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価格差と中身の差
消費者が安いものを買うのが悪いという発想は根強いようです。

たまたま、海外での長期滞在で気付いたことがあります。ここでは、同じようなものでも、高いものを買うと、価格差以上の満足があります。そのため、つい高いものに手が出てしまい、お金がどんどん無くなります。お金を使うことが楽しいところです。

一方、日本では、高いお金を払っても、あまり満足度は変わらないような気がします。

日本では、2倍のお金を払っても、2の平方根になってしまうような気がします。それに対し、滞在中の国では、2の二乗になるような気がします。

日本で高いお金を払っても、それに見合う質の向上がなかったように感じています。

これは、滞在中の国の最低水準が低すぎるせいもあるかもしれません。日本では、ある程度以上の水準のものが広くいきわたっているという事情もあるのかもしれません。これは、日本のポジティブな面です。

しかし、価格が高くても中身が良かったり、満足度が違ったりするとは限らないとなると、賢い消費者は安いものを探そうとします。高いものを積極的に入手したいと感じる動機がありません。

高い物が売れないのではなく、高いだけの価値があると感じさせられない物しかないところが問題です。

もし、価格差が内容にしっかりと出るようなものを供給していたなら、こんな風潮にはならなかったのではないかと思います。供給側の努力不足が、大きいと思います。

ところで、ヒューザーのマンションに関しては、以前のエントリで指摘しているように、決して安くなかったことが示されています。広いことがポイントであるとともに、余計なものがついていないマンションで、欲しいものは自分で確保しなくてはいけないマンションでした。とても、透明なやり方だったのではないかと思います。

決して、他のマンションと同じようなものを安く売っていたわけではありませんでした。

ひき肉の問題とヒューザーの問題は、かなり異なる問題です。しかし、ごちゃ混ぜです。メディアやネット上の論客は、すでに耐震偽装問題の初期に誤りをおかしているためか、的確な軌道修正ができないのかもしれません。

同じような中身のものを安く売る競争の場合、ひき肉のケースのような偽装が発生する素地が出来てしまうと思います。もし、価格も品質も幅広く提供される風潮があったなら、起こりにくい問題なのかもしれないと感じています。

耐震偽装の問題は、業界や行政、国のシステムのあり方が問題で、技術についてどのように考えるべきかが問われています。単純な価格の問題で片付けることはできません。

なお、表示の偽装などの偽装自体は、価格とは関係ないように思います。よく考えてみると、値段が高いからと言って、中身が保証されているとは言えません。

価格が問題の背景であるという説は、何となくわかりやすい説ですが、何も説明していないのと同じです。
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by gskay | 2007-06-27 21:11 | いろいろ
官僚OBへの逆風
官僚離れは、確実に進んでいるのかもしれません。農業や漁業の現場からの議員がしっかりと立法に参加し、行政を管理する必要性が高まっているようです。農業も漁業も、昔ながらの仕事かと思っていましたが、流通の変化や、バイオテクノロジーの進歩、市場の広域化や消費者の志向の変化などがあり、旧来の発想に縛られていてはダメなようです。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <参院選比例代表>農水団体が自前候補擁立 官僚OBはずす


