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「絶対」
仕事の関係で毎年、業務の安全のための再教育訓練を受けなくてはいけません。その時に気になったこと:

安心と不安 信頼と不信 理解と誤解 安全と危険 ……。

これらの物差しは、相互関係はあるものの、それぞれ別のものです。

また、その尺度は、相対的なものです。

ところが、絶対の安心、絶対の信頼、絶対の理解、絶対の安全を求めたいという気持ちが強くあるように思います。そして、不可避の危険や誤解、不信や不安から目をそらし、無視しようとする。その上、それぞれの物差しを冷静に評価せず、ごちゃ混ぜにしてしまう。

それが、安全に対するパニックを生む土壌のように思われます。

一方で、「絶対の」などというのは、不可能な境地であり、科学や技術の辿り着く境地ではないという見方もあります。そのことを意識しすぎると、今度は逆方向にすすみ、否定がはびこる。

でも、否定でさえも、「絶対」への過剰反応であることには変わりません。「絶対」が手に入らないからと言って、現実のあり方や対応を否定する理由とはなりません。

「絶対」というものは、無知と無関心と無作為の中に引きこもり現実に対して目を背けているなら、求めるにせよ、否定するにせよ、大きな価値を見出せるものかもしれません。しかし、そんな幻想を見つめている限り、現実を見る目はくもり、自他に対しては不寛容になってしまいます。

それでも、あまり困らないかもしれませんが……。

現実は、「絶対」というものを意識しようがしまいが、構わずに物事が進行して行きます。だからこそ、実際の経験を反省し教訓を学ばなくてはなりません。「絶対」を信仰したり、理想にするのは構いません。しかし、それと現実との間には、溝があることを忘れてはならないと思います。いつも、現実に戻って見なくてはなりません。なるべく細かく、なるべく詳しく、なるべく多角的に。

また、自分に対してさえ、「絶対」を求めるのは難しいと感じています。他人に対して、「絶対」を求めるのは、なお難しいと思います。そのことを受入れた上で、考えることも大切だと思います。

厳しい基準やマニュアルは、遵守されなくてはなりません。しかし、残念ですが、「絶対」をもたらす魔法ではありません。不備もあるし、遵守しない輩も出ます。時には、無意味な規制や過剰な規制もあります。常に基準やマニュアルを見直すだけでなく、問題発生時の対応を含め、次善の策を何重にも考えておくことも大切だと思います。

絶対の安心、絶対の信頼、絶対の理解、絶対の安全の「絶対の」を見つける事が不可能であるということに対し、現実的な対応が必要です。そのことを忘れていると、「裏切られた」とパニックになるか、「当てにならない」と否定するかの両極端にとどまっているだけになってしまうと思います。

ところで、自分たちが、「絶対」によって呪縛されているのか、それとも「絶対」に対して執着しているのか解りません。ただ、本来の物差しを捨てさせた上で、「絶対」を軸に物事を議論させたり、判断させたりするのは、極端な「思い込み」をつくるには便利な方法のような気がします。問題の中身や限界を見抜かれないようにするには、適切な方法かもしれません。
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by gskay | 2006-02-28 13:36 | 安全と安心
再発防止策
「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について 中間報告」が、2月24日に社会資本整備審議会から国土交通大臣に提出されたそうです。

今回の事態に対し、建築の側から眺めた対応が提案されています。既存のシステムを充実させたり見直せば、再発の防止につながるでしょう。そういう観点からの報告だと思いました。「あってはいけないこと」が起きないようにするシステムについて深く検討されています。第三者機関の設置や、罰則強化が提案されています。

しかし、起きてしまった「あってはいけないこと」への対策には、まだまだ検討の余地があるように思われます。

この報告では、住宅について、売り主にとどまらず、建築士事務所も損害賠償に耐えられるように保険に加入する必要があるとしています。確かに、あった方がいいとは思いますが、そこに、疑問があります。

第三者機関にしても、売り主や建築士事務所が加入する保険にしても、コストに跳ね返ってくるものなので、私としてはあまり嬉しい対策とは思えません。結局、最終的な買い手がコストを引き受ける構造であることには変わりません。

建築側は、余計なものをつけていくよりも、ちゃんとした物を提供してくれさえいればいいはずです。それが、ちゃんとしていない場合の対策を、業者側の理屈でなく、購入者側の理屈で作ることはできないものでしょうか?

