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「オウム事件以来」の成果
耐震偽装の捜査終結に関する報道が約1ヶ月前から伝えられてきましたが、本当に終わるのだと実感させる記事です。引用した記事では、規模の大きさを改めて強調しています。

耐震偽装の捜査本部解散へ 4万5000人投入し終結


 耐震強度偽装事件を捜査していた警視庁と千葉、神奈川両県警による合同捜査本部は7月1日、一連の捜査を終えて解散する。昨年12月の設置以来、延べ約4万5000人の捜査員を投入した。
 「オウム事件以来」とも言われた大規模捜査で、構造計算書を偽造した元1級建築士姉歯秀次被告(49)=議院証言法違反罪などで起訴=ら9人を逮捕、うち6人が起訴された。
 国土交通省が昨年12月、建築基準法違反容疑で姉歯被告を告発したのを受け、警視庁が捜査本部を設置。その後、千葉、神奈川両県警の捜査員が加わって90人態勢の合同捜査本部となった。
 同月以降、約250カ所で家宅捜索を実施して約1万4000点の証拠資料を押収。
(共同通信) - 6月30日18時42分更新

この捜査に対し、不十分であったとか、「構図」を証明できなかったとか、微罪の別件しか立件できていないとか、黒幕を逃がしたとか、様々な批判があると思います。「構図」を取り上げ、それに沿って考えて来た場合、納得できないのではないかと思います。

ただ、もし、早くから「単独犯行」を自供してたり、ウソを見抜く事ができれば、これ程の大きな事件にならずに済んだのではないかと思います。捜査のための労力や費用は尋常ではなかっただろうと思います。構造計算書の偽装と、関係者を巻き込むことになったウソという二つの罪が彼にはあると思います。

名義貸し問題は、業界の常態のようで、見せしめかもしれませんが、有資格者による業務独占についてインパクトがあったと思います。他の耐震強度偽装では、無資格者の取り扱いが苦慮されているようです。この一連の事件で、今後、建築士の業務が適切化されることになると思います。

ところで、この事件では、建物の違法性の摘発や分析に対し、警察は慎重であったと思います。一つは、建築行政は、国土交通省の責務であり、しかも専門家による民主的な仕組みが尊重されていたという点から慎重になったのではないかと思います。決して、弱気ではなく、領分をわきまえた捜査だったと思います。日進月歩の技術に対しての配慮があったのだと思います。

ちなみに、建築を分析できる捜査官はいないそうです。それを、体制の未整備とみるべきだとは思いません。やはり、専門的なことは、専門家によって対処されるべきだと思います。警察に建築の専門家を配置すべきだとは思いません。ただ、専門家による対処が不十分というのは、この事件で明らかになった点です。国土交通省も特定行政庁も、付託にたる組織とは言えないようです。

微罪で別件にすぎないと批判されている内容のうち、木村建設の粉飾決算は、一種の取引ではないかと思います。破産財団にとって不利にならない材料です。

しかし、木村建設と小嶋元社長の発覚後の代金受け取りという詐欺容疑は、関係者は罪を認めていないようようです。罪の有無はともかく、今後、詳細に検討し、裁判の過程で、どのような関係者が関与し、後戻りができなくなったのかということが明らかになると思います。金融機関や登記等の手続きとの関係を中心に検証されなくてはなりません。

また、この詐欺容疑の検証では、発覚から公表に至るまでの公的な権限が果たした役割と責任についても裁判を通して明らかにして欲しいと思っています。

イーホームズの架空増資は、木村建設の粉飾決算同様、不誠実な会社は問題を起こすという教訓になったようで、ライブドアや村上ファンドなどと同様に、コンプライアンスの問題と位置付けられるのかもしれません。経理のコンプライアンスと、検査の能力とは別の問題なので、検査の能力の問題として取り扱って欲しい問題だったのですが……。経理が誠実でも、実力不足はダメです。また、それは特定行政庁の建築主事についても同じことです。

まだまだ、検証しなくてはならないことがあるものの、捜査は、大きな成果を残していると思います。同時に、行き届いた配慮のもとで行われていたと思います。不満を持つ人が少なくないと思いますが、それは、前提に誤りがあると思います。
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by gskay | 2006-06-30 22:36 | 真相 構図 処分
ヒューザーおよび小嶋元社長への破産債権届出
ヒューザーおよび小嶋元社長への破産債権を届け出ました。すでに木村建設へ届け出ています。さしあたり、破産債権としての届け出相手はなくなり、一段落です。

