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耐震偽装騒動以前
これは、耐震偽装以前から問題になっていたケースについての報道ではないかと思います。


Yahoo!ニュース - 西日本新聞 - 篠栗建て替え訴訟 マンションの耐震強度半分 福岡地裁鑑定人調査


篠栗建て替え訴訟 マンションの耐震強度半分 福岡地裁鑑定人調査

2月23日10時8分配信 西日本新聞

 福岡県篠栗町の分譲マンション(11階建て)の管理組合が、設計ミスで建物の強度が確保されていないとして、福岡市の販売会社など3社に建て直しを求めている訴訟(請求総額約10億8000万円)で、福岡地裁が任命した鑑定人(一級建築士)が調べた結果、強度が建築基準法施行令で定める半分程度しかないことが22日、分かった。

 組合側が記者会見して明らかにしたもので、震度6強の横揺れに対する強度を示す保有水平耐力は、施行令基準値(1、0)の半分の0、5しかなく、販売会社側の「基準値を満たしている」とする主張を覆す内容になったという。

 国土交通省は一昨年11月、強度が1‐0、5の物件を補修対象、0、5未満のものは解体対象とする指標を提示した。今後の訴訟では、建て直しか一部補修か、基準値を満たすための手段が争点となりそうだ。


=2007/02/23付 西日本新聞朝刊=



耐震計算偽造:篠栗町・マンション建て替え訴訟 鑑定で原告主張を裏付け /福岡:MSN毎日インタラクティブ


耐震計算偽造:篠栗町・マンション建て替え訴訟 鑑定で原告主張を裏付け /福岡

 ◇「構造計算、不適切」

 篠栗町の分譲マンション「エイルヴィラツインコートシティ門松駅前イーストサイド」の管理組合が、販売主の作州商事(福岡市)などに建て替え費用支払いなどを求めた訴訟で22日、福岡地裁(須田啓之裁判長)による構造計算の鑑定結果が明らかになった。

 住民側の弁護士によると、鑑定は裁判所が福岡市の一級建築士を選任して実施。耐震強度は「基準値1・0」に対し、住民側が主張する「0・85」より低い「0・5」だった。建築申請時の構造計算については「建物の加重が極端に少なく、適切な計算とは言い難い」と指摘した。住民側は「設計や施工のミスが裏付けられた。鑑定結果を基に補修案を検討していく」としている。

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2007年2月23日


この件の耐震性能の不足の原因は、構造計算の「ミス」なのだそうです。「偽装」とは、違うらしい……。

さらに施工の問題が加わっているということのようです。

業者の間で、設計ミスか、施工ミスかというレベルで責任のなすり付け合いをしているケースとして、耐震偽装騒動以前から問題になっていたケースだったと記憶しています。

マンションごと建て替え事件(幸田雅弘)をみると、その経緯がわかります。

ここでは、建築確認制度の問題は取り上げていないようです。また、連帯責任のあり方を問うという方針でもないようです。どちらも、やりにくい裁判なので、それは目指さないのだと思います。

この「0.5」のインパクトをどのように受け止めて対処すべきか難しいと思います。設計だけで、0.5以下なら、うちと同じ扱い?処分があったり、対処が行われたりするのでしょうか?といっても、特定行政庁などの判断は、それぞれの物件毎に異なるので、直ちに退去、使用禁止ということも、もはや、無いだろうとは思いますが……。

ややこしいのは、設計段階で0.85で、施工の問題が加わって0.5という場合。誰が、どのような責任を負うのか、複雑すぎます。とりあえず、売り主の瑕疵担保責任はともかくとして、不法行為はあるものの、設計や施工がどのような割合で責任を負うべきか単純に割り出すことは困難でしょう。

耐震偽装が騒動に発展したのは、単純だったからなのかもしれません。

この篠栗のケースが適切に対処されていたり、少なくとも大きな問題だとして取り上げられていれば、第一次耐震偽装騒動は、大した騒動にならなかったかも知れないと思います。また、発覚直前まで、姉歯元建築士がおろかな行為を続けることも無かったのかも知れません。
by gskay | 2007-02-26 16:39 | 揺れる システム