県の過失否定
愛知県のビジネスホテルの耐震偽装問題では、一審で、建築確認をした県の責任が認められていました。しかし、その判決が二審でくつがえりました。
同様の訴訟では、建築確認を行った特定行政庁の責任は認められていません。おそらく、県の責任を認めた判決が例外的なものなのだろうと思います。一審の判決は、建築確認制度のあり方についてのひとつの考え方を示したとして評価することができますが、一般に認められるものではなかったということなのだろうと思います。 建築確認を行った特定行政庁の責任は認めない判決は、ますます、建築確認の意義を低下させるのではないかと思います。建築確認は、建築を行ううえの、余計な手間と負担にすぎなくなってしまいます。 違法建築が出現した場合の責任を負わないのであれば、建築確認のような事前の取り締りには意味がなく、事後の取り締りを徹底したほうが良いと思います。「無謬」ではないということが明らかな制度では、責任を免除するという方法は適切ではありません。一方で、裁量の余地を広げ、大幅に許可としての権限を強くすれば、少なくとも建築主事の判断は「絶対」となるので、「無謬」とすることができます。そのような強い権限の制度にするか、やめてしまうのがいいだろうと思います。せめて、建築確認の意義を大幅に限定すべきです。 従来、建築確認の効力や能力についての誤解があったと思います。それが裏切られたのが耐震偽装だったと思います。今でも、建築確認に位置づけは、人それぞれに違った捉え方をしているのではないかと思います。明確にすべきです。
この判決では、コンサルタント会社が負うべき責任を大幅に認めています。これについて、私は違和感を感じます。 おそらく、報道からしか情報を得ていないからだと思いますが、理由がよくわかりません。どのようなコンサルタント契約だったのかによると思います。また、建築については、所有者、建築主、設計、施工、監理といった業務の中で、原告である所有者(建築主?)の責務があると思います。そこがどのように扱われたのかによって、コンサルタント会社という曖昧な存在の責任が変わってくると思います。 建築関係の法律や制度は、責任関係などが、現実に即していないまま放置され続けているので、抜本的に見直すべきです。それは、司法の場で行われるべきものでも、行政の裁量によって行われるべきものでもなく、立法府が取り組まなくてはいけないものだと思います。
by gskay
| 2010-10-31 04:49
| 真相 構図 処分
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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