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発覚当初のヒューザーの資金繰りについての考え方
ヒューザーの小嶋元社長の公判で指摘されたポイントの一つが、資金繰り。藤沢の物件が引き渡しに至る過程で問題になるのは、建設の費用の借入金の決済であって、その後の瑕疵担保責任を果たすために必要になる資金ではありません。

冒頭陳述で、検察側は、「入居済みの7物件で、購入者から買い戻しを行った場合、約50億円の債務超過に陥り、買い戻しは財務上不可能だった」という点を指摘し、いかにヒューザーの資金繰りが不調であったかを強調しようとしています。

しかし、これは、藤沢の物件を引き渡すかどうかには全く関係のない問題です。公表後の対応の問題です。このことが、小嶋元社長を罰する根拠にはなりません。心証をつくるためのテクニックというのはこういうものなのかと勉強になります。

一方、弁護側は、「むしろ物件の引き渡しをすることによってヒューザーは建設費について金融機関の借入金約7億円を返済しなければならず、資金繰り的にはかえってマイナスになる」という点を指摘しています

もし、強度不足が深刻であるということが判明していたなら、ヒューザーが取るべき態度は別だったと思います。あの時、ヒューザーが「金融機関に対しての決済を優先しない」と決断できれば、藤沢の物件の住民の被害は最小限に留めることができたのかもしれません。ヒューザーにとっての被害も少なくて済んだかもしれません。

契約内容次第ですが、借入金の決済については、担保が金融機関に取られて代物で決済されることになるだけだったのではないかと思われます。おそらく、担保は、完成済みの物件の建物や土地についていたのではないかと思われます。また、住民に対しても、ヒューザーは、手付けの倍返しをすれば解決することができました。

そうするべきだと判断するための材料が足りなかったのだと思います。
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by gskay | 2006-10-17 13:00 | 真相 構図 処分
銀行の担当者の交替
私のローンについて、金利減免等の手続きをしてくれた担当の方が移動になるそうです。電話があり、新しい担当の方を紹介されました。この銀行では、この問題に対するチームがあって、新しい担当の方も、当初からこの問題を担当しておられたそうです。

現在、金利の減免により、家賃の自己負担分くらいのローン支払いが軽減されています。そういう点では、大きく家計が影響されてはいません。しばらくは、このまま進むのかもしれませんが、ヒューザーからの中間配当のあたりで、公的な対応についても、金融機関の対応も、一旦整理してみたほうがいいような気がします。

金融機関については、次は、建て替えにあたって担保をどのように処理するかという問題に進みます。除却することになった場合、建物への担保について整理しなくてはなりません。新たに組合などが作られる場合、土地についても複雑な処理が必要になるかもしれません。

さらに、追加の融資についての相談も必要になります。今のローンとの関係や、公的な機関からの融資との関係を整理しなくてはなりません。担保の問題より、返済が滞らないことの方が重視されているようなので、こじれる可能性は少ないものと期待しています。
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by gskay | 2006-10-16 10:08 | 損害と回復
違法ではなく独自基準 (前エントリの訂正)
直前のエントリで書いた内容は、私の間違いです。建築基準法に違反する建物ではなく、公団が設定した独自の厳しい基準に対する問題のようです。

(10/11)都市再生機構マンション、1棟が耐震強度独自基準下回る

 東京都八王子市のマンションの住民側が建物の耐震強度不足などを指摘していた問題で、分譲した都市再生機構は11日、日本建築構造技術者協会(JSCA)の検証の結果、1棟の耐震強度が同機構の独自基準を下回っていたと発表した。同機構は住民と協議して補修か建て替えを進める考え。

 同機構は建設時の構造計算書を紛失しており、JSCAが現存する図面から新たに構造計算書を作成。建築基準法より厳しい同機構の基準で耐震強度を算出したところ、基準値に満たなかった。同機構は「建築基準法に違反しているとはいえず、居住者が緊急避難する必要はない」と話している。

 また、住民の求めで同機構自らが再計算した際にミスを繰り返したことについて、同機構は「担当者が計算方法の解説書を読み誤った」と謝罪した。

大きく話が変わります。補償についても、必要性は減ります。他のマンションで行ったような措置は不要になるのではないかと思います。

耐震性能に関し、違法でないが、独自に設定した基準に充たないということなら、建築基準法に基づく措置は不要になると思われ、建て替えや補修は、民民の問題です。民事的な話し合いで納得できるかどうかの問題になります。

