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小嶋社長を有罪だとして
小嶋社長の刑事裁判の議論には、煮え切らないものを感じています。藤沢の耐震偽装された物件の引き渡しの時期の微妙さが問題になっていない点です。

検察としては、そこを追究されたくはないのかも知れません。そうなると、国交省の中での出来事を暴いていかなくてはいけなくなってしまいますから……。

ところで、問題の藤沢の物件で被害にあった人たちにとって、これが詐欺だと認められたところで、メリットは少ないのではないかと思います。もちろん、罰を下して欲しいという気持ちはわからないでもないのですが……。

仮に、藤沢の人たちの被害が詐欺によるものだとしたら、損害の回収され方が変わってくるのではなかと思います。違法建築があることが前提になり、その引き渡しによって損害が生じたことになると思います。マンションが計画され、それが建築確認され、建設されるというプロセスの責任を求めることが難しくなってしまうと思います。

その一方で、現行では無理かも知れませんが、建物を販売という行為の重大さから考えて、違法建築や欠陥建築を引き渡すということ自体に罪を認めることもできるのではないかと思います。

後で問題が発生するような物件を販売したということについては、原因の如何を問わず、また、知らなかったとしても、罰することができるようにすれば良いと思います。そうすることで、販売前の徹底的な調査が必須になります。それは、業者の意識を高めることにつながります。瑕疵担保責任についての考え方を拡大して考えれば、不可能ではないと思います。

免許をともなう行為でもあるので、もっと業者に大きな責任を負わせることも可能だと思います。そうなれば、微妙な問題の取り扱いを苦慮する必要はなくなります。

それでも、実際の問題としては、性能不足のような問題を指摘したり立証したりすることさえ大変だとは思いますが……。

「弱い故意」というような曖昧な概念でこじつけようとすることで、矮小化された議論になっていると思います。
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by gskay | 2009-03-09 01:20 | 真相 構図 処分
小嶋社長の二審判決
一審と同じということなので、検察側も、弁護側も、上告という運びになるのだと思います。

この裁判は、耐震偽装の裁判ではありません。引き渡し間際に、建築確認の問題が指摘され、違法となる可能性がある建物を引き渡したことが詐欺にあたるかどうかの裁判です。

代金をだましとる意図についての議論よりも、建築確認の問題が発覚し、結局、その物件は違法建築と判定されるまでのプロセスが問題になります。

でも、弁護側も、検察側も、そういう議論はしなかった様子。それでは、いずれにとっても決定的な判断を裁判所が下すことはできないと思います。

この物件の住民にとっては、小嶋社長は許すことはできないとは思いますが、その物件が「黒なのか、白なのか」ということは、あの時点では判定されていなかったはずです。

もし、すでに判定されているのなら、その判定は、建築主、売り主はもとより、この物件をふくめた買い手や所有者、住民に周知されていなくてはいけないはずです。でも、周知はされなかった。

その周知の問題なのか、それとも、あの時点での周知が可能だったのか?

私は、あの時点では、問題の存在が指摘されてはいただけで、その程度も、どう対処すべきかも明らかではなかったと思っています。つまり、周知は不可能。

少なくとも、私たちは、どこからもこのことを知らされていません。知らされていなかったために、そのタイムラグで、いろいろと買い物をしたりして、無駄にしたものが沢山あります。

あのタイムラグの意味を、この裁判の関係者が誰も考えようとしないのが不思議です。

あのタイムラグの発生は、建築行政の中にあります。あのタイムラグがなければ、発生しなかった損害がたくさんあります。同様に、小島社長の詐欺という行為も発生しなかったと思います。
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by gskay | 2009-03-08 05:09 | 真相 構図 処分
建て替えか、補修か
建て替えか、補修かで、負担額は全く異なります。愛知県のビジネスホテルの判決と、横浜市のヒューザー物件の対応とを比較すると、負担額や損失額についての考え方は一律にはできないように思います。重要なのは、所有者の納得や覚悟だと思います。

耐震偽装の被害に対する公的対応は、分譲マンションに対しておこなわれましたが、ビジネスホテルについては、公的対応はありませんでした。住むという生活と、企業の利潤を求めるための活動との間に線がひかれました。これ自体は、妥当だったと思います。

そのためか、ビジネスホテルは、とてもシンプルに訴訟を展開し、損害を回復しようとしています。逆にいうと、公的対応があったがために、複雑になっているところもないわけではないようです。建て替え相当の物件よりも、補修相当の物件の方がややこしいようです。

愛知県のビジネスホテルの場合、耐震強度は、「補修相当」。建て替えるべき物件ではなかったそうですが、オーナーの決断で、建て替えが行われました。補修よりも負担が増えることになります。その増えた分の負担もふくめて、耐震偽装の事件がなければ、そもそも負担する必要がなかったものです。しかし、裁判所は、補修に必要な費用のみを損害と認めて、建て替えをすることによって増加した負担を、損害とは認めませんでした。

一方、横浜市のヒューザー物件の場合、「建て替え相当」とされていたにもかかわらず、補修で対応しました。補修の方が費用も少ないので、技術的に解決策を見つけられるのであれば、妥当だと思います。ただ、ビジネスホテルの判決の方向で考えると、建て替えで費用が増えたとしても、住民の負担とはならない事も考えられます。その場合でも、住民は、補修という方向に納得したのでしょうか?

