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「初動対応と公表のあり方」
発覚から公表までの期間の反省は、5月11日付けの国土交通省住宅局建築指導課長から都道府県建築行政担当部長あての文書に取り上げられています。文書は、「違法行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について(技術的助言)」(国住指第541号)という通達です。

この文書では、問題発覚の時点での、関係機関の連携や情報提供への指針が示されています。内容は、「違法行為等に関する情報を把握した際の初動対応」と「公表について」に別れています。これまで、こうした対応についての整備は手つかずであり、この機会に整備されたようです。

「初動対応」については、問題の物件を速やかにリストアップし、状況の把握に要する期間の短縮がポイントのようです。

建築基準法第9条に示される違反建築物に対する措置については、「既存建築物に係る違反是正作業マニュアルについて(技術的助言)」(平成14年4月11日国住指163号)に基づくということです。そのマニュアルは、平成13年の新宿歌舞伎町の小規模雑居ビル火災への反省から作られたものだそうですが、私は内容を知りません。(機会があったら、眺めてみたいと思っています)

建築基準法第9条そのものが、猶予期間を原則としてもうけるなど、慎重さを要求する仕組みであるためか、「時間との闘い」には無力であるという印象です。法が緊急の措置を認めている点をもっと重視すれば、違った方向性が期待できると思うのですが……。

藤沢の物件の引き渡しなど、発覚後の対応次第では防ぐことができたはずの問題への対応については、検討されていないという印象です。充分な権限を与えられているのに用いないのは残念なことです。

全容の把握までの時間の短縮は期待できるものの、時間とともに広がる問題を防ぐことはできないままだと思います。

「公表」については、「周囲の安全」などの「公益性」と、「風評被害」などの「財産権保護」のバランスをみたうえで、原則的に公表するとのこと。さらに、違法行為が確認に至っていない場合でも、所有者への情報提供が配慮されるとのこと。

この「公表」の経緯がデタラメであったことに、私は大きな影響を受けています。そして、怒っています。

取り上げられた内容は、いずれも、今回の事件への対応のダメだったポイントで、教訓として学んだことなのだと思います。まだまだ工夫の余地のある内容だと思います。
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by gskay | 2006-05-31 20:31 | 揺れる システム
「住民は自ら訴訟を」
5月26日に行われたヒューザーが自治体を相手取った裁判の第1回口頭弁論に関連して、引用した記事のように破産管財人がコメントしているようです。同じような趣旨の発言は、破産管財人からの中間報告の席でもありました。

ヒューザーには、建築主として過失があり、それが相殺される可能性を考慮しているのだと思います。住民としては、そのような過失はないので、訴訟自体は検討する価値があります。

実際問題としては、するかしないか、するならいつか、相手をどこにするかといった問題を検討してからになります。事件の公表から半年が過ぎていますが、時効まであと2年半あるそうです。さすがに、そんなに待つ気にはなれません。事態を見極め、きりの良いところで踏み出さなくてはならないと思います。

ヒューザーへの破産債権の届出が済んだところで、検討に入るかもしれません。当面は、除却や建て直しの準備の進行を見ながらです。

「住民は自ら訴訟を」と助言=ヒューザー管財人、日本ERIも提訴


 耐震強度偽装事件で、マンション販売会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)の破産管財人瀬戸英雄弁護士は26日、都内で会見し「購入した住民の被害は甚大だが、管財人としてできることには限界がある」と述べ、住民が自治体などを相手に自ら訴訟を起こした方が、賠償額が多くなる可能性があると指摘した。
 瀬戸弁護士は「ほかにも債権者はおり、住民だけを優先することはできない。被害回復には提訴が有効だと思う」と話した。
 この日東京地裁で第1回口頭弁論が開かれた14自治体相手の訴訟については、「自治体は偽装を長期間見過ごすなど機能まひを起こしており、責任を問われるのは当然」と述べた。
 同弁護士はまた、管財人として25日、自治体と同様に偽装を見逃した民間検査機関「日本ERI」(東京都港区)を相手に、1億円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしたことを明らかにした。 
(時事通信) - 5月26日19時1分更新