(とりあえず、「違法」という表現をつかった前のエントリは、不適切でした。タイトルからして、ダメです。誤解していました。本文は、少しいじって、追記を加えました。)

ただ、だとすると、疑問が呈されてからの再計算の「ミス」や対応の不手際の問題が重大な問題として浮かび上がります。

このマンションの問題では、違法でないにもかかわらず、前向きの対応が取られるとすれば、すごいことだと思います。一般的な「欠陥住宅」では、大きな違法があっても、なかなか住民にとっての解決に進まないのが問題だからです。
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by gskay | 2006-10-12 14:05 | 揺れる システム
公団の違法建築  (このタイトルは不適切です)
朝日新聞が詳しく報じているので、引用します。89年という古い物件です。公団は、民間に対する建築確認制度とは異なる仕組みで建築確認が行われます。特定行政庁では審査はなく、通知のみとのこと。

書類は、保存されているはずでしたが、すでに、重要な書類が失われてしまっているとされ、検証の方法はなく、設計段階の意図を明らかにするのは、困難であろうと思われます。どういう経緯で、このような建物が生まれてきたのかは謎のままになることと思います。

URによる補償が行われることと思います。さすがに公的な団体であり、ヒューザーのようなことは、様々な意味で起こらないと思います。破産することはないでしょう。経緯の解明や、関係者に対する責任追及も、ヒューザーのようには行われないでしょう。

書類が整っていないせいで、施工より前の経緯は追及できないため、「施工不良」で済まされてしまうのかもしれません。

asahi.com八王子の旧公団マンション、都市機構検証でも強度不足


2006年10月11日20時24分
 都市再生機構が旧公団時代の89年に分譲した東京都八王子市のマンション1棟の耐震強度不足を住民が指摘した問題で、同機構は11日、通常の設計を前提に計算した場合、最弱部分の強度が基準の71%にとどまるとする検証結果を明らかにした。同機構は「機構の分譲住宅として不適切な部分があった」と謝罪する一方、「評価方法によっては最低限の基準を満たし、違法とは言えない」とも釈明した。

 この棟は鉄筋コンクリート造り6階建て。同機構は設計時の構造計算書を紛失し、日本建築構造技術者協会(JSCA)に設計図に基づく構造設計の検証を依頼した。

 JSCAの報告では、安全性の余裕を見て、梁(はり)や柱をせん断破壊する力を2割増ししても耐えられる設計を前提とした場合、耐震強度は1階の最弱部分が基準の71%。1割増しでも1階が83%と強度不足だが、割り増しせずに計算すると、全階で100%以上だった。

 同機構は通常、せん断破壊の力を1〜2割増しで構造設計し、JSCAも2割増しを推奨している。このため同機構の稗田昭人カスタマーコミュニケーション室長らが11日、記者会見し、「居住者に瑕疵(かし)物件を販売した」と謝罪した。

 当時の住宅・都市整備公団が分譲したこの棟がある団地では、施工不良が次々に発覚し、建て替え問題に発展。この棟の住民は独自に耐震強度の検証をJSCAに依頼し、5月下旬に最弱部分が基準の58%という結果を得ていた。

このような建物がなぜ造られてしまったのかという問題と同様に、問題に対してどのように対処してきたのかという点も重要です。このような建物が出来てしまった経緯に関心が集中しがちですが、旧公団の場合、いろいろあって、書類をもとに検証することができなくなっていて、追及は断念せざるをえません。

他紙では、設計の経緯を調査して、関係者の処分を行うという内容の報道もあるようですが、どうなることでしょう。建築の経緯にこだわっても、成果はないと思われます。むしろ、違法ではないかという疑いが起きてからの対応の的確さが問われるべきではないかと思います。同時に、書類の管理についても。

引用記事中の、「通常の設計を前提に計算した場合」というのが、何を意味するのか、私にはわかりません。このフレーズは、「2割増ししても耐えられる設計」を論ずる段落と関係しているのでしょうか?「実は、大丈夫」といいたいのでしょうか?

