カテゴリ:損害と回復( 79 )
川崎の住民による民事訴訟開始
住民による初の民事訴訟です。この裁判は、訴訟を検討したり、準備したりという段階にいる私たちにとって、推移がとても気になります。

この訴訟では、損害を回復するために責任の所在を明らかにするのであって、その逆ではありません。決して、責任追及のついでに損害を回復しようという行為ではありません。

現状では、損害が確定したとは言えない段階であり、今後、何らかの形で損害の回復が行われるようなことがあれば、訴訟を継続すべきかどうかの判断は変わって来ると思います。

asahi.com姉歯被告ら「賠償義務は争う」 GS川崎大師住民訴訟


2006年09月11日20時40分
 耐震強度が偽装されたヒューザーの分譲マンション「グランドステージ川崎大師」(川崎市、23戸)の区分所有者33人が、元1級建築士の姉歯秀次被告や川崎市、施工会社の太平工業などに総額約7億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁で開かれた。被告側はそれぞれ請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を見せた。

 姉歯被告は勾留(こうりゅう)中で出頭できず、「偽装の事実は認め、賠償する義務を負うとの主張は争う」などとする答弁書を提出。川崎市は「民間検査機関が行う構造計算の審査は特定行政庁の監督の守備範囲ではなく、川崎市が賠償責任を負うことはない」などと反論した。

 姉歯被告の偽装で被害を受けた住民による初の訴訟で、(1)民間確認検査機関イーホームズの偽装見逃しに対し、建築主事を置く特定行政庁の川崎市が賠償責任を負うか(2)偽装を見逃して施工したことに対し、施工会社は賠償責任を負うか(3)施工不良が耐震強度に影響しているか——などが争点となっている。

 住民代表の平貢秀さん(43)は法廷で「この問題は、建築のプロが一人でもまともなことをしていれば見抜け、事件を未然に防ぐことができた」などと意見を述べた。



耐震計算偽造:川崎市や業者側、住民と争う姿勢−−賠償訴訟



 耐震データ偽造事件で、強度が基準の30%と診断された川崎市川崎区のマンション「グランドステージ川崎大師」(23戸)の住民33人が、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)や同市などに建て替え費用など約7億5000万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁(野山宏裁判長)であった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を見せた。
 川崎市と施工業者「太平工業」(東京都中央区)は答弁書で、住民側に「どんな過失があったと主張するのか」と逆に尋ねた。【高倉友彰】
毎日新聞 2006年9月12日 東京朝刊



姉歯被告や川崎市争う 耐震偽装マンション訴訟[CHUNICHI WEB PRESS]


 耐震強度が偽装された川崎市川崎区の分譲マンション「グランドステージ川崎大師」を退去した全23世帯、計33人が元1級建築士姉歯秀次被告(49)=建築基準法違反罪などで公判中=や川崎市などに約7億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁(野山宏裁判長)であり、被告側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 被告側はほかに施工した太平工業(東京)、設計したスペースワン建築研究所(同)など。

 答弁書で姉歯被告は「構造計算書の偽造は認めるが、賠償義務を負うとの原告の主張は争う」、川崎市は「指定確認検査機関イーホームズの審査に過誤があったとしても、イ社は独立した存在であり、市が賠償責任を負うことはない」とそれぞれ反論した。


(2006年9月11日)

報じている記事は、どれも断片的なので、3つを並べて引用しました。

元建築士が、賠償責任を否定して来たのは一理あると思います。設計の下請けに過ぎず、賠償は、違法な内容の設計をした設計事務所に求めるべきものだと考えることができるからです。設計事務所が賠償をすることになったら、その賠償によって生じた損害を、元建築士に賠償させることになります。

その場合でも、設計事務所には、違法を見落としたまま建築確認の申請をしたという責任があります。その分について、設計事務所と元建築士との間で相殺するような交渉が行われたり、訴訟が行われることになると思います。

ただ、元建築士に賠償能力があるかどうかは別問題で、現実的に考えて、訴えたところで得るものは少ないかもしれません。報じられている訴訟も、その問題を抱えています。

特定行政庁である川崎市の主張は、建築確認制度の根幹に関わる問題で、民間検査機関の位置づけを確認する重要な裁判になると思います。すでに、ヒューザーが起こしている裁判でも問われている問題です。

