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最初の耐震偽装物件への対応
耐震偽装の居住用の分譲マンションといえば、まるでヒューザーだけであったかのような扱いですが、それだけではありません。まして、最初の耐震偽装物件はヒューザーではありません。

ヒューザーは混乱を乗り越えることができませんでしたが、冷静な対応が許されている物件では、引用の記事のように対応が進んでいるようです。混乱に巻き込まれている様子もありません。しかし、こちらこそ、「最初」です。

asahi.com東京の「ゼファー月島」、建て替えへ 耐震強度偽装事件


2006年11月07日20時08分
 耐震強度偽装事件で、分譲会社「ゼファー」(東京都中央区)が販売した区内の分譲マンション「ゼファー月島」の住民管理組合は7日、1を基準にした耐震強度が最も弱い部分で0.44と発表した。建て替え案の設計を依頼中で、年内に建て替え決議ができれば、約2年後に完成する予定。引っ越しなどの諸費用は住民に負担がないよう「ゼファー」が支援し、建築確認した同区にも応分の負担を求めて協議を進める。

 元建築士の姉歯秀次被告が最初に構造計算書を偽造したと供述した物件。同区はいったんは「再計算で改ざんなし」と国に報告したが、実際は再計算していないことが判明した。同区は7月に耐震強度の最低値を0.43と発表し、区長の減給など関係者を処分している。

国土交通省の資料をみると、補強で対応する方針であるヒューザーの横浜の物件をのぞけば、Qu/Qunが0.5未満の建て替え相当物件の中で、今でも居住している物件はここだけです。自主退去の勧告などは、行われていないようです。使用禁止命令も出されていません。

どういうことなのでしょう?

再計算の過程の役所の問題が、こうした穏便な対応の理由になるのでしょうか?

建築主・売り主が残っていることが理由なのでしょうか?

ヒューザーの破綻は、住民の退去が進んでから、住民が申し立てたことによるものです。ヒューザーが破綻していたから、公的な対応が始まったわけではありません。

ヒューザー自身は対応を模索していましたが、その時間的な猶予は、最初の耐震偽装物件を作ってしまった企業のようには与えられませんでした。この最初の耐震偽装物件のような対応が許されるなら、展開は異なっていただろうと思います。

住民が公的な対応に追い立てられることもなかったでしょう。企業としての活動を続けることもできたでしょう。耐震偽装に関連しない物件の価値まで不当に下がることもなかったでしょう。

一体、ヒューザーと最初の耐震偽装物件を作ってしまった企業との違いは何なのでしょうか?

ヒューザーが「最初の発覚」だったからということなのでしょうか?

これは、問題の深刻さとは別の問題のような気がします。対応の違いを説明する合理的な理由にはなりません。

「最初の発覚」に、みんなが騒ぎ、混乱してしまいました。そして、のど元を過ぎて、熱さが忘れさられてしまいました。

あの「騒ぎの正体」にこそ問題があると感じています。
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by gskay | 2006-11-14 17:08 | 揺れる システム
小嶋社長弁護側証人
どうやら、イーホームズ社長が小嶋社長の弁護側の証人として出廷するとのこと。立件にいたる経緯の問題が明らかになるというのは正当なことだとは思います。ただ、そういう事実関係の部分で裁判が終わってしまうのは残念です。

仮に、小嶋社長が発覚時点で藤沢の物件について把握していたとしても、直ちに小嶋社長を有罪にできるとはいえません。様々な重要な論点を克服していかなくてはなりません。そうした論点に辿り着かずに、裁判が決着してしまう可能性が出て来ました。

イーホームズ社長は、建築のシステムの問題を糾弾するとともに、公的機関の無責任さや横暴を追及しているようです。小嶋社長の裁判については、イーホームズ社長は、その二つの板挟みになっていることと思います。

弁護側の証人としてのイーホームズ社長の役割は、おそらく、藤沢の耐震偽装の件をヒューザー側がいかに知らなかったかということを証言することになると思います。小嶋社長が知らなかったということが認められてしまうと、それ以上の議論は取り上げる必要がなくなってしまう可能性が出て来ます。そうなると、この容疑の背景にある様々な問題点は、放置されたままになってしまいます。

