えると、自己責任論が再燃する可能性もあると思います。国を訴えるということだけで、過剰な批判を浴びることなりかねませんが、おそらく、中身はともないません。そのような雑音には影響されずに、頑張って欲しいと思います。

耐震偽装における自己責任論につきものの「安物買いの銭失い」説は、今でも根強いと思います。そもそもの「安物」説は実態に基づくものではなく、イメージ操作による虚構です。しかし、体力がないデベロッパーから購入したために、ややこしいことになっているのは事実です。

このややこしい状況は、自分の責任で克服しなくてはいけません。克服には様々な方法があります。何もせず、甘んじて被害に耐えるという方法もあります。徹底的に納得するまで交渉を続けるという方法もあります。国を訴えるという選択も、様々な選択肢の中のひとつであり、訴えた住民は、自らの責任で選んだものだと思います。訴えた住民が自らの責任を放棄し、国に責任転嫁しようとしているという非難は見当違いです。

耐震偽装が発生してしまった背景は、おおむね解明されています。そこに国の関与があります。ただし、法律は、その行為の責任を明記していないので、どのような責任を負うべきか明確ではありません。それが、「井上俊之・国交省建築指導課長の話『確認検査機関の監督などは適正に行っており、法的責任はないと考えている』」という発言につながっていると思います。

これまでは、不作為にしろ、恣意的な裁量にしろ、行政を裁くのは難しいことでした。最近は、言い逃れが許されない事例が増えています。耐震偽装がそのような事例にあたるかどうかはわかりません。しかし、それが明らかでないからこそ、裁判で決着をつける必要があるのだと思われます。

ところで、弁護団がどのように考えているかわかりませんが、一点だけでも住民の請求が認められれば充分だと思います。行政が費用を負担するための何らかの根拠が得られればいいのですから。

裁判を通じて、日本中に蔓延する欠陥住宅問題の解決に貢献しようなどとは思わない事が大切だと思います。広く問題を扱うのではなく、勝てるポイントだけで勝負し勝つ事が本当の前進であり、問題解決への貢献です。

うまくいけば、高裁までで決着すると思います。情勢が不利になると、当局は最高裁の判断を避けると思います。最高裁の判断は、当局を拘束することになるからです。

「国は建築確認の民間開放を進めたが、経済効率を優先するずさんな検査がまかり通り、いくつもの欠陥住宅が生み出された。国民の安全を守る義務を放棄した責任は重い」という問題意識は、そうかもしれません。しかし、それを明らかして正義を貫くための裁判ではなく、請求した費用や慰謝料を獲得するための裁判として頑張って欲しいと思います。

正義を確認するためだけの裁判などありえません。被害の回復のためだと割り切って裁判を行うべきだと思います。裁判にとっては、正義は、請求を勝ち取るための道具に過ぎないと思います。判決によって正義が確認されるかもしれませんが、本末が転倒することがないようにしっかりと頑張って欲しいと思います。

ところで、ヒューザーも、国や自治体を相手取った訴訟を起こしていて、取り下げられたという話はきいていないので、破産管財人がその裁判を続けていると思います。その裁判の一部は、今回の住民からの訴訟と重複するように思います。その部分が住民の訴訟に移されることになるのか、一緒に裁判をするのかわかりません。

ヒューザーや住民が裁判に勝った場合、自ら訴えている住民は、自分たちが請求して認められた分については、全てを得ることができます。これに対し、訴えていない住民は、ヒューザーの破産財団からの配当になるので、ヒューザーが勝ったとしても、他の債権者への配当にもまわされてしまうので、受け取れる額は小さくなることと思います。そういう点でも、住民が自ら訴え出ることには意義があります。

住民と住民側の弁護団が、どのような方針で臨むのかわかりません。ヒューザーの破産管財人の裁判も時間がかかっているように思われます。同じように時間がかかり過ぎると訴訟を維持するだけで大きな負担になります。的確に裁判が進めることが大切だと思います。

