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国会での証言
強制的に起訴されることになった与党の元代表は、国会で証言するべきです。

話題は、「政治とカネ」にとどまらず、検察のあり方や、検察審査会という制度がかかえる問題に及ぶと思います。

検察審査会は、政治家に大きなダメージを与えることができる組織であるということが、今回、明らかになりました。「起訴相当」という決定は、国民感情が納得していないという曖昧な理由で、大物政治家を刑事被告人にしてしまい、政治家としての活動に大きな影響を与えています。この権限は、政治の道具になってしまいかねません。その妥当性が問われます。

もし、気に入らない人がいたなら、刑事告発し、検察に取り調べをさせ、検察が不起訴処分にしても、検察審査会で「起訴相当」に持って行けば、刑事被告人にすることができます。たとえ、判決が無罪になるとしても、長期にわたる裁判に力を割かねばならなくなります。その影響は、甚大です。

加えて、検察審査会が、どこまで審査してよいかが明確では無いようで、手続きとしての妥当性が問われています。審査の対象を超えて結論が導かれているようであり、そこが問題です。おそらく、対象を超えた事情については資料が正式には提供されていないにもかかわらず、決定に織り込んでいるものと思われます。もしそうなら、そのような決定の意義を考え直さなくてはいけません。この点については、裁判が始まったおり、裁判所で、門前払いをするかもしれませんが……。

いずれにせよ、そうした事情を、国会で審議し、検察のあり方や検察審査会の制度を改めていくべきです。そのために、しっかりと証言をするべきです。

質問に立つ議員は、きちんとポイントを練り、金の出所を何度も尋ねて、「納得できない」などと決めつけるような不毛なことをせず、立法に繋げなくては行けない問題は何なのかを明確にするようにしなくてはいけません。

元代表に近い議員が質問に立つ事があるなら、きちんとした打ち合わせをして、「政治とカネ」というイメージだけの不毛な議論ではなく、検察のあり方や、検察審査会という制度という改めるべき国の制度の方を、討論の中心に持って行くように心がけるべきだと思います。

検察審査会という制度は、民主的な理念が元にあるはずなのに、民主的な政治を踏みにじる制度になりかねない危険を持っていることが、今回、明らかになっています。そこに、素早く対処しなくてはなりません。

案外、元代表に、「起訴相当」という決定を下したことは、キズが深くなる前に問題に気付くきっかけになっているのかもしれません。この機会を、活かすべきです。

また、政治資金規正のあり方については所管の総務省、土地の取引については法務省と農水省(農地からの土地の種目変更がからんで日付がややこしくなっていることが問題の発端らしいです)の見解も質し、検察の考えの妥当性も吟味しなくてはいけないと思います。

いろいろと国会が取り組まなくてはいけない問題がある一方で、今後、元代表は、政治的な活動の舞台を、国会から法廷に移していくのではないかと感じています。

国会では、選挙制度の改革や、政治資金規正は、この元代表が中心となって進められてきたことです。国会については、ある程度、元代表の理念が反映されており、政権交代も実現しました。しかし、国民の代表によって構成され、国権の最高機関であるはずの国会の権威は確立されているとはいえません。

明治以来変わらぬ官僚優位の国家運営が行われている一方で、その官僚制度が陳腐化しています。官僚制度と闘うためには、国会の中で制度について議論したり、内閣として官僚の上に立っただけでは、どうやら足りないようです。

三権の一つである、裁判所という官僚組織に認めさせ、行政の官僚に文句を言わせないようにしなくてはいけません。そのための闘争に取り組むというのが、「政治闘争だ」という言葉に込められているように感じました。

もしそうなら、すごい政治家です。師である田中角栄を超えたのではないかと思います。
by gskay | 2010-10-14 13:13 | 政治と役所と業界