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藤田社長の主張
イーホームズの藤田社長が、国会の参考人質疑で、強調すべきトピックやキーワードを間違えていなければ、「国土交通省の官僚が起こした犯罪」という形での展開もあり得たと思います。

「イーホームズが耐震偽装を見つけた」ということの意味が、あの時点では、理解されませんでした。国会の発言から、それを理解するのは、今となってみても困難ではないかと思います。彼は、「大臣認定プログラムの根幹がおかしい」という点を主張したはずでしたが、不十分でした。全く、異なる取り上げ方をされてしまいました。

かくいう私も、当初は、彼の主張を理解できなかったひとりです。

東京新聞:「国交省の犯罪」と指摘 耐震偽装公判で藤田社長:社会(TOKYO Web)


2007年5月28日 20時17分

 耐震強度偽装事件で、詐欺罪に問われたマンション販売会社ヒューザーの元社長小嶋進被告(53)の公判が28日、東京地裁(毛利晴光裁判長)で開かれ、確認検査機関イーホームズ(廃業)の藤田東吾社長(45)=架空増資事件で有罪判決確定=が弁護側証人として出廷した。

 藤田社長は従来の主張通り「事件は姉歯秀次元建築士が構造計算書を改ざんしたためで、制度に問題があった。国土交通省の官僚が起こした犯罪といえ、検察がそれを指摘しないのは身内をかばうようなものだ」と捜査の在り方を批判した。

 起訴状によると、小嶋被告は2005年10月27日午前までに、神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ(GS)藤沢」の構造計算書が偽造され、建物の安全性が確認されていないことを認識しながら、売買契約を結んだ11人に告げず、代金計約4億1400万円を振り込ませ、だまし取った。
(共同)

仮に、藤田社長が、国会の参考人質疑で、充分に説明していなくても、他の参考人や国会議員が問題を正しく把握できていれば、事態は変わっていたかも知れません。残念ながら、あの参考人質疑以降の、国会の仕事ぶりは、藤田社長が提起した問題には上手に対応できていないように思われます。

加えて、ほとんどのマスコミも無力だったのではないかと思います。

今でも、肝心のポイントは、ほとんど世間には理解されていないと思われます。

国土交通省については、建築の制度のあり方が揺らいでいるということを真剣に受け止めるべきだったのではないかと思います。例えば、改正建築基準法が6月20日に施行できるのかどうか、いろいろと微妙な状況とのこと。

特に、大臣認定の構造計算プログラムの認定が、国土交通省が示す基準の決定の遅れで、難しくなっているという報道がありましたが、その後、事態は改善しているのでしょうか?

asahi.com:耐震偽装対策、計算ソフト改訂遅れ 新制度に間に合わず - 耐震強度偽装



2007年05月07日00時34分

 耐震強度偽装の再発防止のため、国土交通省が打ち出した構造計算プログラムの改訂作業が大幅に遅れ、新たな建築確認制度が始まる6月20日に間に合わないことがわかった。このプログラムはマンションなどを建てる場合に必要な構造計算書の改ざんを防ぐ中心的な役割を担うはずだった。当面は新制度への対応が不十分な旧プログラムを使うしかなく、マンションやビルなどの建築確認が1カ月程度、遅れるケースも出てきそうだ。

 プログラムの改訂は、姉歯秀次・元1級建築士による耐震偽装事件が発端。姉歯元建築士は、国交相認定のプログラムに耐震強度の基準に満たない数値を入力しながら、構造計算書の一部を別の計算書と差し替えたりするなどの偽装を重ねていた。このため、偽装ができないよう、ソフトメーカーに改訂を求めることになった。

 国交省は当初、今年3月には、ソフト会社から新プログラムの大臣認定の申請を受け付け、6月の新制度発足に間に合わせる計画だった。その後、国交省の抽出調査で新築マンションの約1割に疑問点が見つかるなど、想定を超えたずさんな構造設計が広がる実態が表面化。このため、国交省が示すべきプログラムの基準の検討が長引いて最終決定ができず、ソフト会社の対応が大幅に遅れてしまった。

 新プログラムの条件は、高い改ざん防止機能を持つ▽法令に反した数値が入力できない▽審査しやすい共通様式で計算書が出力される、など。新旧プログラムの切り替えを改正建築基準法が施行される6月20日に合わせたため、現行の106種の認定プログラムは同日、認定を失う。

 国交省はまだ最終的な基準を公表しておらず、ソフト会社側は「未確定の基準ではプログラムは組めない。作業はこれから数カ月かかり、6月中はとても間に合わない」と口をそろえる。ある有力メーカー幹部は「1年間で新プログラムを導入する日程に無理があった」と指摘する。

 新しい建築確認制度への移行後も、建築主や設計者が大臣認定のないプログラムを使った構造計算書で申請することはできるが、建築確認審査が長期化したり、申請料金が割高になったりといった不利益を受ける。