施工会社の責任は、施工不良はともかく、違法な設計図を元に建築した点が問われていると思います。適法な設計であると審査によって確認されているので、微妙ではないかと思います。ただし、世間で言われているように、施工中に「おかしいぞ」と思ったのであれば、そのことについて適切に対処する責任はあったと思われます。変だと全然思わなかったという場合にまで、不注意を咎めることができるのかがポイントになると思います。責任を問える可能性がないわけではないと思っています。

ちなみに、木村建設施工の場合、木村建設は整理中なので、住民の請求は、破産の手続きに含まれてしまいました。木村建設の場合、資産の回収に手こずっているようで、あまり期待はできません。また、住民が届けた債権を破産管財人が認めるとは限りません。

もし、木村建設の管財人が住民の債権を認めないという場合、訴訟もありうる話です。これは、川崎の訴訟の結末次第で、状況が変わります。ただ、資産の回収状況によっては、そんな議論は無駄という可能性もあります。まずは、破産管財人に頑張ってもらいたいと思います。少なくとも、破産の引き金を作った銀行の預金と、税の還付については頑張って欲しいところです。

引用した記事では触れられていませんが、不真正連帯も、話をややこしくしている点になってくると思います。建築は、曖昧な責任関係のままで、多くの人が関わりすぎているのだと思います。建築制度の最大の問題の一つだと思います。

ところで、引用した記事について思うのは、紙面の都合などもあると思いますが、不足のない報道の困難さです。民事訴訟について報じる場合、原告が誰で、被告が誰で、何を請求する裁判であるのかが明確でなくてはならないように思います。被告について網羅しているとはいえない記事ばかり。請求の内容も、金額だけしかわからない始末です。

争点についても明らかになるように報じる必要があると思います。裁判所が判断を下さなければいけない問題について報じて欲しいと思います。その上で、どのような主張がなされたのかを報じる必要があります。

見比べてみて、いずれの記事も断片的だと感じられます。

もっと知りたいなら、裁判所に行くなり、自分で調べろということでしょうが……。
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by gskay | 2006-09-13 15:46 | 損害と回復
訴訟の見通し
余裕をもって自力での建て替えが可能な状況だとしたら、損害回復のための訴訟の性格は変わっていたと思います。何も考えずに自治体を相手にできたと思います。公的な対応も気にかける必要はありません。しかし、そういう状況だったら、そもそも、住宅ローンなんて借りなかっただろうと思います。一部を除けば、ローンが残ったままで、権利関係が複雑です。

不真正連帯が問題になるらしいのですが、不真正連帯の法律実務や学説は複雑なようです。

住民の過失の有無が問われるようなことはない見込みですが、ことによると、過失相殺の否定について論じる必要が出るかもしれません。

自治体を相手にする場合、民間検査機関の建築確認を、特定行政庁が行ったものとみなすという判例に基づくとされていますが、単純ではないようです。

判例は、都市計画などの集団規定についての判断であり、自治体に権限がある問題でした。単体規定では判断が示されていない点は微妙で、単体規定については国の問題であるという立場を貫けば、自治体の責任を否定することが可能かもしれないという意見も聞きます。

また、イーホームズに過失がないことを証明すれば、自治体の責任は問えなくなります。

ヒューザーが起こした訴訟は破産管財人に継承されていますが、これは、破産債権の認否で示された判断と関連して、和解によって相殺する処理が目指されているのかもしれません。

その一方で、川崎大師の物件では、住民が提訴しており、その分のヒューザーの訴訟は取り下げられ、一本化されています。

川崎大師では、他に設計事務所、非木村物件なので施工業者、それに、偽装を行った元建築士を訴えているとのことです。その意図についてはくわしくわかりませんが、住民の訴訟の先陣をきっていて、その行く末が気になります。
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by gskay | 2006-09-06 15:54 | 損害と回復
訴訟検討
ヒューザーの破産整理が進行し、建て替えの議論が進みつつあります。並行して、訴訟を行うかどうかが検討課題になっています。

これについては、統一的な方針はありません。自治体ごとに取り組みが異なり、マンションごとに考えが異なっているのではないかと思います。条件がバラバラのため、訴訟に対する態度はマチマチになっていることと思います。