今後は、配当についての判断を待つことになります。この請求だけで充分に回収ができて満足するのは難しいだろうと思っています。そもそも、破産者に支払い能力があれば、破産自体がない話ですから。

ヒューザーが破産にいたらず、瑕疵担保責任とプラスアルファの賠償に応じることができれば、住民の損害の回復は完了しているはずでした。その場合、関係者の責任はヒューザーが追及して、ヒューザーの損害回復を目指せば良かったわけです。

しかし、ヒューザーは、営業が続けられない状況に追い込まれました。それを受けて、住民は破産申し立てを行い、その申し立てが認められて、整理に入りました。

本当に、ヒューザーを潰して良かったのか、私は、今でも疑問に思っています。

営業不能な状況がなぜ起こったのかを検証すれば、疑問が解消するかもしれないと思います。

様々な状況が、ヒューザーの立場を悪くして行きました。一つ一つは、それ一つを取り出せば決定的なものではなかったような気がします。乗り切れないものではなかったと思います。しかし、重なり合うことによって深刻となってしまったと思います。

確かに、ヒューザーの対応は稚拙でした。しかし、その稚拙なヒューザーを追い込んだ最大の原因は、実体とかけはなれた「風評」の嵐だったと思います。これは、偽装物件を世に出したという直接の責任以上に問題を深刻にしていると思います。

真相が明らかになったところで、リセットは不可能です。

今回、企業には風評を乗り切るだけの体力が必要だということを身にしみて学びました。そういう体力を信用というのかもしれません。

直接の問題を切り抜けるだけでは不十分です。危機管理とは、こうした状況を切り抜けることかもしれません。

そういう点について、ヒューザーと小嶋元社長の能力を高く評価できません。

「風評」の嵐は、理不尽で割り切れないものだったと思います。ヒューザーと小嶋元社長の被害者意識に、私は共感しています。ただし、その共感と、私自身の損害の回復のための行動とは別のものです。同情してはいるものの、住民の破産申し立てを後悔してはいません。

また、ヒューザーが生き残った場合と比較し、追いつめたことが愚かだったという評価もあると思います。しかし、申し立ては、営業ができなくなったという決定的な状況をにあわせた行動にすぎなかったと思っています。私には、自分自身の手で追いつめたという意識はありません。
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by gskay | 2006-06-29 17:10 | 損害と回復
個人資格の限界
新たな建築士制度では、上級資格の「新1級建築士」に、一律に高度な知識と技術を求める仕組みが検討されているようです。全体を見通せる人が必要と言う事かも知れません。しかし、そうした全体の管理は、事業に対する免許や、企業に対する免許で行うべきだと思います。

資格制度の見直しの対象になるような大きな建築物に関わっている建築士が担っているのは、大抵、分業化された仕事の一部分です。大きな建築物では、高度な分業と連携によって、一人では完結させることが不可能な大きな事業を可能にしています。そうした大きな建築物を作る仕組みを、一人でも完結できる小さな建築の延長で考えるのは無理だと思います。

必要なのは、鉄道会社や航空会社のような間違いの防止のための高度なシステムをもった企業や事業体を作ることです。病院のような、診療所の延長で、個々の医師や医療専門職が寄せ集められて作られているシステムに留まるべきではないと思います。直面している建築の問題は、個人の能力の向上だけで対応出来ない問題であると考えるべきです。

業界は、独立志向の強い小規模業者が集まってできています。これは、小さな建築には都合が良かったかもしれません。このため、重複して同じような業者がひしめく一方で、重視されずに放置されている分野もあり、いびつです。業界は、小さな建築に対応した仕組みのままで、大きな事業を手がけるようになっていると思います。

事業が巨大化し、高度になっている以上、単に小規模業者を寄せ集めただけでは、質の高い建築を、間違いがないように実現するのは難しくなっていると思います。また、企業の利潤や、働く人の報酬を高めようにも、バラバラな仕組みが足枷となっているのではないかと思います。小規模業者を集めて管理すること自体、無駄なコストが必要になっているのではないかと思います。

必要な技術は確保されていると思います。しかし、それが制度的に活かされていません。

そこで、個人個人や小規模業者の寄せ集めに期待するのではなく、包括的に事業体や企業を審査し免許を与える仕組みが必要ではないかと思います。

同時に、高度な内容についての個人資格は、個別の専門について審査し、個別に免許を与えるべきだと思います。オールマイティーな免許は、小規模業者が何もかもこなすために必要な資格であり、大きな組織の大きな事業で必要なものだとは思いません。