同様の提案は、ヒューザーが訴訟を起こした段階で、ヒューザーからありました。住民の訴訟への参加が呼びかけられました。しかし、住民は呼びかけに応えませんでした。なぜなら、その時点では、すでに、ヒューザーは営業をやめており、住民側が破産申し立てをしていたからです。

破産管財人のコメントも、ヒューザー弁護団の提案も、趣旨は変わらないと思います。ただ、時期や情勢が異なっており、今回は、前向きに検討する価値があると思います。

振り返って考えてみると、ヒューザーの動きがもっと早ければ、訴訟に住民が参加する余地はありました。

できれば、公表直後に動いて欲しかった。あの時、テレビに出て余計なことをするより、可能な法的措置をヒューザーはすべきだったのかもしれません。

また、法的な措置のタイムリミットは、せいぜい、12月終わりだったと思います。住民の退去や転居の開始、ヒューザー自身の営業休止の前でなくてはならなかったと思います。

もし、ヒューザーの動きが1ヶ月以上早ければ、流れは変わっていたかもしれません。行政を説得しようという態度が裏目にでました。行政とは争わなくてはいけなかったのだと思います。ヒューザーは、争いを仕掛けてから、交渉や折衝に入るべきでした。

経営の破綻と言うピンチが迫る中で組み立てに失敗したのだと思います。争いの相手は、経営が破綻するのを待つため、時間稼ぎをすれば良いだけでした。

今さらです。やらねばならないことが山積みだったとはいえ、発覚から公表までに争いの覚悟ができていなかった時点で、「負け」だったように思います。

住民には、まだ多少の時間が残されていますが、ヒューザーの二の舞にならないようにタイミングを考えなくてはなりません。

訴訟に張り切りすぎて、進めなくてはいけない様々な関係者との交渉をおろそかにしてはいけないと思います。逆に、交渉ばかりに精力を注ぎすぎて、訴訟のタイミングを逃してもいけないと思います。もちろん、訴訟が不要なほど、円満であることを望みますが、現状では難しいだろうと考えています。
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by gskay | 2006-05-30 12:32 | 損害と回復
クリーンデー
区の一斉クリーンデーというイベントに参加しました。仮住まいの自治会のポスターを見て、のこのこと出かけました。元のマンションに何事もなく住んでいたら、目にとまらなかったような気がします。近所付き合いのありがたさを改めて知ってしまったせいか、参加できるイベントには参加したいと考えています。

強烈な人がいたらイヤだなと思っていたので、おそるおそる参加しましたが、それは杞憂でした。もっと大勢が参加するのかと思っていたので、少ないという印象です。これでは、ポスターの枚数の方が、参加者よりも多いのではないかと思います。その分、新参者の初参加の私を大切にしてくれました。

意外なことに、子どもがいませんでした。というか、子どもがいるような年代の人は少なく、かなり平均年齢が高いと感じました。そうした参加者の偏りも残念です。自分に子どもがいないくせに何ですが、子どもにとっても貴重なイベントなのにと思いました。

歩道の一斉清掃で、自治会毎に担当する場所のゴミ拾いをします。もともと清潔な街なので、ゴミ拾いは楽勝です。ゴミばさみとビニール袋を持った集団散歩という感じでした。この姿で、区で一斉に散歩していると思うと、何だか愉快です。集まったゴミをみると、結構あるなと思いました。

あれっ、この区は路上禁煙ではなかったか?まあ、いいか。

それって、産廃じゃないの?うーん。

仮住まい組で参加していたのは、私だけでした。かく言う私も、家内が出勤してしまい退屈な休日の午前のヒマつぶしみたいなもので、他に用事があったら参加しようと思わなかったと思います。先日あった自治会の総会も、委任状ですませていたし……。

ランチを兼ねた懇親会があり、はじめて集会場に行きました。そんなところに部屋があることさえ知りませんでした。

参加者が減る傾向にあるそうで、問題と考えている人もいるようですが、それほど深刻には考えていないようです。ゆとりがあると感じました。URが設定する経済的な下限をクリアしている均質な人たちの自治会であるせいかもしれません。