訴訟の相手の候補としては、いろいろと残されてはいますが、支払いの能力がないところを訴えても、得るものはありません。どうしても、相手は限定されると思います。早い話が、自治体を相手にするということになると思います。

民間検査機関による建築確認は、特定行政庁が行ったものとみなすとされていることに基づいて、自治体を相手にするというのが主な検討対象になっています。中には、国の監督責任も問えるという立場の人があるようですが、見込みについては議論が分かれます。

勝つ可能性が高いと根拠をあげてそそのかす人や煽動する人もいますが、自治体相手の訴訟を起こすかどうかは、勝ち負けの見通しだけでは決められません。

自治体を訴えることを、単純に損害賠償や慰謝料を求めるということにとどめて考える訳にはいきません。仮に勝つ公算が高いとしても、判決が出るまでの期間のことも考えなければならないし、判決が出た後のことも考えなくてはなりません。どのように維持して行くのかといく見通しが立たない限り、訴訟にはふみきれません。判決後に予想される生活は、希望的に思い描けるものでなくてはなりません。

現実問題として、自治体にとって訴訟対応は、公的な対応との二重の手間になる可能性があります。住民から訴訟が出た場合、既に進みつつある公的な対応から手を引くという選択肢もあります。自治体ごとの取り組みは異なるものであるために、自治体がどのような判断をするのかは、一定したものはないものと思われます。

訴訟と公的対応とは別の問題として対処するという自治体もあれば、訴訟は、公的な対応への不満の表示と捉える自治体が出るかもしれません。法廷で争う対立関係をどのように評価するのかは、自治体次第です。特に、この点は、現場の担当者のレベルで決まることではなく、首長とその近くにいる上層の意思が重要になると思われ、甘くみることはできないと思います。

少なくとも、「手を引くぞ」と匂わせることは、訴訟を躊躇させるのに、とても威力のあることです。それを、第三者的にどのように評価するかという問題とは別に、当事者には、当事者の事情が現実問題として存在します。

さらに、仮に勝って損害が金銭的に回復されたとしても、その後の生活が希望通りになるとは限りません。建て替えを実現し元に戻るという希望がなくなってしまうような条件でしか訴訟が成り立たないのなら、訴訟は難しいと思います。逆に、他所で暮らすことになってしまってもいいから損害を回復したいというなら、訴訟は徹底的に行う意義があると思います。しかし、大方は、建て替え推進決議が行われていることからわかるように、復帰を希望しています。

一方、自治体によっては、訴訟を歓迎する可能性もあります。国のスキームに基づく公的な対応は、行政的な判断にとどまる制度であって、法律的な根拠に問題があるのではないかという考えの自治体もあります。そのような自治体は、根拠となる法律を要求するか、判決を要求します。公的な対応を推進する根拠として、判決が必要だと言う判断の自治体もあるのではないかと思います。

中には、国のスキームとは異なる独自の対応をしつつ、国の立法を要求し、一方で、住民の訴訟の動きに対しては、独自の対応から手を引くという動きで牽制している自治体もあるそうです。この自治体の場合は、国に対する政治的な影響を意図した対応なのかもしれないと感じます。

自治体と住民の関係が良好であれば、基本的には訴訟はないと思います。例外的に、公的な対応の根拠を裁判に求めることがあるかもしれません。

しかし、自治体と住民の間がこじれていて、建て替えが頓挫している場合、訴訟の可能性が出ると思います。その時、公的対応が止まってしまうかどうかは、自治体次第だと思います。建て替えによる復帰実現の可能性も微妙になると思います。そもそも、頓挫が訴訟の引き金であり、希望通りは難しいでしょう。

建て替えを希望せず、他所で暮らす事になっても構わず、損害回復を優先するという判断も考えられます。その場合、訴訟は有力な手段になると思います。ただ、耐震偽装のマンションは、建て替え推進決議が行われており、その方向性が打ち出される可能性は低いと思います。

マンションごとの訴訟の方針の他に、各戸毎の考えもあると思います。各戸ごとの動きがどのような影響を及ぼすのかはわかりません。建て替えをめざす上で不利だと判断された場合、管理組合による買い取りのような手続きが取られることもあるかも知れないと思います。