報告では、「住宅の購入者」ないし「消費者」として保護の対象としていますが、買い手は、「所有者」でもあります。建築物に対しての責任を負います。その責任を果たす上でも、買い手が関わることができる仕組みこそ必要ではないかと思います。

買い手の関わる仕組みは、保険でもいいと思いますが、さっさとその保険で建て直しができればいいと思います。ついでに、その費用を保険会社が売り主や建築士事務所に請求できれば、なおいいと思います。

また、建築という事業にも金融が果たす役割が大きく、分譲・購入にも金融の果たす役割が大きいということが、全く配慮されていないのは残念です。

ところで、今回の問題の核心のひとつである確認検査については、ミスをしないようにする対策や、ミスをしてしまった場合の処罰に言及がありました。しかし、責任らしい責任は負っていないままだと思います。責任を負わないなら、要らないと思います。責任を負わせる気がないのなら、安全を確保する仕組みのように見せかけるのではなく、単なる取り締まりの仕組みとして残すべきだと思います。
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by gskay | 2006-02-27 10:01 | 揺れる システム
ちらし
今も、時々、もとのマンションのメールボックスを覗いています。先日のヒューザーからの手紙に懲りて、どうせ何もないと思いながらも、週に1回は覗いています。

さすがに、郵便は転送にしているのでありません。あるのは、ちらし広告のみ。

しかし、面白いものを見つけてしまいました。NTTからのBフレッツのちらしです。しかも、マンション名が印字されていました。

さすが、NTT。

単なるキャンペーン?   でも、もともと使っていたんだけど……。

うちの引越を、ただの引越と見た?   次の入居者がいるとでも?

そういえば、Bフレッツの解約の時、室内で使っていた端末機器が2種類あって、そのうちのひとつは工事の人が回収し、もうひとつはゆうパックで送ることになっていました。ゆうパックについては、ゆうパックの梱包セットが送られてくるという話でした。

取り外しの時点では、梱包セットは未着でした。工事の人に梱包セットが未着だというと、あっさり、2種類とも回収してくれました。

それに安心していると、忘れたころに梱包セットが転居先に。続いて、返送の催促。行き違いにはご容赦と書いてありましたが、行き違いになる様々なパターンが書いてある手紙でした。

一応、116に電話しないと不安なので、電話しようと思っています。でも、混み合っていてしばらく待たなければ行けないそうです。はぁっ。

どうなっているんでしょう、この最強の情報・通信の会社は?
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by gskay | 2006-02-25 16:09 | 仮住まい
ヒューザーの宅建業免許
免許取り消し自体は、会社が営業をやめている以上、あまり関係ないような気がします。でも、取り消し処分の後5年間は、役員だった人は宅建業の経営に関われないそうです。

それは、気の毒な気がします。その規定を、元ヒューザーの知り合いに教えてもらったときから、どうなるのか気になっていました。処分の取り消しを訴えるのかしら?

問題になっているうちの一つ、偽造発覚後の公表までの間の引き渡しや契約の件は、違法といえるかどうか微妙ではないかと、私は思っています。

11月17日に最初の件が公表にいたり、あわせて疑われる物件について、はじめて通知が行われています。そこまで公表が行われなかった経緯、逆にいえば、17日に公表に踏み切った経緯を検証してみる必要があろうかと思います。

偽造の有無と、危険性の把握とが一致していると考えてよいのか微妙だと思っています。

大きな理由として契約解除に応じなかった件も挙げられているとのこと。これは、その通り。ヒューザーがリッチで信用が高い会社であれば契約解除をはじめとする瑕疵担保責任には対応できたのかもしれません。こちらも理由なら、ちょっと哀れな気がします。