無理な役割分担もなさそうです。自治会が、排他的なグループになっていたり、別の運動の一部になっていたりということはなく、今後も気楽に参加できると感じました。
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by gskay | 2006-05-29 09:48 | 仮住まい
効果的
マスコミが好んで使っていた「震度5強で倒壊のおそれ」の根拠も、閾となった「0.5」も、説明らしい説明はなく、要は、手続きとしての一次設計、二次設計と言う段階のうち、一次設計に注目したと言う事だったようです。『建築知識』6月号の特集の最初の記事、国土交通省の担当課長のインタビュー記事を読みました。

だったら、そっちを強調してくれれば良かったのに。

「200gal閾説」などの推測もありますが、必ずしもそういう問題ではないようです。

「性能」が問題だと断言していないことには、少しがっかりしました。確かに、今のところ、「性能」を根拠として強調しすぎると、既存不適格についてもしかるべき対応が必要になってしまい、大変なことになってしまします。そういう意味で、「性能」の方を強調できないのかもしれません。

とはいうものの、「震度5強で倒壊のおそれ」という「性能」に関する指標が、マスコミで過剰に報道され、国民の反応も加熱してしまいました。内容のよくわからない表現ではあるものの、「常識」のレベルとして定着してしまいました。

その表現の妥当性や、発表に至る経緯、取り上げる姿勢など、問題はたくさん指摘できます。翻弄された側にとっては、腑に落ちないところがあります。

しかし、すばらしい効果が上がったと思います。「震度5強で倒壊のおそれ」という表現は、建築物の「性能」こそが問題であるという意識を根付かせることになったと思います。実は、手続きや形式の問題であった問題を、質的に転換しました。

これまでは、入力された数値が妥当であるとか、計算の手続きが正しいかどうかとか、適法であることを検査に合格して証明されているというようなポイントだったのかもしれません。しかし、この事件を通し、「性能」こそが問題であるという意識を明確にしました。

今のところ、「震度」、「倒壊」、「おそれ」など、曖昧な用語でしか「性能」が表されていないものの、今後、より厳密なものに発展する可能性があります。

意図していたのかどうか伺い知ることはできません。さしあたっての取り締まりの根拠は、手続きや形式です。その部分を明確にしているとは言えない点は問題かもしれません。しかし、その先の目標として、「性能」を設定することに成功しています。

こうした形で、行政が新しい概念をセンセーショナルに世に投げかけるのが妥当かどうかわかりません。しかし、効果は絶大だったと思います。

『建築知識』の特集を読んで最初は迷走していると感じました。しかし、よく考えると戦略的な効果は絶大だったと思います。おそれいりました。
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by gskay | 2006-05-27 23:29 | 政治と役所と業界
コストと性能
経済設計は、高度な技術だと思います。耐震偽装事件にはじまる混乱と風評は、高度な技術として経済設計を追及している建築士にもダメージを与えてしまいました。高度な技術として経済設計を追及することと、デタラメな設計とが混同されてしまいました。ようやく、疑いが晴れたつつあるようです。

高度な技術としての経済設計は、パズルのように試行錯誤や工夫が必要で時間と手間がかかるものと想像します。おそらく、設計料は安くはないと思います。それでも、それに見合うメリットがあったのだと思います。

そういう人が、構造設計してくれていたらよかったのになぁ。

まともに経済設計をめざせば、手間と時間で大変なのだと思います。これに対し、うちの元建築士は、手間と時間を惜しんだのではないかと思います。結果として、仕事が早くなり、優秀な建築士と誤解されていたのだと思います。実際は、技術不足で、経済設計以前の問題だったような気配ですが……。