訴訟をめぐっては、メリットやデメリット、リスクをどのように評価するか、それぞれの事情で異なります。全ての住民が自ら裁判に訴えるという状況にはならないだろうと思います。
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by gskay | 2008-10-07 05:45 | 損害と回復
ホテル業者による行政への賠償請求
耐震偽装では、建築確認という制度の責任や意義が大きなテーマのひとつです。強力であり重要な手続きであるにもかかわらず、その責任の範囲は曖昧です。特定行政庁は、自らが出した建築確認であっても、自らの使用禁止命令などによって実質的に否定できる一方で、自らが出した建築確認に対する責任は負いません。

その「誤った」建築確認がなければ、問題の建物は建たなかったはずですが、その点は、問題として取り上げられてはきませんでした。

中日新聞:耐震偽装で愛知県を賠償提訴 姉歯物件のホテル業者、2億7000万円求める:社会(CHUNICHI Web)


耐震偽装で愛知県を賠償提訴 姉歯物件のホテル業者、2億7000万円求める

2008年8月20日 朝刊

 耐震強度偽装事件に巻き込まれ、ホテル改修を余儀なくされたのは、愛知県の建築主事が建築確認で偽装を見抜けなかったためとして、ビジネスホテルのアズイン大府(同県大府市)を運営するフリックイン福井(福井市)が、愛知県に約2億7000万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 訴えによると、同社は2003年3月、設計会社を通じて県に建築確認を申請。適合の判断を受けて着工し、同年11月にホテルをオープンした。

 しかし約2年後、元一級建築士姉歯秀次受刑者(51)=建築基準法違反罪などで実刑確定=による耐震強度偽装が発覚。姉歯受刑者が構造設計を担当していた同ホテルは、改修と06年6月までの休業を余儀なくされた。

 原告らは「建築確認で柱に必要な鉄筋量を満たしていないことは簡単に分かったのに、十分に検査せず偽装を見過ごした」と建築主事のミスを指摘。改修費と約7カ月間の休業補償を求めている。

 県建築指導課は「建築確認に必要な手続きや適切な対応をとっており、過失はない」としている。

住民によっておこされている裁判も同じですが、簡単な裁判ではないと思います。実際に発生してしまった損害に対し、どうように負担を分担すべきかという問題で、関係者の納得が第一です。何を争点にするかを絞り込まなくてはいけません。

建築確認における「過失」の有無について問う裁判になる様子です。「偽装」を見逃したことが過失によるかどうかを論じることは、事の本質に迫るアプローチではあるものの、民事の問題としては難しい問題になるのではないかと思います。

当時の仕組みでは、元建築士が行った偽装は、建築確認の前に設計会社がまとめ、その設計会社の責任で図書が提出されているのであり、誰が下請けで構造設計していようと関係がないばかりか、故意の偽装があったかどうかも関係なく、建築確認では、設計会社の設計が適法であるかどうかだけが問題になります。

不適切な設計が提出されていたにもかかわらず、それを見逃したことが問題であり、そこに偽装があったかどうかとは別の問題として考えると問題は単純になるように思います。記事のように、偽装を見過ごしたことを問題にするのではなく、問題を広くとらえて、適法でない設計を適法と認めてしまったことを問題にすべきだと思います。

また、適法でない建物ができてしまった全責任が建築確認のための検査の誤りにあるとはいえないものの、建築確認が適切に行われていれば、このような形で違法建築が生まれることがなかったという点を重視すべきだと思います。どのような連帯責任として考えるべきかが問題になると思います。

ただ、特定行政庁が責任を逃れる方法はいくらでもあります。元建築士の故意の偽装は、設計会社や特定行政庁、建築主などを欺くために行われたものだと主張することができるからです。この場合、偽装が簡単に見抜けるものだったら、特定行政庁の責任を追及できるかもしれませんが、なぜ、設計段階や建築主が気付かなかったのかという問題にもなるので、微妙です。一方で、とても高度であったなら、不可抗力ということになります。

