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購入者のことを考えない開発
購入者への補償に失敗した以上、問題外かもしれませんが、ヒューザーは、購入者のことを考えていた方ではないかと思います。

少なくとも、業者として、「自分だったら、買わない」というようなマンションは作っていなかったと思います。

事件発覚当初、一番最初に驚いたのは、ヒューザーの社員自身がマンションを購入し、住んでいたということです。彼らにとって、それだけの魅力は備わっていたし、自信を持っていたのではないかと思います。

「他人が住む部屋だからどうでいい」という会社ではなかったと思います。

うちの物件については、ヒューザー社員は3軒。そのうち、1軒は役員さんでした。そのことは、その役員さん自身、メディアのカメラの前で語っていたそうですが、完全に封殺されました。ある司会者には、放送で、随分ひどい取り上げ方をされたという話を聞きました。気の毒です。

社長のキャラクターの問題が事態を悪化させたにしても、役員や社員が物件を購入して住んでいるという事情は、「構図」を考えるうえでも重要な情報だったと思います。傍証にすぎないかもしれませんが、社長のキャラクターより重大な情報だったと思います。

これについては、全く注意が払われないどころか、無視でした。そういう台本だったのかもしれません。うちの物件のヒューザー社員は、「構図」を描くには、相当不都合な情報です。

会社のことも、自分のことも曲解された状況で、住民としての立場を全うしなくてはならない彼らや家族のことが気になります。

捜査の終結に納得がいかないという意見を耳にします。原点に返ると、隠匿に基づく偏った「構図」に踊らされていたのではないかと思います。意図的に「構図」を描き、あのように世の中を熱狂的に踊らせることを仕掛けた人がいるのだとしたら、すごいと思います。
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by gskay | 2006-07-06 18:33 | メディアの狂騒
ヒューザーの販売方法
『株式会社ヒューザーの販売方法』というリーフレットが手許にあります。マンションの販売価格についての解説が載っていました。マンションの販売価格は、土地購入費、建築費、人件費、販売促進費(広告宣伝費・モデルルーム)、利益からなるそうです。

ヒューザーは、そのうちモデルルームと広告宣伝費という販売促進費を省いているという点を強調しています。

そのリーフレットによると、マンション価格のうちわけは、「通常の新築マンション販売会社」の場合、土地購入費約33%、建築費約33%、分譲会社の利益・経費が33%とのことです。このうち、分譲会社の経費としては、広告宣伝費が3%から5%で、それにモデルルームの建設費や維持という販売促進費が加わっているそうです。最終的に分譲会社の利益は5%から10%とのことです。

ヒューザーでは、土地購入費は約32%、建築費約42%、分譲会社利益・経費約25%だそうです。販売促進費の削減が、購入者の利益になるとともに、分譲会社にとっても経費削減になり、利益をあげることができているとしています。

もし、本当にそうなら、デベロッパーの合理化だけでも、価格に対する効果があることになります。

ただ、そのせいで、補償にまわる資金が出なかったと考えることもできます。これについては、「通常の新築マンション販売会社」でも、販売価格に補償のための費用を乗せているかどうかは微妙ではないかと思います。性能評価による保険はかけているかも知れませんが……。

土地は、駅から遠い土地や大規模物件が不可能な土地を購入しているそうです。そこに普通のマンションを建てても売れないが、広いマンションだったら買う人を掘り出せるという発想だったようです。

現地のモデルルームは用意せず、本社に典型的な間取りでモデルルームを設置している他は、棟内モデルルームのみ。そもそもヒューザーの間取りは単純なものが多く、いろいろなタイプはありません。広さを本社で体感できれば充分。後は、現地の環境をみて、納得できるならどうぞという商売だという印象を受けました。

なお、物件のパンフレットには、周辺の案内等は、全くないそっけないものでした。集めたパンフレットの中で、一番面白みのないパンフレットでした。
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by gskay | 2006-07-05 21:51 | マンション暮らし
「厳しい姿勢」
充分な取り締まりが行われて来なかったことが、問題の発生の原因だったと考えています。「官から民へ」の流れが問題だという考えが主流ですが、私は、必ずしもそうではないと考えています。

震災の経験から、特定行政庁を取り締まりや指導の機関として充実させる一方で、建築確認などの検査を民間に開放したのが、現在のシステムであると考えています。元となった発想は良かったと思います。しかし、問題は、特定行政庁が取り締まりや指導の機関として機能しなかった点にあると思います。

引用した記事では、現在のシステムの基盤となる考え方には触れていませんが、現行の仕組みの趣旨にそって考えた場合の重要な方針を伝えていると思います。

地方整備局に「建築安全課」=耐震偽装防止へ監督強化−国土交通省


 耐震強度偽装の再発防止に向け、国土交通省は1日、地方整備局に「建築安全課」(仮称)を来年度新設し、建築士や民間確認検査機関への指導・監督を強化する方針を固めた。地方自治体と日常的に連携を深め、違法行為を見つけた場合、行政処分や告発を円滑に行う。
 先の国会で成立した建築基準法など4法改正で、罰則や建築確認が強化されたことが背景。強度偽装などは現行の罰金50万円が、懲役3年以下または罰金300万円(法人は罰金1億円)以下に引き上げられた。同省は圏域単位で安全管理体制を充実させ、「罰則強化に対応し、違反行為は放置しない」(住宅局)との厳しい姿勢で臨む。 
(時事通信) - 7月2日6時1分更新

公表後の早い時期から、「官から民へ」という流れへの批判は、追及の大きな柱です。しかし、「官」においても建築確認が不十分であったことを考えると、そうした批判で考えても、問題の解決につながるかどうか疑問に感じます。

