解散予告
 衆議院の解散を予告というのは、前例があるのでしょうか?

 現在は、もっぱら、天皇の国事行為に基づくという憲法第7条説によって衆議院は解散されています。しかし、これには議論もあって、第69条の内閣不信任決議の場合に限られるという立場や、もっと広く内閣の行政機能に属するという説もあるとのことです。

 これについては、最高裁判所が「高度に政治性のある国会行為」として判断をしないことにしています。このため、どういう意見があるにせよ、また、どういう根拠があるにせよ、手続きとしては、7条解散が実施されています。

 議院内閣制が制度として定められた日本国憲法下では、様々なパターンの解散が行われていますが、前回の郵政解散と並んで、今回の解散予告は、ユニークだと思います。

 前回の郵政解散は、参院での法案否決が引き金でした。与党からの反対者が法案否決の原因でしたが、衆議院が解散し、再可決が可能な3分の2を法案賛成派である連立与党が確保して、決着がつきました。衆参が異なる議決をした場合の手段として、解散して衆議院で圧倒的多数を確保するという道筋が確立したというユニークな解散でした。

 これに対し、今回の解散は、解散の必然性が乏しいと思われます。衆参のねじれがあるとはいえ、与党は衆議院の圧倒的多数を確保しています。政権運営につまづく心配は、ほとんどありません。

 加えて、直前に衆議院で内閣不信任案が否決されています。参議院での問責決議が可決されているとはいえ、制度上、与党が衆議院の圧倒的多数をおさえている限り、内閣総辞職は必要ありません。

 にもかかわらず、首相が、約1週間後の解散を予告するという事態になりました。これで、延長臨時国会の残りは、実質的な閉会状態になってしまったと言われています。

 衆議院議員については、1週間後には議員でなくなり「前議員」になってしまうので、実際上、議員として役割は終ってしまい、次の総選挙の準備に専念しなくてはいけない状況になります。

 ところで、野党が審議拒否をしているのものの、その気になれば、与党だけで、参議院は本会議を開くことができます。いくつかの重要法案に決着をつけることも可能だと思うのですが、与党にその気はないのでしょうか?これは、怠慢のように思われます。状況次第では、野党の審議拒否の問題にも転換できるように思います。

 今回の解散予告は、国会運営の行き詰まりというよりは、与党内の人事や主導権の問題のようです。自民党の両院議員総会という議決権のある会議が開けないようにするには、衆議院議員を前議員にしてしまえばいいわけですが、そこまでしなければならないものでしょうか?あるいは、そんな方法で会議を避けて、民主的な正当性や信頼感が生まれるのでしょうか?

 自民党内の権力争いの道具として何度も解散は用いられてきましたが、このような用いられ方は特殊だと思います。国会の議論を充実させ、利害を調整するために政党が発展して来たはずなのに、その地位が逆転してしまっているように思えます。

 もっとも、「衆議院解散と金利については嘘を言ってもいい」といわれていて、どうなるかわかりません。思惑や駆け引きの対象になっており、そういうものだからこそ意味がある仕組みです。事情は二転三転するかもしれません。
[PR]
# by gskay | 2009-07-17 08:00 | 政治と役所と業界
選挙活動
 あっという間に時間が経って行きます。今度は、解散総選挙だそうで……。

 都議会選挙は、高校時代の同級生が当選できなかったことが残念です。私が住んでいる選挙区ではないものの、気にしていました。自民党の都議として三期目をめざしていました。同窓会であったときには、「政治家です!」という風情を全開にしていたのが気になりました。大丈夫だろうかと心配していたら、やっぱりダメでした。

 残念ながら、日本の選挙は、主張を争うチャンスが少ないので、いくら優秀な人物も優秀さをアピールする場が限られます。その結果、「判で押したような政治家」になっていかざるを得ないのかもしれません。

 都議会選挙中の報道です。


「チラシお断り」に悩む選挙公報…都議選 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


特集 東京都議選2009
 12日に投開票が迫った東京都議選で、都選挙管理委員会発行の「選挙公報」の配布がオートロックのマンションなどで拒否されるケースが目立ち、各地区の選管が管理組合などの説得に追われている。

 都内では「チラシお断り」を掲げる高層マンションなどが多く、選挙公報も同様に扱われてしまうため。衆院選の前哨戦とも言われる都議選で、有権者にとって必要な判断材料が行き渡らない恐れもある。