肝心なのは、損害の分担をどのように考えるかだと思います。県が、徹底的に争う構えなのか、それとも、法律ではっきりと定まっていない部分についても賠償に応じるために、判決によるお墨付きを必要としているということなのかかわかりません。

ところで、耐震偽装の後始末については、耐震性能が基準以下かもしれませんが、適法としてしまった建築確認の意義を認め、既存不適格とみなして耐震補強が必要な建物と同じに扱うこともできたのではないかと思います。そういう捉え方をしていれば、一連の出来事は、全く異なるものになっていただろうと思います。

耐震基準については、これから作られるまだできていない建物にこそ適用されるべきで、取り締まりの基準として用いることが妥当であったのか考え直してみる必要もあると思います。そう考えると、行政の対応についても、裁判についても、全く違ったあらすじを書く事が可能ではないかと思います。
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by gskay | 2008-08-30 02:17 | 損害と回復
住宅ローンの担当の人
少し前になりますが、住宅ローンを借りている銀行の担当という人から家内に連絡があったそうです。本来なら、ローンを借りている本人である私を訪ねたいところだったのだと思いますが、出張で遠くにいるため、家内の職場に来る事になったようです。

「一体,何の用件があるのだろう?」と、家内は心配していて、要望や質問を用意しておかないといけないだろうかと悩んでいました。

住宅ローンの金利が減免されていますが、その措置の期限についての話が少しあった以外、結局、挨拶だけだったそうです。わざわざ、そのために職場を訪ねてくれたようだという話でした。

銀行にとってみれば、金利がとれないので、有り難くない客かもしれません。ただ、追加ローンのことなどを考えると、収入や仕事がしっかりしているなら、手堅い客でもあるのかもしれません。そのあたりが、どんな様子かを確かめたかったのかもしれないとも思っています。

住宅ローンについては、金利の減免があるかわりに、返済も遅くなっています。繰り上げ返済もできません。今は楽ですが、今後の負担になります。さらに、これに追加ローンが加わります。

そうした状況に耐えられるかどうかは、銀行にとっては心配だろうと思います。我が家の場合、今のところ、見通しが悪くないので、楽観的に考えています。
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by gskay | 2008-06-25 12:39 | 損害と回復
解体費用の負担
どのような手続きで、藤沢の物件が部分解体に進んだのか詳しい事は知りません。行政の権限によって、代執行されたのかと想像していました。建物が違法でなくなればいいので、途中の階まで解体されているとのこと。途中まで解体された今の建物は、適法ということになるのかもしれませんが、使用を前提とした手続きはとられたのでしょうか?それとも、制限がかけられたままなのでしょうか?

中途半端な適法の建物についての権利がとても複雑になっていることと想像します。共同所有だけが残って、専有部分という概念は吹っ飛んでいることと思います。しかも、共同所有者には、売れ残りのヒューザー所有部分があるから厄介です。

<耐震偽装>ヒューザー破産管財人に撤去費支払い命令(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


11月27日21時48分配信 毎日新聞

 耐震データが偽造された神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ藤沢」(10階建て)を巡り、同市が上層階の撤去費用約3億円の支払いを販売主ヒューザーの破産管財人に求めた訴訟で、東京地裁(綿引穣裁判長)は27日、1億3187万円の支払いを命じた。

 元1級建築士の姉歯秀次被告(50)=1、2審実刑、上告中=が構造計算した同マンションは、耐震強度が0.15と極端に低く、震度5弱程度の地震で倒壊する恐れが判明。市は管財人側の要望を受け、3月までに4階以上を公費で撤去した。

 問題発覚時、17戸が販売済みで13戸をヒューザーが所有。判決は、市が建築基準法に基づく撤去命令を出し、管財人側も同意していたことなどから「管財人はヒューザーの所有分について費用負担は免れない」と判断した。【北村和巳】