設計や監理に関する資格、構造に関する資格など、きめ細かく業務を分析し、個々人の能力向上を促すべきだと思います。その一方で、企業や事業体という組織が効率的で間違いがないように事業を進めることができるかどうかを審査するべきです。そして、個人個人の専門家の役割と責任や、組織の役割と責任を明確にする必要があると思います。

耐震偽装についていえば、それを見抜くような能力を個々の建築士全員に求めて済ますべきではなく、検査能力を向上させるべきです。耐震偽装を見抜く能力が、超能力のように個人の建築士に身につくとは思えません。再計算で問題が判明したように、手間を惜しんではいけないのだと思います。厳格な検査が実現できる方策をとれば済む事です。

新たな仕組みは、「新1級建築士」に責任を押し付けていますが、もともと無責任体制であった検査を一層骨抜きにする制度だと思います。耐震偽装などの致命的な誤りへの対策に必要なのは、検査の責任を明確にしておくことです。

専門的で高度な能力をもった専門家を確保することは必要ですが、大きな建築物を作るという巨大な事業を間違いなく進めるためには、個人の力に頼るには限界があります。そこで、優れた企業や事業体という組織の力によって、適切に様々な分野の専門家の能力が連携できるような仕組みを構築しなくてはなりません。

現在、小さな事業が大きくなっただけの仕組みや、小規模業者の寄せ集めが、適切な事業を進める上での障害になっていると思います。これは、安全や品質の確保に問題があるだけでなく、効率を損ね、結局、業界に働く人の首を絞めていると思います。
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by gskay | 2006-06-28 14:29 | 揺れる システム
「新1級建築士」?
「試験をする」とか、「降格」とか、センセーショナルな部分ばかりが報道されています。肝心なところに触れていると私が思ったのは、朝日新聞です。

asahi.com構造・設備設計に専門資格創設へ 建築士改革で国交省


2006年06月26日23時30分

(略)

構造と設備の新設2資格は、新1級建築士の指示を受けて高さ20メートル超の建物の構造設計、設備設計をする際に必要。無資格者に対する両設計業務の委託は禁じられる。

引用で省略した部分については、他と大差ないと思います。

そもそも、能力不足の1級建築士の存在が、問題が表に出る発端でした。このため、建築士の能力の向上に注目が集まっているようです。しかし、そのような能力のない専門家については、厳しく追及し、処分する仕組みをつくれば済む事です。

より深刻な問題は、有資格者のもとなら、無資格でも業務についてしまうことが常態になっている点ではないかと思います。しかも、これまで、それを許した有資格者の責任も、業務に従事した無資格者の責任も曖昧でした。その問題を、明確にすることが「資格制度」の第一歩です。

逆にいえば、そんなことも実現できていないということです。そんな状態で、資格制度をいじったところで、良い効果はでないと思います。朝日新聞が報じた「無資格者への業務委託禁止」は、とても重要です。

ところで、建築士の資格制度を考える上で、医師の資格と比較されることが多いように思います。しかし、医師と建築士では性格が違います。

強いて言うなら、パイロットの資格に倣うべきではないかと思います。パイロットの事業用免許は機種別です。安全の確保が優先なら、医師に倣うより、パイロットに倣うべきです。そもそも、今や、「国土交通省」なのだから、その辺はお手の物でしょうに。

現在の医師の仕組みで最も重要なポイントは「応召義務」ではないかと思います。困っている人に頼まれたら、相当の理由がない限り、自分の都合で断ってはいけないというルールです。最善をつくすことが求められています。その最善には、応急処置だけして、他の医師に任せるということもふくまれてはいますが……。

医師は、何でも診なくてはいけないので、何でも診てよい資格になっています。

一方で、建築士に「応召義務」はありません。イヤなら断れる。無理なら断るべきです。

ならば、医師のような「何でも」という資格を用意する必要はないと思います。「新1級建築士」というオールマイティーなスーパー免許を用意する必要はありません。むしろ、高度化し専門化している点を重視し、一定以上の難易度については、個別の免許を用意し、厳格に審査していくべきだと思います。

朝日新聞が注目した「無資格者への業務委託禁止」は歓迎です。それは、責任を明確にするからです。しかし、新たなスーパー免許導入は感心できません。技術の高度化や専門化への対応は、きめ細かく行われるべきだからです。
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by gskay | 2006-06-27 16:19 | 揺れる システム
資格と独占
「建築士」という名称は独占していても、建築士としての業務に関しての独占は曖昧なのかと思います。名義貸しも横行していると聞きます。引用した記事と同根の問題だと思います。

