効率化と進歩の歪み
土地を遊ばせている人の味方として急成長した企業が、やり玉に上がっているような気がします。
便利で大きな駅の駅前の土地を遊ばせている人には、ビジネスホテル。総研しかり。東横インしかり。アパグループしかり。所有や経営のあり方は異なっていて、それぞれが特徴を出しているものの、駅前の土地を活用しようと言う動機は共通だと思います。 一方、小さな駅や、駅から離れた土地を遊ばせている人には、マンション。狭い土地には、ペンシルビルを建てて賃貸に。ある程度の大きさなら、分譲。 当たり前のビジネスなのに、なぜ、そういうビジネスを手がけると成長できるのでしょうか?逆に、既存の企業は、なぜ、それで儲けようとしなかったのでしょうか?ニーズはあったのに。 ポイントは、効率化やコストカットであるような気がします。効率化やコストカットを武器とみるかどうかが問題だったのだと思います。 提供する側からすると、効率化やコストカットは、それを武器にのし上がるという野心をもっている人にとってだけ魅力的です。むしろ、必要性を感じていない既存の業界にとっては、余計な脅威です。 ところが、業界の思惑とは別に、提供を受ける側に取っては、効率化やコストカットは歓迎です。 そこに、成長の余地が生まれます。そして、問題発生の余地も。 従来の非効率で高コストであったら実現しないような事業を実現してみせたのが、やり玉に上がっている企業ではないかと思います。 そのやり方が、問題発生によって、悪のようにみなされています。これについては、冷静に見なくてはならないと思います。 大抵、そうした野心をもって成長する企業の理念に対し、既存の業界は否定的だと思います。たとえ、それが可能でも。 はじめは、成長する企業に背をむけるのが、ほとんどだろうと思います。なぜなら、今は、困っていないからです。周りを見渡し、そうした効率化やコストカットが、ある程度当たり前になってからでも、対応は間に合います。だから、既存の企業や業界の人々は、積極的になる必要はありません。時には、抵抗する方が「得」であるときもある。さしあたっては、今の事業で儲かるだけ儲けるべきです。 一方で、そうした既存の業界の中には、良い立場を占めていない人もいます。そうした人が、成長する企業に歩調をあわせることがあります。ここで、成長する企業にペースをあわせられれば円満です。しかし、そうした人の中には、成長する企業から離れることができず、かといって、ついて行く事もできないという人がいます。そういう人が問題を起こすのではないかと思います。 古い業界に戻っても幸せになれるわけでもない。かといって、野心について行ける能力もない。そこに、問題を発生させる歪みが生まれるのだと思います。 古い体質で儲け続けようと言う態度は、ニーズがある限り仕事を続けて構わないと思います。同じ事に余計なコストをかけても余裕がある人が顧客になってくれるからです。それが、通用しなくなったら、対策を考えればよい。その時は、効率化やコストカットを目指すなり、付加価値による高級路線を目指せばいい。 二つの方向性があるものの、既存の業界は、付加価値による高級路線を選びがちで、効率化やコストカットを目指すことが少なかったように思われます。これが、やり玉にあがるような新たな企業が生まれて来る余地だと思います。 今でも、多くのマンションについては、表向きは、付加価値路線であるような気がします。これは、価格を下方に硬直させたい提供する側の都合です。これだけでは、提供を受ける側のニーズを汲み取れているとは言い切れないと思います。だから、成長する企業としてコストカットと効率化が生まれ、徐々に、古い体質を圧迫しつつあったのだと思います。 ところで、効率化やコストカットを実現し、新しい体質でのし上がろうとするとき、問題は、新しい体質自身から発生するわけでも、古い体質から発生するわけでもありません。それは、古い体質にもなじめず、新しい体質にもついて行けないところから発生します。そして、ひとたび問題が発生すると、古い体質からの攻撃の格好の的になるわけです。 効率化やコストカットは、概して善だと思います。しかし、そこに副次的に問題がおこるため、効率化やコストカットに躊躇せざるをえなくなることがあるのだと思います。 そういう問題さえ発生しなければ、いつの間にか、効率化やコストカット、あるいは、その反対方向に進む付加価値路線が、当たり前のものになっていくのではないかと思います。 それが進歩や豊かさだと思います。 新旧の対立よりも、新と旧の間にある歪みが問題だと思います。その歪みをとりのぞけば、進歩や豊かさが安定して提供されるようになるのではないかと思います。
by gskay
| 2006-06-09 13:18
| いろいろ
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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