この件に関し、引用した記事にあるように、取り締まり側の無責任さは問題だと思います。さらに、技術不足も。騒いだマスコミも、しかるべき責任をとるべきだと思います。

耐震計算偽造:中山建築士「関係機関は謝罪すべき」 手がけた物件耐震性確認 /熊本


 「国側に検証を委託していた6件ともに強度は確認されました」
 熊本市は24日、木村建設(八代市、破産手続き中)が関与し、当初「強度0・43」とされたマンションを含む同市内の6物件が耐震基準を満たしていると発表。それに対し、対象物件を設計した中山構造研究所代表の中山明英・一級建築士(53)は「当然の結果」と憤りをあらわにした。
 市は当初、6物件の耐震強度偽造の有無を確認するため、県建築士事務所協会に構造再計算を依頼。同協会で「偽造なし」と判断された時点で強度は「0・43」など耐震基準を大幅に下回る数値もあった。当時から、市は精査を予定していたが、県が2月に数値と物件名を公表。中山建築士は「発表は間違い」と県や事務所協会に激しく抗議した経過もある。
 中山建築士は市の発表後に会見。最初に再計算をした協会の建築士が匿名とされたことに対して不満をあらわにし「『0・5以下』は、強制退去という社会的影響のある数字。なのに匿名で発表するのは無責任」と声を荒らげた。「不安を与えた施主と入居者に、誠意を持って謝罪すべきだ」とも訴えており、今後同協会や暫定値を発表した県に謝罪を求めるという。
 会見後、市建築指導課職員は中山建築士に日本建築防災協会の調査結果を手渡した。中山建築士は「防災協会は私の考え方を理解してくれた。精査途中の数値が公表されたことなどが混乱の原因だ」などと指摘した。【門田陽介、谷本仁美】

5月25日朝刊
(毎日新聞) - 5月25日14時1分更新

経済設計を単純に悪だと決めつける風潮ができてしまったことは残念です。本来は、メリットのある高度な技術だと思います。このようなニュースが流れても、意識が正されるのかどうかはわからないと思います。誤った先入観は消し難いと思います。

ところで、注意しておかなくてはいけないのは、技術的な合理性無く無駄に「頑丈」にしても、しかるべき性能は得られないという点です。しかるべき設計が必要です。コストをかけて材料をふんだんに使うなら、それに見合った極大化した性能を目指して欲しいと思います。

コストという代替の指標で安心を与えるのではなく、合理的な性能という直接の指標で安心を与える仕組みが必要だと思います。そして、経済設計の悪口を、技術や工夫のない設計の隠れ蓑にさせてはならないと思います。
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by gskay | 2006-05-26 10:51 | 揺れる システム
ホテルとの協力?
耐震偽装によって被害をうけた最末端の当事者同士であるホテルのオーナーと私たち住民の協力についての模索が行われているという話があります。

ホテルは、事業であるだけに訴訟等に積極的です。損害についても早々に確定させ、会計に反映させて的確に対応しているように思われます。公的な支援の対象ではないと明言されていることもあるせいか活発です。さらに、「黒幕」と称させるコンサルタントが存在し、注目されています。

それに比べ、マンション住民は、訴訟についても、物件毎に温度差があるように思われます。積極的な方向を打ち出すところもあれば、慎重なところもあります。公的支援の対象になっていることも、考え方によっては、動きを鈍くしている原因かもしれません。

除却や建て替えについての作業に時間がかかっていて、最終的な損害がどうなるか不明確です。さらに、共同所有であるために、住民同士の足並を揃える必要があり、ホテル事業のようにはいきません。

ホテルと協力できる部分は協力すべきだと思いますが、大きく立場が異なる部分があります。

ホテルも住民も、所有者として、この事件に関わっている点は同じです。所有者としての責任を果たさなくてはなりません。

しかし、住民は、建築主ではありません。ホテルの場合、事業を行っているオーナーが建築主になっているのではないかと想像します。そうだとすると、むしろ、ホテルは、ヒューザーの立場に近いように思います。注目すべきコンサルタントの存在があるにせよ、住民とは立場が違っています。

そう考えると、慎重に協力関係を検討する必要があるように思います。どちらも、デタラメなシステムや、技術力の不足、不誠実な専門家の態度や、迷走する監督官庁の姿勢、それに無茶苦茶な報道に翻弄されているという点は同じですが、位置づけが微妙に異なっていると思います。公的な支援の有無などで差が出ているように、違う道を進まなくてはならない点が多々あるように思います。
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by gskay | 2006-05-25 21:44 | 損害と回復
「金融機関に質問状」という報道
耐震偽装の関係者を相手に損害賠償請求を検討していると伝えられています。訴訟の相手としては、金融機関も念頭にあるようです。しかし、引用した記事の内容は、金融機関に抵当権の末梢を求めているだけだと思います。