ところで、リッチな会社でも、随分としぶい対応をしていると聞きます。あるいは、会社をたたんでしまうケースもあるやにききます。だとすると、他の欠陥住宅のケースも、同様に処分されているのでしょうか?スレスレで誤摩化しているのかしら?紛争の影でうやむやになっている?ちょっと、気になります。(表向きはともかく、名義なんてどうにでもなるのかも知れませんが……)
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by gskay | 2006-02-24 13:37 | 真相 構図 処分
支援の決定過程(2)
国土交通省は、ビジネスホテルも、賃貸マンションも、分譲マンションも、建築確認申請をした建築主については、同じ扱いをしているように思われます。買い手の居住を前提とした分譲マンションを扱っていたのはヒューザーだけで、別扱いをしているかのように見えますが、よく見ると、ヒューザー自体に対する対応らしい対応は発せられていません。

大きな事件が立て続けに起こり、議会も混乱している様ですが、もう一度、昨日のエントリについて考えています。

忘れられかけている建築確認の意義の再考すると、建築確認には、当然のことですが、申請する人がいます。その申請をした人は、正しい書類を作らなくてはなりません。

いくら、建築確認がいい加減であったと言っても、違法な書類を適法にするのは、申請者の仕事。確認は適法を確認するのみです。適法でないものを適法であると誤った点は、するべき事をしていないとみなさざるをえないものの、違法の書類で建物を作ってしまった責任は、建築主にあります。

誤った検査をしている点を申請した建築主が訴えています。代表的なのは、ヒューザーですが、ビジネスホテルも訴えを起こしています。しかし、違法の建築物を作ってしまったこと自体の責任は建築主にあります。けっして、「作らされた」という訳ではないわけではありません。

建築主は、売り主や事業主として損害を受けていますが、「作らされた」という訳ではなく、自分の意志で作ったもの。確認が適切でなかったことによる損害への補償は、全部とはいかず、積極的に取り組むべきものでもないのかもしれません。見殺しのように見えても……。

ところで、現在のシステムは、不適切な確認の影響が第三者に及ぶ事を充分に想定していないように思われます。特に、第三者に売却されるというような仕組みが想定されていません。第三者に売却されると、その第三者は、所有者としての責任を負う事になります。所有者は、適法に保つ義務を負うし、様々な措置にしたがう義務を負う事にもなります。

いい加減な確認や、違法な建築によって発生する問題への対応が、第三者である所有者の責務になる訳です。所有者が住居として使用している場合、生活が直ちに根本的に崩されます。そこに、介入が必要だと判断され、「公的支援」が決まったのではないかと思われます。

(もちろん、事業のために所有しているなら、その事業に影響します。しかし、その事業主と建築主が一致するなら、第三者とは言い難くなってしまうのではないかと思われます。)

そのように考えると、前のエントリでとりあげた民主党の質問は、ピントはずれではないかと思います。

ヒューザーの経営体力とは別のこととして「公的支援」と呼ばれる対応が始まったのだと思います。ヒューザーに対しては、きちんと対応するように指導することとセットになっていて、ヒューザーの懐具合は関係なかったように思われます。どんなにヒューザーがリッチな会社であったとしても、住民と交渉しながら、グズグズと時間稼ぎをして、きちんとした対応を取らない可能性があったわけです。

「公的支援」と呼ばれる対応の決定過程には、ヒューザーの関与はないように思われます。ヒューザーに好意的な対応も考えられていないと思います。ヒューザーが自力で解決してしまえば良かったものの、それができず、実際に「公的支援」が動き出すことになったのではないかと思います。それは、間接的にしろ、ヒューザーを追い込んだ結果になったと思います。
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by gskay | 2006-02-23 21:59 | 公的対応
支援の決定過程
「公的支援」と呼ばれる対応の決定過程については、良く知りません。公式には、区からの説明のみ。その他、住民と言う当事者でも、公表されている情報や、報道で知っているにすぎません。