ところで、耐震偽装は、全てが建て替えの対象になっている訳ではありません。Qu/Qunが0.5以上1.0未満で改修で対応することになっている物件も多数あります。しかし、注目度が低いばかりか、対応も遅れがちだと聞いています。自治体の対応に不満で、事態打開の道筋が見えないマンションでは、訴訟という手段がとられる可能性があると思います。連帯した行動は、放置され気味の改修物件の方で盛り上がる可能性があると思います。
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by gskay | 2006-09-05 15:18 | 損害と回復
債権認否方針
ヒューザーの破産管財人から、中間配当にむけての説明がありました。マンションの代表が出席し、その報告を受けました。債権の認否方針が示されたとのことです。今後は、財産状況報告集会を経て、中間配当に至る予定だそうです。

ヒューザー、債権者に中間配当実施へ…管財人が見通し


 耐震強度偽装事件で、破産手続き中の開発会社「ヒューザー」(東京都大田区)の瀬戸英雄破産管財人は31日、11月末までにマンション住民ら債権者への中間配当を実施できるとの見通しを示した。

 同管財人によると、債権の大半を占めるマンション住民と金融機関などの債権総額は約558億円で、このうち約191億円を債権として認定する方針だが、最終的に確保できる配当資金は約45億円にとどまるという。

(2006年8月31日23時42分 読売新聞)

引用した記事では触れられていませんが、債権認否は、6つのカテゴリーに分けて行われました。

住民については、 Qu/Qunで、
 0.5未満の建て替え物件
 0.5以上1.0未満の補修物件
 1.0以上
の3つに分類されていいます。

その他の債権者としては、
 一般債権
 金融機関
 地方自治体
の3つが分類されています。

このうち、建て替え物件については、建物代金、購入諸費用、解体・取壊費用、仮住まい費用、慰謝料が認められる方針とのことです。建物代金は、売買契約によるとのことで、消費税から計算する方式をとるようです。居住利益として1年あたり2%を控除するそうです。また、諸費用は、物件全体の代金の5%とするとのことで、購入にあたり、いろいろとオプション等があり、各戸ごとにバラバラになる心配がありましたが、細かいことはカットのようです。

補修物件については、補修工事代金、工事に伴う諸費用、慰謝料が認められる方針で、工事代金は建物代金の50%、諸費用は建物代金の20%とするそうです。

1.0以上物件については、瑕疵担保責任を理由とする損害賠償請求権は、破産債権として認めないとのことで、一部のみが認められているようです。

一般債権、金融機関の債権についての認否の詳しい事はよくわかりません。

注目すべき点は、地方自治体からの債権を認めていない点です。住民に対する公的対応に必要な費用は関係者に請求することになっていました。それを、ヒューザーが認めないという方針が示されたことになります。これは、ヒューザーが起こしている訴訟との関係も念頭において考えなくてはならない点ではないかと思います。

今後、ヒューザーの破産管財人の判断が、自治体の態度に、どのように影響するのかわかりません。自治体の立場は混乱しています。訴訟の当事者や、公的対応の当事者など、自治体の立場は複数あり、それらが入り乱れています。

現時点で、関係する全ての自治体が同じように対応しているわけではありません。それぞれ独自です。今後、中途半端に多い配当原資を巡り、駆け引きがあるのかもしれません。その駆け引きにおいて、公的対応を取引の材料にするような自治体が出ないことを願っています。

管財人の判断のポイントは、自治体と住民の二重の届出については、住民一本に絞ったという点だと思います。そうした中身を吟味しない拙速な反発がないように願っています。
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by gskay | 2006-09-04 16:49 | 損害と回復
ドタバタの挙げ句
本来は、売り主の瑕疵担保責任で対応されるべきで、その結果として売り主が被った損害が、関係者に賠償として求められるという流れになるはずでした。しかし、ドタバタの挙げ句、ヒューザーには建て替えも、買い取りもできないはずという予断が共通理解となり、国のスキームが始動しました。ドタバタが流れを決めたのかもしれません。