建物に設定された抵当権があると、除却ができないおそれがあります。除却を速やかに実施するための条件として、金融機関の対応が重要です。そのことが第一の課題なのだと思います。

金融機関に質問状を提出 耐震偽装物件の抵当権で


 耐震強度偽装問題で、強度が基準の31%だったグランドステージ東向島(東京都墨田区)の住民が21日、同区内で集会を開き、各住民が住宅ローンを借りた金融機関に対し、マンション建て替えの際、建物に設定した抵当権の抹消に応じるかについて質問状を提出することを決めた。
 質問状は6月14日を期限に(1)担保物件の解体に同意するか(2)無条件での抵当権抹消に応じるか−などの回答を求める。
 集会では、今後も建て替えに向けた検討を進める一方、指定確認検査機関イーホームズ、墨田区、金融機関などに対する訴訟も視野に入れることを確認した。
(共同通信) - 5月21日16時58分更新

住宅ローンについては、大抵、リコースローンで、建物があろうがなかろうが、返済に滞りがなければ金融機関にとっては問題ではありません。抵当権について、除却に不都合がない条件は見出せると思います。

しかし、記事中の「無条件での抵当権末梢」という部分がひっかかります。建物分のローンを無くせということなのかもしれません。視野に入っているという金融機関相手の訴訟は、これなのかもしれません。

リコースローンで借りている限り、担保を金融機関に出せば、ローンが消えるというものではありません。担保を処分しローンに充当しても足りない分は、ローンとして残り続けます。住宅ローンの抵当権は、ローン返済中の売買等を縛るだけの意味しかないとされています。

仮に、ノンリコースの仕組みに準じて、担保でローンが解消される処理をしてくれれば、借り手は助かります。契約における金融機関の役割の重大さを考えれば、そうした責任を求めるという心理も理解できないわけではありません。

こうした問題については、個別の経済状況に合わせて金融機関が前向きに対処してくれる方が現実的なのではないかと思います。損害がどこまで回復されるのかが不透明な段階であり、一律の対応を求める時期ではないような気がします。また、ローンを利用していない場合の不公平感も残るような気がします。

いずれにせよ、除却に不都合な抵当権についての問題をクリアするのが肝心なことだと思います。損害の回復に関する部分は、その次だと思います。東向島の住民の間での議論では整理されていても、報道されたり、公表されたりする段階で混乱した内容になってしまったものと想像します。
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by gskay | 2006-05-24 09:53 | 損害と回復
小嶋元社長の取り調べへの期待(5)
竣工検査・完了検査が済み、登記がなされて以降、引き渡し前の内覧、振込手続き、保険関係の手続き、引越手続き……などが行われています。それまで住んでいた家を売却した人もいるようです。そうした一連の流れが、引き渡しに先だってにあります。

引き渡し前後の流れは、経験していないとわかりにくいかも知れないと思います。一戸建てでも、分譲であれば、似たような経験をすると思いますが、建築主として注文した場合は事情が違うのではないかと想像します。

報道を見る限り、そうした流れがおさえられていないと思います。そうした流れを検証すると、いつまでなら、スムーズに取引を止められたのかがわかるはずですが、そうした検証はないようです。

また、表沙汰になっているイーホームズとヒューザーという関係者の他に、国土交通省という重要な関係者の存在が忘れられているいるように思います。国土交通省および特定行政庁である藤沢市は、この複雑な手続きを強制的にストップすることができたはずです。金融をふくめ、様々な利害があっても、公的な強制力なら、ギリギリまで発動可能なはずです。しかし、していません。

発覚から公表までのタイムラグの経緯も、よく考えると不明瞭です。被害の拡大の要因の一つになっていると思います。未完成の物件については、工事や計画の中止の対応が取られています。にもかかわらず、完成していたり、引き渡しが済んでいる物件では、契約者や所有者にも事情が知らされないないままでした。未完成の物件でも、契約者は、事情を知らされず、契約解除に至るまでに無駄な時間をすごしています。

さらに、重大性の認識という点も、「震度5強で倒壊のおそれ」という評価や「0.5」という基準は、はじめからあったというよりは、後からの理屈のようです。その妥当性の検討も含め、どの段階から関係者に了解され、一般化したのかも検証されなくては行けない問題だと思います。

