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事業主体
自治体が、事業の主体になることを渋っているそうです。買い取り、解体、建て替え、再分譲というプロセスの中で、自治体にとっては、再分譲の部分が大きな障害になると思います。

自治体や自治体が中心になって作った事業主体にも、建築主としての責任や売り主としての責任が発生します。例の瑕疵担保責任も含まれます。そうした責任を自治体が引き受けるべきかどうかという問題が、一番大きな障害ではないかと想像します。

瑕疵担保責任などに関しては、再分譲を受ける住民にとっても、新たに追加される住戸の購入者にとっても、考えようによっては、抜群の安心になります。しかし、自治体には負担です。

国が最初にスキームとして発表した時点で、国は、対策を早く進めようと、あえて具体的に踏み込んだ提案をしたものと思われます。しかし、将来の問題までは、考慮していなかったのかもしれません。そもそも、建て替えの道筋を縛るような位置づけのスキームでもなかったのかもしれません。

住民にとっては、最終的な自己負担が問題です。下記に引用した共同通信の記事では、資金繰りの心配をしていますが、買い取りなどで手続きは、枝葉の問題のような気がします。また、スキームが柔軟なものであるという点の方が、住民の選択肢は広がるような気がします。

世田谷区が事業主体否定 偽装マンション建て替えで http://topics.kyodo.co.jp/feature10/archives/2006/04/post_487.html


2006年04月03日
 耐震強度偽装問題で、構造計算書が偽造されたグランドステージ千歳烏山(東京都世田谷区)の住民に対し、世田谷区が、国の支援策に基づく建て替えの事業主体にはならないとの方針を伝えたことが3日、分かった。
 国の支援策は、自治体が偽装物件を土地価格で買い取り解体して建て替え、住民に再分譲するのが前提。これに対し同区は民間デベロッパーの参入を想定。「支援策を否定するものではなく、補助金など公的支援は民間主体でも同じ」としている。しかし、住民の選択肢が狭くなる上、土地を自治体に売却した代金での、ローン繰り上げ返済ができなくなるなど、資金繰りへの影響も大きい。


どのような事業が行われるのかは、物件毎にバラバラになると思います。
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by gskay | 2006-04-07 11:39 | 建て直し
解体作業
強度が弱いために、解体の作業には危険が伴うと言われています。この危険は、建物の強度によるものだと単純に信じて来ました。

ふと思ったのですが、既存不適格物件など、この建物より強度に問題があるとされる物件についてはどうなるのでしょうか?これまでも、これからも、多数の既存不適格を含めた強度不足の物件が解体されるでしょう。その度に、強調されなくてはいけない危険なのでしょうか?

強度による解体作業の危険を強調するだけでは、既存不適格も含め強度不足の物件を、危険を理由に解体できないという袋小路にはまってしまうのではないでしょうか?

実際のところ、解体は行われています。解体の技術は、そんな危険や技術的困難を克服して行われていると考えるべきではないかと思います。

耐震強度と解体の危険の関係は、耐震強度が保たれていれば、解体の対象にならないというだけのことではないでしょうか?問題がなければ解体にいたらないので危険な事態が発生しないということだと思われます。もし、耐震強度が保たれている物件であっても、解体しようとするなら、それなりの危険は伴うものと思われます。

耐震強度と解体作業の関係以前に、そもそも、解体自体が危険をともなう作業と言うことではないかと思います。そして、それぞれの建物で事情が異なるため、一筋縄では行かない作業なのだと思います。専門的で高度な技術を必要とする作業なのだと思います。そして安全への格別の配慮を必要とするのだと思います。

専門的で高度であることや、安全に対する充分な配慮が行われている点を強調する方が、これから危険な建物を一掃してしまおうという理想にはふさわしいと思います。

解体作業について真剣に考えたことはありませんでしたが、想像しただけで、すごい仕事であると感嘆させられます。
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by gskay | 2006-04-06 18:24 | 建て直し
代表辞任
民主党からの対応には、はじめのころから、あまり期待できないと、何となく思っていました。本当は、何となく思っていたのではなく、はっきり思っていたかも?

耐震強度偽装に関して、究明サイトは、頑張っていると思いました。しかし、表立った肝心なところで、ピントがずれていると感じていました。

最初にがっかりしたのは、対策本部の現地調査と、代表の視察(党国土交通部門、耐震強度ねつ造問題に関し、現地調査を実施)です。せっかく対策本部を立ち上げ、その現地調査なのに、賃貸物件やホテルを視察先に選んでしまいました。

分譲マンションの問題と、賃貸物件やホテルでは、問題の影響が異なってきます。

あの時点で、民主党はそれをわかっていたのか疑問です。

理解したのは、随分、遅れていたように思われます。(今でも、本当にわかっているか、心配ですが……)

一方の与党は、ぬかりなかったように思います。(比較の問題にすぎないかも知れませんが……)

追及の方は、政治家と業者の癒着の問題については、随分と頑張っておられたようですが、それで、どうなったんですか? (それは、それで、大事だとは思いますが……)

氷山の一角という深刻な事態を、随分と矮小化して取り上げていたような気がします。

直接の責任や直接の影響を取り上げ、将来に備えることができていないように思います。

民主党は、火事の最中に、悪者や黒幕、陰謀を論じることはできるが、火事は消せないと残念に思いました。むしろ、消火活動の足を引っ張っていたかも?