6月26日11時45分配信 毎日新聞

 今回の参院選比例代表で、農水団体は慣例だった監督官庁の官僚OB支援でなく、自前候補の擁立に動いた。そこには、「役人が何をしてくれた」「我々のため本気で戦う議員を」との強い思いがある。
 自民から比例代表に出馬する全国漁業協同組合連合会(全漁連)前理事、丸一芳訓氏(56)のトレードマークはタオル鉢巻きにゴム長靴姿。5月末、神奈川県三浦市のマグロ基地・三崎港を訪れ、約100人の漁業関係者を前に「ハマ(浜)の力を結集して政治力を使わなければ、暮らしていけん」と声をからした。
 丸一氏は兵庫県・淡路島でイカナゴ漁やノリ養殖を手がけた。漁師そのままの格好で、支持を求めて市場や停泊中のマグロ船内を歩き回る。「現場が分かる候補。こちらの思い入れが違う」。ある漁師(63)は話した。
 これまで参院選で農水省OBを支持してきた全漁連が、組織内候補擁立を決めたのは昨年9月。漁獲高の減少、不安定な所得、漁師の高齢化や後継者不足という現実に、幹部らは「日本の海と食を守ってきたのに、どん底まで落ちた。水産のため本気で戦う議員が必要だ」と口をそろえる。
 かつて100万票の集票力があると言われた農林漁業。全漁連より先に動いたJAの政治団体「全国農業者農政運動組織連盟」(農政連)も事情は同じだ。3年前の参院選では農水省OBの日出英輔氏(自民)を推したが約11万8000票で落選し、組織は揺らいだ。
 次も官僚OBを支援するか、別の候補を立てるか。農政連は昨年5月、地方幹部ら約300人で予備選に踏み切った。全国農協中央会専務理事だった山田俊男氏が8割の得票で、現職の農水省OB、福島啓史郎氏に圧勝し、自民の比例代表候補に決まった。
 こうした「身内擁立」の背景には現場を知らない官僚OBへの不信があるという。政府の規制改革・民間開放推進会議で05年、農協の組織分割を視野に合理化を進める改革案が浮上。最終答申には盛り込まれなかったが、山田氏の陣営幹部は「郵政民営化の次は農協分割、と危機感が強かった。役人OBがどんな仕事をしてくれたのかという思いもあった」と語る。【久木田照子】


引用の記事では、業界の先細りの懸念が書かれていますが、そうした問題と同様に、新しい技術やニーズに対応できない硬直化した状況も重要な関心事ではないかと思われます。いずれに対する対応も中央官庁は無力であったことへの失望があるのだと思います。

現場の技術に、官僚がついていけておらず、むしろ足枷になっているのは、建築の世界も同様ではないかと思います。公共事業が中心の土木ならともかく、建築の世界も国土交通省OBを支持しているのでしょうか?国土交通省OBの選挙には、大変、関心があります。

追記)ただ、参議院の比例の場合、党としての得票のために、当選に届く可能性は低くても、ある程度の集票が出来そうな候補を乱立させる傾向があるようです。
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by gskay | 2007-06-26 22:47 | 政治と役所と業界
偽装の象徴
偽装事件が起こると、ヒューザーの小嶋社長が引き合いに出されます。しかし、未決である藤沢の物件の詐欺事件についてはともかく、偽装への関与に関しては、被害にあった会社の社長にすぎません。マスコミに登場して変な注目のされ方と、目立ち方をしたばかりに、このような目にあっているようです。

ひき肉の偽装をした会社の社長は、偽装した張本人である姉歯元建築士に相当します。断じて、小嶋社長ではありません。

少なくとも、小嶋社長は首尾一貫して購入者に誠意を示そうとしていた点も異なります。異常な事態を乗り切ることができず、実際には、それは実行できなかったものの、決して購入者に責任転嫁したり、馬鹿にするような発言はありませんでした。小嶋社長は、偽装を知らなかったというのが真相のようです。また、彼は、良いものを提供してきたと信じていたと思います。

小嶋社長は、そんなものと、一緒にされたくないと思っていると思います。
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by gskay | 2007-06-26 13:09 | メディアの狂騒
国土交通省OBの選挙
4月の統一地方選挙では、札幌市長選挙に前国土交通省技監が挑んで敗れています。河川が専門と思われる経歴の持主です。

参議院選挙では、前国土交通省事務次官が自民党の比例の公認になっています。土木や道路が専門だと思われる経歴です。耐震偽装の発覚以降の一連の動きを、官僚のトップとして仕切った人物ですが、建築は専門外だったようです。

国土交通省の対応には、いろいろと適切でないと思われるところがあって残念です。もし、その反省を政治に活かすというのなら、素晴らしいことだと思います。しかし、そういう姿勢ではないようです。

いくら当時の責任者だったからといっても、専門外では仕方がないのかもしれません。選挙にむけた活動でも、耐震偽装やその対応については、問題として積極的に取り上げてはいないようです。

