建築確認済みの適法な設計図によって施工した以上、不法行為はないというのが、木村建設破産管財人の判断です。施工上の欠陥が明らかになっているわけではなく、もし、建築確認にそれだけの権威があるのなら妥当な判断かもしれないと考えました。
私をふくめ、住民から届出された破産債権はすべて破産管財人による異議がなされてゼロでした。この異議をうけ、次は、裁判所に査定を申し立てるか否かの判断です。 マンション全体で足並を揃えて申し立てているところもあるようですが、うちのマンションでは、各自が自身で判断することになりました。私は、申し立てを行いました。 建築確認の意義が高く、間違った建築確認であっても施工業者は従うべきであり、それは違法建築ができないようにする注意よりも大切だというなら、査定でもゼロでしょう。その場合、さらに裁判で争うかどうかを考えることになります。 一方、建設業者が努めなくてはならない施工技術の確保に、違法建築を作らないという注意が含まれているとするなら、査定結果が変わる可能性があると考えています。 建築確認済みであるということが、建設会社が違法建築をしたことを免責するかどうかという点が問題だと考えています。 そんな責任関係さえ、定まっていません。そうした土台になる部分に手をつけずに、ピアチェックの心配をしていることに疑問を感じています。司法の場で、判例を積み上げていくしかないのかもしれません。 査定の申し立ては難しくありませんでした。破産債権届出のときの資料に異議通知を追加して、異議に対する反論を書いて提出しました。結果については、期待はできないと考えています。今後、裁判までするかどうかは、情勢を見極めなくてはなりません。 ところで、木村建設破産管財人が回収したのは10億円。すでに認められた破産債権は65億円で、住民からの150億円が全額否認されている状況です。現時点でも配当率は約15%。住民の債権が認められるとさらに低下します。ただ、今後、40億円のメインバンクに対する訴訟次第では、資産が増えるかもしれないという状況とのこと。 査定がゼロの場合、裁判で争うかどうかを決断するのは、とても難しいことになりそうです。裁判となると、費用を含めた負担は、これまでの手続きとは比較にならなくなり、それに見合うかどうかを考えなくてはなりません。 損害の回収ができるなら取り組んでもいいと思っていますが、負けを覚悟で法律の不備の穴をうめる判例を積み重ねるだけの裁判を戦って、挙げ句に自らが負担を負う気にはなりません。 #
by gskay
| 2006-11-15 15:33
| 損害と回復
耐震偽装の居住用の分譲マンションといえば、まるでヒューザーだけであったかのような扱いですが、それだけではありません。まして、最初の耐震偽装物件はヒューザーではありません。
ヒューザーは混乱を乗り越えることができませんでしたが、冷静な対応が許されている物件では、引用の記事のように対応が進んでいるようです。混乱に巻き込まれている様子もありません。しかし、こちらこそ、「最初」です。
国土交通省の資料をみると、補強で対応する方針であるヒューザーの横浜の物件をのぞけば、Qu/Qunが0.5未満の建て替え相当物件の中で、今でも居住している物件はここだけです。自主退去の勧告などは、行われていないようです。使用禁止命令も出されていません。 どういうことなのでしょう? 再計算の過程の役所の問題が、こうした穏便な対応の理由になるのでしょうか? 建築主・売り主が残っていることが理由なのでしょうか? ヒューザーの破綻は、住民の退去が進んでから、住民が申し立てたことによるものです。ヒューザーが破綻していたから、公的な対応が始まったわけではありません。 ヒューザー自身は対応を模索していましたが、その時間的な猶予は、最初の耐震偽装物件を作ってしまった企業のようには与えられませんでした。この最初の耐震偽装物件のような対応が許されるなら、展開は異なっていただろうと思います。 住民が公的な対応に追い立てられることもなかったでしょう。企業としての活動を続けることもできたでしょう。耐震偽装に関連しない物件の価値まで不当に下がることもなかったでしょう。 一体、ヒューザーと最初の耐震偽装物件を作ってしまった企業との違いは何なのでしょうか? ヒューザーが「最初の発覚」だったからということなのでしょうか? これは、問題の深刻さとは別の問題のような気がします。対応の違いを説明する合理的な理由にはなりません。 「最初の発覚」に、みんなが騒ぎ、混乱してしまいました。そして、のど元を過ぎて、熱さが忘れさられてしまいました。 あの「騒ぎの正体」にこそ問題があると感じています。 #