建て替えと補修の線引きには合理性が乏しいように思われます。建て替えにするべきか、補修にするべきかという決断は、結局、技術的な問題と、所有者の決断です。そこに、国のいきあたりばったりで作られた基準や、分譲マンションに限定された公的な対応が介入し、ややこしくなっているのだと思います。

技術的な問題について、愛知県のビジネスホテルのケースでは、建て替えでなく、補修で対応できるという根拠を、被告の側が示しているのでしょうか?それとも、補修ではなく、建て替えが必要だと言う原告の主張が退けられたのでしょうか?その議論の末の判決なら妥当です。

国の示した線引きは、あまりあてには出来ない代物のように思われます。結局は、所有者の決断であり、費用を負担をすることになる当事者同士の交渉にかかっていると思います。
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by gskay | 2009-03-07 01:13 | 損害と回復
欠陥建築への対応
現在に日本の建築には、少なくとも二つの欠陥建築の類型があります。

一つは、建築のプロセスのどこかに問題があって、建物の使用にあたって、実害が出ているもの。

もう一つは、法律上の規格に反するとされるもの。これは、建物の使用にあったての実害は出てはいないものの、違法建築として重大な問題になっています。

耐震偽装は、法律上の規格に反するとされるものです。地震による倒壊のおそれというのは、地震が起きた場合には、実害を生じさせる可能がありますが、実害がすでに出ているわけではありません。

実害が出ているわけでもないのに、可能性を実害に変換させてみせたのが、耐震偽装への対応だったと思います。地震で被害が生じるかもしれないという可能性を、所有者の財産の損害に変換してみせました。

この実害への変換の手続き自体は、根拠の合理性は別として、法的には妥当だったと思います。少なくとも異議の申し立てなどの期間は適正に設けられていました。

とはいうものの、私のところのマンションは、発覚から3年以上も除却の開始までの時間がかかっています。この間、地震で生じるかもしれないという被害のうち、建物の使用者については、公的な対応で守られていたことになります。しかし、建物の周囲への被害については、どうだったのでしょうか?

公共的な配慮という建前はあるものの、実際問題としては、そこまでの執拗な対応が必要だったのでしょうか?あえて、所有者である住民に大きな損害を負担させ、公的にも大きな負担してまでやるべき対応であったかどうか疑問です。

その上、既存不適格と呼ばれる建築物の群れ。

適法な建築であるにもかかわらず実害が出ている欠陥建築があるということを考えた時、この対応は適切なバランスだったとはいえないように思います。
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by gskay | 2009-03-06 03:43 | 安全と安心
役所からの扱い
愛知県のビジネスホテルの耐震偽装に関する民事裁判の判決は、原告にとっては、得られる賠償以上の意味があったのではないかと思います。

耐震偽装に巻き込まれたビジネスホテルのオーナーは、役所からはひどい扱いをうけ、マスコミからは執拗な取材をうけ、地域からは白い目で見られてきたのではないかと思います。

建築主や所有者だからと言って、そのような理不尽な状況に耐えなくてはいけない道理はありません。

百歩譲って、好奇の目でみるのが仕事のマスコミや、それにあおられている地域の人々の目については、仕方がないことかもしれません。

しかし、役所の公平さを欠いた発言などは、すでに困惑している人たちに追い打ちをかけるようなものがありました。役所が、いい気になって、いい加減な情報をマスコミにリークしたりすることが、どれだけの影響があることか!

このビジネスホテルのオーナーが、裁判をやり抜こうと考えたのは、そういう役所の許し難い姿勢への反発があったのではないかと想像しています。

耐震偽装に関連した業者が関与しているというだけで、役所から、法規を逸脱したような執拗な追及があったと聞いています。いいかがりに近い建築の科学的な合理性を欠いた通知もあったとか。耐震偽装物件ではあったなら、それはなおさらのことであっただろうと思います。

建築確認の責任と重要性という理性的な面での意義とは別に、役所の理不尽なやりようへの批判もこめられた裁判だったのではないかと思います。

強いて言うなら、そのような役所の側にたって不しつけな取材をし、歪曲した報道をしていたマスコミにも、その矛先をむけたいところかもしれません。ただ、マスコミにも、役所に無批判にべったりの部署もあれば、本当の姿を見極めようとコツコツと取材をする部署もあり、それが渾然一体となっています。マスコミを訴えの対象にするのは難しいと思いますが、少なくとも、この判決をきいて、反省しなければいけない記者はたくさんいると思います。

ところで、ひどい役所の対応ですが、幸いにして、うちの役所は例外のようです。当初から、法規についての問題点を意識し、国の拙速とも思える対応とは一線を画していたように思います。ビジネスホテルのオーナーと分譲マンションの住民とでは立場が違いますが、役所の担当者の姿勢は、いつも住民に有利とはいえないものの、納得できるものでした。

そうした納得できる姿勢が欠如している役所が多すぎるように思います。
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by gskay | 2009-03-03 12:26 | 政治と役所と業界