選挙で勝つためのポイントはいくつもあり、経歴も、業界を含めた組織も、人柄も、選択のためのプラスの評価になると思います。その評価を当選に必要な得票以上にあつめれば、当選できます。

いくら不人気であったり、問題があっても、マイナスの投票をする制度はないので、政治家に「ノー」をつきつけることはできません。別の候補を応援して対抗するのが、せいぜいです。

参議院の比例の場合、党の得票により当選者数がきまり、その枠内で個人の得票順に当選者が決まるという仕組みになっています。このため、とにかく党全体の得票を増やすために、党はなりふりかまわず候補を擁立する必要があります。

候補としては、党内での順位を上げるための個人の得票が必要です。自民党であれば、20万票は確保しないといけないようです。候補によってそれぞれの戦略があると思いますが、官僚OBの場合、大抵、関連業界を含めた組織固めが有効ではないかと思います。

ところで、4月の札幌市長選挙では、前技監は、36万を得票しています。

選挙のやり方が全くことなるため、単純に考えるのは無理だとしても、参議院の比例の当選のラインは超える可能性が高いのだろうと思います。

加えて、民営化批判、規制緩和批判は、官僚OBにとって追い風になっているのではないかと思います。官僚批判もありますが、如何せん、マイナスの投票という制度は無いのですから。

一方で、官僚OBの得票は、近年、低迷傾向です。この点を強調するなら、予断を許さない状況かもしれません。それでも、国土交通省OBが苦戦することは、余程のことが無い限り、あり得ない事かもしれません。(耐震偽装での対応などが、「余程のこと」にあたるかどうかは別として……)

私は、官僚の裁量が大きすぎる仕組みに疑問を感じているので、官僚OBとして評価されて当選するということを肯定的に見ることはできません。官僚の仕組みを知りつくしていて、然るべき改革を国会から行うということなら賛成ですが……。

イーホームズの藤田社長がエール送っている人物の問題意識には共感しています。
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by gskay | 2007-06-26 04:34 | 政治と役所と業界
『官僚とメディア』(魚住昭)
「耐震偽装の構図」を信じている人も信じていない人も、読んだ方がいいと思います。

耐震偽装では、何が起こっていたのかということさえ、普通にしていたら解らなかったと思います。私は、巻き込まれていて、実体験の中から考えて、「構図」を始めから信じていませんでした。同時に、自分が体験しているものと報道されているものの差に驚いていました。さらに、報道を信じて、実際の出来事を信じない人々に愕然としました。

報道を鵜呑みにする人を批判しようとは思いません。しかし、鵜呑みにして、操作されてしまっているということには、問題意識を感じます。耐震偽装事件をのぞけば、私も操作されて、報道を信じてしまっているという自覚があるので……。

別に近くにいたわけではないのに、きちんと取材をすると核心に辿り着くことができることがわかりました。状況の分析については、指摘の通りだと思います。報道の現場体験からの発言であるだけに、緻密でリアルだと思います。

ほかには、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(郷原信郎)も、イーホームズの藤田社長の著書と並んで、実態をとらえた本だと思います。ただ、これらは、ジャーナリストによる著作ではありません。『官僚とメディア』が、ジャーナリストの著作であるという点は、特筆に値すると思います。耐震偽装の捉え方は、メディア批判、官僚批判のための材料にすぎませんが、充分な描かれ方だと思います。

私は勉強不足であるのか、このくらいしか、耐震偽装の本質をとらえていると実感させてくれる書籍を知りません。他の耐震偽装関連書は、口当たりのよい一般論を言っているにすぎないと感じていました。極端に言えば、別に耐震偽装に触れる必要もないような書物ばかり。ただ、話題性で、耐震偽装を語っている本さえあるのではないかと思っています。「構図」を垂れ流しにしたメディアと変わらない存在だと思います。

真相については、三冊が指摘する通りだと思います。しかし、いずれも実態の把握や分析にとどまり、問題への処方箋としては充分なものではありません。断固とした方向性を見いださない限り、繰り返しになったり、状況が一層悪化してしまうのではないかと思います。

