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「住民は自ら訴訟を」
5月26日に行われたヒューザーが自治体を相手取った裁判の第1回口頭弁論に関連して、引用した記事のように破産管財人がコメントしているようです。同じような趣旨の発言は、破産管財人からの中間報告の席でもありました。

ヒューザーには、建築主として過失があり、それが相殺される可能性を考慮しているのだと思います。住民としては、そのような過失はないので、訴訟自体は検討する価値があります。

実際問題としては、するかしないか、するならいつか、相手をどこにするかといった問題を検討してからになります。事件の公表から半年が過ぎていますが、時効まであと2年半あるそうです。さすがに、そんなに待つ気にはなれません。事態を見極め、きりの良いところで踏み出さなくてはならないと思います。

ヒューザーへの破産債権の届出が済んだところで、検討に入るかもしれません。当面は、除却や建て直しの準備の進行を見ながらです。

「住民は自ら訴訟を」と助言=ヒューザー管財人、日本ERIも提訴


 耐震強度偽装事件で、マンション販売会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)の破産管財人瀬戸英雄弁護士は26日、都内で会見し「購入した住民の被害は甚大だが、管財人としてできることには限界がある」と述べ、住民が自治体などを相手に自ら訴訟を起こした方が、賠償額が多くなる可能性があると指摘した。
 瀬戸弁護士は「ほかにも債権者はおり、住民だけを優先することはできない。被害回復には提訴が有効だと思う」と話した。
 この日東京地裁で第1回口頭弁論が開かれた14自治体相手の訴訟については、「自治体は偽装を長期間見過ごすなど機能まひを起こしており、責任を問われるのは当然」と述べた。
 同弁護士はまた、管財人として25日、自治体と同様に偽装を見逃した民間検査機関「日本ERI」(東京都港区)を相手に、1億円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしたことを明らかにした。 
(時事通信) - 5月26日19時1分更新

同様の提案は、ヒューザーが訴訟を起こした段階で、ヒューザーからありました。住民の訴訟への参加が呼びかけられました。しかし、住民は呼びかけに応えませんでした。なぜなら、その時点では、すでに、ヒューザーは営業をやめており、住民側が破産申し立てをしていたからです。

破産管財人のコメントも、ヒューザー弁護団の提案も、趣旨は変わらないと思います。ただ、時期や情勢が異なっており、今回は、前向きに検討する価値があると思います。

振り返って考えてみると、ヒューザーの動きがもっと早ければ、訴訟に住民が参加する余地はありました。

できれば、公表直後に動いて欲しかった。あの時、テレビに出て余計なことをするより、可能な法的措置をヒューザーはすべきだったのかもしれません。

また、法的な措置のタイムリミットは、せいぜい、12月終わりだったと思います。住民の退去や転居の開始、ヒューザー自身の営業休止の前でなくてはならなかったと思います。

もし、ヒューザーの動きが1ヶ月以上早ければ、流れは変わっていたかもしれません。行政を説得しようという態度が裏目にでました。行政とは争わなくてはいけなかったのだと思います。ヒューザーは、争いを仕掛けてから、交渉や折衝に入るべきでした。

経営の破綻と言うピンチが迫る中で組み立てに失敗したのだと思います。争いの相手は、経営が破綻するのを待つため、時間稼ぎをすれば良いだけでした。

今さらです。やらねばならないことが山積みだったとはいえ、発覚から公表までに争いの覚悟ができていなかった時点で、「負け」だったように思います。

住民には、まだ多少の時間が残されていますが、ヒューザーの二の舞にならないようにタイミングを考えなくてはなりません。

訴訟に張り切りすぎて、進めなくてはいけない様々な関係者との交渉をおろそかにしてはいけないと思います。逆に、交渉ばかりに精力を注ぎすぎて、訴訟のタイミングを逃してもいけないと思います。もちろん、訴訟が不要なほど、円満であることを望みますが、現状では難しいだろうと考えています。
by gskay | 2006-05-30 12:32 | 損害と回復