「評価方法によっては最低限の基準を満たし、違法とは言えない」という釈明は、技術に関する議論で、難しい問題です。これは、ヒューザー物件についてもいえることでした。もし、ヒューザーの時のような対応であれば、このようにのんびりとしていられたかどうかわかりません。まして、そういう釈明をしたら、何をいわれたことか……。

性能が足りない建物をどのように評価し、どのように対処するべきかということが、世間的にも、法律的にも、全くはっきりしていません。このケースもその問題を抱えています。

年数が経っている物件で、19戸という多いと評価するにも少ないと評価するにも微妙な戸数です。現実問題として、今後、どのように対応が行われるのか気になります。

(追記) 違法という表現は不適切ですが、タイトルは違法と言う言葉を残し、不適切であることを付記しました。本文中では、違法という言葉を減らしました。次のエントリは、このエントリへ訂正エントリになっています。

「2割」の意味もわかりました。「実は、大丈夫」のようですね。
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by gskay | 2006-10-12 10:22 | 揺れる システム
既支出の自治体からの債権
自治体がすでに支出している分については、債権として認められることになったそうです。小嶋社長の初公判の陰で注目は低かったようですが、債権者説明会が開かれ、方針の変更が示されたそうです。


<ヒューザー破産管財人>自治体支出費用、債権として容認


 耐震データ偽造事件で元社長が詐欺罪に問われたマンション開発会社「ヒューザー」の破産管財人が、自治体が支出した住民の転居費や家賃費の一部計1億数千万円について、従来の方針を一転させ、債権として認める方針を決めたことが分かった。管財人の瀬戸英雄弁護士は「配当額は変わらない」と説明している。
(毎日新聞) - 10月7日0時16分更新


引用の記事は短く、最小限の言葉しか使われていないため、少々わかりにくくなっています。事情に通じた人にしかわからない記事になっているような気がします。この記事に注目する人は少数だと思うので、それでいいのかも知れません。

「自治体が支出した住民の転居費や家賃費の一部計1億数千万円」というのは、すでに支出されている費用のことのようです。「配当額は変わらない」というのは、配当できる原資が変わらないということで、新たに資産が増えたり、減ったりはしていないということだと思われます。

既支出分についての方針は、私のところの区のたてた方針に沿っているように思われます。

破産管財人から債権の認否についての判断が示されて以降、助成金額の考え方について混乱しました。破産管財人からも、公的な対応が動揺する事に対するコメントがあった程です。今回の方針は、その混乱を収拾するような判断ではないように思われますが、国土交通省の方針にも配慮しているのかもしれません。

引用した記事では、「一転」と表現していますが、限定的な変更と位置付けるべきだと思います。国土交通省から考え方は示されていますが、助成に関する最終的な判断は、自治体が独自で行うことになっています。今後は、自治体毎に異なった方向に進むものと思われます。

自治体毎の方針になってしまうため、助成についての報道は難しくなるだろうと想像します。大切な問題だとは思いますが、報道がないために、世間にはあまり知られることのない問題になってしまうように思います。
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by gskay | 2006-10-11 10:43 | 公的対応
小嶋元社長公判冒頭陳述
共同通信から、記事を二つ引用します。初公判の検察側、弁護側の冒頭陳述の要旨です。詳しい報道ですが、いずれの主張も目新しいものは少ないように思います。

検察側は、「犯行」に関連する発言を、うまく拾っていると思います。ただ、確信に基づいているというより、迷った末に引き渡しに至った経緯を明らかにしているようで、検察の主張は弱いような気がします。これが、限界なのかも知れないと感じました。