ヒューザー側に返還命令=GS藤沢の解体費用−東京地裁(時事通信) - Yahoo!ニュース


11月27日22時1分配信 時事通信

 耐震強度偽装事件をめぐり、「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)の解体工事を行った同市が販売会社ヒューザーの破産管財人を相手に、解体費用約3億円の返還を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。綿引穣裁判長は「ヒューザーが所有している13戸については、負担を免れない」として、約1億3000万円の支払いを命じた。
 マンションは地下1階、地上10階建て。部屋は30戸で、ヒューザーは17戸を分譲した。
 藤沢市は分譲された部分についても、負担を求めたが、綿引裁判長は「市は(分譲を受けた)所有者に対して解体費用の返還を求めることができる」と述べ、訴えを退けた。 

読む事ができた二つの記事のうち、毎日新聞の記事では、ヒューザーの破産管財人と市との交渉を軸に報じています。どのような取り決めがあったかということが問題になるのだろうと思われますが、この物件についての個別的な事情といえると思います。

一方、時事通信は、別の視点です。解体費用を本来負担するのは、所有者であって、瑕疵担保責任を負う売り主ではないという判決の意義を報じているように思われます。

所有者を飛び越えて、売り主に費用を請求できるのであれば、全額が認められる判決になっていたことでしょう。しかし、判決で認められたのは、売れ残り分だけ。さらに、「市は(分譲を受けた)所有者に対して解体費用の返還を求めることができる」とのこと。

最終的には、売り主の責任を追及し、費用を請求することになるとはいえ、まず費用を負担すべきなのは所有者であるということを明らかにしているようです。

この判決を、関係者がどのような受け止め方をしているのかは、わかりません。

今後の手続きとしては、市が管財人に請求できる費用は、すでに破産手続きに入っている以上、破産債権として取り扱われ、配当されるのかもしれません。

もし、住民がヒューザーに請求できる権利も市が取得していると主張するなら、市がさらに争うかもしれません。

一方で、管財人としては、一部撤去にいたるプロセスで行われた同意をどのように考えるべきかという観点から、さらに争うかもしれません。

そのような個別の事情以上に、時事通信が伝えているポイントは重大です。

拙ブログの昔のエントリ(「揺れるマンション」顛末記 : 「最悪でも……」)に、「アパの住人です」さんから、2種間ほど前にコメントを頂戴しています。不注意で見落としていました。申し訳なく思っています。そのコメントに対する意見としては、この判決と、「施工や設計の責任〜最高裁」で取り上げた最高裁の判断をもとに考えるのが妥当だと思います。

アパの社長に対する感情も軽んじることはできませんが、まず、所有者の責務として、建物の適法性を確保し、それを公的に認定させることが第一だと思います。その費用を、アパが直接負担してくれるのが一番だと思いますが、たとえ、それが難航していても、所有者としての責務は免除されるわけではないと考えるべきだと思います。

そこで、まず、所有者としてとるべき措置をとり、その費用負担を売り主はもとより、施工、設計などの関係者に請求する手続きをとることになるのだと思います。今後、別の判断が出る可能性がありますが、この判決をみる限り、売り主が主体となって積極的に対応することは要求されていないと考えるべきだと思います。私が知る限りでは、対応については、所有者自身でとりかからなくてはいけないと考えるべきではないかと思います。

アパの責任も、その他の関係者の責任も重大ですが、それが、アパや関係者が主体となって積極的な対応をするべきだという根拠とはならないようです。道義的にみて、アパが主体となって積極的な対応を取る方が、社会的な責任を果たした企業ということで、長期的には評価されるように思います。アピールできるポイントにもなると思います。しかし、それをアパが選択しないというのであれば、それまでです。