重い処分に法律の壁 権限持つ北海道が苦慮


 札幌市などでマンションの構造計算を下請けし、耐震データを偽造していた浅沼良一・2級建築士の行政処分をめぐり、処分権限を持つ北海道が苦慮している。28棟で偽装が確認され、16棟で強度不足が判明しており、行為の重さからは厳罰も考えられるが、法律上は設計責任者の元請け業者が処分対象だからだ。
 「構造計算の手伝いをしていた」
 ことし3月の偽装発覚後、データを偽造した浅沼2級建築士は北海道の聴取に下請けの立場を強調した。建築士法上、同建築士は本来高層マンションを設計する資格はなく、元請けの1級建築士が設計全体に責任を負っている。
(共同通信) - 6月24日18時33分更新

専門職の仕事として、『構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会最終報告』にも登場する医師の例でいえば、名称のみならず、業務も厳密に独占されています。

医師免許を持たない人が、「業」として業務をしてはならないことになっていて、医師法違反を問われます。チームを組む他の専門スタッフとの関係も厳密です。事務の仕事や、看護の補助等が資格がなくても従事できるものの、医療そのものにかかわる業務は、資格を有するスタッフのみの仕事です。

建築では、そうした役割分担の部分が、デタラメなのだろうと思います。ヒューザー関連でも、それ以外でも、無資格者の関わりが指摘されています。この2級建築士の問題だけではないと思います。

ところで、医師が関わる現場としては、医療の現場ではない「研究室」レベルのアカデミックなシステムでは、資格の有無は問われません。しかし、「研究室」と、医療行為の現場とでは、厳密な区別があります。「無資格者」の関与自体が許されない医療現場においては、そんな「苦慮」は起こりにくくなっています。

建築も、これを機会に、「研究室」レベルのシステムから脱皮しなくてはならないと思います。「元請け」と「下請け」の間の曖昧な責任関係や、「名義貸し」など、資格や責任を厳密に決めれば解決することだと思います。そのために、窮屈な仕組みになることを恐れているのかもしれませんが、「安全」のためのシステム構築が優先だと思います。建築士が独占すべき業務の抜本的な見直しが必要だと思います。
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by gskay | 2006-06-26 22:58 | 揺れる システム
訴訟準備
刑事について、捜査レベルで一段落がついたようです。しかし、民事の問題は、全く別です。

いくつかのマンションでの訴訟を進める話が報道されています。うちの物件は、急いではいません。しかし、訴訟の準備をしていない訳ではありません。

この事件では、区を窓口に公的な対応が行われています。その公的な対応のコストについての賠償も考えなくてはなりません。つまり、私たち住民は、区からの公的対応への賠償をふくめて損失を回復しなくてはなりません。

売り主であるヒューザーについては、瑕疵担保責任プラスその他の賠償を請求中です。加えて、連帯保証をしている小嶋社長や、施工の木村建設についても、債権を申し立てています。しかし、いずれも破産中である以上、期待通りにはいかないと思います。

そこで、設計元請けや元建築士、建築確認の検査機関および特定行政庁に対しても請求を行うことになると思います。

問題は建築確認の検査機関および特定行政庁についてです。検査機関については廃業しています。このため、特定行政庁への訴えが中心になると思われます。ところが、その特定行政庁と公的対応をしている区とは同じものです。

そういう複雑な問題の整理が訴訟のための準備として必要になっています。
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by gskay | 2006-06-24 23:57 | 損害と回復
新聞による総括?
新聞の現時点での総括が行われています。毎日新聞は、

MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説:耐震偽装事件 捜査で安全は確保できない

で、事件を総括しています。

「姉歯被告の独り芝居」に対する疑問のニュアンスが感じられる社説です。「施工業者や販売業者らが姉歯被告を重宝がっていたことは間違いなく、偽装計算に気づかなかったのは不思議だが、」と言っています。しかし、その偽装を、見抜くのは困難だというのが問題の一つだったはずです。この発想は、事件発覚当初の見方から進歩していないと思います。

ただ、後半で、「問題を起こした当事者の加罰にばかり目を向けがちな風潮も、何とか改めさせたいものだ。計算法によって耐震基準がまちまちになっているような建築確認の制度が、偽装を許す温床になっていた面は見逃せない。行政の不手際や怠慢こそ、姉歯被告の刑事責任にもまして問われねばならない。」と指摘しています。重大なポイントだと思います。