ところで、現在、海外に来ているため、新刊書をタイムリーに入手することができません。たまたま、日系の書店が複数ある街にいるため、どうにか、手に入れて読むことができました。国内で入手した場合の、約2倍の値段になってしまいましたが、帰国まで待たずに読んでよかったと思っています。
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by gskay | 2007-06-25 11:44 | メディアの狂騒
「最悪でも……」
耐震強度は、計算の前提になる部分が、計算する人の主観に左右されます。計算の仕方によって数値が異なることは仕方がないことです。ただ、どのようなデータを利用して計算するのかということについては、実態に即した数値を利用するのが妥当だと思います。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 安全ショック:構造計算書偽造 グランドベイ横浜「最悪でも53%」と修正 /神奈川


6月17日12時0分配信 毎日新聞

 ◇耐震強度調査で市
 耐震偽装マンション「グランドベイ横浜」(横浜市鶴見区、10階建て)の耐震強度が横浜市の調査と住民の調査で大きく異なった問題で、強度が基準の63%と発表していた横浜市は16日、「最悪でも53%」と修正した。住民が調査を依頼した浜田幸慶1級建築士と同じく、窓やドア周辺の壁を「耐震壁」とみなさないなどの条件で再計算した結果という。
 横浜市建築企画課によると、同市は05年12月、マンション完成前の「建築確認変更図」をもとに業者に耐震強度を計算させ、63%と発表。しかし今年6月、住民側が依頼した浜田氏の再計算で21%となったことから再検証を進め、16日の住民説明会で「耐震強度は53〜63%」と修正した。
 また、同課は06年1月にマンションの竣工(しゅんこう)図を入手していたにもかかわらず、建築確認変更図をもとに計算させた耐震強度を再検証していなかった。担当者は「竣工図を入手後も検証しなかったのは適切であったとは言えない」と釈明している。【池田知広】
6月17日朝刊

主観に左右されること。計算のプロセスに仮定がたくさん含まれていること。解析が数学的に単純化されすぎていること。などなど。

絶対の数値のように扱われるには問題がある数値でしかないようです。一般的には、耐震性能を表す絶対の指標と考えられているようですが、実際のところ、どのように扱うべきか再検討すべきです。

実際の地震で何がおこるのかということを表す数値というより、規則が要求する数値という性格が強い数値になっています。今や、この数値を基準に考えるのは、技術の問題ではなく、制度の問題になっているようです。

欠陥のあるマンションの紛争でも、耐震強度を巡った争いが行われるようになっているようですが、民事の紛争では、この数値を巡って争うのは難しいのではないかと思います。計算によって異なってしまう数値で、いつまでも再計算を繰り返し、この数値を巡って議論が進展しない可能性があるからです。

費用と時間がかかる再計算は、拘泥しすぎてはいけないのかも知れません。

姉歯元建築士ほかの第一次の耐震偽装事件では、計算した本人が偽装を認めていることと、行政の判断による措置が講じられている点が重要です。

これに対し、アパほかの第二次では、計算した本人は偽装を認めておらず、強度については解釈の違いであると粘っています。行政は措置を講じているようですが、第一次の対応とは温度差があるようです。アパでは、確認や検査後の数値の差し替えの手続きの問題が発端で、結局、強度の低下が指摘されるにいたったという事件だったのではないかと思います。

耐震性能についての争いというより、妥当な図面を計算に選んだかどうかや、手続きが妥当であったかというような点が問題として重要視されるように変化してしまったような気がします。

とりあえず、建築確認の申請では、不適切な修正が認められない制度になったようですが、修正に限って言えば、融通がきかないため、負担が重い面倒な仕組みになってしまっているようです。