もし、説得ができるなら説得した方がいいと思います。しかし、その説得が不調に終わるなら、時間や労力が浪費されるだけになってしまいかねません。感情的にも、一層つらいことになると思います。望みが薄いのであれば、仕方がないので、まず所有者としての対応を行うとともに、売り主や関係者に費用などを請求するという段取りになるのだと思います。満足できる形で和解できるかもしれませんが、訴訟にいたる覚悟は前提になると思います。
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by gskay | 2007-12-03 08:21 | 損害と回復
金利の変更
住宅ローンの金利の変更のため、銀行の担当者の話をききました。金利軽減措置の延長についてです。

金利は、持続的に上昇中ということでしたが、アメリカのサブプライムローンの問題を引き金とした世界経済の影響があったのか、前月にくらべ、金利が下がったという話をききました。

アメリカの金利が下がったため、為替の安定を維持するために、日本の金利も下がったようです。仕事の関係で外国にいる時には、個人的には、円高の方がうれしく思えるのですが……。

竣工に向かう物件や、着々と補強が進む物件がある中で、うちは、まだまだ時間がかかります。銀行とのつきあいは、長く続くことになりそうです。
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by gskay | 2007-10-07 00:55 | 損害と回復
施工や設計の責任〜最高裁
耐震偽装事件に関連させることが出来るのかどうかはわかりませんが、建築の責任関係において画期的な判断だと思います。

47NEWS 安全性欠けば賠償請求可能 欠陥住宅めぐり最高裁


 欠陥住宅をめぐり、購入者が売り主だけではなく、直接契約関係のない建設会社や設計者にも賠償責任を問える基準が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は6日、「建物の基本的な安全性を害する欠陥があれば、不法行為に基づく損害賠償を求められる」と、購入者側に有利となる初判断を示した。

 その上で、建設会社などに賠償責任が生じる要件を「故意に欠陥をつくった場合や、重大な構造的欠陥があるなど違法性が強い場合」に限定して購入者側の請求を退けた2審福岡高裁判決を破棄、審理を同高裁に差し戻した。

 住宅購入者は売り主に対し、瑕疵担保責任という原則に基づき、欠陥の賠償を求められるが、直接契約関係にない建設会社などへの責任追及については地、高裁段階での判断が分かれていた。

 最高裁が今回、民法の不法行為責任を根拠に追及できる判断基準を明示したことで、直接契約関係にない建設会社も賠償責任を負わされるケースが増えるとみられる。売り主に資力がなく賠償金を得られず購入者が泣き寝入りすることも多いとされる欠陥住宅問題に大きな影響を与えそうだ。
2007/07/06 17:36 【共同通信】

この判断があと半年早ければ、木村建設の破産についての態度は変わっていたかもしれません。

「揺れるマンション」顛末記 : 木村建設の破産債権の査定

査定では、不法行為については、煮え切らないものでした。施工者は、現実問題として耐震強度の低下を施工においては見抜くことはできず、それを技術基準として要求されてもいないというのが地方裁判所の判断の根拠だったので、裁判で争っても勝つのは難しいかもしれません。

「違法性の重大さ」については、重大さを証明することさえ、容易ではありません。行政的、メディア的には、一方的に重大だと決めつけることが可能かもしれませんが、司法ではそうはいきません。その負担に見合う見返りは期待できないような気がします。

安全の確保をはじめ、様々な点で曖昧な責任関係が放置されている建築において、画期的な判断だと思います。本来は、法律で明確にしておくべきことだと思います。
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by gskay | 2007-07-07 09:17 | 損害と回復
小嶋社長について
また、仕事で更新が滞っています。

今のように、仕事に集中できる環境を幸せだと感じています。今でも、役員の方々は奮闘しておられるし、関連する機関も忙しい事と思います。申し訳ないと思うとともに、自分にとっての仕事の大切さを再確認しています。この事件に巻き込まれなかったら気付かなかったのではないかと思います。

銀行の取り引き履歴をみたところ、小嶋社長個人の破産についての、配当が振り込まれていました。法人であるヒューザーの破産による配当の100分の1くらいの額でした。管財人はヒューザーと一緒で、債権として認められた額も、基本的にヒューザー社の破産で認められた額でした。