続けて、「事前規制型から事後チェック型へと社会が移行したとはいえ、刑事責任追及には限界があることも、事件が教えているのではないか。」としていますが、司直の捜査によって明らかにされるべき問題と、国土交通省や特定行政庁という建築の取り締まり機関によって明らかにされなければならない部分が異なっていることを無視していると思います。

建築の技術は、日進月歩であり、その進歩を促進するための民主的な仕組みが作られています。その仕組みがうまく機能していないという点が問題なのであり、それを、司直の捜査に押し付けるべきだとは思いません。警察はその部分に充分な配慮をし、民主的な仕組みを無闇に踏みにじっていないと思います。ただ、国土交通省や特定行政庁が、それに応えているかというと、疑問です。

さらに、「地震に備えるためにも、建設行政の信頼を回復するためにも、国交省は偽装の再発防止策だけでなく、建設業界からの不正、腐敗の一掃を目指し、徹底した施策を講じなければならない。」と締めくくっています。業界の構造に対するアプローチは国土交通省の責務だと思います。しかし、不正や腐敗の方は、国土交通省だけでなく、司直の手で捜査され、厳正に処罰しなくてはいけない部分だと思います。

良く読むと、論理がねじれた不思議な社説だと思います。

他に、読売新聞では、

耐震偽装「構造的詐欺」崩れる

という総括の記事を目にしました。こちらは、「姉歯被告が売り物にした格安の構造計算に、建設会社やコンサルタントの『経済設計』の思想が重なって被害が拡大したのが事件の本質。偽装を長年、見抜けなかった建築行政の不備が一番の問題ではないか」としめくくっていて、「構図」の問題より、建築について検査や手続きの問題を重視しています。

毎日新聞でも読売新聞でも、当初からつい最近まで、「構図」を取り上げて自らが狂騒してきたことについてのコメントはないようです。その狂騒に、誰がどのように関わったきたかという検証や、狂騒が残した影響についての反省はないようです。

政治の舞台や、マスコミ、それにネットで繰り広げられた狂騒は、この事件の重要な一部分です。
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by gskay | 2006-06-23 23:29 | メディアの狂騒
ヒューザーへの債権届出準備中
ヒューザーに対する破産債権の届出の期限が近付いています。損害の回復のヤマ場の一つだと思います。

すでに、3月に木村建設に届出を行っているので、書き方が皆目検討がつかないということはありません。しかし、前回より今回は難易度が上がっています。

区との関係で、複雑になっています。区が負担している費用や、今後、区の負担となる費用の取り扱いについて説明がありました。皆がそれに従って記入するのかどうかはわかりませんが、私は、その方針で記入しようと思っています。

ただ、細かいところが未確定で、悩まなくてはならない点が多々あります。仮住まいの期間など、まだわかりません。その他の費用もこれからですが、ここで計上しておかなくてはならないようです。

木村建設への請求では、そのような点まで考慮していませんでした。認められるかどうかは別としても、計上しておくべきだったかもしれません。

今回についても、3月に記入したものと同じような書類で済ませようかと思いましたが、公的な対応についての考え方を尊重し、区が説明するような要領で、粗相がないように届出をしようと考えています。

封筒に入れなければいけない書類が増えそうです。前回用意した書類セットをコピーに加え、今回の追加分のコピーを用意する必要があります。その上で、妥当と思われる数字をひねりだして届出書を記入しようというところです。

実際に配当される金額がどのようになるかわかりませんが、破産財団が完全に空っぽという絶望的な状況はなさそうなので、請求すべきものは請求し、多少でも取り返せるものは取り返しておきたいと思います。
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by gskay | 2006-06-22 21:30 | 損害と回復
偽証の影響
耐震強度偽装をした元建築士が、国会証人喚問での偽証で告発されました。偽装をしただけでも、影響が大きい問題であったのに、発覚後の発言で、さらに影響を拡大させてしまいました。

偽装だけだったら、ヒューザーは営業不能にはならなかったかも知れません。さすがに、木村建設のいきなりの倒産は避けらなかったかも知れませんが、ヒューザーについては、黒幕であるというバッシングが起きなければ、事情は変わっていたと思います。

マスコミの前で、彼が責任逃れのためのデタラメを語ったことで、事態が悪化しました。マスコミをデタラメで翻弄した彼は、ある意味で見事でした。しかも、国会での証言も、捜査によって偽証が明らかにされるまで、人々を欺き続けました。