ところで、横浜については、建て替えや補修についての判断が柔軟であり、適切でない再計算については問題であるものの、今後の対応については、あまり数値に拘泥せずに最も適切な方向性を見いだしていくのではないかと期待されます。「0.5」という数値をクリアしているからといっても、ほかの条件も考慮した対応になるのではないかと想像します。
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by gskay | 2007-06-25 00:31 | 安全と安心
元建築士の証言
ヒューザーの小嶋社長の刑事裁判の証人として、事件を引き起こした元建築士が証言に立ったそうです。

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 「鉄筋減らせと求められた」=姉歯被告が初めて証人出廷−耐震偽装・東京地裁


6月15日21時35分配信 時事通信

 耐震強度偽装事件で詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」元社長小嶋進被告(54)の公判が15日、東京地裁(毛利晴光裁判長)であり、元一級建築士姉歯秀次被告(50)=一審実刑、控訴=が一連の事件で証人として初めて出廷し、耐震偽装の原因は「(施工した)木村建設側から鉄筋量を減らすよう求められたため」とするなど、従来の責任転嫁発言を繰り返した。
 弁護側証人として出廷した姉歯被告は、偽装発覚後の会議での自身の発言について、「はっきりしない。100%の記憶がない」と述べるなど、あいまいな言い回しに終始。自身の控訴審が控えていることを理由に、証言を拒む場面もあった。

あるいは、

Yahoo!ニュース - スポーツ報知 - 姉歯被告 耐震偽装「見る方が怠慢」


耐震強度偽装事件で、詐欺罪に問われたマンション販売会社ヒューザーの元社長・小嶋進被告(54)の公判が15日、東京地裁で行われ、元1級建築士の姉歯秀次被告(50)=1審実刑、控訴=が弁護側証人として出廷した。厳しい質問にも、人ごとのような口調の“姉歯節”がさく裂した。

 事件の根幹にある、構造計算書の改ざんを行った張本人でありながら、悪びれた様子はなかった。10日に50歳になった姉歯被告は、黒いシャッポを手に黒いスーツ姿。髪も伸び、1審の時より顔がふっくらしていた。

 偽装物件名について「あっはい。池上についてはそうですね」「千歳烏山も〜、ハイ、改ざんしました」と軽いノリ。複数ある改ざん手法を「やっぱり一番効き目があるのは地震力の低減ですね」と堂々と説明した。

 また、改ざんを確認検査機関で見抜かれなかったことには「見る人が見ればわかるんですがバレませんでした。見る方が怠慢だったと言う事じゃないんですか?」と衝撃の発言。自身の控訴審に関係しそうな内容には「ここでお話ししたくない」と言葉を濁した。

 姉歯被告は1審で裁判長から「大変なことをしでかしたという気持ちが伝わってこない」と、叱られたことがある。一連の裁判で、姉歯被告が証人出廷したのは初めて。

 また、小嶋被告の弁護団から、事情を聞きたいと希望する文書などを何度か受け取りながら「家から出たくない」との理由で応じていなかったことも明らかに。小嶋被告は上目遣いで、姉歯被告にじっと見入っていた。

と、伝えられています。法廷での実際の発言の詳細はわかりません。

「鉄筋を減らせ」に関しては、しかるべき実力がある設計者であれば実現できたという点で、意義のない発言です。単に、自らの実力不足を明らかにしているに過ぎません。

「見る方が怠慢」に関しては、再計算には、費用も時間もかかるという実態に反します。また、この裁判の証言の中には、彼の構造設計を再検討していながら問題を指摘できなかったという設計事務所の発言もあります。

元建築士は実力不足で、苦し紛れにデタラメな計算をしたに過ぎない事件だったと私は見なしています。強度低下の意味についても、どのように理解しているのか疑問です。

また、「私は正直者です」と言っているうそつきの発言は本当なのか、嘘なのかという問題と同じように考えなくてはならない部分もあるだろうと思います。

それはそうと、報道されている限り、一体、どこが、小嶋社長の詐欺と関係しているのか全然わかりませんでした。
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by gskay | 2007-06-21 13:10 | 真相 構図 処分
古いエントリへのアクセス
アクセス解析は、たまにしか検討しません。解析の設定は、このブログが「炎上」した時に勧められました。その後、コメント欄を一時使用中止にしていたこともあり、平穏に推移してきました。アクセス数も、増えもせず、減りもせず。