それは、この裁判の本来のあり方としては、正しいものだと思います。ただ、裁判を通して、多少でも本質的な問題につながればいいと考えていたので、残念に思います。

本質的なところまで届かないかも知れませんが、せめて、発覚の時点だけでなく、公表にいたるまでのプロセスは明らかになって欲しいと思います。公的な権限がいかに問題にかかわっているのかということを明らかにして欲しいと思います。

小嶋社長の裁判が始まったころのエントリです。事実関係は、争う余地がないと考えていたころです。
小嶋社長の弁護団
小嶋元社長の無罪主張
知らされなかった理由?
小嶋元社長公判冒頭陳述
発覚当初のヒューザーの資金繰りについての考え方
情報把握
この他の以前のエントリでつぶやいてきたことの随分と手前で止まってしまいそうな気配になっていると思います。問題は、広範囲の関連した現実を理解した上で、いかに法を解釈するかであると考えていました。それが、法の不備や公的機関の不適切な判断を明らかにするはずでした。

まあ、仕方がないでしょう。

ところで、ひとつ心配なのは、イーホームズ社長が混乱して、話が大きくなってピントがボケることです。せいぜい、関連して発言できるのは、表面的な公的機関の無責任さや横暴についてのさわりだけだと思います。それは、彼を欲求不満にするかもしれませんが、我慢して欲しいものです。
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by gskay | 2006-11-13 10:07 | 真相 構図 処分
上申書
小嶋社長の裁判に関するイーホームズ社長のコメントが公開されました。大変なことが明らかになったと思います。あいにくネットでしか取り上げられていないようです。

小嶋社長の容疑は、藤沢の物件の耐震偽装発覚後、偽装を知りながら引き渡しを行ったことに対するものです。私自身に直接の関係はありません。しかし、関心はあります。偽装発覚から公表にいたるプロセスの重要な部分であり、その後の様々な判断や処分、対応の元になっているからです。この部分のデタラメが、その後の混乱につながったと考えています。

イーホームズ社長によれば、藤沢の物件名は具体的に上がっていなかったとのこと。小嶋社長の容疑が成り立たなくなる可能性が出て来たようです。

さらに、このことについての検察の取り調べに問題がある可能性があるとのこと。辻褄が合わないばかりか、正当なものかどうかも疑われる取り調べが行われ、それが発覚してしまったようです。

検察の仕事は、被告を有罪にするために有利な材料を集めることなので、イーホームズ社長が証人喚問に呼ばれないというのは、検察にとっては当然だとは思います。しかし、正当でない取り調べは、まずいのでは?

弁護側の出方が気になります。

私は、基本的に『きっこ』とは、立場も見方も大きく異なっていて、むしろ反対であることが多く、このブログで取り上げませんでしたが、今回ばかりは感心しています。(でも、「構図」は虚構でしょ?)

国会の参考人質疑の時点では、イーホームズ社長の主張は、二つあったと思います。一つは、小嶋社長の発言や判断の不適切さであり、これに対して小嶋社長が吠えてしまって、バッシングがエスカレートしました。もう一つは、国が定めたお仕着せのシステムが陳腐でデタラメだったことと、それに対する無責任な対応への糾弾です。

当初、イーホームズの発言は、小嶋社長との対立の部分ばかりが強調されてしまいました。「構図」が踊りました。今となっては、くだらないことです。

一方で、国のシステムがデタラメなことや、対応が無責任であったという重大な問題は、風化してしまっているようです。重点を置くべきポイントを誤っていたのかもしれません。

イーホームズ社長の発言が小嶋社長に有利に働くかどうかはわかりません。実際には、様々な方法で、小嶋社長は、問題を把握することはできたと思われ、把握していたことを明らかにすれば良いからです。

