「初動対応と公表のあり方」
発覚から公表までの期間の反省は、5月11日付けの国土交通省住宅局建築指導課長から都道府県建築行政担当部長あての文書に取り上げられています。文書は、「違法行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について(技術的助言)」(国住指第541号)という通達です。
この文書では、問題発覚の時点での、関係機関の連携や情報提供への指針が示されています。内容は、「違法行為等に関する情報を把握した際の初動対応」と「公表について」に別れています。これまで、こうした対応についての整備は手つかずであり、この機会に整備されたようです。 「初動対応」については、問題の物件を速やかにリストアップし、状況の把握に要する期間の短縮がポイントのようです。 建築基準法第9条に示される違反建築物に対する措置については、「既存建築物に係る違反是正作業マニュアルについて(技術的助言)」(平成14年4月11日国住指163号)に基づくということです。そのマニュアルは、平成13年の新宿歌舞伎町の小規模雑居ビル火災への反省から作られたものだそうですが、私は内容を知りません。(機会があったら、眺めてみたいと思っています) 建築基準法第9条そのものが、猶予期間を原則としてもうけるなど、慎重さを要求する仕組みであるためか、「時間との闘い」には無力であるという印象です。法が緊急の措置を認めている点をもっと重視すれば、違った方向性が期待できると思うのですが……。 藤沢の物件の引き渡しなど、発覚後の対応次第では防ぐことができたはずの問題への対応については、検討されていないという印象です。充分な権限を与えられているのに用いないのは残念なことです。 全容の把握までの時間の短縮は期待できるものの、時間とともに広がる問題を防ぐことはできないままだと思います。 「公表」については、「周囲の安全」などの「公益性」と、「風評被害」などの「財産権保護」のバランスをみたうえで、原則的に公表するとのこと。さらに、違法行為が確認に至っていない場合でも、所有者への情報提供が配慮されるとのこと。 この「公表」の経緯がデタラメであったことに、私は大きな影響を受けています。そして、怒っています。 取り上げられた内容は、いずれも、今回の事件への対応のダメだったポイントで、教訓として学んだことなのだと思います。まだまだ工夫の余地のある内容だと思います。
by gskay
| 2006-05-31 20:31
| 揺れる システム
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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