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期待と悲鳴?
国土交通省を中心とした建築の仕組みがうまく機能していません。そこに捜査のメスが加えられるという期待からみれば、この「大詰め」は納得がいかないのではないかと思われます。

イーホームズに限らず、建築の検査システムがうまく機能していないという点について、一部引用した毎日新聞の記事のように、

<耐震偽造>今週半ば一斉逮捕 木村社長、姉歯氏ら約8人(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060423-00000003-mai-soc)


(略)
捜査本部は、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)に対し、公正証書原本不実記載(虚偽登記)容疑で強制捜査に同時着手する検討を始めた。多くのデータ改ざんを見逃した検査機関にも事件が波及する公算が大きくなった。
(略)
(毎日新聞) - 4月23日3時7分更新


と、追及への期待があります。

しかし、他の検査機関が捜査の対象にはなるかどうかは微妙だと思います。建築確認の中身の問題は、建築の専門家の自由の枠組みの手続きとして完結したものと位置付けられるからです。あくまで、専門家が民主的に運営するという体制として維持されるべきです。いたずらに捜査で縛るのは不適切であり、今後も、国土交通省の責任のままで残されると思います。

警察の対応は、二重の意味で正しいと思います。一つは、「民主的な仕組み」を蹂躙するような悪しき前例を作らずに済んだこと。もう一つは、もし、ここでそんな取り締まりを任されても、専門的すぎて技術的に困難なこと。

もちろん、国土交通省を中心に建築のシステムの問題は、今後も追及されなくてはいけません。しかし、それは、悪者を懲らしめるというレベルでは済まされません。早急に改善に取り組まなくてはいけない問題です。残念ながら、調査委員会の報告も、法令の改正案も、あまり解決にはつながらないのではないかと思います。この際、なりふり構わず、出来る限りの知恵をつぎ込むべきだと思います。そこに注目し続けることを報道機関に期待したいと思います。

建築の中身の問題は、これまでも、これからも国土交通省です。結局、警察は、企業運営の不正についての取り締まりを行い、建築の中身には積極的には手をつけないことになると思います。今後、建物の解体などにともなって様々な問題が明確になった時には、しかるべき形での追及は行われると思いますが、決して、それ以上のものにはならないのではないかと思います。

報道機関にとって、煽り立てた内容が捜査によって明らかになることへの期待があったと思います。しかし、警察は、「民主的な仕組み」や「専門領域」に対し敬意をはらって、節度をもった対応をしているように思います。これは、隠蔽であるとか、捜査能力の不足ではないと思います。

今や、民主的な仕組みを蹂躙しているのは、権力側ではありません。

本来、報道機関には、正義をめざし、民主的な仕組みを担っているという気概があると思います。多くの国民もそれを信頼して来ました。しかし、この事件での報道の逸脱は、そのあり方への疑問をおこさせることになると思います。

報道機関は、空想をしすぎました。ストーリーは、上出来です。しかし、都合の良い材料だけを用い過ぎ、無責任に混乱をつくりました。捜査が、報道機関の期待通りでないのは、捜査に責任があるわけではないと思います。

ここで、捜査の方向が、報道機関の思うにまかせないことへの、「言い訳」や「反省」、「謝罪」があれば、ぜひ、聞きたい。それが、出るなら、大丈夫。

しかし、現状は、報道機関自らが自分の首をしめていることに気付かず、わめきちらし、悲鳴を上げているように見えます。悲鳴を、捜査権力や国民が聞き届けてくれると期待しているようです。(どこかの、メール事件の当事者のように)

その一方で、自らが作った無理な構図を、さりげなく修正しているようにも見えます。もし、今後の流れが、報道機関の過ちを誤摩化せるような展開であれば、多くの国民は、気付かないままで居られます。

捜査側や担当の官庁も、報道についてかなり配慮しているし、国民も忍耐強いと思います。しかし、今回は、それでは済まされない可能性もあると思います。

私は、報道機関を嫌ってはいません。「ダメな報道機関」や「増長した報道機関」を嫌っています。
by gskay | 2006-04-24 08:50 | 真相 構図 処分