 都議選の選挙公報は、条例などに基づき、投票日前日までに有権者世帯に必ず配布することが定められており、新聞の折り込み以外では、業者などに委託して配布する場合が多い。

 区のシルバー人材センターが配布している品川区選管では今月7日、オートロックのマンション2棟で管理人から「区職員を装ってチラシを配布されたことがある」と言われ、拒否されてしまった。翌8日に選管職員が直接出向いて説明した結果、配布できたが、2007年の参院選でも、この2棟は同様に1度は配布を拒否しており、同選管の職員は「管理人が代わったのかもしれないが、選挙公報の意義が理解されていない」と嘆く。

 北区や足立区でも告示後同様のケースがあり、高級マンションが多い渋谷区の選管は「ポストに入る配布物を、わずらわしいと感じる住民の意識が背景にあるようだ」と分析する。

 狛江市では委託先のシルバー人材センターが配布の前に下見をして説得にあたっているが、管理人にすら会えずに、やむなく郵送した選挙公報が100部ほどあった。

 選挙公報を区役所などに置いて、有権者に持って行ってもらう方法もあるものの、他の配布物と交じって目立たないのが難点。都選管は「配布をお願いしている区市町村の選管に対し、すべてのマンションを説得してほしいとまでは言えないし……」と困惑気味だ。
(2009年7月10日07時36分 読売新聞)

 公職選挙法だけでなく、選挙戦に水をかけるような制度が多すぎるように思います。

 言論をたたかわせる機会や、主張を伝える機会は限られています。その機会を最大限に活かそうと思うと、誰もが同じようになってしまうのだと思います。

 代わり映えのしない選挙カーに、幟と襷の街頭演説。これらは、公職選挙法の規制によるもので、工夫の余地がほとんどありません。

 もっと様々な方法を駆使し、得意な方法でアピールできるようにしないと、選挙で何が争われているのかわからないままです。

 その一方で、投票率アップのキャンペーンを選挙管理委員会が行っています。選挙で公職が選ばれたのは確かですが、肝心なところを争って選挙が行われたとはいえない以上、その公職が民主的な代表といえるのかどうか疑問に思います。

 公営の人気投票にすぎず、代表を選ぶことを通じて、政治的な問題に決着をつける仕組みにはなっていないと思います。

 そういう意味では、郵政選挙は、政治的な問題に決着をつけた希有な選挙だったのかもしれません。
[PR]
# by gskay | 2009-07-16 11:58 | 政治と役所と業界
危機管理の品質管理
マニュアルが想定していない事態に遭遇した場合、マニュアルは、かえって足を引っ張ります。危機管理にあたって、マニュアルの不備を問題にすることがありますが、そのマニュアルは、あくまで、非常事態の被害を小さくするためのマニュアルです。「危機」を克服するためのマニュアルとはいえません。

また、そうしたマニュアルは、被害を避けることができないからこそ存在するのであり、そうしたマニュアルを整備すれば、被害を逃れることができるという幻想は捨てるべきです。

質のよい製品やサービスを提供するために、マニュアルに沿うのは良いことだと思います。一定以上の水準を維持し、一定以下の不良品や失敗しか出さずにすみます。また、問題が発生した場合には、マニュアルからの逸脱の有無を点検することによって、大方の問題は解決します。責任も明確にすることができます。

同様に、想定された非常事態に対し、マニュアルに沿った対応をすることは、被害を最小限にするために必要なことです。そして、対応の責任を明確にすることに役立ちます。

つまり、品質管理が可能です。

しかし、非常事態が想定の範囲外だったら?

その想定外という事態は、問題が大きすぎて対応できないという事態も考えられますが、問題が小さすぎて、マニュアルで対応すると大袈裟になりすぎてしまうという事態もあります。

問題が大きすぎる場合でも、問題が小さすぎる場合でも、頼りになるのは「人」です。能力があるリーダーが責任をもって判断しなくてはいけません。これはマニュアルにはなじみません。したがって、品質管理と同じような発想で対応することはできません。

限界を超えた時に、頼りになる人材を、有効に活用できないシステムは、根本から見直す必要があります。

ところで、そもそも、被害があることを前提にしていないマニュアルには意味はありません。被害ゼロという究極の目標を達成するという使命は大切ですが、それは前提ではなく、「目標」です。