 認定プログラムの場合は電子データを再計算して改ざんの有無を効率的に判定するが、認定のないプログラムは、数百ページもの計算書を1枚ずつ厳格に審査されるため、通常35日以内の審査期間が倍の70日まで延びるおそれもある。

技術的な問題に対する対応能力が不十分な組織になっていて、全く別の発想をしない限り、改善できないのではないかと思われます。

当面の建築確認の実務については、手作業で頑張ればいいだけのことですが、制度の全体像は、いびつな仕組みのまま放置されているように思われます。

私は、あらためて藤田社長のめざしたものを再評価すべきではないかと思います。さしあたって、彼が考える建築の制度の理想像や、官僚のあり方には、耳を傾ける価値があると思います。そして、それ以外にも彼には期待できることがあるように思います。

もちろん、彼が全能なんてことは無いと思われ、それぞれの問題について是々非々ですが……。
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by gskay | 2007-05-29 07:02 | 政治と役所と業界
公開すべき共通の指標
耐震偽装について、今後の教訓になるような分析や提案は、メディア上には少ないという印象を持ってきました。また、公的な仕組みも改正されてはいますが、根本的な発想が変わっておらず、脆弱な基盤の上に、これまでの仕組みと大して変わらない仕組みを積み上げているだけのように思われます。余計な負担になるだけで、解決策とはいえないと危惧しています。

そんな中、以前のエントリでも取り上げた『日経ビジネス』の山岡淳一郎さんのコラムで、興味深い提案を知りました。


(3)私に、あなたに、構造欠陥は見抜けるか? (マンションに住んで幸せになろう):NBonline(日経ビジネス オンライン)



「何しろ耐震偽装は、一級建築士をそろえた建築確認検査機関も歯止めにならなかったし、消費者のマンション選びをサポートする会社に依頼してさえ、危険を察知できなかった例も個人的に知っている。素人にはとても太刀打ちできない。」という前提で考えている点が重要な視点だと思います。

その上で、「東京電機大学建築学科の今川憲英教授」が登場し、ヒューザーの販売用パンフレットをこき下ろし、かつ、「これはどのデベロッパーのパンフレットも似たようなものです」と指摘しています。

これには共感します。今でも、マンションの宣伝がどんどん配達されて来ますが、ヒューザーのそっけないパンフレットとの違いは、周囲の環境を強調したり、イメージ画像に凝っているいる位で、肝心の情報は、ヒューザーのそっけないパンフレットと変わらないと思います。そういう点では、あまり反省されてはいないのかもしれません。

そんな状況に対し、購入者が対抗するための提案をコラムでは取り上げています。

ひとつは、「建物の設計や施工にかかわる5種の図書類を調べたほうがいい」と。5種として、『基本設計図書』、『実施設計図書(構造図や構造計算書、設備図など含む)』、『施工図』、『竣工図』そして、『パンフレット』をあげています。

これについては、計画段階で販売が始まるという点を考えると、必ずしも実情にあっている提案ではないと思います。まあ、少なくとも引き渡しを回避することには役立ちそうですが……。

これらの図書を調べるという発想は、従来からもありました。しかし、「消費者のマンション選びをサポートする会社」が、ことごとく空振りをしていたという実情が問題意識の前提になっていることを考えると、現実的だとはいえないと思います。また、特定行政庁や検査機関が検査してもわからなかったという点で、ますます苦しい提案ではないかと思います。再検査も、極めて長い時間がかかっています。

今後、試験で誕生した構造検査の「判定員」の活躍次第で、これが現実的なものになるかどうかが決まるのかもしれませんが、今は、これを優れた提案だとは思えません。

次に、「共通の指標の公開が必要」と提案しています。私は、これを興味深い提案だと思いました。

「素材」、「構造」、「荷重」、「接合方法」、「最適価格」、「耐久性」、「建て方」という7つの指標から得られる「空間デザイン認識関数」というものの有用性を提案しています。もし、それが簡単に理解できるものであるなら、とても価値があるものだと思います。

図面からこの指標を読み解くのは難しいと指摘していますが、それは、現状の検査の様子を見る限り、納得できることです。発想が逆転している点が、この提案のポイントだと思います。どのような考えで設計し、何を実現しようとしているのかということを明確に示す指標こそ、全体像を把握する上で価値があるということだという考えだと思います。

契約における宅建主任による「重要事項」の説明では、そういう点までつっこんだ話はありませんでした。この指標なら、取り入れることは可能かも知れないと思います。図面をもとにした議論をするのは非現実的だと思いますが、これなら受け入れることができるのではないかと思います。

既存の発想の延長で、いくら検査制度を高度にしても、素人にとっては、ブラックボックスが一つ増えるに過ぎません。これまでの建築確認をはじめとする検査制度も、性能評価の制度も、期待に沿う事ができませんでした。今後の検査制度の充実も、「合格」と書かれた紙切れが増えるだけで、購入者の判断の材料にはならない仕組みになりかねないと考えています。

検査制度を高度にする努力だけでは得られない何かが、まだまだあります。その一つへの有効なアプローチが、提案された指標の共通化と公開だと思います。これを、「重要事項」として説明し、違背した場合に考慮すべき対象とすることが必要ではないかと思います。