耐震性能が下がっている時点で重大の問題だと、今では考えられています。ところが、この事件に関係していない物件でも、1割も問題があるとされています。どういう重大さを持っているのか再検討する必要があると思います。

こうしたことは、悪事を追及する上では役に立たないかもしれません。しかし、システムの問題を明らかにし、将来に備えるためには必要な検討の機会になると思います。

おそらく、捜査に進展があっても、「どうすれば良かったか」ということは明らかにならないでしょう。捜査は、あるべき形を模索するものではありません。しかし、あるべき姿を模索するための材料を提供してくれると思います。

建築行政の当局や、立法府、それにマスコミや業界関係者、一般国民が広く取り上げるべき問題です。耐震偽装の構図や、「詐欺」という悪事は、野次馬にとっては面白いかもしれませんが、そちらにばかり目を奪われ、その周辺で明らかになった重要な問題を軽視してはいけないと思います。
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by gskay | 2006-05-23 20:43 | 真相 構図 処分
小嶋元社長の取り調べへの期待(4)
耐震強度の数値の「意味がわからなかった」という言い訳は、感心できない弁明だと思います。「1」以上を満たさなければ、全部ダメです。このため、弁明にはなりません。

この弁明については、
(1)耐震性能が深刻に下がりすぎていて重大だという認識
(2)耐震性能が下がっているのは瑕疵として、無条件に重大だという認識
という2点から考えてみる必要があると思います。

そもそも、あの時点で、耐震性能低減の深刻さをわかっていた人は少ないし、わかっていたとしても、例の「震度5強で倒壊のおそれ」という評価や、「0.5」についての基準が、はっきりしていたかどうかわかりません。いずれも、この耐震偽装事件を契機に一般化したのではないかと思います。

といっても、「1」しか基準になりません。それを、下回ればダメです。

ところで、「震度5強で倒壊のおそれ」という表現については、理論的予測と経験的予測がごちゃ混ぜになっているという指摘があり、妥当性に疑問を感じてる人もいるようですが、学術や技術の限界なのかと思います。今後、もっと精密な分析で判断が変わるかもしれませんが、仕方がないことです。

「0.5」についても、「なぜ?」という疑問を感じない訳ではありませんが、根拠が曖昧とはいえ、理論的に説明できる数値のようです。現在のところ、少なくとも、うちの物件では、妥当な補修方法もはみつかっておらず、「経験的」にも妥当なのかもしれないと思います。

いずれも、現状では、納得せざるを得ないと思われます。

しかし、あの時点では、そのように判断ができる条件が整っていたかどうかは疑問です。「震度5強で倒壊のおそれ」も「0.5」も、公表までのプロセスで取り上げられるようになったものではないかと考えています。11月17日以降に、一般化した概念だと思います。すでに用いられてきた考え方なのかもしれないし、新規に用いられるようになったのかもしれませんが、一般的ではなかったように思われます。

そうした程度を表現する方法の妥当性はともかく、小嶋元社長の嫌疑は、そのような耐震基準違反の深刻さが問題ではないと思います。「意味がわからなかった」は、深刻さの程度をわからなかったということで弁明しているつもりなら、それは意味がありません。

そもそも、基準以下はダメだといえるからです。

だとしても、耐震性能が基準を下回るという問題は、無条件に「重大な瑕疵」であるかどうかはポイントとして残ると思います。「重大な瑕疵」を過小評価するという判断の大きな過ちをおかしたと糾弾されています。

どのように判断すべきなのかは、必ずしも自明ではないと思います。小さな問題と考えて、後で対応できると判断した可能性はあると思います。この違反を、補修工事で対応できると考え、他のもろもろの小さな瑕疵と同じように考えた可能性はあると思います。

理屈の上では、耐震補修や、免震という選択肢があり、そうした対応での解決も不可能でありません。おそらく、政治家と大手ゼネコンへ訪問したりしたのもそうした発想の延長ではないかと思います。