もっと他にも、小嶋社長の裁判では、吟味しなくてはいけないポイントが沢山あります。その問題が注目されずに決着してしまうとしたら残念なことです。

かつてつぶやいたエントリです。
小嶋元社長逮捕
小嶋元社長の取り調べへの期待(1)
小嶋元社長の取り調べへの期待(2)
小嶋元社長の取り調べへの期待(3)
小嶋元社長の取り調べへの期待(4)
小嶋元社長の取り調べへの期待(5)

イーホームズ社長の発言には関心があります。ただし、これまで、方向性が間違っていました。今回も、まともな方向に進むとは限らないと考えています。肝心なところに手がかかっているのに、雑魚を相手にしたり、くだらないことに関わったりして混乱を招き、結局、肝心な部分への追及が有耶無耶になってしまうというのがこの1年でした。
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by gskay | 2006-11-10 10:35 | 真相 構図 処分
国土交通省前事務次官のホームページ
来年の参院選の自民党公認候補になっている国土交通省前事務次官のサイトができていました。耐震偽装のことは、全く触れていませんでした。まあ、当然だろうと思いつつ、少し残念に思います。

キャッチフレーズは、「地域づくり 国土つくり 一筋の人生」。「安全で美しいふる里をつくろう 子どもや孫の世代のために」という政策の目標がかかげられています。その内容としては、

1.防災対策、高速交通ネットワーク等の充実
2.ユニバーサルで人と環境にやさしい社会実現
3.建設産業等地域の基幹産業の再生
4.歴史、文化、伝統の保存と育成
5.技術の伝承、革新と教育の振興
6.商店街のにぎわいの復活
に取り組みます。

とのこと。まだまだ、これから発展するサイトのようです。

プロフィールをみると、道路や交通の仕事を中心に活躍された人物であることがわかります。そういう意味では、耐震偽装の問題は、専門外だったのかもしれません。

現在、我が国は、民間の建築に対して行政がどのような対処をすべきかが問われています。その点に触れていないことが、私には気になりますが、政策の内容が示唆するような支持母体を背景に、しっかりとした組織を作って選挙を頑張っていくのだと思います。

今後、耐震偽装に象徴される建築業界のシステムの問題や、行政の裁量と責任の問題を取り上げてくれるとありがたいと思います。ただ、どうしても、問題意識についても、その対策についても、供給サイドに傾かざるをえないのかもしれません。

現時点では、私にとって、積極的な応援をしたいという材料には欠けるという印象ですが、今後を注目したいと思っています。
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by gskay | 2006-11-08 11:44 | 政治と役所と業界
控訴断念
イーホームズ社長も木村建設東京支店長も、控訴せず、判決は確定のようです。不正な会計は許されるべきものではないので、摘発され立件され告訴された以上、当然の判決だと感じました。

こうした問題は、法の解釈が難しい一方で、何らかの手続きで問題を克服するケースもあるようで、敢えて罰することは多くはなかったように思います。そういう意味では、徹底した取り締まりは、公正な企業活動のために必要なことです。

ただ、なぜ彼らなのかとという事は明示されているとはいえません。不正な会計や経理は彼らだけで行ったことではないように思われます。耐震偽装との関連で立件して来たという経緯が、裁判の対象になった問題よりも重視されているように思われます。

公正な企業活動のために取り締まりを行っている点からは、判決を評価することができます。しかし、他の関係者や、同様のケースがどのように立件され、裁かれているのかという点を考えると、公正な企業活動の確保という目的からは逸脱しているように思います。

結局、何か面倒な事件に巻き込まれると、その事件自体で直接罰せられることがなくても、企業の手続きに関する法律でお仕置きが行われるという教訓が残ったように思います。

逆にいうと、面倒な事件に巻き込まれたり、目立ったことをしていなければ、取り締まりの対象にならないということでもあるような気がします。また、経理の不正さえなければ、罰しようもないということでもあります。

検察側が主張しようとしたことが認められなかったことは、とても大切なポイントです。判決によって罰せられはするものの、立件され告訴されるにいたった事情については、否定的な判断が下されているからです。

単純に、企業の不正な手続きの取り締まりを強化すべきだと思います。今回は、別の事件で問題になった人を、その事件との直接の関連で罰することができないからという理由で、企業の不正な手続きが問題が取り上げられました。不正な手続きを適当に野放しにしておいて、こういう時に持ち出すという方法が、企業の公正な活動の上でも、事件を解決する上でも、妥当なやり方なのでしょうか?