耐震偽装されていた非ヒューザー物件の分譲マンションのひとつで、売り主による買い取り方針が伝えられました。Qu/Qunが0.5以上であったことや、業者や住民に対する積極的な配慮から公表が控えられていたのが軟着陸のポイントのようです。売値の9割以上の価格での買い取りで、その後建て替えの方針だとか。

asahi.com耐震偽装物件、不動産業者買い取り 東京・蒲田


耐震偽装物件、不動産業者買い取り 東京・蒲田
2006年08月31日11時53分
 姉歯秀次元建築士による耐震強度偽装物件の一つで、耐震強度が0.59と発表された東京都大田区の分譲マンション「エクセルダイア南蒲田」(9階建て、32世帯)の建築主・東邦ハウジング(大田区)は31日までに、全世帯を買い取り、新たに建て替えることを決めた。既に住民が退去して解体作業が進められており、2年後の新築を目指すという。姉歯元建築士による偽装物件で完成した分譲マンションのうち、建築主側が買い取りをするのは初めて。

 同社によると、買い取り価格は、住民が購入の際支払った額の90%以上。耐震強度が0.5を上回っているため、改修での対応も可能だったが、「過去の清算をしたい」と、全世帯が売却に合意したという。

 同マンションは3月に区が耐震強度を発表した際、「再建計画に影響が出る」と、建物名や所在地を公表していなかった。

他にも、賃貸目的でない非ヒューザー分譲マンションは存在しますが、そちらも、ヒューザーのような特別扱いはされていません。ブームが過ぎてから問題が明るみに出たことや、会社のいろいろな意味での姿勢や、他に複雑な背景があることなど、話題として取り上げにくかったのかもしれません。

ところで、ヒューザーの破産財団の様子は伝えられている通りで、着実に資産の処分が進んでいるようです。意外に資産があるという状況です。破産管財人が継承した訴訟については、資産の処分によって損害が問題でなくなったり、住民が訴えを起こしたことに対応して、順次取り下げられているようです。

耐震偽装されたマンション関係の債権の届出は、それぞれの物件について、住民サイドと、自治体サイドからの届出がなされているようです。様々な公的な対応に要する費用について、住民が届けているところもあれば、自治体が届けているところもあり、中には双方が届けているところもあるとか。

国のスキームによる公的な対応が大枠として設定され、制度として機能しています。しかし、絶対的なものではなく、自治体の独自の判断による対応も尊重されているという状況です。こんなところでも、自治体毎の方針の差が現れているようです。

破産管財人の判断は、とても重要です。自治体からの届出と、住民からの届出とをどのように評価するかが任されているからです。もし、不満が出た場合、自治体や住民、あるいはその他の債権者が訴訟を起こす可能性もあります。中途半端に財産がある破産財団の悩みだと思います。もし、破産財団が空っぽなら、そういう判断は、ほとんど無意味になるからです。

今回に限っては、中途半端な財産の配当をめぐり、破産管財人が、自治体の取り組みを評価し、値踏みするという機会になってしまいました。

自治体からの届出については、藤沢の物件の除却費のように、ヒューザーが特定行政庁を相手に起こした訴訟をからめて、和解による取り下げの余地があるようです。しかし、様々な問題を乗り越える必要があるようです。こじれてもおかしくない状況も発生しつつあるようです。

その辺のやりとりには、希薄な根拠に基づいた初期のドタバタよりも、しっかりとした情報に基づくだけに、重要なメッセージが含まれているように思いますが、あまり注目されていないようです。核心にせまる地道な作業が進められていますが、物件毎、自治体毎、それぞれが独自の対応をしています。独自であることも、話題になりにくい原因かも知れません。

注目を集めることがいいかどうかについては、初期のドタバタのような注目は困ります。過剰反応が、辻褄があわず、かと言って、元にもどせない状況を作ってしまったように思います。

自治体も、その背後の国土交通省も、今さらながらヒューザーへの対応に苦慮しているのではないかと思います。初期の想定とはかなり異なる展開になっているようです。あのドタバタで大きな役割を演じたマスコミには関心がないことのようですが……。

あの時、別の方針で進む余地があれば、個々の損害や社会的負担は大きく変わっていて、このような苦慮は別のものになっていたかもしれません。少なくとも、ヒューザーの破産管財人に、自治体の取り組みが評価されるという事態は発生しなかったと思います。