ヒューザーの財務諸表見ず支援決定=国交省局長が答弁−「耐震偽装」集中審議


 衆院予算委員会は21日午後、耐震強度偽装事件に関する集中審議を行った。国土交通省の山本繁太郎住宅局長は、政府が公的支援策を決定した昨年12月6日にマンション開発会社ヒューザーの役員からヒアリングするまで、同社の財務諸表を確認していなかったことを明らかにした。原口一博氏(民主)への答弁。 
(時事通信) - 2月21日21時1分更新

あの時点で、デベロッパーには関心がなかったということなのでしょうか?ということは、対応は、ヒューザーであろうがなかろうが、関係ないということなのかもしれません。

国土交通省は、ビジネスホテルや賃貸マンションには、淡白な対応をしていますが、分譲マンションについても建築主には淡白な対応です。一貫していると思います。建築主には、建築そのものに直接の責任があるということなのでしょうか?

一方で、分譲されたマンションの所有者については、建築そのものには、直接には責任を取りようがないものの、違法建築を所有し、居住していることへの責任を果たすことが期待されているように思われます。

例えば、退去して安全についての心配をかけないようにすることや、その建物に変な人が入って不法に使用されたり占拠されたりしないような措置を講じたりすること、解体への手続きを迅速に進め街の危険を取り除くこと……。

共同住宅を区分所有して居住しているため、それらの実現の最大の障害は、居住者の足並の乱れではないかと思います。現在まで、その足並の乱れがあまり出ていないのは、公的な対応の効果ではないかと思います。

少なくとも、私には、対応が打ち出されたことによって、退去がすみやかに円滑に行われたように思えます。端から見ると、それでも遅いように見えるかもしれません。しかし、今でも退去の進んでいない物件があることを考えると、早かったといえるでしょう。政府の決定は、退去を促進していると評価できると思います。

時間のロスを最小にすることが、自分にとっての損害を最小におさえる条件になると思います。遅れてしまう事や、二度手間になったりすることは、自分の負担を増やすことにつながると思います。そこに関わる重要なポイントは、足並です。

直接的な効果とはいえないかもしれませんが、公的な対応は、足並を揃えることに、今のところ、プラスに作用していると思います。これが、建築主・売り主への対応による間接的な対応であったなら、このような効果は減少していたのではないかと思われます。
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by gskay | 2006-02-22 14:24 | 公的対応
口喧嘩の作法
ここは、非「ヒューザー陰謀説」ブログのまま続いてきてしまいました。別に確信があった訳ではありません。信頼に足る根拠があれば、いつでも、「ヒューザーが悪者だ」に変わっていたと思います。でも、3ヶ月経っても、この有様。

ヒューザーが黒幕でない証拠はないではないかと言う人がいます。しかし、そんな証拠は無理。しかも、無意味。「ないという証拠」を出すのは、「あるという証拠」を出すより難しいことだし、それは、証明にはなりません。

ところで、口喧嘩や言い争いでは、相手を責めてねじ伏せたり、責められていることから言い逃れたりしなくてはいけません。それには、作法とコツがあります。

「ちゃんとやってないじゃないか」と責められた時には、責められた側が、「いや、ちゃんとやっている」という「あるという証拠」を出して言い逃れをします。前提となる約束の存在は、責める側が証明しなくてはいけないものの、ちゃんと約束を果たしていることは責められる側が証明します。

一方、「そんなことしちゃいけない」と責められた時には、「いや、そんなことをしていない」と言い逃れをしますが、言い逃れは、「ないという証拠」を出すのではありません。責める側が「あるという証拠」を出して証明しなくてはならず、責められる側は、責める側が出して来た「あるという証拠」を突き崩して言い逃れます。