不正な経理に関しては、法律解釈の問題は残るものの、動かしようがないことです。検察が控訴するのかどうかはわかりませんが、被告側が控訴しないのは、不正な経理と耐震偽装発生の関係が否定されているので、事実上、主張が認められているからなのだろうと思います。
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by gskay | 2006-11-07 11:26 | 真相 構図 処分
倍返し
アパグループについては、完成前で引き渡し以前であり、手付金の倍返しで解決だと思います。契約解除の申し出がいつ行われたのかという点や、その経緯については気になるところですが、これらの物件についての最低限の責任は果たされたことになると思います。

ちなみに、ここまでは、ヒューザーでもできたことです。ヒューザーの契約解除がどのように行われたのか詳細はわかりません。しかし、問題にはなりませんでした。

ところで、春には問題が発覚し、6月には国会でも取り上げられています。それが、どうしてこの時期に問題になっているのかを明らかにはしていないと思います。同様の報道が、他にも出るのかと思っていましたが、朝日新聞だけのようです。他を待っていた分だけ、少し古い記事になってしまいました。

asahi.com巨大マンション建設中断 構造計算の検証できず


2006年11月01日16時52分
 首都圏で建設中の大規模マンションの構造計算書に数値の不整合が見つかった問題で、埼玉、千葉両県内の分譲マンション2物件の検証作業が難航し、工事が半年以上中断している。複雑な構造計算の考え方をめぐり、構造設計を手がけた富山市の1級建築士と検査側の見解の相違が大きく、溝が埋まらないためだ。建築・販売主のアパグループ(金沢市)は両物件の契約者に対し、手付金の倍返しなどの条件で契約解除を申し出た。

 工事が中断しているのは埼玉県鶴ケ島市のアップルガーデン若葉駅前(369戸、15階建て)と千葉県成田市のアパガーデンパレス成田(130戸、12階建て)。若葉駅前は3分の1程度、成田は8割方、工事が進んでいる。

 構造計算書はいずれも富山市の1級建築士が作ったが、いったん建築確認した検査機関イーホームズ=5月に指定取り消し=による再調査で、一貫性のない点が見つかった。同社が2月末〜3月に埼玉、千葉両県に連絡し、両県は工事中断を指導。若葉駅前97戸、成田64戸が契約済みだったが、アパグループはその後の販売を自粛した。

 建築士は、6月初めに朝日新聞がこの問題を報じた時点で、若葉駅前について「時間の制約があり、未完のままデータを差し替えた構造計算書を提出した。計画変更で是正するつもりだった」と認めたが、成田は「誤記」と説明。両物件とも「耐力(強度)には問題はない」と強調した。

 その後、国土交通省はこの建築士が手がけた全国42物件の抽出調査を開始。検証が終わった21件の構造計算に問題はなく、耐震強度も十分と確認された。

 ところが、若葉駅前と成田の2物件は、構造計算をめぐる検証作業が、一向に終わらない。

 5月にイーホームズから、「さいたま住宅検査センター」と千葉県がそれぞれ審査を引き継ぎ、一から実際の建物と、不整合部分を修正した構造計算書の点検を始めた。

 作業は、工事が進んでいる成田が優先。千葉県建築指導課によると、成田の5棟のうち4棟は安全性が確認されたが、1棟は検討が続いている。一方、埼玉県建築指導課によると、若葉駅前の6棟のうち2棟は問題なく、2棟はほぼ検証済みだが、残りの2棟は検討が進んでいない。

 両県によると、コンクリートの重さや梁(はり)の鉄筋量の算定などに、標準と異なる手法が多用されているのが遅れの一因。根拠を示すように求めているが、建築士は正当性を主張し、平行線が続いている。第三者機関から助言を受ける調整が進んでおり、決着にはさらに時間がかかる見通しだ。