by gskay
| 2006-11-14 17:08
| 揺れる システム
どうやら、イーホームズ社長が小嶋社長の弁護側の証人として出廷するとのこと。立件にいたる経緯の問題が明らかになるというのは正当なことだとは思います。ただ、そういう事実関係の部分で裁判が終わってしまうのは残念です。
仮に、小嶋社長が発覚時点で藤沢の物件について把握していたとしても、直ちに小嶋社長を有罪にできるとはいえません。様々な重要な論点を克服していかなくてはなりません。そうした論点に辿り着かずに、裁判が決着してしまう可能性が出て来ました。 イーホームズ社長は、建築のシステムの問題を糾弾するとともに、公的機関の無責任さや横暴を追及しているようです。小嶋社長の裁判については、イーホームズ社長は、その二つの板挟みになっていることと思います。 弁護側の証人としてのイーホームズ社長の役割は、おそらく、藤沢の耐震偽装の件をヒューザー側がいかに知らなかったかということを証言することになると思います。小嶋社長が知らなかったということが認められてしまうと、それ以上の議論は取り上げる必要がなくなってしまう可能性が出て来ます。そうなると、この容疑の背景にある様々な問題点は、放置されたままになってしまいます。 それは、この裁判の本来のあり方としては、正しいものだと思います。ただ、裁判を通して、多少でも本質的な問題につながればいいと考えていたので、残念に思います。 本質的なところまで届かないかも知れませんが、せめて、発覚の時点だけでなく、公表にいたるまでのプロセスは明らかになって欲しいと思います。公的な権限がいかに問題にかかわっているのかということを明らかにして欲しいと思います。 小嶋社長の裁判が始まったころのエントリです。事実関係は、争う余地がないと考えていたころです。 小嶋社長の弁護団 小嶋元社長の無罪主張 知らされなかった理由? 小嶋元社長公判冒頭陳述 発覚当初のヒューザーの資金繰りについての考え方 情報把握 この他の以前のエントリでつぶやいてきたことの随分と手前で止まってしまいそうな気配になっていると思います。問題は、広範囲の関連した現実を理解した上で、いかに法を解釈するかであると考えていました。それが、法の不備や公的機関の不適切な判断を明らかにするはずでした。 まあ、仕方がないでしょう。 ところで、ひとつ心配なのは、イーホームズ社長が混乱して、話が大きくなってピントがボケることです。せいぜい、関連して発言できるのは、表面的な公的機関の無責任さや横暴についてのさわりだけだと思います。それは、彼を欲求不満にするかもしれませんが、我慢して欲しいものです。 #
by gskay
| 2006-11-13 10:07
| 真相 構図 処分
小嶋社長の裁判に関するイーホームズ社長のコメントが公開されました。大変なことが明らかになったと思います。あいにくネットでしか取り上げられていないようです。
小嶋社長の容疑は、藤沢の物件の耐震偽装発覚後、偽装を知りながら引き渡しを行ったことに対するものです。私自身に直接の関係はありません。しかし、関心はあります。偽装発覚から公表にいたるプロセスの重要な部分であり、その後の様々な判断や処分、対応の元になっているからです。この部分のデタラメが、その後の混乱につながったと考えています。 イーホームズ社長によれば、藤沢の物件名は具体的に上がっていなかったとのこと。小嶋社長の容疑が成り立たなくなる可能性が出て来たようです。 さらに、このことについての検察の取り調べに問題がある可能性があるとのこと。辻褄が合わないばかりか、正当なものかどうかも疑われる取り調べが行われ、それが発覚してしまったようです。 