ところで、「消費者のマンション選びをサポートする会社」についてですが、そろそろ、しかるべきあり方をきめた方がいいのではないかと思います。肝心なことを指摘できなくても、「ダメでもともと」という商売は、あまりに無責任です。然るべき責任を負う仕組みの中でしっかりと「サポート」していく会社を作らなくてはならないと思います。
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by gskay | 2007-05-14 08:00 | 安全と安心
携帯の国際ローミング
最近の携帯電話は海外にいてもつながります。もともと携帯電話は携帯しているだけで、あまり使いません。当面は、現地の携帯電話を必要とすることもないだろうと考えました。国際ローミングの高い通話料も緊急の電話だけなら、便利さと引き換えに我慢できるという印象です。

ただ、国際ローミングには思わぬ落とし穴がありました。

時差です。

先日、税務署から電話がかかって来ました。普段は鳴らない携帯電話なのでびっくり。しかも夜中。どうやら、確定申告に問題があったようです。

確定申告の折のエントリに、数値のまるめ方について驚いたことを書きましたが、別の担当の方からみると問題になってしまうようです。大きな金額ではないのですが、雑損の繰り越しなどのデリケートな問題にかかわるので慎重を期しているのだと思います。

税務署の担当の方にとっては昼休み後の気合いの入った時間だったと思われます。しかし、こちらは深夜でぐっすりと寝ている時間でした。

とにかくビックリしてしまい、トンチンカンな受け答えをしてしまいました。それでも、どうにか用件は済ますことができました。

こちらが外国に来ているという話をしたら、担当の方は、国内に発信しているつもりだったとびっくりしていました。そりゃ、そうでしょう。

転送料や着信料がかかったりするのは負担ですが、便利です。「海外出張中で、連絡先は……」などとやっていたら、ややこしい事になり、後回しにされたり、スキップされてしまったかもしれません。時差のせいで、寝ている時にも容赦なく電話がかかってるのは少し困りますが、適宜、電源を切ったり、留守電にすればよいだけのこと。それより、確実に連絡を受けられることがありがたいことだと思いました。
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by gskay | 2007-05-10 22:22 | いろいろ
判決の延期
木村元社長への判決がそろそろあるはずだと思っていたのですが、ちっともそんな報道はないと不審に思っていました。私が注目しているのは、有罪か無罪かということではなく、詐欺が認められるのかどうかです。

建設業法違反については、本人も認めていて、有罪になるのだろうと思います。元東京支店長への判決については、会計を預かっているはずの人をさしおいての判決だったので疑問に感じる部分はありますが、元社長については、建設業法違反については争う余地は少ないように思います。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <耐震偽造>木村建設元社長の判決延期、弁論を再開


5月1日20時26分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件で、強度不足を知りながらホテル建設代金をだまし取ったなどとして詐欺と建設業法違反の罪に問われた木村建設元社長、木村盛好被告(75)について、東京地裁は8日の判決公判を延期し、弁論再開を決めた。木村被告の詐欺の意図について検察側の主張を改めて確認することが目的とみられる。

最終更新:5月1日20時26分
毎日新聞


結局、詐欺の意図については確定的なものを示すことができていないということなのだろうと思います。本人は否定していたと記憶しています。

ところで、ポツポツと発覚する耐震性能の問題に関して、木村元社長のケースのように詐欺を問われることは、今後もあるのでしょうか?あの時は、誰もがヒステリックになり、納まりがつかなくなっていました。事件の社会的な影響を考えて判断しなくてはならないのかもしれません。

耐震偽装の問題は、建設業者による詐欺という構図より、耐震性能に関して誰が責任を負うのかという視点で考えなくてはならないと思います。建設に関係する様々な人々の責任関係が曖昧であることが、事件の収拾を困難にしました。その深刻な事態をを直接扱わず、詐欺というような問題に転換してしまって納得しようとしているのかもしれませんが、それでは、巻き込まれた人にとっての解決にはなりません。

これからも、耐震の問題は当たり前のように発覚していくおそれが大です。もはや、ニュースにもならないのではないかと思いますが、巻き込まれた人は大変です。その時、悪者を捜し出し、懲らしめるという発想では解決にはなりません。いかに、損害や影響を最小限にするのかという発想が必要だと思います。

仮に、木村元社長や小嶋元社長の詐欺が有罪になったとしても、巻き込まれた人にふりかかかった問題は解決しません。巻き込まれた人は、その物件の木村元社長や小嶋元社長をつるし上げるということに血眼になるべきではないと思います。そんなことより、いかに的確に対処すべきかを考えなくてはならないと思います。

もし、的確な対処の方法が、すでに存在してるなら悩む余地は少ないと思いますが、そんな方法は確立していません。だからこそ、余計な事に熱中せず、自らの知恵で方策をひねり出さなくてはなりません。
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by gskay | 2007-05-09 22:56 | 真相 構図 処分