 建築士は「建物の安全性をごまかすようなことは一切していない」と説明する。

 アパグループは、契約解除について国交省などに報告し、契約者に通知、送金する一方、事業継続を強調。同グループの元谷外志雄代表は「指摘された問題は解明に向け、最善の努力をしている。契約者に迷惑をかけないよう、誠実に対応していく」と話している。

問題は、「未完のままデータを差し替えた構造計算書」という点です。そういう書類が、どの程度あるのかを把握する必要があるのではないでしょうか?この手続きについては、国会でのやりとりで、違法であるという見解が示されています。

違反行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について(技術的助言)によれば、「関与物件リスト」が作られることになっています。疑義がある場合とされており、必須ではありません。しかし、問題の重要性を考えれば、是非必要ではないかと私は思います。

アパグループと政治家との関係に関心が寄せられているようですが、私は、その点には興味がありません。悪い事をするわけでないのなら、非難する必要はないと思います。

それより厄介なのは、行政の判断です。とりあえず、やるべきことをやっているかどうかが重要だと思います。行政が適当にさじ加減を決めてお沙汰をするやり方になっているのではないかと危惧します。

徹底した対応をした場合、関係者がどうなるかという問題も気にはなります。もし、その影響を考えて手加減を加えているとしたら許せないことです。政治の影響を受けているのかもしれません。しかし、そういうことは無いという前提で考えても、行政の「お気持ち次第のお沙汰」が通用し、どんな判断をしたとしても、咎められたり、責任を負ったりしないで済む仕組みになっていることに疑問を感じます。

技術的・能力的な問題という言い訳に逃げ込むべきではなく、責任の所在を明確にし、真に前向きに対応しているかどうかが問われるべきではないかと思います。

引用の記事は、アパグループと契約者との関係を中心に報じているように思いますが、この問題は、行政の判断が強く関与するという点からの検証も必要であると思います。
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by gskay | 2006-11-06 21:53 | 政治と役所と業界
検察の主張への裁判所の判断
イーホームズ社長に続いて、木村建設東京支店長が有罪になりました。しかし、これも、耐震偽装には関係ない経理の不正で、検察が主張する耐震偽装との関係は認められませんでした。

経理担当の役員が裁かれず、彼が裁かれたのは、耐震偽装への関連からだと思います。耐震偽装で罰することはできないが、耐震偽装に関連する容疑で罰することで、耐震偽装への責任を追及したことと同じと位置付ける考えだったのかもしれません。

違法な経理を行っている会社が、構造設計の担当者に無理な圧力をかけて、偽装を続けるきっかけを作ったという構図が描かれていたようです。圧力といっても、「頑張って、経済性に優れた設計を!」ということなら違法性はないと思われますが、「違法になっても、コストを下げろ!」というなら、元建築士と共謀です。

捜査段階で、共謀は早々に否定されてしまいました。そうすると、違法とはいえない圧力が偽装の原因になったかどうかが問題になり、その背景として経理の不正が追及の対象になりました。結局、裁判所は、経理の不正は認めたものの、耐震偽装との関連は認めなかったようです。

直接的な関与を証明できないため、経理をごまかすような悪徳な輩が、耐震偽装のきっかけを作っているから、厳重に罰する必要があるというのが追及の意義だったと思いますが、認められなかったようです。

そうなると、耐震偽装への責任があるという理由で、経理担当の役員をさしおいて、東京支店長を訴えているので、検察の主張が敗れたという位置づけになると思います。イーホームズ社長に続いて、事実上の連敗ということになると思います。

この人たちが裁かれ、同じようなことをしても他の人たちは追及されないという違いは、耐震偽装への関与という点です。その点を裁判所が認めなかったということは、裁判にいたる最も重要な点が認められなかったということです。

検察は、控訴するのでしょうか?