ちゃんとした商品を提供したり、瑕疵担保責任については、「ちゃんとやってないじゃないか」のケースです。ヒューザーが「こんな風にちゃんとやっているから大丈夫」と言い逃れをこころみることもできましたが、設計図がちゃんとしていないことが明瞭であるため、そこでの議論は起きませんでした。その代わり、実際に瑕疵担保責任が果たされたかどうかの部分で躓き、結局、約束を果たしていません。

しかし、ヒューザーが偽装に関わったかどうかは、「そんなことしちゃいけない」のケースであり、責める側が証拠をつきつけなくてはいけません。それが、全然だめです。

また、ヒューザーにとっては、建築確認検査も、設計も、問題の構造計算も、「ちゃんとやってないじゃないか」という訴えです。訴えられた側は、そんな約束はないと否定するか、ちゃんとやっていることを証明しない限り、ヒューザーの勝ちだと思います。そのうち、今のところ、建築確認の部分だけが訴えになっています。

ヒューザーがイーホームズを訴えているのは、変な言いがかりをつけやがってということのようで、「そんなことしちゃいけない」のケースだと思います。ヒューザーは、根拠もなくこんな迷惑をかけやがってと証明すればいいことです。イーホームズは、ヒューザーの偽装への関与という根拠を証明するか、迷惑を否定しなくてはいけません。これも、ヒューザーに勝ち目があるように思われます。

また、刑事告発になりそうな発覚後の契約や引き渡しは、「そんなことしちゃいけない」のケースで、告発にあたって、ヒューザーが性能不足を認識していたことを証明することがまず必要です。さらに建築確認などの検査の誤りがあった場合、重要事項として説明しなくてはいけないというルールがあることを明らかにしなくてはいけません。これは、グレイ。

ヒューザーの発覚後の隠蔽をこころみたとされる件は、未然に防がれているので、「そんなことしちゃいけない」と咎める必要もないと思います。もし、試みただけでも違法ということなら違法。

この辺りの口喧嘩や言い争い心得の全然ない人が、代議士であったり、首長であったりすることには、疑問です。大声を出したり、センセーショナルな表現を使ったりするのは、口喧嘩の作法としてはイマイチです。

マスコミは、さすがに、心得があるのだと思いますが、わざと、逸脱させて描いているような気がします。そうしないと、ストーリーが単調で、面白くないのでしょう。

ただし、「正しい」と「説得力がある」は、別のことです。

現在、マスコミでも、議会でも、ゴチャゴチャになっているように思います。口喧嘩や言い争いに負けても、国民の説得と言う点で戦略的には意義があることがあります。私たちは、「説得力がある」主張で「思い込まされる」方が、論理的な「正しさ」を「理解して納得する」ことよりも好きだからです。

ついでに補足すると、どうにもならなかった時には、強制とか暴力とかいうパワーに頼った方法もあるようです。
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by gskay | 2006-02-21 12:37 | いろいろ
神経質
もっと早く、こういうコメントを欲しかったと思います。できれば、耐震安全に対するパニックが起こる前に。

うちのマンションでは、マスコミが煽る危険に関する報道には中身がないと早い時期から見破っていました。また、役所も、冷静な対応を呼びかけていました。

耐震計算偽造:強度基準数値はガイドライン−−1級建築士・野崎さんが講演 /福岡


 ◇「神経質にならないで」
 福岡マンション管理組合連合会(杉本典夫理事長)の第20回通常総会が19日、約200人が出席して中央区のホテルで開かれ、マンション修繕コンサルタントの1級建築士、野崎隆さん(56)が耐震データ偽造問題について講演。「1以上で安全」とされる耐震強度基準について「地震力の強さや方向など、さまざまな仮定から計算された数字。一つのガイドラインに過ぎない」と指摘した。
 そのうえで「震度5強で倒壊の恐れがある」とされた「0・5以下」の姉歯秀次・元1級建築士の偽造物件についても「あれだけ鉄筋が入っていれば倒壊するとは考えにくい」との見方を示し、「数値にあまり神経質になる必要はない」と呼び掛けた。【上野央絵】
〔福岡都市圏版〕