むしろ、特定行政庁の取り締まりのシステムの充実こそ必要であり、引用の記事の「建築安全課」は、今回の事件への反省をもとにした対策の目玉の一つだと思います。

現行のシステムの趣旨が誤っているとまでは思いません。確認や検査の技術的な問題や、取り締まりの事実上の未整備が問題であり、取り締まり機関の充実は誠実な対応だと思われます。

ただ、新たな部署ができても機能するかどうかは別問題です。

技術的な問題が難しく、取り締まりをするにも問題を見抜くのは難しいでしょう。

仮に、問題を見つけても、その問題に対応するための対策が講じられるかどうかは別問題です。問題のある建物があったとしても、対策費用への配慮がなければ、放置されてしまいます。

また、私有という権利との兼ね合いも難しい問題になると思います。加えて、建築の自由や、日進月歩の技術発展の促進との関係も重大な問題だと思います。

従来、そもそも取り締まりが活発ではありませんでした。違法に対する措置が講じられる機会も少なく、また、講じられてもうまく機能して来ませんでした。そうした現状に対する提案として有意義だと思います。
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by gskay | 2006-07-04 20:33 | 政治と役所と業界
義援金に感謝
全国マンション管理組合連合会というNPOによる義援金の募集が始まったそうです。感謝します。

建て替えマンション住民への義援金、1日から受け付け

退去ならびに仮住まいへの転居以降、進展がはかばかしくない事への、叱咤激励ではないかと思います。スムーズに進展していれば、心配をかけることはなかったのではないかと思います。当事者として、申し訳なく思います。

損害回復は、関係者の責任を追及することによって、達成されるべきですが、見通しは明るくありません。最終的にどこまで回復できるか不透明であること以上に、長期化することが心配です。

長期化すればするほど、問題が風化していくことになると思います。しかし、関心を持ち続けてくれている人がいることがわかりました。

義援金は額の問題ではありません。「志」だと思います。それに応えなくてはいけないと思います。

決して一方通行にならないようにしたいと思います。どのような「恩返し」ができるのかを考えなくてはいけません。問題を風化させず、同様の問題への抜本的な対策に活かせるような工夫を心掛けることで、道筋が見えて来るのではないかと思います。社会への貢献を意識していきたいと思います。

自分たちの損害が回復されただけでは決して満足してはいけないのだと感じています。
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by gskay | 2006-07-03 10:19 | いろいろ
設計能力
使った材料費だけで品質は決まりません。構造については、与えられた材料で、最高の強さが達成されるような設計が必要です。また、材料を使えば使う程、強い建物ができるということもないようです。極大を追求することには意味があると思いますが、過剰となって強度が低下することは避けなくてはなりません。

本来の「経済設計」は、与えられた条件で極大化された強度を目指したもので、工夫し続ける構造設計者の向上心に支えられていたと思います。しかし、そうでない設計の方が多いのかもしれません。ノウハウや設計のための作業時間などの制約がある以上、仕方がないことではあります。そのために、品質そのものではなく、使った材料の量や、値段という代替の指標が横行することになってしまったと想像します。

強度という品質を見抜くのは、事実上困難だったと思います。建築確認さえ、強度不足を見抜くことはできませんでした。再計算も怪しいものです。「一目みればわかる」という超能力があればいいのですが、そんな能力が備わった人間はいないと思います。

達人でも、いつもと違うからおかしいと疑うだけで、一目で品質を見極めることはできません。「一目みておかしい」と思った人は、普段から性能が極大化されていない物件しか見ていないということだろうと思います。

いずれにせよ、購入者には、この物件の瑕疵を見抜く事は不可能だったと思います。私のように、「検査」で適法が確認されていれば満足で、内覧の時も気になる不具合が少ししかないという無頓着な購入者もいます。一方で、重要事項説明や内覧には、専門家の同行を依頼して入念にチェックする慎重な購入者もいます。しかし、どのみち、どうしようもなかったと思います。

構造計算の確認は、再計算が唯一の判定方法のようです。これは、時間がかかります。そして、その再計算も担当者の能力次第です。構造については、担当した専門家のいいなりで、反論できる専門家でない限り、仕方がないとはじめから諦めてかかった方がいいのかもしれません。

引用した記事は、とばっちりをくったケースといえますが、反論に成功しました。さすがです。今後、こうした設計能力の再評価が進むのではないかと思います。少なくとも広く知られるきっかけになりました。同時に、ほとんどの設計は、「何をやっているんだ?」ということになると思います。

熊本県、中山建築士に謝罪 精査せず「耐震性に懸念」


 熊本県は30日、建築物の耐震性を精査しないまま熊本市の中山明英1級建築士(53)が構造計算した物件を「耐震性に懸念がある」と公表したとして、中山建築士に謝罪した。熊本県の担当者は「危機管理の欠如や情報管理の認識の甘さがあった」と話した。
 中山建築士は「謝罪は評価するが、誰がどのように検査して耐震強度不足の疑いという結果が出たのかが明らかになっていない」と指摘した。
 熊本県は2月8日、県内の物件について耐震不足の疑いがあると発表。うち3物件が、中山建築士が構造計算したことを公表した。
(共同通信) - 6月30日12時42分更新

ところで、強度をあらわすときに、「損傷」とか「倒壊」という言葉が使われています。曖昧な言葉です。このうち「倒壊」にあてはまる状態の幅は広すぎるようです。「倒壊」といっても、グシャっとなる状態を指すとは限りません。

その倒壊のパターンを、設計である程度コントロールしたり予測したりできるようです。「経済設計」と両立するのかどうかわかりませんが、その「倒壊」のシュミレーションにより、「安全な倒壊」をする建物の設計が可能だと思います。頑丈であることには限界があるため、「安全な倒壊」という発想の設計も評価されるべきだと思います。
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by gskay | 2006-07-02 01:41 | 安全と安心