検察側冒陳要旨 小嶋元社長の初公判


2006年10月05日
 東京地裁で5日開かれたマンション販売会社ヒューザーの元社長小嶋進被告の初公判で、検察側が読み上げた冒頭陳述の要旨は次の通り。
 【犯行に至る経緯】
 小嶋被告は2004年4月、元1級建築士姉歯秀次被告の事務所に、グランドステージ(GS)藤沢の構造設計を発注することを決裁。姉歯被告は、地震力を小さく設定するなどして内容虚偽の構造計算書を作成した。
 指定確認検査機関イーホームズ(イー社)は改ざんを見過ごし建築確認を行い、木村建設が施工。GS藤沢の引き渡し日は05年10月28日に決まり、顧客11人らに同日午前までに残代金を振り込むよう請求した。
 イー社は同年10月21日、(ヒューザーが建築主の)別のマンションで姉歯被告の計算書に改ざんがあることを指摘され、同月24−25日、ヒューザー側に伝えた。25日午後4時ごろまでには、GS藤沢を含む11物件の改ざんが判明した。
 【犯行状況】
 小嶋被告は25日夕、ヒューザーのマンション設計を元請けしている会社の役員から「大きな地震がくればヒューザーのマンションは倒れる恐れがある」と改ざんの説明を受け、「うちのマンションが真っ先に倒れるのか。そんな大きな問題とは思わなかったな。物件購入者に言わなきゃいけないかな。待てよ、やっぱりおれは知らなかったことにした方がいいな。極力、口外しないようにしよう」と応答した。
 26日には、ゴルフ場で部下から電話で、姉歯被告が計算書を改ざんしていたGS藤沢を含む7物件の報告を受け、ゴルフの同伴者に「藤沢の担当も姉歯なんだ」と話した。27日、イー社との会合でGS藤沢を含む11物件で改ざんの調査結果を告げられ、姉歯被告も「震度6の地震で建物が保つか分からない」と発言した。
 小嶋被告は26日、引き渡しについて尋ねる部下に「検査済み証も下りているし、問題ない、問題ない」と回答。27日のイー社との会合で「地震で建物が倒壊したときに発覚したことにしてもらいたい」と公表を思いとどまるよう要求。
 会合終了後には、「解約しないといけないかな」と部下に尋ねたが「インターネット社会だからすぐに広まってしまう。当社は立ちゆかなくなる」と返答され、「そうだよな」などと答え、顧客からの代金入金を阻止せず、引き渡し中止をしないことを決定した。
 引き渡し当日の28日午前、部下にGS藤沢の新規販売中止を指示したが、引き渡しについては「それはいいんだ」と話した。GS藤沢を含め入居済みの7物件で、購入者から買い戻しを行った場合、約50億円の債務超過に陥り、買い戻しは財務上不可能だった。


一方の弁護側は、「国策捜査」、「政治的な目的」、「訴追裁量権を大きく逸脱」と少し大げさかなと思います。また、「耐震強度偽装事件は起きるべくして起きた事件」、「責任は国土交通省など行政」、「誤った制度の導入」という「事件の本質」も問題にしているようです。

いずれも、世間を騒がせた「耐震偽装事件」の本質に迫る問題かもしれませんが、問題となっている「詐欺」に対しては間接的なものです。強調すべき点を間違えると、何の裁判なのかわからなくなってしまうような気がします。

弁護側冒頭陳述要旨 小嶋元社長の初公判


2006年10月05日

 マンション販売会社ヒューザーの元社長小嶋進被告の弁護側冒頭陳述の要旨は次の通り。
 【弁護人の主張】
 被告は無実にして無罪である。被告に対するいわれなき嫌疑は直ちに晴らされ、無罪放免されなければならない。本件は国策捜査であり、政治的な目的の下に訴追裁量権を大きく逸脱して公訴を提起して違法であり、直ちに棄却されなければならない。
 【事件の本質】
 耐震強度偽装事件は起きるべくして起きた事件であり、その責任は国土交通省など行政にある。イーホームズ(イー社)など民間の指定確認検査機関だけでなく、地方自治体の建築主事でさえ偽装を見落とした。
 今回の事件は民間検査機関という誤った制度の導入によるもので、責任が行政にあることは明らかである。
 【意図的な捜査】
 検察は被告の単独犯行による詐欺事件としてでっち上げ、行政の責任をあいまいにして、事件の本質を隠ぺいしようとしている。
 【詐欺罪は不成立】
 2005年10月25日から27日かけてイー社からは、既に完成し検査済み証が発行されている物件については姉歯秀次元建築士が改ざんしたとの言及は一切されず、被告はグランドステージ(GS)藤沢の構造計算書が虚偽であると認識できなかった。
 27日のイー社との会合の前、被告はヒューザー設計部長が作成したメモをざっと見ただけであり、GS藤沢についての認識はない。
 GS藤沢の入金があった10月28日以降、被告がヒューザー資産を不当に流出させ、隠匿した事実は認められない。被告は10月27日、事実関係が明らかになるまでの間、全物件をいったん売り止めするよう指示している。
 多額の費用を投じて構造設計事務所に対し、姉歯物件の耐震強度の調査を依頼するとともに、耐震補強や免震によって建物の安全性を確保する方法の検討を依頼するなど、責任を全うするための種々の方法を模索していた。
 GS藤沢の購入者は10月28日の引き渡しを前提に住居を売却したり、引っ越しの準備をしており、売買契約上の信義則からして検査済み証も発行されている物件の引き渡しを拒むことはできなかった。被告は売り主の義務を全うしようと考え、10月27日午後、引き渡しを了承した。
 ヒューザーの財務内容からすれば、購入者をだましてまで約4億円を入金してもらう業務上の必要はなかった。むしろ物件の引き渡しをすることによってヒューザーは建設費について金融機関の借入金約7億円を返済しなければならず、資金繰り的にはかえってマイナスになる。