ところで、支店長の存在をはじめて知ったのは、国会の参考人質疑です。その時は、良い印象こそ持たなかったものの、筋は通っていると思いました。その時の私は、もっぱら、イーホームズの社長に怒っていました。

その後、私の友人が支店長と仕事をしたことがあるということで評判を聞く事ができました。印象ががらっと変わり、好転しました。

ほとんど暴力と変わらないリンチやつるし上げのような取材がほとんどである中、それとは一線を画した丁寧な取材による報道を目にする機会もありました。

彼について、私が知る範囲で、個人的に気に入らないのは、キックバックを受けていたらしいという点くらいです。

彼を巡る騒動は、一体、何だったのでしょうか?辻褄が合わないまま、忘れられて行くのかもしれないと思います。
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by gskay | 2006-11-02 17:03 | 真相 構図 処分
元建築士への論告求刑
耐震偽装で裁判が行われているのは、この裁判だけです。他は、別件であったり、発覚後の不適切な行為に対する裁判で、耐震偽装を直接裁くものではありません。

元建築士の論告求刑が行われたことは、イーホームズ社長への判決とその後の社長によるキャンペーンに比べれば、既存のマスコミも取り上げているような印象です。

ところで、建築確認においては、元請けの建築事務所から書類が出ており、この元建築士が直接書類を提出した訳ではないと思われます。実際に違法な建築が行われ、最終的に違法な建築が世に出る上で、決定的な原因はこの人の偽造ですが、この人は一部分を担ったに過ぎません。

下請けに過ぎない以上、この元建築士が設計への責任を負う筋合いは無いのかも知れません。設計の責任をとるのは、あくまで元請けとなっている設計事務所です。

設計事務所については、資格の取り消しのような行政処分がすでに行われていて、刑事的な責任追及の対象になっていません。元請け設計事務所への公的な処分としては行政処分で充分だろうとは思いますが、民事的な追及は別です。ただ、追及したところで損害が回復できるかどうかは別問題です。さらにいえば、この元建築士に民事的な請求をしたところで、私たちの損害の回復には寄与しないと思われます。

当初、この元建築士には、巧妙なエセ経済設計を行ったズルイが優秀な建築士という位置づけがあったように思います。今でも、そう思っている人がいるかもしれません。実際は、基礎的な能力の不足していたダメな建築士だったというのが真相だと思います。それを、たまたま経済設計と勘違いしたことで、問題が拡大しました。

勘違いについては、設計事務所と検査機関の実力不足が必要な条件です。大臣指定のプログラムであっても、完璧ではないということが、設計事務所と検査機関にはわかっていて、チェックの対象になっていたなら、こんなことにはならなかったのかも知れません。そこは、イーホームズの主張するポイントの一つだと思いますが、実際のところは、どうなのでしょう?そういう問題だったのでしょうか?

チェックしたところで、見落とされている可能性も否定はできないように思います。私は、設計事務所の能力も検査機関の能力も、この問題には無力であったのではないかと思います。

また、書類の不十分ささえチェックできない体制になっていたようです。中途半端で未完成な書類を出しておいて、後で修正するということがまかり通っていたようです。技術的に問題を見抜く能力ばかりか、手続きの厳格さにも問題があるようです。

私は、検査による適法という判断がどのような意義があるのかという点にも問題を感じています。結局、後で違法が発覚した時に、何の責任も負わないのなら、設計事務所や、施工、建築主、それに所有者の責任を明記し、公的な機関は取り締まりだけをしっかりやればいいのではないかと思います。

余計な仕組みを作るから、こんな人が悪事を働く余地を作ってしまったのだと思います。

この元建築士がデタラメな設計をし、それが違法建築として形になるプロセスにも問題があります。検査の実力と手続きの厳格さの不足の問題です。

それだけでなく、この元建築士が行ったデタラメな設計の背景には、建築確認という形ばかりで意味のない仕組みがあって、それに合格すれば適法になるとというみなの錯覚があったのではないかと思います。そんな仕組みさえなければ、こんな馬鹿馬鹿しい事件は起きなかったのではないかと思います。
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by gskay | 2006-11-01 16:18 | 揺れる システム