2月20日朝刊
(毎日新聞) - 2月20日13時1分更新

(お、また毎日だ)

おそらく、パニックの間も、こういうコメントはあったのだと思います。でも、マスコミには、取り上げられなかったのだと思います。

私は、当初は、周囲への影響も考えて心配しましたが、事情がある程度わかってくると、かなりの部分が取り越し苦労であったり、杞憂であったりするということがわかりました。

そして、世間を見回すと、地震に関しては、もっと心配しなくてはいけない事情があることがわかりました。特に、既存不適格による危険な建物の放置という実情を知ると、むしろ、うちのマンション以外の危険な物件への心配が湧いてきました。

12月中は、誤解や無理解から来る安全に対するヒステリーに振り回されていた気がします。根本的には、現在も、知識不足はそのままで、世の中の議論が深まっているとは思えません。このまま風化し、安全な街は作られずじまいになりそうです。スキャンダルとして、様々な風評と、その影響だけを残して……。

ところで、退去を決めたのは、行政による措置によるもので、危険に対する自分の判断によるものではありません。災害や危険が切迫しているという状況を示すものはなく、耐震性能が足りない「違法」な建築物であるという点が、退去しなくてはいけなくなった理由です。私は、危険を理由に自主的に退去しようとは考えず、違法を理由に行政主導により退去しました。

もちろん、中には、自らの判断で早期に退去した人もいます。それぞれの判断は異なり、それは、それで正しい判断だと思います。

所有者として、住民として、低い耐震性能という「違法」を許容する訳にはいかず、法令にそって対処しなくてはなりませんでした。そして、現在、国のスキームにのりながら、その「違法」によって生まれた損害を取り戻すべく行動しているところです。そのために、様々な責任を追及しています。

もし、早い時期に引用のような発想が勢力を持っていたなら、建物については、補修を中心とした対応になっていたのではないかと思います。もし、そうであれば、ヒューザーの破綻も必要なかったかもしれません。

「もし」ですから、今さらです。

しかし、今後のことを考えると、地味ですが、とても重大な主張であると思います。

混乱している横浜の物件への対応において、引用したような知恵の活用を考慮してみてもよいのかもしれません。補修により少しでも耐震性能を上げておくというのは、経済的で現実的です。そして、充分かもしれません。

退去が済んだ私たちにとっても、建て直しの先行きは不透明です。もしかしたら、居残っている横浜の物件の人たちの方が、結果的には、適切な行動なのかもしれないという疑問さえ湧いて来ます。こちらも、今さらですが……。
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by gskay | 2006-02-20 18:02 | 安全と安心
間違いを指摘されれば……。
横浜の構造計算のミスの件については、当事者が過失割合を話し合って、改修の費用を負担することになったようです。