政治的な打算が空回りしています。

民主党には、人材がいることを知っています。充分な見識や経験をもった人材が、どの分野についても揃っていると思います。それが、全く実力を発揮していないと思います。

アンチ与党を主張したり、与党の不正を追及するのは、いい加減にして欲しい。

実力と可能性を、政治的打算抜きで具体的な形で披露するところからはじめなければならないと思います。にもかかわらず、四つの問題という絶好の機会を逸してしまったように思います。

これまでの民主党の執行部の方々の対応は、一流の”政治家”とは到底いえず、一人前にさえ、程遠かったと思います。

政治を食い物にしている”政治屋”よりもたちが悪い「政治ごっこ」だったのかなと思います。

「政治ごっこ」という火遊びの後始末は、大変だと思います。

四つの問題の最初の問題としてこの問題が発覚し、当事者となったときから、民主党の動きに注目してきました。これだけ、残念に思うことが重なっているのに、「人材」を知っているためか、今まで以上に期待します。

ただ、「党」への期待というより、その「人材」への期待です。

「これまでの党」にはがっかりさせられましたが、「これから」です。
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by gskay | 2006-04-05 11:52 | 政治と役所と業界
捜査への協力
警視庁から捜査への協力を依頼されました。裁判所からの令状という手続きではなく、任意の協力という形で依頼されました。同意書が必要であるほか、立ち会いが必要になるそうです。

どのように証拠を集めればいいのか、警察も困っているという話が報道にありました。その後、外部の専門家により捜査のマニュアルが作られ、そのマニュアルに沿うそうです。ちなみに警視庁には、建物の分析の専門家はいないそうです。

本来、建物の取り締まりは、建築主事の仕事ではないかと思います。まさか、警察がかり出されるとは考えていなかったのかもしれません。建物の取り締まり強化のため、警察も、建物を分析する能力を必要とするのかもしれません。

今後も、悪質なケースが出るかもしれません。そうしたケースで、司直が自らの手で捜査を進めるとすれば、頼もしいとは思います。

ただ、やはり、建物の取り締まりは、建築主事の手で進めて欲しいと思います。「建築の自由」に基づく、プロの仕事として取り扱っていくのが第一だと思います。建築の専門家がグズグズしていると、警察の管理下になってしまうかもしれないと思います。まあ、警察が、そういう分野の仕事に手を出すかどうかは、わかりませんが……。

証拠は、解体に合わせて、採取するようです。あいにく、証拠を提供しても、その分析結果は教えてもらえないそうです。

もし、設計図より強度が弱ければ、一般的な施工による欠陥と同様に、施工業者の責任を問うことができるので、分析結果は重要です。届け出中の木村建設への破産債権が認められる可能性が高くなると思います。

そうした証拠集めは、解体に合わせて、住民自身が行わなければいけないようです。分析結果は教えてもらえないとしても、どこを証拠として採取したかは、特に秘密ではないそうです。

まだ、解体のことは、具体的には何も決まっていないので、決まってから、もう一度、話があるそうです。

なお、捜査の対象は、偽装を行った元建築士の件だとのこと。その他の関係者については、どういう風に扱うつもりであるのか、さすがに、何も教えてくれませんでした。
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by gskay | 2006-04-04 23:28 | 真相 構図 処分
つながり
レビューありがとうございました。自分のブログについてレビューを頂けることを、とてもありがたいと思います。

信頼関係は数珠繋がりであり住む人の為になるにはどう配慮して設計をし、施行をするかに繋がるのではないでしょうか。
(有)コラムデザインシステムのコラム:「揺れるマンション」顛末記 サイトについて (http://columndesi.exblog.jp/tb/1562279)より引用

信用できる珠だけをつないで、数珠つなぎができて欲しいと思います。しかし、数珠に、信用できない珠や、要らない珠が入っていても、それを選り分けることができないと感じています。

できれば、数珠で間接的に繋がるのではなく、関わってくれる全ての人との直接の信頼関係を結んでおきたいと思います。でも、それは、難しい。

そこで、信頼関係の数珠つなぎを作っているのがデベロッパーやゼネコンなのかと思います。大きな事業を統括するというのは、重要な仕事だと思いますが、その辺の信用の問題だけで片付けてはいけないと思います。

追加工事などで会った職人さんたちとは、繋がっていると意識することができました。しかし、引き渡される前にこのマンションの工事に関わっていたほとんどの人たちとは、私は繋がっていると意識していなかったと思います。

これは、ひょっとしたら、逆に、仕事をしている人たちも、繋がりを意識できていないのではないかと思います。極端にいえば、事業の全体像の中での自分の位置づけや責任を認識することさえ困難なのではないかと思います。

