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1棟化
ヒューザーのマンションは、広いことが魅力になっていましたが、むしろ広くないと商売にならないような悪い条件の土地を逆手に利用していたということではないかとも思います。

悪い条件のひとつは、駅から遠い土地。この場合、標準的な広さでは勝負にならないので、広めの部屋が必要になりました。標準的な広さの部屋をたくさん作ってもどうせ売れないのだと思います。

もう一つは、駅からの立地は程々であるが、土地の形が悪い場合。ヒューザーのマンションが建っている土地は、あまり形が良くない事も多く、普通のデベロッパーなら敬遠するような土地を利用していました。形が良くない土地では、標準的な間取りのマンションを造ろうとすると戸数の確保が困難になり、複雑なパズルのような部屋ができてしまいます。そこを割り切って戸数を減らし、広めの部屋を作っていました。

引用した記事の物件は、2棟に別れているところから、おそらく、微妙な形の土地で、たまたま、ヒューザーのコンセプトで設計をするとうまく収まっていたのではないかと思います。

Yahoo!耐震計算偽造:1棟に全面建て替え、負担は1人2000万円−−GS千歳烏山 /東京


12月18日11時2分配信 毎日新聞

 耐震データ偽造事件に絡んで耐震強度が異なる2棟からなる世田谷区の分譲マンション「グランドステージ千歳烏山」(31戸)の住民集会が17日に開かれ、両棟とも取り壊して1棟に建て替えることを全員一致で決議した。1人あたりの追加負担額は約2000万円。全32戸で全員が入居し、余剰1戸の販売利益を事業費に充てる。
 耐震強度が基準値の34%しかない5階建てのA棟(22戸)と149%で解体の必要がない3階建てのB棟(9戸)が廊下でつながる特殊な構造になっている。住民の間でも▽A棟のみ建て替え▽A棟の補強で対応——などさまざまな意見があり、議論を重ねてきた。
 資産価値などの観点から、7月に全面建て替えを決定。予算などを考慮して10月、2棟を合わせて1棟とする方針を打ち出し、事業者を選定した。来年4月上旬に建て替え組合を申請、08年秋の完成を目指す。
 住民らでつくる耐震偽装対策委員会の市来隆委員長(44)は「二重ローンの返済など、乗り越えなければならない課題も多い。やっとスタート地点に立った感じ」と話していた。【市川明代】

12月18日朝刊

2棟の間の調整は難しかったのではないかと想像します。退去に至るまでの公的な取り締まりについても判断が難しかったことと思います。2棟でも、一つの共同住宅です。占有しているところだけを所有しているわけではありません。全体をみて考えなくてはなりません。そうした点を充分に吟味し、共同住宅全体で一丸となることができたということだと思います。

ところで、あまりに不可解な耐震強度ですが、これが、元建築士の実力なのだと思います。おそらく、低層の建物しか作れなかったのだと思います。その低層の建物でも、構造計算自体はデタラメで、結果として数値が満たされているに過ぎなかったのではないかと想像します。耐震基準という点だけを見れば基準を満たしていても、他におかしなところがあるのではないかと心配になります。そういう点からも、両方の棟を建て替えの対象にしたのは適切だと思います。
by gskay | 2006-12-20 01:58 | 建て直し