こういう状況を作ってしまった以上、自治体や国土交通省が、沽券に関わる問題だとして、ヘソを曲げるようなことはしないで欲しいと思います。住民としては、これ以上の新しいこじれは避けて欲しいのです。
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by gskay | 2006-08-31 18:32 | 損害と回復
中間配当の見通し
ヒューザーの破産管財人の記者会見で、現在のところの配当の見通しが発表されました。現在までの原資は、決して少ない額ではありません。もちろん、不足ですが……。

これは、破産管財人がとても頑張ってくれているということだと思います。あるいは、意外に、ヒューザーという会社には余力があったということかもしれません。

金額を見る限り、それなりのサポートがあれば、建て替え事業なら実施できたのではないかと悔やまれます。建て替えとか、買い取りとかいうことで、混乱している間に、住民の意思をまとめたりすることができれば、軟着陸も不可能ではなかったのではないかと思います。

とりあえず、この原資での中間配当があるようです。今後、特定行政庁である自治体への裁判の行方次第では、配当はさらに増える可能性が出て来ました。

どうして、ヒューザーを営業不能なところまで追い込まなくてはならなかったのか、疑問のままです。何度も言っているように、ヒューザーが営業不能状態にならなければ、少なくとも私は、破産申し立ての意義はないと考えていました。

あのような「パニック」と「バッシング」がなければ、事情は変わっていたかもしれません。

打つ手が本当になかったのかどうかを再検討してみる必要があると思います。また、今のスキームが本当にベストだったのかを確認すべきだと思います。そして、どういうプロセスでスキームが決まったのかを反省しなくてはならないと思います。

役所の中での決定だけでなく、マスコミの論調や世論の動向についても検証する価値があると思います。

私たちにとっては、今さらです。だからと言って放置するのではなく、教訓を学ばなくてはなりません。
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by gskay | 2006-07-15 00:32 | 損害と回復
訴訟の準備、検討
「住む」ことが最優先です。損害の回復や責任の明確化は重要ですが、二次的なものです。

損害の回復は、満足が行くまでコツコツと細かく進めて行く必要があると思っています。ヒューザーをつぶしてしまった以上、仕方がないことです。

欠陥住宅に詳しい法律の専門家は、「裁判をすれば、きっと勝てる」と言ってはくれますが、正義や勝ち負けへのこだわり以上に、目の前の現実的な問題に対処しなくてはなりません。裁判の意義は理解できますが、全面的には集中できません。

首尾よく運んで、損害額を回収できたとしても、「住む」という目標が達成されなければ、満足は難しいと思います。また、現状は、「住む」という目標の達成が閉ざされてしまったわけではなく、むしろ作業が着々と進んでいる段階です。

いよいよ手だてが無くなった時には、裁判に全力を傾けることになるかもしれませんが、幸い、今はその状況ではありません。あるいは、裁判所の判断が手続きとして必要になるというなら、裁判に取りかからなければなりません。

うちの場合、裁判については準備段階、検討段階です。
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by gskay | 2006-07-13 17:04 | 損害と回復
ヒューザーおよび小嶋元社長への破産債権届出
ヒューザーおよび小嶋元社長への破産債権を届け出ました。すでに木村建設へ届け出ています。さしあたり、破産債権としての届け出相手はなくなり、一段落です。

今後は、配当についての判断を待つことになります。この請求だけで充分に回収ができて満足するのは難しいだろうと思っています。そもそも、破産者に支払い能力があれば、破産自体がない話ですから。

ヒューザーが破産にいたらず、瑕疵担保責任とプラスアルファの賠償に応じることができれば、住民の損害の回復は完了しているはずでした。その場合、関係者の責任はヒューザーが追及して、ヒューザーの損害回復を目指せば良かったわけです。

しかし、ヒューザーは、営業が続けられない状況に追い込まれました。それを受けて、住民は破産申し立てを行い、その申し立てが認められて、整理に入りました。

本当に、ヒューザーを潰して良かったのか、私は、今でも疑問に思っています。

営業不能な状況がなぜ起こったのかを検証すれば、疑問が解消するかもしれないと思います。

様々な状況が、ヒューザーの立場を悪くして行きました。一つ一つは、それ一つを取り出せば決定的なものではなかったような気がします。乗り切れないものではなかったと思います。しかし、重なり合うことによって深刻となってしまったと思います。