ところで、私が興味深いと思ったのは、強度不足を認識していたという点と、「間違いを指摘されれば勉強にもなる」というところです。

構造計算書偽造 セントレジアス鶴見、ERIもミス見落とす /神奈川


 ◇研究所がミス直さず再提出、ERIも見落とす
 横浜市鶴見区のマンション「セントレジアス鶴見」(10階建て、37戸)の耐震強度が国基準の1・0を下回る0・64だった問題で、横浜市と同マンションの建築確認をした指定確認検査機関日本ERIは18日、同区内で住民説明会を開いた。原因はERIから設計ミスを指摘された田中テル也構造計画研究所(東京都杉並区)が本来すべき構造計算をせず、ミスの残った確認申請書を再提出し、ERIも見落とした初歩的なミス。同研究所は、強度不足を認識しながら、ERIに確認申請書を提出していた。市は「あり得ないミス。担当者に能力がなかった」と両者を厳しく批判した。
 市まちづくり調整局によると、同マンションの構造計算は、設計者の下河辺建築設計事務所の下請けの田中テル也構造計画研究所が担当。同研究所の確認申請をERIが審査。耐震壁などが基準を満たしてないと指摘した。基準を満たすにはコンクリートと鉄筋の強度補強が必要だったが、同研究所は鉄筋だけを補強し、ERIに再提出、ERIは見落として建築確認を出した。
 市によると、計算式に当てはめればコンクリートと鉄筋の補強が必要なことは一目りょう然。また修正数値でも構造計算書を再計算をすれば強度不足は分かるが、同研究所では再計算しなかった。
 一方、ERIは見落とした原因を不明としているが、市は「普通は見落とさない。結果的に指摘した項目を確認していなかったのでは」とする。
 また同研究所所員は、今回を含め以前から強度不足を認識しながら、指定確認検査機関に確認申請していた。所員は市の聴取に「時間に追われ、ミスを指摘されたあとで修正すればいいと思った。間違いを指摘されれば勉強にもなる」と述べたという。
 説明会でERIは住民に謝罪。今後、マンションの実態調査と耐震改修案を立案すると説明。一方改修にかかる工事費は同研究所などと過失割合を話し合い、負担額を決めると説明した。住民代表の男性(31)は「こんな図面で審査を通ったと思うと苦笑してしまった」と話した。【堀智行】

2月19日朝刊
(毎日新聞) - 2月19日14時1分更新

まず、強度不足を認識していて、なぜ、提出していいのかが解りません。誤摩化そうと工夫して偽装を働いた建築士は、無駄骨だったということでしょうか?

無資格の社員の発言とはいえ、検査機関は、間違いを指摘するものだと言う前提があったのだと思います。偽装をはたらいた建築士も、「すぐに見抜かれると思った」という趣旨の発言をしていました。

誤摩化そうと工作して見抜けなかった件よりも深刻です。偽装の有無にかかわらず、建築確認は、問題を見抜くことができないことが解ってしまいました。(予想されていたことですが……)

このケースのような、「ミス」といっていいかどうか迷うような「ミス」から、本当のケアレスミスまで、目を皿にして探すべきだということになってしまったのではないでしょうか?事実上、コンピューター導入後の現在の制度で建築確認された全物件を再検証しなくてはならなくなり、とても大ごとになりました。

また、この件の発覚は、どのような過程であったのか、改めて興味を持ちました。「強度不足」がいつ明らかになったのかということです。

かつて、非姉歯物件に偽装なしという結論が発表されました。その後に、偽装とはいえないものの、強度不足の物件があるということで、九州で問題になりました。このとき、偽装がないからと言っても、強度不足を報告しないとはけしからんということになったことを思い出します。

横浜の件は、手柄かと思いましたが、同じ過ちである可能性もあるのかと思うと、少し複雑です。どういう経緯であったのかもう少しわかると、一連の再検査の意義を検証できるような気がします。
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by gskay | 2006-02-20 11:21 | 揺れる システム
住民の立場からの報道
毎日新聞は、「住民」あるいは「買い手」という立場からの問題の提起をしてきたように思われます。2月2日に掲載された『記者の目』は、必読ではないかと思います。この記事は、ヒューザーの訴訟と住民からの破産申し立ての時期に出たものです。下の二つは、同じ記事ですが、まいまいクラブの方には、読者のコメントも掲載されていました。

記者の目:耐震偽造マンション被害住民=桐野耕一(社会部)

まいまいクラブ-耐震偽造マンション被害住民=桐野耕一(社会部)

記者の桐野さんは、他のメディアの取材陣からも一目おかれていて、マスコミの中でもっともこの出来事を良く知っている人のひとりではないかと思っています。私は、お目にかかったことはありません。

元ヒューザーの知り合いに言わせると、「毎日が一番ひどい!」のだそうです。買い手にとって迷惑な存在であったり、信頼に足らない存在であったヒューザーの実態を、熱心にあばいて来たからではないかと推察します。買い手である住民の立場に近いところから、独自に問題を掘り起こしてきたような気がします。

その知り合いが「ひどい!」と思う程、私は、ひどい報道姿勢とは思っていませんでしたが、しつこいとは思っていました。それでは、毎日が「ヒューザー黒幕説」に立脚しているかというと、必ずしもそうではないようです。ヒューザーの無能や不手際を報じていただけのような気がします。