次いで、そのマニュアルの限界が明示されていないマニュアルは、想定外の状況では足かせになります。

危機管理のコンサルタントと称する人々の多くが唱えるのは、被害を最小限に抑えることであって、本当の危機や非常事態に立ち向かうことではないと思います。少なくとも、危機管理マニュアルを、大上段に振りかざすコンサルタントには限界があり、盲信はできません。

被害を最小限に抑えるためのマニュアルは、通常の製品やサービスの品質を維持するためのマニュアルと同じように整備されるべきですが、万能ではありません。それを逸脱したときにこそ、本当の危機管理が問われます。

新型インフルエンザの騒動をみていて、3年半前に耐震偽装に巻き込まれた時と同じ病弊に冒されていると感じました。本来頼りにするべき「人」の話には耳を傾けず、当事者をふみにじりながら、公的機関やメディアが暴走し、それを人々が盲信しました。

この新型インフルエンザ騒動は、現在のところ、新型インフルエンザが弱すぎると言う想定外ですが、その想定外の事態に対し、科学的な根拠が乏しい迷信による風習が蔓延しました。それを、公的な権威が肯定しているのは滑稽です。

その風習では、強い新型インフルエンザには対応できません。そうした迷信の通りに行動しない人が非難されることは、不愉快です。しかし、それ以上に、その風習が蔓延することは、強い新型インフルエンザを甘く見ることにつながる危険な発想であることを恐れます。

また、弱すぎるという事態への対応のデタラメさによって、どれだけの、経済的な損害が発生したことか……。経済的な損害を肯定する根拠は乏しいのですが、残念ながら、それを無条件に受け入れなくてはなりません。

その理不尽さは、耐震偽装に巻き込まれたときの理不尽さに良く似ていると思います。

結局、どのような教訓があったのでしょうか?

今度も、のど元をすぎれば、熱さを忘れてしまうのでしょうか?

危機管理のマニュアルに基づく対応をし、その対応の品質管理ばかりに気を配って、本末が転倒し、思考停止に陥っていると思います。マニュアルにしたがっていれば、考えなくていいし、無責任になれるので楽です。

もはや、問題を見極める努力は期待できないのでしょうか?せめて、危機管理を担うにふさわしい人物の発言を、ねじ曲げずに、そのままに理解すべきです。
[PR]
# by gskay | 2009-06-14 15:55 | 安全と安心
和解の報道
川崎の物件はいずれも、迅速に建て替えを進めていました。仮住まいなどの費用を最小限にして、負担や損害を軽くするという方針だったと聞いています。その上で、しかるべきところから回収するという方針だったと思われます。民事裁判は、その回収のためのものだと思われます。その和解についての報道がありました。

耐震偽装で川崎市が和解へ マンション住民と - MSN産経ニュース
2009.6.1 20:41
 耐震強度が偽装された川崎市の分譲マンション「グランドステージ(GS)川崎大師」の住民33人が建設に不法行為があったとして、姉歯秀次元1級建築士(51)や川崎市など5者に、建て替え費用など約9億3500万円の賠償を求めた訴訟で川崎市などは、東京地裁の和解案を受け入れることを決めた。市が1日、明らかにした。

 今回和解するのは、同市のほか、マンションを設計したスペースワン建築研究所(東京)=清算中=と同研究所の建築士の3者。原告側によると、施工業者とは5月に和解が成立したが、内容は非公表で、姉歯元建築士とは係争中。

 市によると、和解案はスペースワンの建築士が1世帯に10万円で計230万円支払うほか、川崎市が原告に「同情の念を表明する」ことが盛り込まれた。市議会の同意を得て和解する見通し。


時事ドットコム:耐震偽装、施工会社と和解=マンション住民が受け入れ−川崎市も「同情」表明へ


 耐震強度偽装事件で、強度不足の構造計算書作成を見過ごし、建て替え費用などの損害を受けたとして、川崎市の分譲マンション旧グランドステージ(GS)川崎大師の住民33人が、同市や施工会社「太平工業」(東京都中央区)などに総額約9億3400万円の損害賠償を求めた訴訟は1日までに、住民側と同社との和解が東京地裁で成立した。和解金額は明らかにしていない。
 川崎市によると、地裁の勧告を受け、住民側は同市や設計監理をした設計事務所(清算中)、計算書を改ざんした姉歯秀次元一級建築士=実刑確定=とは別の元建築士の3者とも和解する方針。
 和解案は、市が住民側に同情の念を表明し、この元建築士が偽装を見逃した責任を認め、1戸当たり10万円を支払うなどとする内容だという。
 同建物には2004年10月に入居が始まったが、05年11月に偽装が発覚。1年後に建て替えが決まり、工事が完了した今年2月、住民が再入居した。
 太平工業の話 和解はしたが、コメントは差し控えたい。
 同マンション管理組合平貢秀理事長の話 裁判が続くと時間や訴訟費用が掛かるため、入居者全体を考えて妥協した。苦渋の選択だ。(2009/06/01-21:31)