確かに、ヒューザーの対応は稚拙でした。しかし、その稚拙なヒューザーを追い込んだ最大の原因は、実体とかけはなれた「風評」の嵐だったと思います。これは、偽装物件を世に出したという直接の責任以上に問題を深刻にしていると思います。

真相が明らかになったところで、リセットは不可能です。

今回、企業には風評を乗り切るだけの体力が必要だということを身にしみて学びました。そういう体力を信用というのかもしれません。

直接の問題を切り抜けるだけでは不十分です。危機管理とは、こうした状況を切り抜けることかもしれません。

そういう点について、ヒューザーと小嶋元社長の能力を高く評価できません。

「風評」の嵐は、理不尽で割り切れないものだったと思います。ヒューザーと小嶋元社長の被害者意識に、私は共感しています。ただし、その共感と、私自身の損害の回復のための行動とは別のものです。同情してはいるものの、住民の破産申し立てを後悔してはいません。

また、ヒューザーが生き残った場合と比較し、追いつめたことが愚かだったという評価もあると思います。しかし、申し立ては、営業ができなくなったという決定的な状況をにあわせた行動にすぎなかったと思っています。私には、自分自身の手で追いつめたという意識はありません。
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by gskay | 2006-06-29 17:10 | 損害と回復
訴訟準備
刑事について、捜査レベルで一段落がついたようです。しかし、民事の問題は、全く別です。

いくつかのマンションでの訴訟を進める話が報道されています。うちの物件は、急いではいません。しかし、訴訟の準備をしていない訳ではありません。

この事件では、区を窓口に公的な対応が行われています。その公的な対応のコストについての賠償も考えなくてはなりません。つまり、私たち住民は、区からの公的対応への賠償をふくめて損失を回復しなくてはなりません。

売り主であるヒューザーについては、瑕疵担保責任プラスその他の賠償を請求中です。加えて、連帯保証をしている小嶋社長や、施工の木村建設についても、債権を申し立てています。しかし、いずれも破産中である以上、期待通りにはいかないと思います。

そこで、設計元請けや元建築士、建築確認の検査機関および特定行政庁に対しても請求を行うことになると思います。

問題は建築確認の検査機関および特定行政庁についてです。検査機関については廃業しています。このため、特定行政庁への訴えが中心になると思われます。ところが、その特定行政庁と公的対応をしている区とは同じものです。

そういう複雑な問題の整理が訴訟のための準備として必要になっています。
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by gskay | 2006-06-24 23:57 | 損害と回復
ヒューザーへの債権届出準備中
ヒューザーに対する破産債権の届出の期限が近付いています。損害の回復のヤマ場の一つだと思います。

すでに、3月に木村建設に届出を行っているので、書き方が皆目検討がつかないということはありません。しかし、前回より今回は難易度が上がっています。

区との関係で、複雑になっています。区が負担している費用や、今後、区の負担となる費用の取り扱いについて説明がありました。皆がそれに従って記入するのかどうかはわかりませんが、私は、その方針で記入しようと思っています。

ただ、細かいところが未確定で、悩まなくてはならない点が多々あります。仮住まいの期間など、まだわかりません。その他の費用もこれからですが、ここで計上しておかなくてはならないようです。

木村建設への請求では、そのような点まで考慮していませんでした。認められるかどうかは別としても、計上しておくべきだったかもしれません。

今回についても、3月に記入したものと同じような書類で済ませようかと思いましたが、公的な対応についての考え方を尊重し、区が説明するような要領で、粗相がないように届出をしようと考えています。

封筒に入れなければいけない書類が増えそうです。前回用意した書類セットをコピーに加え、今回の追加分のコピーを用意する必要があります。その上で、妥当と思われる数字をひねりだして届出書を記入しようというところです。

実際に配当される金額がどのようになるかわかりませんが、破産財団が完全に空っぽという絶望的な状況はなさそうなので、請求すべきものは請求し、多少でも取り返せるものは取り返しておきたいと思います。
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by gskay | 2006-06-22 21:30 | 損害と回復