新築マンションでは、完璧な状態での引き渡しは、ほとんどないと思います。内覧に内覧を重ねて、補修工事を重ねて、やっと引き渡し可能な状態になって引き渡されます。それでも、問題は発生し、それは、売り主によって補修されます。それと同じレベルで考えてしまったのではないかと思います。本当は、そんな風に考えるべきではなかったというのは、後知恵です。

重大性の認識について、問題となっている構造は、「重大な瑕疵」と言い切っていいのかどうかわかりません。公表後は、疑いも無く「重大」と認識できます。しかし、あの時点で、断定できたことなのかわかりません。対応しなかったり、あるいは、判断を適切に下さなかったという点では、国土交通省も同じです。きちんとした解釈を示していませんでした。対応らしい対応もしておらず、防げる問題を防げませんでした。

「認識」できなかったことや「告知」しなかったことの「重大さ」を見極める必要があると思います。認識や告知の有無の「重大さ」と、認識や告知されなかった内容の「重大さ」は、区別して考えなくてはなりません。

私は、「告知」し、引き渡しの保留等の提案をすることができたと思っています。しかし、そうではないという考えも成り立つかもしれないと考えています。

確かに、今となっては、「重大」です。そのように「重大」であるという認識が形成されるプロセスがあります。そのプロセスを解明するような取り調べを期待します。
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by gskay | 2006-05-22 10:42 | 真相 構図 処分
小嶋元社長の取り調べへの期待(3)
10月25日、27日という日付が、鍵になっているようです。そこから、11月17日に公表されるまでの経緯を明らかにして欲しいと思います。「数値の軽減」が認識され、耐震強度の性能不足が指摘されて以降、状況は、どんどん変化していて、それにどのように対応したが重要です。

私は、公表まで、耐震偽装のことは何も知りませんでした。

発覚した時期は、ヒューザーに壁のクロスについてクレームを出し、木村建設と交渉していた時期で、11月に入って貼り替え工事を行い、1日立ち会いました。その背後で、そういう問題が出ていたとは、全然知りませんでした。だったら、あの工事は、見合わせてもよかったのではないでしょうか?

他にも、様々な出費がありました。発覚から、11月17日までの対応のまずさが、損害を増やしていると思います。

「なぜ、11月17日まで公表されなかったのか?」という疑問と、イーホームズとヒューザー、それに監督官庁である国土交通省が偽装を認識しながら藤沢の物件の引き渡しを中止できなかったことは、共通の問題を抱えていると思います。

はじめは、よその物件のことだとしか見ていませんでしたが、今は、関心が強くなっています。

この件について、引用の通りなら、完成前の物件については、まともな対応をヒューザーが迅速に行っているという印象を受けます。もっと、迷走していたのかと思っていました。

(そんな対応をしていたから、逃げ出すタイミングを失ってしまった?)

対応としては、時間を無駄にしていないと思います。

問題の耐震強度が、「震度5強で倒壊のおそれ」であるかどうか、あの時点で認識されていたがどうかは別として、工事を中止させたり、申請取り下げの処置等は、迅速に行われていると思います。

問題の拡大を防ぐ措置については、ある程度の評価をしてもいいような気がします。

読売新聞が報じている社員への説明の部分は、そういう説明をされた社員もいたかもしれませんが、私が知っている人は、全然知らなかったようです。「どうなっているの?」と思っても、説明はなかったということでした。公表され、破綻にいたる道程でも、充分な説明はなかったということでした。

(知り合いによれば、マスコミが報じているようなことは、本当に把握されていなかったとのことです。社長や役員等、説明する側も、混乱の本質をよくわかっていなかった可能性はあると思います。)

なぜ、社員にもまともに説明できなかったのかという点は、ポイントの一つです。これは、特に公表前の段階に注意する必要があると思います。どういう経緯で、社員に知らせないと言う判断をしたのか明らかにしてほしいと思います。これは、分譲後の物件の所有者である私たちにも知らされていなかったことと同様に重要だと思います。

また、補強の検討については、技術的な面から、大手ゼネコンを政治家と訪ねたりしたように、「真剣に」検討していたのだと思います。それも、「逃げずに」取り組んでいるという前向きの評価をしてもいいように思います。