ところが、先日、一瞬だけ、とある古いエントリにアクセスが集中しました。それを辿ると、痕跡しか見当たりませんが、どうも、別の物件の住民に選挙に出る準備があるとかないとか……。詳細は、わかりません。

私は、政治を志す住民がいてもいいと考えています。耐震偽装の問題は、国家のシステムの脆弱さや、デタラメさによるものだと考えているので、政治、特に立法的にきちんと対処する必要があると考えています。

公共性が強調され、公的な対応が行われてきたことを踏まえ、その中で考えたことや経験した事を政治の場に活かす余地は大いにあると考えています。これは、ある意味で恩返しです。

ただし、恩返しのつもりで政治を志すなら、時期は今ではないと思います。まだまだ、建て替えなどの事業は半ば。これが完遂し、きちんと評価されてからにすべきだと思います。政治に中途半端にかかわるより、目の前の事業をやりとげなくてはなりません。

もし、今、完全に行き詰まっているのだとしたら、この時期の選挙に挑戦する意義はあったかも知れません。しかし、幸いにして、ほとんどの物件が事業を進めている状況です。政治の力を獲得し、それを背景に解決をめざしたり、費用を誘導したりしなくてはならない状況ではないと思います。

ところで、政治家の問題や、官僚機構の問題は、最終的には政治の場でしか解決できないと思います。耐震偽装での経験は、その解決に役立つと経験だと思います。しかし、今ここで耐震偽装の解決のために、政治の力を用いては、真に解決すべき政治家の問題や官僚機構の問題の枠組みの中に組み込まれてしまうと思います。

行き詰まった様々な問題の中から政治的な活動が生まれてきたと思います。これらは、そうせざるを得ない事情があったのだと思います。たとえ、政治家の問題や官僚機構の問題に組み込まれるとしても。

しかし、耐震偽装については、不満はあっても、行き詰まってはいません。あえて、問題として取り上げるべき枠組みに、政治的に組み込まれる必要はないと思います。

事業を完遂したあかつきには、新たな枠組みを提案できるような経験をすることになると思います。その時こそ、国の仕組みの問題点を抜本的に問うような意義の大きい仕事ができると思います。

選挙準備をしている住民が本当にいるのかどうか、どんな主張をしているのか、私にはわかりません。ただ、私は、この時期は適当ではないと考えます。
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by gskay | 2007-06-19 02:36 | 政治と役所と業界
報道発表後
発表時期に大きな事件が重なってしまったためか、共同化再開発による建て替えは、あまり注目されなかったようです。内容については、中央区のホームページに載っています。

平成19年5月30日 グランドステージ茅場町の共同化建替えについて 中央区ホームページ

苦労した方々や、そのことを知っている立場からすると、とても大きな節目であり、もっと取り上げられてもいいのではないかと感じることと思います。内容的にもユニークであるばかりか、将来的にも意義がある節目だと思います。

しかし、あまり注目されず、内容についても広く知られるということには程遠い状況です。それを残念に思っている人もいると思います。

私は、それを仕方がないことだと思っています。そもそも、人々の注目を浴びるには、内容が難しすぎるのではないかと思います。今後、専門家や関係者の間で、じわじわと評価されていくような出来事ではないかと思います。

メディアの狂騒による翻弄を取り返したいと思うこともあります。あれだけ騒いだ事件の続報だし、工夫と努力の末の明るい話題なので、もっと取り上げて欲しいという気持ちもあります。きちんと取り上げてくれれば、苦労した方々へのねぎらいにもなったのではないかと思います。

それを期待すると残念な気持ちにもなりますが、この事件に巻き込まれ、メディアのことを少しわかってきたので、「やっぱり」と思うだけです。

この事業は、メディアに取り上げられるための事業ではなく、あくまで生活を取り戻すための事業です。個人としては、最終的な負担や損害を最小限にすることは重要なポイントです。そして、公共性への配慮を大切にしています。