検察の仕事は、被告を有罪にするために有利な材料を集めることなので、イーホームズ社長が証人喚問に呼ばれないというのは、検察にとっては当然だとは思います。しかし、正当でない取り調べは、まずいのでは? 弁護側の出方が気になります。 私は、基本的に『きっこ』とは、立場も見方も大きく異なっていて、むしろ反対であることが多く、このブログで取り上げませんでしたが、今回ばかりは感心しています。(でも、「構図」は虚構でしょ?) 国会の参考人質疑の時点では、イーホームズ社長の主張は、二つあったと思います。一つは、小嶋社長の発言や判断の不適切さであり、これに対して小嶋社長が吠えてしまって、バッシングがエスカレートしました。もう一つは、国が定めたお仕着せのシステムが陳腐でデタラメだったことと、それに対する無責任な対応への糾弾です。 当初、イーホームズの発言は、小嶋社長との対立の部分ばかりが強調されてしまいました。「構図」が踊りました。今となっては、くだらないことです。 一方で、国のシステムがデタラメなことや、対応が無責任であったという重大な問題は、風化してしまっているようです。重点を置くべきポイントを誤っていたのかもしれません。 イーホームズ社長の発言が小嶋社長に有利に働くかどうかはわかりません。実際には、様々な方法で、小嶋社長は、問題を把握することはできたと思われ、把握していたことを明らかにすれば良いからです。 もっと他にも、小嶋社長の裁判では、吟味しなくてはいけないポイントが沢山あります。その問題が注目されずに決着してしまうとしたら残念なことです。 かつてつぶやいたエントリです。 小嶋元社長逮捕 小嶋元社長の取り調べへの期待(1) 小嶋元社長の取り調べへの期待(2) 小嶋元社長の取り調べへの期待(3) 小嶋元社長の取り調べへの期待(4) 小嶋元社長の取り調べへの期待(5) イーホームズ社長の発言には関心があります。ただし、これまで、方向性が間違っていました。今回も、まともな方向に進むとは限らないと考えています。肝心なところに手がかかっているのに、雑魚を相手にしたり、くだらないことに関わったりして混乱を招き、結局、肝心な部分への追及が有耶無耶になってしまうというのがこの1年でした。 #
by gskay
| 2006-11-10 10:35
| 真相 構図 処分
来年の参院選の自民党公認候補になっている国土交通省前事務次官のサイトができていました。耐震偽装のことは、全く触れていませんでした。まあ、当然だろうと思いつつ、少し残念に思います。
キャッチフレーズは、「地域づくり 国土つくり 一筋の人生」。「安全で美しいふる里をつくろう 子どもや孫の世代のために」という政策の目標がかかげられています。その内容としては、
とのこと。まだまだ、これから発展するサイトのようです。 プロフィールをみると、道路や交通の仕事を中心に活躍された人物であることがわかります。そういう意味では、耐震偽装の問題は、専門外だったのかもしれません。 現在、我が国は、民間の建築に対して行政がどのような対処をすべきかが問われています。その点に触れていないことが、私には気になりますが、政策の内容が示唆するような支持母体を背景に、しっかりとした組織を作って選挙を頑張っていくのだと思います。 今後、耐震偽装に象徴される建築業界のシステムの問題や、行政の裁量と責任の問題を取り上げてくれるとありがたいと思います。ただ、どうしても、問題意識についても、その対策についても、供給サイドに傾かざるをえないのかもしれません。 現時点では、私にとって、積極的な応援をしたいという材料には欠けるという印象ですが、今後を注目したいと思っています。 #
by gskay
| 2006-11-08 11:44
| 政治と役所と業界
|
耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
以前の記事 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 うちの部屋 検索 カテゴリ その他のジャンル ファン 記事ランキング ブログジャンル 画像一覧 |
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