小嶋容疑者、姉歯物件の販売中止指示…改ざん知った後


 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」社長の小嶋進容疑者(52)が、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)の構造計算書改ざんを伝えられた直後の昨年10月27日、全姉歯物件の販売を中止するよう同社幹部に指示していたことがわかった。

 その一方で小嶋容疑者は翌28日、神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」を顧客に引き渡し、代金を振り込ませていた。

 警視庁などの合同捜査本部は、販売中止の指示は、小嶋容疑者がGS藤沢引き渡しの段階で、建物の危険性を十分に認識していたことを裏付ける事実とみて、捜査を進めている。

 関係者によると、小嶋容疑者は昨年10月27日、強度偽装について確認検査機関「イーホームズ」社長の藤田東吾被告(44)らと協議した後、営業担当の責任者だったヒューザー役員に、千葉県船橋市内の分譲マンション2件など全姉歯物件の販売を中止するよう指示した。

 さらに小嶋容疑者は、社員らから販売中止の理由を問われた場合には、姉歯被告による構造計算書改ざんの事実は伏せ、「分譲マンションを社有物件や、賃貸マンションに切り替えるかもしれないから」と、虚偽の説明をするよう役員に指示したという。

 その一方で、指示翌日にGS藤沢の引き渡しを進めた理由について、小嶋容疑者は逮捕前、「(確認検査機関の)検査済み証も下りており、問題ない」「引き渡しを中止するには時間的に無理があった」などと、読売新聞の取材などに説明していた。

(2006年5月19日14時41分 読売新聞)




工事を中止、補強を検討 偽装物件の引き渡し当日


 耐震強度偽装事件で、「ヒューザー」(東京都大田区、破産)が昨年十月二十八日、神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」で十七戸を引き渡す一方で、ほかの四つの偽装物件については工事中止などの措置を取っていたことが二十日、警視庁などの合同捜査本部の調べで分かった。
 さらに工事中だったほかの偽装物件でも補強工事の検討を始めており、合同捜査本部はグランドステージ藤沢についても、強度不足を認識していたとみて社長の小嶋進容疑者(52)を追及している。
 調べでは、偽装問題が発覚した昨年十月二十五日夜、元一級建築士姉歯秀次被告(48)の自宅兼事務所に派遣した設計部長(45)のメモで、同社はグランドステージ藤沢を含む八つの偽装物件を把握したとされる。
 同社はその三日後、東京都足立区と同町田市の三つのマンションの工事中止を関係先に届け出。元請け設計業者を通じて同八王子市内で建設予定だったマンションの建築確認申請も取り下げた。
(共同通信) - 5月20日6時25分更新


関係者には、違法建築を作ってしまった責任や、見逃した責任があるのは当然ですが、それとは別に、発覚後の対応への責任があります。

これは、担当する官庁についてもいえることです。不適切な対応を、ヒューザーと小嶋社長に押し付けただけでは、「見せしめの磔」に過ぎません。違法建築について、国土交通省や、特定行政庁と、検査機関や建築主や所有者との連携が、システムとして、全くデタラメであるのが問題です。

違法建築の所有者でありながらヒューザーは、それを売ってしまいました。それが、責められています。よく考えると、私自身、違法建築の所有者です。しかし、桟敷の外に放置されてしまいました。責任を果たしたくても果たせず、悔しく思います。

知っていれば、余計な出費を防ぐことができたはずです。ひょっとすると、あの時期に他人に売却していたかもしれません。そんなことをしていたらと考えると、背筋が寒くなります。

もしかしたら、担当する特定行政庁の担当者でさえ知らなかったのではないかと疑っています。もしそうなら、滅茶苦茶です。システムのデタラメさと同時に、それを執拗に立件しようとする動きや、立件させようと言う方向性に不安を感じます。

たまたま、完成後で分譲直前の物件があったために、重大な問題が明るみに出たように思います。これは、検査済証の効力や失効の手続き、それにともなう取引の中止などの仕組みを整備するために吟味しなくてはいけないと思います。

そのために、発覚の日付で、どのように情報が広がり、どのように管理されていたのか、その管理に責任を負うのは誰かと言う点への取り調べを期待します。
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by gskay | 2006-05-20 13:03 | 真相 構図 処分