神奈川県の自治体の方が、東京都内よりも対応や展開が早かったように見えますが、自治体としての対応は最小限であったようです。どのような内容の和解なのか詳しくは伝えられていませんが、市の「同情」というのは、大きな意味があると思われます。

都内の物件では、一般に、建て替えの実行に移るまでに時間がかかりましたが、それは、費用の負担についての問題を明確にするための時間でした。見方をかえると、その時間の分、仮住まいなどのための費用が増加することになります。

一方で、迅速な建て替えは、費用を少なくする効果はあります。しかし、住民にとっては、費用負担に耐えられるかどうかや、回収できるかどうかが不安のままの事業になります。また、回収のためには訴訟も避けられません。

それぞれの物件ごとに固有の事情があるので、いずれが妥当な方法なのかはわかりません。

この報道の物件では、訴訟を通し、自治体による最小限の対応から一歩踏み込んだものを引き出すことに成功したのだと想像します。

ホテルについての民事裁判では、ケースや裁判所によって判断が分かれていますが、自治体にとっては厳しいものもあります。そうした裁判の推移も、自治体が一歩を踏み出すきっかけになっているのかもしれません。
[PR]
# by gskay | 2009-06-03 02:34 | 損害と回復
マンション再建報道
4月は、我ながら感心するくらいに集中して仕事をこなしました。もともとの職場の仕事です。5月になって長期出張中の現在の職場に戻りました。ようやく調子をとりもどしたところです。

一時復帰中は、まとめて仕事をしなくてはならないため、なかなか仕事以外のことに手がまわらず、更新を放置していました。その間に、耐震偽装で建て替えとなった物件の中で最大規模の物件の建て替えが終わったという報道がありました。

これで、共同化による再開発となって時間がかかっているうちの物件と、問題が複雑な藤沢の物件を除き、一段落したことになります。

「住民の結束強まった」…耐震偽装のマンション再建 社会:ZAKZAK

ヒューザー倒産で住民に負担


 耐震強度偽装事件で強度不足が指摘され、再建中だった東京・江東区の分譲マンション「グランドステージ(GS)住吉」(全67戸)が先月26日完成し、住民たちの手でささやかな式典が行われた。事件発覚から3年半。突然の転居、マンションの解体、二重ローンという経済的な負担に苦しむ住民たちは「夢のようだ」と口をそろえ、ようやく笑顔が戻った。

 「この3年半、周囲から大変苦労したといわれるが、住民同士の結束が強くなり、親戚のように行き来ができるようになった。失うものも大きかったが、得たものの方が大きかった」

 事件発覚当時、マンションの管理組合理事長だった八住庸平氏(44)は式典で感慨深げに語った。

 再建した分譲マンションは11階建て67戸。戸数や間取り、外観などは建て替え前とほぼ同じだが、耐震強度は基準を大幅に超える値に設計。再出発の意味も込めて「リバージュ住吉」に改称した。フランス語で「川沿い」という意味で、住民たちの公募で決まった。

 一連の事件で国の建て替え支援を受けた11の分譲マンションのうち、最も世帯数が多かったのがGS住吉だ。事件発覚当時はマスコミが殺到。突然、絶望のふちに追い込まれた住民は終始、ふさぎがちだった。ローンは残っている、解体で転居を余儀なくされる、わが家に将来戻ることができるか−−不安や窮状を訴える声は絶えなかった。

 追い打ちをかけたのが建て替え費用だった。

 再建したマンションの総事業費約21億円のうち、国などの支援が6億5000万円。残りは住民の追加負担で1戸平均2200万円に上る。「これからはローン地獄。返済は3世代にわたる」と顔を曇らせる住民も。すべては販売業者のヒューザーに負担能力がなく、倒産したためだ。実際、全世帯の1割は再入居せず売却し、ローン返済に充てる。