この要旨の中では、「10月28日の引き渡しを前提」とした購入者側や金融の動きに注目している点は、評価できる主張だと思います。

ただ、行政のシステムを批判しているためか、違法についての行政の処分がまごついていた点には触れられていないようです。行政の判断は、違法性の認識に重大な意味をもつ問題だと、私は思っています。どのタイミングで、どのような違法が、どのような深刻さをもつと判断されたのかという流れを、並行して検討しなくてはならないと思います。

ところで、検察側と弁護側で評価が正反対なポイントがいくつかあります。

事実に関しての問題は、どうやら、どちらも同じことを取り上げていて、その時の当人の認識を問題にしていますが、その評価が分かれています。これは、小嶋元社長が、どっちつかずだったため、どうとでもとれる発言が、いくらでも出て来てしまうからだと思います。(そういう発言が残ってしまっている点で、ダメな経営者だったのでしょうね)

次に、資金繰りについての評価が正反対です。金融機関からの借入に対してどのように対応するかという点を指摘しているのが弁護側。この返済を止めることができたかどうかが問題です。これに対し、検察側問題は、発覚後の瑕疵担保責任に対処する事で発生する損失を指摘しています。

時間的には、金融機関への決済が先にあり、それを止めるという決断ができなかったことが、悪循環のスタートになったように思われます。検察が問題視する買い戻しは、確定ではなかったし、そもそも、問題の物件の数もはっきりしていませんでした。対処方法も、あの時点では、様々な選択肢が残されていた段階でした。補強の可能性も残されていました。買い取りが唯一の方法ではありませんでした。

また、検察側に、「「解約しないといけないかな」と部下に尋ねたが「インターネット社会だからすぐに広まってしまう。当社は立ちゆかなくなる」と返答され」というくだりがあります。これは、評判が悪くなって営業が難しくなり、売れなくなることや、解約を心配してるのだろうと思います。それは、引き渡しの中止の決断をしなった経緯にはなりますが、違法物件への不適切な対応に関連づけたり、資金繰りの問題にすりかえることは難しいだろうと思います。
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by gskay | 2006-10-10 11:10
知らされなかった理由?
小嶋社長が刑事裁判は、私自身には直接関係ない事件です。しかし、とても関心があります。

関係者が事情を議論していた時期に、すでに所有者になっていた私は、何も知らないままでした。再計算の対象になっていたことさえ、知りませんでした。知らされなかった理由を知りたいと思います。

知らされたのは、再計算で強度不足が確認された最初の物件が出た11月17日木曜日。その時点では、まだグレーでしたが、結局、自分のマンションについては、週明けに耐震強度の不足が確認されました。

その遅れによる、不利益も発生します。もし、知っていれば防げたことがあります。

小嶋社長を道義的に許す事ができないのと同じように、許されるべきでない人がいます。

私が小嶋社長の刑事裁判に注目するのは、発覚以降の不適切な判断が問題になっているからです。

違法建築の取り締まりである以上、当然、行政的な判断がともなっています。その判断の問題は、全く、問題になっていないようです。
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by gskay | 2006-10-06 23:21 | 揺れる システム
小嶋元社長の無罪主張
耐震偽装問題では、元建築士、木村建設元社長、元東京支店長に、イーホームズ元社長と刑事被告人になっている人たちがいますが、直接、目の前にしたことがある人は、この人だけです。

asahi.comヒューザー小嶋被告、無罪主張 耐震偽装で初公判


2006年10月05日21時44分
 耐震強度偽装事件で、構造計算書の偽造を知りながらマンションを販売したとして詐欺罪に問われた「ヒューザー」(破産手続き中)社長、小嶋進被告(53)の初公判が5日、東京地裁(毛利晴光裁判長)であった。小嶋社長は罪状認否で「そのような犯罪を行ったことは一切ございません」と、無罪を主張した。被害を受けたマンション住民に対しては「(結果的に)誤った判断で大変なご迷惑をおかけした」と謝罪した。

