責任の隙間
イーホームズにしても、国土交通省にしても、あるいは、他の関係者にしても、本当に不誠実であるのかと問い詰めると、答えが難しくなると思います。偽装を行った張本人は問題外として、その他の関係者が自らの責任をきちんと考えると、一見すると無責任に見えたり、他に責任転嫁をしているように見えた行動や判断になってしまいます。
問題発生時の責任を事前に考えていない仕組みであるため、明確に責任の所在を明らかにできません。当事者は、自らの責任に誠実であろうとして、深く考えれば考える程、「どうやら、自分の責任は、せいぜいここだけらしい。他は自分の責任ではない。」ということになってしまいます。 その結果、端から見ていると、不誠実に見えたり、責任逃れをしているように見えてしまうのだと思います。 そうなってしまう必然があるからといって、そうした仕組みを肯定することはできません。それでは、目の前の事態の解決にはならないし、今後のための教訓を残す事もできないからです。耐震偽装の問題でいえば、被害の解決や再建ができないばかりか、問題を繰り返しかねず、しかも、安全で安心できる街をつくることができません。 そのような枠組みの中で、今更、関係者が攻防を繰り広げている場合ではないと思います。 イーホームズによる糾弾キャンペーンは、デタラメな仕組みを踏み出して、あえて発言しているところは評価できます。中身の多くの部分は納得できます。キャンペーンのやり方を含め、必ずしも、全てが適切とはいえないように思われますが、今後に期待します。 一方、公的な強い裁量を持っている立場が、期待された役割を果たしきれていないように思われます。そればかりか、どうも、「身内」に甘いと感じられるような対応しかしていないのではないかと思います。それが、追及されないのは困ったことだと思います。そして、抜本的な改善に対し腰が重い様子をみると、将来への見通しが暗くなります。 責任については、隙間があって、無責任体制になっていたばかりか、問題への対応能力や改善能力まで失ってしまっているのではないかと思います。問題の発生と同時に、様々な立場の関係者が、不連続にしか連携することができなくなっているように思います。 これまでは、辻褄の合わないケースに気付かなかったためか、隙間を意識する必要がなかったのかもしれません。しかし、それがあらわになってしまいました。 起きてしまったことへの追及が不十分であるという指摘もあります。発覚してからの対応の混乱の責任についても、充分に解明できていません。そこにも、責任の隙間があるために、限界があるのだと思います。 そうした限界があるからといって、問題を分析し改善を行うことを怠ってはならないと思います。将来に及ぼす影響を見据えていく必要があります。小手先の対応で終わりにすることには疑問があります。まず、責任の隙間を埋めなくてはいけないという現実を見据えた対応の必要があります。そのために、関係者は、時に、立場をこえる必要があると思います。 ところで、小手先の対応で終わりにしてしまう動機としては、世間の注目の低下しているからというものもあると聞きます。その世間というのは、何者なのでしょうか?どんな風に世間の注目が作られてきたのでしょうか?そして、これからどんな風に? 世間の注目という要素については、読み間違えると混乱に拍車をかかってしまいます。そして、関係者自身が、自らを傷つけることになりかねません。世間というものは、一旦、火がつくと、しばらくは正当性などお構いなしの混乱になってしまうことに注意が必要です。 そうならないようにするには、先手を打って、立場をこえた大胆な対応をして行くのがいいように、私には思われます。
by gskay
| 2006-10-27 20:47
| 政治と役所と業界
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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