 それでも「元のわが家に戻ろう」を合言葉に、住民同士がメールなどで連絡を取り合い再建にこぎつけた。苦悩を共有し乗り越えてきた住民間の連帯感も深まった。「(再建マンションは)物理的な構造だけでなく、住民の心の杭によって支えられている」。建替組合の熊木登理事長(50)は式典で住民の心境を代弁した。

 一連の事件を契機に、建築関連法の改正が進んだが、国の建て替え支援対象11棟のうち、まだ2棟は再建していない。

最初に読んだ時には、気がつかなかったのですが、最後の一文の「国の建て替え支援対象」という言葉に違和感を感じています。私は、「支援」というの国の立場に疑問を感じています。

建て替えは、所有者が行うべきものです。その費用は、瑕疵担保責任を根拠に、売り主のヒューザーに請求できるはずでした。仮住まいなどの不都合や不利益についてもヒューザーが負担すべきだったと思います。これは、ヒューザーによる買い戻しも含め、当事者同士の納得の上で行われるはずでした。

しかし、国土交通省の権限による判断で、緊急に退去し除却しなくてはならないという状況に追い込まれました。この判断の妥当性に疑問を感じています。既存不適格物件の性能との比較を念頭に置くと、拙速で歪んだ判断だったと思っています。

もし、緊急に対処する必要がなかったら、売り主との交渉の上で建て替えなり、補修なり、買い戻しが行われたと思います。しかし、国の判断により緊急性が生じたため、悠長なことを言っていられなくなりました。

結局、債権者による申し立てによりヒューザーは破産して整理されることになりましたが、国が、当事者の交渉を尊重するとともに、もっと技術的な合理性のある判断をしていたら、展開は異なっていたと思います。それが望ましいかどうかは別として……。ヒューザーの破産と、国の強引な判断は密接に関わっていたと思います。

昔のエントリ(「揺れるマンション」顛末記 : 国の立場の説明)で触れていますが、この「支援」というのは、法的には苦しいもののようでした。しかし、緊急性、公益性を強調し、既存の制度を活用しているという位置付けにすることで決着し、今日に至っています。

建築確認の誤りへの責任や、国土交通省の拙速な判断への配慮なしに、単純に「国の建て替え支援」と位置付けるのは妥当ではありません。その上、この「支援」は、国が主体になっているわけではなく、自治体が主体です。建て替え相当とされた物件を補修で対応するというような判断ができたのは、自治体が主体だったからです。

「国の建て替え支援」という表現は、「国」の無謬性や権威に対して無批判で無邪気な信頼があると感じます。しかし、私は、そのような信頼を「国」に寄せることができるような「国」ではないと思っています。

ところで、3年以上もたてば、状況が変わる住民は少なくないと思います。「1割は再入居せず」とのことですが、資金面の問題もあると思いますが、転勤などで、そこに住むのが適当でないという人もいると思います。

我が家も、状況が変化した家庭の一つかも知れません。しかし、耐震偽装に巻き込まれていることが引っかかっていて、選択肢を自ずと制限してしまっています。状況の変化への対応としては不徹底だと感じる部分もあって不満ですが、それは仕方がないこととあきらめ、再開発が完了するのを楽しみにしています。
[PR]
# by gskay | 2009-05-27 14:03 | 公的対応
権利変換計画の認可
3月中に、再開発事業について大きな手続きの認可が二つあったそうです。各戸から必要な書類は、2月初旬に済んでいましたが、その後の経過の報告が、事務局を通してありました。

まず、計画変更が認可されました。建物全体に関わる比較的大きな設計の変更と、住宅については専有部分の面積の変更、そして、資金計画の変更です。

それに引き続く大きな手続きとしては、権利変換計画の申請がありました。

従前の資産の考え方については、立場の違いによる意見の食い違いがありましたが、きちんと話し合いが行われ、しかるべき形の合意にいたりました。おかげで、権利変換の調整のもたつきが原因で、再開発全体が遅れてしまうというような事態は避けることができました。

再開発の遅れは、負担の増加につながります。遅れなく進められたことによって、それを避けることができました。

従後の資産については、一般的なマンションの価格の決め方が参考にできるので、高いハードルは無かったようです。

住宅側の全員の合意のもと、パートナーの企業とともに、権利変換計画が申請され、認可されました。

今後、あの物件に対する権利の扱いについては、権利変換計画に則って進められることになります。

こうした大事な手続きには、ローンを借りている金融機関の同意も必要です。こうしたことについては、事務局が引き受けてくれます。しっかりとした事務局がついていることに感謝します。