 検察側は、小嶋社長がマンション引き渡し前に構造計算書の改ざんを認識しながら、隠蔽(いんぺい)していたと指摘。被告・弁護側と主張が真っ向から対立する構図となった。

 検察側の冒頭陳述によると、小嶋社長は、姉歯秀次元建築士(49)=公判中=が構造計算を担当した「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)を購入者に引き渡す3日前の昨年10月25日、知人の設計事務所代表から姉歯元建築士が構造計算を担当した別の建物で改ざんがあったと知らされた。小嶋社長は同代表に「おれは知らなかったことにした方がいい。極力この問題は口外しないようにしよう」などと語ったという。

 さらに、引き渡し前日にはGS藤沢の改ざんも知らされたが、住民11人に代金約4億1400万円を自社口座に振り込ませ、だまし取ったと指摘した。

 小嶋社長は「購入者をだます意思はまったくなかった」などと述べ、自らの責任については「判断の過ちで民事的、道義的なものにとどまる」と主張した。弁護側は「捜査は政治的意図でなされ、違法」と公訴棄却を求めた。


弁護側が言うように、公訴棄却を目標にするのもいいとは思いますが、建築のシステムの問題点を洗いざらいぶちまけて欲しいと期待しています。特に、行政の関与が適切であったのかどうかを検証して欲しいと思います。

建築確認の問題も重要だと思いますが、違法建築の処分について手続きも滅茶苦茶でした。この裁判は、違法が発覚してからの滅茶苦茶な手続きが問題になると思います。

ところで、偽装が発覚したことは、耐震強度が不足しているということとイコールではありません。むしろ、オーバースペックの建物もあったくらいですから。

また、耐震強度の不足が、直ちに取引を中止しなくてはならない重大な問題であると断定できません。まして、偽装の発覚をもって、取引を中止すべき重大な問題としてよいのかどうかわかりせん。

公表以降になって、やっと判断基準のようなものが出来たにすぎません。当時は、些細な不具合と同列であるとしか評価されていなかったかもしれません。そんなはずはないと思いつつ、それが、実態だったと思います。道義的には許せない事ですが、刑事事件になるのかどうかは別です。

検察側の主張は、そのあたりを充分に吟味できていないように思われます。報道の通りだとすると、論理的には厳しいのではないかと思われます。

さらに、公表は、再計算の結果が出て、偽装によって耐震強度が深刻に不足しているということが確認されてから行われています。その経緯も問題にしなくてはならないと思います。

そっちの方に、気がまわっているようには、報道の限りでは見えませんが……。

「知らなかったことに」発言も、あの時点でどういう意味があるかを評価しなくてはなりません。すでに、耐震強度が不足し、重大な問題になってしまっているということを知っている今の時点の発想で考えると間違えます。

公表までのタイムラグこそ、この裁判の重大なポイントです。ただ、いつも書いて来たように、あの時点で、取引を中止していたら良かったのに。もし、そうしていたら、この人は英雄だったかもしれないとさえ思います。
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by gskay | 2006-10-05 23:54 | 真相 構図 処分
木村社長の詐欺容疑
そもそも、引用の記事のように認識がなくても、罪は成立するのでしょうか?木村社長の詐欺容疑は、ヒューザーの小嶋社長への容疑とは異なっていますが、ややこしい問題です。

元支店長と異なり、経理の不正については認めていて、こちらには争う点は少ないようです。

弁護側が冒陳「詐欺は無罪」=耐震強度偽装事件、木村被告公判−東京地裁


 耐震強度偽装事件で、詐欺と建設業法違反の罪に問われた木村建設元社長木村盛好被告(74)の公判が3日、東京地裁(角田正紀裁判長)で開かれた。弁護側が冒頭陳述を行い、元1級建築士姉歯秀次被告(49)=公判中=による偽装を知りながら、ホテルの工事代金を受領した詐欺について無罪を主張した。
 弁護側は冒頭陳述で、木村被告は姉歯被告を「仕事が速く、能力が高い」として優秀と評価していたと指摘。姉歯被告がヒューザーのマンションの構造計算書改ざんを認めた後、「木村さんのホテル、マンションはやっていません」と木村建設側に伝えたことなどから、ホテルの耐震強度が不足しているとの認識はなかったと訴えた。 
(時事通信) - 10月3日13時1分更新