あの大捜査は、このウソを見つけるためにあったのかもしれません。だとしたら、何と不経済なことでしょう。

偽装に偽証を重ねることで、ヒューザーは道連れにされたのではないかと思います。おかげで、私たちは、先の見えない状況に放り込まれました。彼に無関係なヒューザーの分譲済み物件まで巻き込まれ、風評に苦しんでいます。元に戻すのは難しいと思います。

偽装によって一次的に発生したマンションやホテルの関係者への影響に加え、偽証によってヒューザーにトドメを刺し、二次的に被害を拡大してしまいました。

マスコミは、この二次的被害の拡大に大きく関与していると思います。一部の政治家も同様ではないかと思います。そして、おおかたのネットの中の論者も。

「構図」が否定された今、たかが一人のデタラメな発言によって、なぜこのような暴走になってしまったのかを検証すべきではないかと思います。この暴走は、止めることができないものだったのでしょうか?

私の目の前にある厄介な問題は、偽装と偽証の二つデタラメによって生まれたものです。ただし、どちらも、関係者によって拡大しました。そして、影響が出る前に、関係者によって止めることができたかもしれない問題です。

偽装は、建築確認が正当に実施されていれば、違法建築が出来上がることはなかったはずです。もちろん、申請の前に元請け設計事務所や建築主が気付くチャンスもあったはずですが、建築確認で「合法」に化けてしまいました。

偽証によって、ヒューザーをはじめ、関連する業者がグルであるという「構図」が作られました。この「構図」は、マスコミやネット、それに政治の舞台で作られました。ヒューザーに経営体力があるか、補償のための保険に加入しているかという状況であれば良かったというのは、重大なポイントです。ただ、もしこの時、「構図」が誤っている可能性を、少しでも考慮していれば、狂騒による二次被害は小さくなっていたのではないかと思います。

人々の関心が薄れる中、私は、なぜこのような事態になってしまったのかを考え続けています。この問題は様々な重大な問題が複合しています。その一つ一つについて納得ができる答えを求めていきたいと考えています。
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by gskay | 2006-06-21 20:18 | 真相 構図 処分
建築基準法改正の目玉
建築基準法が、テキパキと改正されました。その目玉は、罰則の強化と第三者機関のチェックだそうです。実際問題として、この改正は、実効性は薄いような気がします。取り締まりが強化されない限り、無意味になってしまうと思います。

罰則強化の必要性は高いかもしれません。法令を犯しても、罰則が軽ければ、違法な行為による利益と天秤にかけ、敢えて法を犯す人が出て来る可能性があります。

しかし、罰則を強化しようがしまいが、取り締まりシステムが整備されていなければ意味がありません。取り締まりを誰がどのように実施していくのかという点こそ重要だったのではないかと思います。罰則強化は、取り締まり強化が実践されない限り無意味です。

第三者機関のチェックについては、新たな判定機関の必要性と、ピアチェックの必要性が混同されていると思います。また、建築確認の意義を一層不明瞭にすることになると思います。第三者機関と建築確認との責任の関係が曖昧です。加えて、建築確認が審査による実質的な「許可」になっていて、事業の公的なゴーサインとなっている建築確認制度の歪みを解決できてはいません。

これについても、未然に防ぐという幻想は捨て、「ビシビシ取り締まるから、いい加減なものをつくるな!」というシステムの方が良いと思います。

民主的な専門家による仕組みを守り、建築の技術の発展のための自由な努力に水を差さないようにするつもりだと思います。だったら、いっそ、形骸化した検査を無くした方がいいと思います。その上で、取り締まりと罰則を強化し、違反は割に合わないようにすべきです。

民主的な仕組みという隠れ蓑で、取り締まりを怠り、違法を放置し続けてはならないと思います。

取り締まりが強化されるかどうかは疑わしい限りですが、仮に行われることになったとしたら、正当に行われなくてはなりません。違法を疑われる建築について、取り締まる側が「ここがおかしい」と責めると同時に、取り締まられる側が「このように正当だ」と主張し、議論して決着をつける仕組みの充実が必要です。一方的な取り締まりではなく、議論から建築を発展させるような問題を抽出できるような仕組みが必要です。そういう仕組みのほうが民主的だと思います。

これまで通りの民主的な仕組みを守ったつもりかもしれませんが、安全の確保について進歩はみられないと思います。また、建築における権利や責任、公的権限の関係も、今まで通りです。「手続きが滞りなく済めば、後は知らない」という仕組み。デタラメのままでも平気な仕組みがそのままだと思います。
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by gskay | 2006-06-20 16:50 | 揺れる システム