計画や手続きについては、なかなか先読みができず、後から追いかけるような形になってしまっていると感じています。だからと言って、振り回されているという気はしません。しっかりとした専門家による事務局があるからだと思います。専門家にはかなわないというよりも、こういう計画は、専門家がいないと進まないものだと考えています。

信頼できるリーダーと信頼できる専門家による事務局は、スムーズな再開発には欠かせないもののようです。
[PR]
# by gskay | 2009-04-07 11:59 | 建て直し
保険の解約
わがマンションの除却は順調で、取り壊し工事はつつがなく進んでいるとのことです。

これに伴い、火災保険や地震保険の解約が必要になりました。管理組合で加入していた共用部分の保険も解約するとのことで、各自の専有部分の保険についても、適宜、解約手続きをしたほうがいいという連絡を受けました。

その連絡は、かれこれ1ヶ月くらい前のことになります。手つかずでしたが、そろそろ、時間を見つけて済ませておこうと考えています。

空家であった3年間の保険ということで、複雑な気持ちになります。

保険をかけ続けることができたということの意味を、もっと重要視しても良かったかもしれません。様々なリスクを考慮に入れた時、公的な対応が合理性を持っていたのかどうかは疑問です。

とはいうものの、国の決断であり、それを所有者として受け入れた以上、きちんと乗り越えていこうと思います。

ところで,解体中の建物に付いては、解体業者が保険に加入してカバーしているとのことです。
[PR]
# by gskay | 2009-04-05 07:49 | 建て直し
政治資金規正と捜査当局
民主党についても、小沢代表についても、支持したいと思うような決め手には欠けると感じています。これは、自民党も同じことですが……。

政治資金規正法違反の問題は、手続きの「解釈の相違」の話で、耐震偽装以来、何度も見て来た構図です。大抵は、魔女裁判で、有罪は決まっています。

もともとは、西松建設とやらが外為法違反で作った裏金の行方についての捜査であったと思います。そこに、小沢陣営との結びつきが見られたため、おそらく、裏金捜査の突破口を期待して強硬な捜査に踏み込んだのだと思います。

与党や政府の思惑が絡んでいるような形になっていますが、結果として思惑に沿っているように見えるにすぎないようと思っています。

問題は、検察の姿勢です。

法律の解釈が恣意的です。加えて、摘発が限定的すぎて、公平ではありません。

本来、政治資金を規正するのは、総務省や都道府県だと思うのですが、そこからのリアクションもなく、行政の手続き面での専門的な見解もはっきりしません。

検察をふくめた官僚が、官僚制度の改革を主張する小沢陣営に妨害を加えているという構図も想像してみたのですが、しっくりきません。

ところで、警察のトップを務めた官房副長官の発言は、あたかも与党や政府の関与があるかのように一般的には捉えられました。しかし、むしろ、追及するために必要なだけの材料を集められないという「一般論」を言っていたように思われます。その延長として、自民党関係者を追及できないということにとどまらず、すでに逮捕されている人についても、ひょっとすると不十分ということを示唆しているのではないかと思います。

検察が、内閣や法相の意向と独立して暴走しているとしたら、大変だと思います。内閣や法相の指示で、捜査がねじ曲げられることをけしからんというのは大切だとは思います。しかし、それよりも注意が必要なのは、所詮、行政組織にすぎない検察が、内閣や法相の意向を無視して暴走しているかもしれないという点です。

担当の官庁である総務省からも、警察からも充分な援護があるようには見えません。

ひょっとすると、今回、検察は孤立しているのかもしれません。

検察の面目を保つために起訴には辿り着いたものの、今回に限っては、いつものような魔女裁判を展開できるかどうかは不確かだとおもいます。

耐震偽装の大捜査も空振りでしたが、これは、警察や検察を含めた捜査当局のミスというよりは、世の中全体が、根拠が希薄な妄想に振り回されたことが原因でした。だったとしても、肯定するべきだとは思いませんが……。

それに比べると、今回は,検察の独自の行動であり、検察の判断については厳しい反省が必要です。形式犯以上のものを掘り出すことができないような見込みだけの捜査が、検察への信頼を揺るがせることになると思います。これは、国の正義に関わることです。