代金の受領については、木村建設とヒューザーでは立場が違います。ホテル自体が「建築主」だったと思われ、建築主と施工業者との関係も問題点になると思われます。

ただ、問題の根本は設計にあり、しかも、建築確認されており、おそらく代金受領の時点では、竣工時の検査も済み、検査済み証も出ていたのではないかと想像します。そうした要素が絡まり複雑です。建築主と、施工、監理、それに設計の責任関係が明確であれば、混乱が少なく処理できるのではないかと思いますが、仕組みが曖昧です。その上、建築確認や検査の制度がからんで、さらにゴチャゴチャです。

今回の場合、建築主が施工業者に代金を支払うにあたっての条件が問われています。この建築主と施工業者の関係は、住宅で言えば、注文住宅の場合に近い関係です。判決によっては、一部の欠陥住宅問題の捉え方に大きな影響をもたらすものと思われます。

建築主は、建築という事業そのものに関与している分、様々な責任を負わなくてはならない立場です。住宅の場合は、「品確法」の瑕疵担保の枠組みで対応することになっているものの、厄介な問題がたくさんあるようです。

もし、「耐震強度が不足しているとの認識はなかった」にもかかわらず、木村社長に厳しい判決が出た場合、建築主の保護という点で重大な判断になると思います。

ところで、木村建設については、元建築士がかかわった物件だけの問題にとどまりません。そうでないまともな物件にまで、様々な影響が出ています。

もし、元建築士が初期にしかるべく事態の全容の解明に協力していれば、この影響は、最小限にできたと思われます。あるいは、事態の公表について、しかるべき配慮があっても、影響を少なくすることができたと思われます。しかるべき対応でなかったことが、残念です。

この問題も、初期の動きがしかるべきものであったなら、問題にならなかった可能性があります。
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by gskay | 2006-10-04 10:11 | 真相 構図 処分
行政の無謬性
建築確認や検査は、技術に関する民主的な仕組みで、技術の進歩を促進しつつ、安全や安心を確保するためのものでした。民主的であるためには、透明性が高くなくてはならないと思います。そして公平でなくてはならないと思います。そうでなければ、議論も切磋琢磨も期待できません。また、取り締まりも徹底しなくてはなりません。そうでなければ腐敗します。

ところが、現場の自治体レベルはともかく、国のレベルでは、そうした民主的な仕組みの尊重が不十分であると思います。行政の裁量の権威が強く、そこに疑いを持つことが許されません。裁量を下す側も、疑いを持たれないことに慣れてしまっているように思います。そして、誰もが、行政の裁量に盲従する仕組みができてしまいました。

これは、民主的と評価するのは憚られるような、なれあいのシステムだと思います。

建築業界の不明瞭な責任体制は、直接には、法の未整備が原因だと思いますが、間接的には、行政の無謬性という思い込みにしがみついてきたことが関係していると思います。行政の裁量に疑いを持っていれば、しかるべき法整備を行ったはずだからです。

民主的な仕組みでありながら、透明性も、公平性も充分でなく、取り締まりも不徹底な仕組みです。そのなれの果てを、今、目の前に見ているはずですが、誰もが、目を背けているように思います。行政の担当者自身、マスコミ、国民、そして国民の代表であるはずの国会議員や内閣。

「昔は良かった」式の議論は御免です。「官から民へ」の弊害を非難する議論の多くは浅薄で、「行政の無謬性」という思い込みを擁護することにしかなっていません。

すでに、技術の高度化や事業の大規模化は、「行政の無謬性」を前提とした行政の裁量で運営できるレベルにはありません。しかるべき制度の改革が必要です。少なくとも、行政自身が、その判断の妥当性を厳しく問われる仕組みを確保しなくてはなりません。
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by gskay | 2006-10-03 12:26 | 政治と役所と業界