この金額から、ヒューザーという法人の100分の1の資産を小嶋社長という創業者個人が持っていたのかと考えましたが、債権者が、必ずしも共通ではないので、何とも言えないようです。

この配当で、小嶋社長との直接的な関係は終わりになるのだと思います。

ところで、随分前のことになりましたが、小嶋社長が保釈されたというニュースがありました。この事件で、これだけ長い期間保釈されなかったということの意味は、私にはよくわかりません。どのような判決になるのかという見通しも、私にはわかりません。

騙しとったとされる代金の支払いの手続きのあり方や、建築基準法における処分のあり方が問題になる裁判で、小嶋社長を有罪だと決めてかかることはできないと、私は考えています。

とはいうものの、わたしにとって小嶋社長は、民事上の相手であることが第一であり、損害を回復するための相手でした。そちらの処分は、配当によって、もう終わっています。
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by gskay | 2007-04-30 06:49 | 損害と回復
再開します
とても忙しい生活を送っていて、このブログどころではなかったので、ずっとサボっていました。今も、忙しい事には変わりがありませんが、少し余裕が出て来たところで再開しようと思います。

もうひと月近く前になってしまいますが、3月18日に藤沢の物件の建替えについて、業者が全て辞退したというニュースがありました。建替え事業が暗礁に乗り上げたことが明らかになった最初のケースだと思います。

この物件は特殊な条件がたくさんあります。例外的な部分も多々あります。しかし、小嶋社長の刑事事件で取り上げられたことや、強度がもっとも弱く、いち早く取り壊しが行われたことで、注目されている物件でもあります。

この物件の特殊性は、売れ残りがたくさんあるということです。その売れ残りの権利関係が複雑であるため、一筋縄ではいきません。もし、全住戸が売れていれば、発生しないような課題をかかえているのだと思います。ゼネコンなどが、及び腰になるのは仕方がないかもしれません。

建替え事業としては、住民以外の分を分譲などにまわすにしても、それがうまく行かない懸念があります。少なくとも、ヒューザーは売れ残りを出していたのですから。

いち早く除却をはじめた藤沢市の当局は、現在、その費用の回収について、ヒューザーの管財人と争っています。

住民も、別の角度から、損失の回収を増やす方向で動いているようです。

必ずしも、再建だけが唯一の解決策ではありません。満足できる住環境を手に入れつつ、損失を最小限にするという方針も妥当なものだと思います。当局も住民も、少しでも多く回収しようという姿勢は、そうした事情を反映しているような気がします。

ところで、まだまだ、バタバタしているので、更新は、不定期になりそうです。私のところも、大事な時期にさしかかっているのですが、仕事の関係でどうにもならない状況に歯がゆさを感じています。
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by gskay | 2007-04-15 22:41 | 損害と回復
木村建設の破産債権の査定
しばらく、自分でも、こんなに仕事ができるのかとビックリする程のスケジュールで、更新がままなりませんでした。ハードスケジュールのピークをこえたので、久々の更新です。

さて、私がネット環境から離れ、耐震偽装の問題も頭の片隅のさらに隅に追いやっていた2週間の間に、木村建設の破産債権についての東京地方裁判所による査定がありました。3人の裁判官の名前と、一人の裁判所書記官の名前が記されており、裁判所書記官の印が押されていました。

査定額は、0円でした。

査定額よりも、その理由が気になりました。

「不法行為責任を負う余地がまったくないとまではいえない」そうです。「建築工事のみを請け負った者であるから」、「設計図書どおりに施工することがその本来的な義務ということになるが」、「設計図書自体に偽装がある場合に、その適正を調査・確認する義務までも負うか否かは問題である」としています。