検察が無謬などとは考えることができないのは当然だと思います。しかし、ずるずると無謬を装い続けるのではないかと懸念します。

せめて、この無謀な捜査の指揮を担当した人については、何らかの責任を追及するべきだと思います。
[PR]
# by gskay | 2009-03-30 10:04 | 政治と役所と業界
検察の上告断念
一審を不服として、検察も弁護側も控訴し、二審の判決が一審と同じでした。そういう場合、当然、検察は一体であるはずなので、二審は不服であるはずですが、最高裁への上告をしないという判断がありました。

<耐震偽造>東京高検、ヒューザー元社長の上告を断念(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


<耐震偽造>東京高検、ヒューザー元社長の上告を断念

3月23日20時48分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件で詐欺罪に問われた販売会社「ヒューザー」(破産)元社長、小嶋(おじま)進被告(55)に対し、1審に続いて懲役3年、執行猶予5年を言い渡した東京高裁判決(6日)について、東京高検は23日、上告しないと発表した。検察側は実刑を求めていたが、渡辺恵一次席検事は「明確な上告理由がない」としている。無罪主張の弁護側は既に上告している。

明確な上告理由がないのなら、そもそも、控訴する理由もなかったのでは?

弁護側は、無罪を主張しているので一貫しています。

事実関係については、ほとんど争われていないと思います。その事実の位置付けだけが問題になっていて、一方に極端に解釈すると検察の主張になりますが、逆の方向に解釈すると弁護側の主張になります。

結局、裁判所の判断は、「被告も被害者」であるが、「弱い故意」があったという判断。

小島社長の行為は、被害を与える行為であったことは間違いがありません。しかし、騙しとったといえるかどうかは、あの状況を考えると、微妙だと思っています。

そういう微妙な状況でも、免許をうけて事業をしていることも考えると、細心の注意を払うべきで、そういう方向で取り締まる法律があれば、確実に処罰できると思います。今後を考えて、そういう法律を整備するべきかもしれません。
[PR]
# by gskay | 2009-03-24 07:23 | 真相 構図 処分
公務員への要求水準のアップ
ようやく、国家公務員でも大学院修了者を採用する方向のようです。これまでも、大卒枠で、修士や博士が採用されていましたが、大抵は学部卒だったと思います。このため、採用後の大学院進学や、公費の留学が欠かせませんでした。それでも、日本の官僚は、世界的にみて低学歴集団。低学歴でも、優秀であれば良いのですが、残念ながら、陳腐化していていて、往年の輝きはありません。

<国家公務員>新採用試験案 人事院が公表(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


3月20日21時23分配信 毎日新聞

 人事院の有識者検討会は19日、国家公務員制度改革基本法に基づく新採用試験の報告書を公表した。採用試験を「総合職」「一般職」「専門職」に再編し、総合職の採用規模は現行の国家1種より増やし、最大1000人程度にすべきだとの内容。新試験は12年度から実施する方針。

 報告書によると、総合職試験は大学卒向けと大学院向けに分ける。大学院向け試験では政策課題討論を課し、政策立案力を見極める。一般職試験は高校卒と大学卒、中途採用の3種類で、現行の国家2、3種試験と同程度の採用規模とする。専門職試験は会計や法律などの専門家向けの試験区分の設定も検討する。

大学院修了者の採用と同時に、応募可能な年齢を大幅に上げるべきだと思います。45歳で採用しても、現行の定年である65歳まで20年もあります。充分な働きができると思います。

まず、有能な人材を採用すること。ついで、有能な人材を逃がさないことが大切です。

また、高級の幹部は政治任用を原則とするべきだと思います。これは、「内閣人事局」に期待できるのではないかと思います。政治任用を前提にすると、年次が上がるにしたがって退職するという慣行も無意味になり、天下り確保の意味も低下します。

気になるのは、「総合職」とやらを増やして、競争による振り分けを行うという方針。この記事では触れられていませんが、他紙の記事では取り上げられていました。

その振り分けを強調しすぎると、内部の競争だけが意識されるようになって、現在の仕組みと変わらなくなってしまうのではないかと思います。現在の情勢では、若くして幹部候補として採用して、外からの補充がないという仕組みには、もはや、あまりメリットが無いように思います。

幹部への登用の道を多様化し、門戸を広げることが大切だと思います。
[PR]
# by gskay | 2009-03-23 11:07 | 政治と役所と業界