これらは、いかにメディアに取り上げられ、世間にどのように評価されるべきかということよりも大切なことです。

当初、メディアの狂騒に巻き込まれ、惑わされました。また、メディアの狂騒により、マンションについての情報や、住民についての印象は、事実とは大きく異なるイメージが広く刷り込まれてしまっています。そのことで、不利益がなかったとはいえません。

その不利益は、この節目をメディアでポジティブに取り上げてもらうことで解消できるようなものではありません。むしろ、一面だけを一方的に取り上げられて、思わぬ流れに再び巻き込まれることを恐れます。

また、関心がある人はすでにわかっているだろうし、メディアによって刷り込まれた内容を盲信している人は、もはや新たな情報を受け入れようとしないでしょう。

「すっきりしない」ままですが、一時的に大騒ぎをするメディアとは一線を画し、次の世代にも評価されるような事業をやり遂げ、しっかりとした建物を築くことが大切なのだとあらためて思います。
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by gskay | 2007-06-15 02:25 | メディアの狂騒
恣意的なバッシング
耐震偽装では、ヒューザー、木村建設、イーホームズが徹底的に叩かれ、事業が続けられなくなりましたが、他は大きく取り上げられず、何とか切り抜けたようです。

特に、イーホームズについては、耐震偽装の発見に貢献したという功績は忘れ去られてしまいました。他の民間検査機関はもとより、特定行政庁の建築主事も耐震偽装を見逃していたという事実は重大視されず、ひたすら、イーホームズのみが叩かれました。

ついでにいうなら、耐震偽装の「構図」とやらも、何も実証されませんでした。結局、登場人物は、ヒューザーでなくても、木村建設でなくても、あるいは総研でなくても良かったのかもしれません。騒ぐだけ騒いで、終わってしまいました。

そういえば、耐震偽装とかぶる時期には、公団分譲マンションの欠陥や建替えが行われていることや、書類が行方不明になっているという失態が細々と報じられていましたが、その責任追及はどうなったのでしょうか?

ところで、介護が話題になっていて、バッシングが行われていますが、引用の記事の様な実態があるようです。

時事ドットコム:返還額、計4億円超に=コムスンなどの介護報酬不正


2007/05/29-18:25 返還額、計4億円超に=コムスンなどの介護報酬不正−東京
 訪問介護大手のコムスン、ニチイ学館、ジャパンケアサービス(いずれも東京都)が介護報酬を不正請求していた問題で3社は29日までに、東京都が算定した不正請求額に加え自主点検で判明した不正分の返還を決めた。同日都が発表した。最大手のコムスンの場合、都内の自治体への返還額は約2億260万円で、3社合計では約4億2650万円に上る。
 ニチイ学館の返還額は約8550万円、ジャパンケアサービスは約1億3840万円だった。

介護の場合、介護を受けている人も多く、従事している人も多いため、耐震偽装の時と同じような「叩きつぶしてしまえ!」という展開では、事態を収束させることが難しいのではないかと思います。事業を続ける方策が必要です。

そこで、事業譲渡の受け皿となる企業の名前が挙がっていますが、引用した記事の様な実態があります。この実態を踏まえ、なぜコムスンがことさらに取り上げられているのか、その取り上げられ方は適切であるのか、再検討が必要です。

曖昧でデタラメな制度と、いきあたりばったりの取り締まりを裁量によって行う中央官庁。それに乗って煽動するかのような公平性に疑問のある報道。そして、注目をそらせたい公的な失態。これが、昨今の恣意的なバッシングの基本的な要素ではないかと思います。

今回は、公的な失態からどこまで注目をそらすことができるのか気になります。あまりに巨大な失態で、これまでのように済ますのは難しいような気がします。

また、曖昧でデタラメな制度については、耐震偽装では、抜本的な解決が行われなかったばかりか、小手先の対応でさえ不具合が生じているようです。介護や福祉の問題も同様な展開になってしまうとしたら残念です。
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by gskay | 2007-06-12 14:34 | メディアの狂騒