その問題に対しては、建設業法に定める「主任技術者」や「監理技術者」を取り上げ、「技術検定の内容に照らして」、「建築士の実施する構造計算を検証できるような構造計算に関する高い知識と技術を有することまでは要求されていないというべきである」とし、「設計図書自体の適正を確認した上で施工をすべき義務はないと解するのが相当であり、まして、本件では、指定確認検査機関による検査において問題を指揮されず、特定行政庁による建築確認がされるなど、構造計算自体が巧妙に偽装されていた場合であるから、設計図書どおりの施工を行うという義務を本来的に負うにすぎない破産者に、構造計算の偽装を看過した過失があるものと認めることは困難と言わざるを得ない」と判断しています。

裁判所は、施工業者が留意すべき安全についての判断には踏み込みませんでした。また、安全について、建築に従事する様々な業者が負うべき責任や役割についても判断しませんでした。

その代わりに、従事する技術者への公的な検定制度の技術基準を持ち出して、無理だったと判断しています。法が作られた理念よりも、実態を優先した判断なのだと思います。

建築と言う仕事の特別な点、特に安全についての配慮を法律が明確に定めていない以上、これ以上の判断を司法に求めることはできないと思います。逆にいえば、このような関係を立法によって法律で整備すべきです。

公的な検定制度の技術基準を定めることも手段としては可能だとは思います。しかし、理念を明確にすることが必要ではないかと私は思います。

査定額0円自体は、予想されていたもので、手続きをどこで終わりにするかという問題です。私は、ここで、終わりにしようと思います。これ以上は、訴訟の費用が必要になり、時間もかかるからです。それは、割に合いません。

ところで、木村建設関係者の刑事裁判は、みな耐震偽装そのものとは関係のない裁判でした。木村建設関係者に耐震偽装の責任を問うのは無理だというのが、検察の判断だったのだと思います。

また、私が手にした裁判所の判断は民事のものですが、木村建設がメディアに執拗に叩かれた事情を肯定するような判断は、どこにも含まれていないように思えます。
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by gskay | 2007-04-02 11:41 | 損害と回復
更正の手続きと確定申告
所得税の確定申告に行って来ました。バタバタしていて、税務署になかなか行けず、ギリギリ気味です。ギリギリになると混雑するという話だったので、朝一番で行きました。

まず、昨年分の更正請求。ヒューザーから中間配当があったことと、区による建物の再評価が行われたことで、更正が必要になりました。さらに、解体費も含めて計算しました。

昨年の申告では、消費税から計算した建物価格を雑損として計算しましたが、区による鑑定や、固定資産としての評価を再検討し、最も額が高い金額で申告することになりました。区からその認定書をもらっています。私の場合、固定資産としての評価が認定されました。

また、ヒューザーからの配当については、建物消費税、建物価格、解体費として認められた債権の15%を雑損から差し引くことになりました。

その計算でトラブル発生。私は、前日にはりきって、エクセルで計算したのですが、税務署の担当の人と計算が合いません。3円の誤差がでます。

私は、建物消費税と建物価格と解体費を足した金額に0.15をかけ、最後に小数点以下を切るという計算をしました。偶然ですが、小数点以下はありませんでした。

一方、税務署の担当の人は、建物消費税に0.15をかけて小数点以下を切り、建物価格に0.15をかけて小数点以下を切り、解体費に0.15をかけて小数点以下を切り、それぞれを足すという計算をしていました。電卓の“M+”のキーを巧みに使いながらの計算でした。私は、すっかり、電卓を使わなくなっていたので、感心してしまいました。

小数点以下の切り捨ての回数の関係で3円の誤差が出たようです。

大した差ではありませんが、おかげで、3円雑損が増えました。その3円が影響する項目を二重線で消して訂正し、訂正印を押して終了でした。

昨年の計算のままでは、ほとんど来年への雑損の繰り越しはない位でした。今回の更正により、繰り越し可能な4年のうちの残りの2年についても、繰り越すことになりそうです。(今年、余程、大儲けをしたら別ですが、残念ながら、そんな予定はないので……)
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by gskay | 2007-03-14 10:18 | 損害と回復