そんな関係だからこそ、「信頼関係の数珠繋がり」を強調する必要があるのかもしれません。

完璧ではないにしても、食べ物のトレーサビリティーが確保されつつあります。

そういえば、ホテルでは、ベッドメイキングをしたメイドさんのサインを見かけます。

そうした「つながり」の意識は、「防止システムを作っても運用は人によります」という「人」に対する大きな動機付けとなるような気がします。防止システムに限らず、「人」が鍵だと思います。そして、いい建物が、生まれる原動力になって欲しいと思います。

このことは、大勢の方が、様々な表現で指摘していることですが……。

建築と言うもの作りの仕事は、本来やりがいのある仕事であるばかりか、たくさんの人々が関わる巨大な産業です。

「信頼関係の数珠繋がり」は、信頼できる業者を抱えたデベロッパーやゼネコンが信用を高めることによって達成されるのではなく、そこに関わる人によって実現されるのだと思います。

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ところで、もう一点、「身の丈」の件は、状況に合わせて、少し考えが深まりました。「共同住宅」というものを分譲によって購入するうえで、とても重要なポイントです。

それは、一緒に管理組合を構成する同じマンションの住民の存在です。自分だけで浮かび上がろうとしても無理です。これは、一戸建てとは大きく異なると思います。

しみじみ、一緒に浮かび上がれそうな人たちと一緒で良かったと思っています。そこまで含めて「身の丈」を考えないといけないように思います。

あの時は、「とりあえず、自分は平気」というレベルの主張でした。今は、同じマンションの人たちが、しっかりしていて良かったと思っています。これは、住んでみないとわからないことで、自分の「身の丈」をわきまえているつもりだけでは解決しない大問題だと思います。

こちらも、重要な「つながり」です。

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以前、歌田明弘の『地球村の事件簿』 「マンション購入者・自己責任説」はなぜ生まれたかで、レビューして頂いたことがありました。

レビューして頂くと、とても啓発されます。
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by gskay | 2006-04-03 23:08 | 揺れる システム
大臣認定プログラム
大臣認定プログラムを用いることで、建築確認の検査が簡略化されたりするようです。便利で大事な道具なので、結果の出力を改ざんしやすかったりする点や、バグについては、見つけ次第、修正して置かなくてはいけないものだと思います。そうしたプログラムそのものの問題だけでなく、その取り扱いにも問題があると思います。

一つ一つのプログラムは、元になる考え方を反映しただけで、計算の一つの方法に従っているだけであるようです。どうしても、プログラム毎で結果が異なることになるそうです。計算の設定や手順でも、差が出るとか出ないとか。

プログラム毎に計算結果が異なってしまうことを、私は、けしからんとは思っていません。

その計算結果の意味をよく吟味しないで用いることを不審に思っています。

構造設計や再計算にあたっては、最も目的に適った結果を利用するのは、当然だと思います。どのプログラムをどのように用いるかということも、構造設計者の腕のうちなのだろうと思います。自らの考え方に従って選ぶべきものだと思います。

こうした点については、これまでの報道や、周囲の人のコメントで、何となくわかっていたつもりでした。しかし、よく考えてみると、大臣認定プログラムの登場前は、どのように構造計算が行われていたのでしょうか?

昔は、膨大な手作業によって行われていただろうということは、想像できます。そして、コンピューターが登場以降は、設計者が独自の設計プログラムを作るようになっていたものと思われます。

大臣認定プログラムが登場するまでは、膨大な計算と言う地味な仕事だったと思いますが、「建築の自由」の原則の元で行われていたと思われます。そして、検査についても、大臣認定ではないので、構造計算をいちいち吟味しなくてはいけなかったと思われます。とにかく、大変な労力だったのだろうと思います。

しかし、大臣認定プログラムとなり、構造設計する側も、かなりの部分をプログラム任せとできるだけでなく、確認の方も簡略化されました。

今どき、独自のプログラムなど使おうものなら、大変なことだと思います。

大変だと想像しながら、私は、そうした独自のプログラムで構造設計する建築士の存在を忘れていました。

構造設計者の地位の向上が叫ばれています。この仕事について、光を当てたり、評価や報酬を上げたりということは当然だと思います。特に、大臣認定プログラムに頼っているだけの建築士より、独自に設計プログラムを作れるくらいの力がある構造設計者を、もっと評価しなくてはいけないと考えます。そのためには、独自のプログラムを評価できる建築主事も必要だと思います。

これは、建築自由を促進し、それを技術革新につなげるために必要なことだと思います。才能のある建築士が構造の分野で、もっと活躍するような環境のために、大臣認定プログラムの扱いを慎重にすべきだと思うようになりました。

今週は、(有)コラムデザインシステムのコラムを読ませていただいて、改めて、この仕事を志す意義を見直しました。また、緊急調査委員会の報告書とあわせて、建築という仕事の理想について、とても勉強になりました。
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by gskay | 2006-04-01 20:47 | 揺れる システム