ヒューザーへの処分が決まり、矛先は、変わったのかもしれません。

安全ショック:構造計算書偽造 募る不安、進まぬ転居−−鶴見区マンション /神奈川


 ◇横浜市独自の「融資」案—仮住まい家賃も“借金”−−「使用禁止」鶴見区のマンション
 ◇発令から2カ月、住民側強く反発
 耐震データ偽造問題で、建築基準法に基づく使用禁止命令の適用が最も早く表明された横浜市鶴見区の分譲マンション「コンアルマーディオ横浜鶴見」の引っ越しが遅れている。市が「法的根拠のない公金支出はできない」と原則論を主張し、国の支援案にある転居費用と仮住まい家賃の補助を実施せず、独自の対応をしているのも一因だ。発令から2カ月あまり。入居17世帯のうち転居は7世帯にとどまり、残り10世帯のめどは立たない。【内橋寿明】
 ◇入居17世帯のうち10世帯めど立たず
 耐震強度が国基準の1に対し0・5以下のマンション住民に対する国の移転支援案は(1)25万円を上限とする引っ越し費用の負担(2)最大2年間、移転先家賃の3分の2補助(上限10万〜12万円)——が柱。だが該当物件を抱える自治体のうち、横浜市だけは国に合わせた補助に難色を示し続ける。特別立法など法的根拠が明確になるまでは、2年据え置きの無利子融資とする独自案を住民側に通告した。市住宅計画課の寺岡洋志課長は「根拠さえあれば補助に切り替える」と強調するが、その時期は「未定」だ。
 一方、住民側はさらなる“借金”に反発し、融資拒否で意思統一。マンションに残る女性(41)は「ローンに加え、仮住まい家賃を考えると出るに出られない。融資は本当に補助になるのか。精神的にもこれ以上借金は負いたくない」と憤る。
 強度0・5以下のマンションのうち、計算が遅れた「グランドステージ池上」(東京都大田区)以外の10棟では、8割以上の世帯が転居。3戸どまりの「グランドステージ溝の口」(川崎市高津区)でも、海外出張中の1世帯を除く残り20世帯は4月中の退去を川崎市に伝えている。
 同市は国の案に沿った補助を約束しており、建築指導課の高成雅芳主幹は「使用禁止命令を出した以上、最低限の補助は必要。周辺住民の安全も含め緊急性が高い。補助は早期移転を決める理由の一つだ」と話す。このほか東京都墨田区は転居した一部住民に引っ越し費用を支払い済み。同江東区も15日、早期に移転した61世帯に支払った。

2月18日朝刊
(毎日新聞) - 2月18日13時2分更新

そこに、からめて考えてははいけないのかも知れませんが、

選挙:横浜市長選 「無投票で追認、よくない」 共産推薦、松川氏が出馬へ /神奈川

この市は、東横インのことといい、頑張っていると思います。構造計算「ミス」による耐震強度不足の物件の発見もお手柄だと思います。

ただ、極端だと思います。

正当なことをしているとは思います。耐震検査の促進キャンペーンにも熱心です。しかし、今の発想のままでは、きっと破綻すると思います。

下手に検査をして、結果が悪ければ、悲劇が待っていますから。こんな目に遭うくらいなら、検査をしないで、放って置いた方がましだと考える人が出てしまうでしょう。そう考える人が出た時点で、失敗です。

そんな風に考える人を、説得できる手だてを考えなくてはいけません。

それとも、権力による「強制力」に頼るべきでしょうか?

ところで、構造計算「ミス」が原因で、Qu/Qunが0.5を割っていた場合は、どのように対処されるのでしょうか?これも、建築確認レベルの問題ですが……。横浜式で考えるのではなく、国のスキーム式で考えた場合、偽装物件と同じように扱われると考えていいのでしょうか?
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by gskay | 2006-02-18 15:12 | 公的対応