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省庁横断
厚生労働大臣の構想は壮大です。

それにひきかえ、民主党の追及は表面的というか、まと外れだと思います。まと外れな追及は、耐震偽装からの一連のドタバタで知っているので、多少がっかりする程度。それほど期待はしていません。しかし、今回ばかりは、まと外れなばかりか、社会保険庁の側に立っているのではないかと思われます。

それでいいのでしょうか?

年金記録漏れ問題で「関係閣僚会議」設置を…舛添厚労相(読売新聞) - Yahoo!ニュース


10月8日21時24分配信 読売新聞

 舛添厚生労働相は8日、年金記録漏れ問題に関し、「政府全体で、年金の記録問題に対応する一つの組織体制を作り上げたい」と述べ、問題解決に向けた新たな関係閣僚会議を設置する方向で調整に入る意向を示した。

 京都市内で記者団に語った。今後、福田首相や町村官房長官と相談し、詳細を詰めたうえで、月内にも実現したい考えだ。

 厚労相は「(年金記録漏れ問題への対応は)厚労省や社会保険庁だけでやれる仕事ではない。一つの省を超えた問題で、政府内外の力を合わせてやらないと、きちんとした結果は出ない」などと強調し、省庁横断的な取り組みのほか、民間の力も活用したいとの考えを表明した。

これは、さらに前進していて、

「新年金システム推進を 町村氏が閣僚会議を発表」政治も‐政局ニュース:イザ!


町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で、年金記録不備問題への政府の取り組みを強化するため、福田康夫首相をトップとする関係閣僚会議を設置すると発表した。町村氏は「記録問題の解決には関係省庁の協力が必要。新しい年金システムをつくることを総合的に推進する」と強調した。

 閣僚会議は、基礎年金番号に統合されず「宙に浮いた」約5000万件の記録の照合、通知を来年3月までに行うとした政府方針を着実に実行するのが目的。厚生労働相のほか、財務、法務、経済産業、文部科学相などの関係閣僚を集め、月内にも初会合を開く方針だ。

 これに関連して、舛添要一厚労相は9日朝、記者団に「(照合作業のため現在開発中の)システムが動かなくなった時も、二の手、三の手がちゃんとあるという体制をつくりたい。万全を期すため、いろんな人の手を借りる」と述べた。

とのこと。

省庁の壁を越えようとしない官僚には、まかせておけないと言うことでしょう。

これは、厚生労働省や社会保険庁の官僚にとっては一大事です。国会の手が直接届かないように一般会計から外すことによって、自分たちの縄張りに囲いこんできた会計が、今後は、自由にならなくなる可能性があります。(もともとは、国会の手を煩わせるようなものではないから会計が別になっているものが、いつの間にか変質して、省庁の勝手にできる資金になってしまっていた)

さらに、行政の裁量も自由に発揮できなくなる可能性があります。そして、その権威さえ否定されかねません。(というより、もともと、そんな権威はないはずなのだが……)

これまでの、「関係閣僚会議」とは趣がことなり、省庁やその事業、会計、そして公務員の問題を扱うだけに、そのターゲットになった厚生労働省・社会保険庁は狼狽しているのかもしれません。

その対抗策でしょうか?

<5000万件保険料>総額で2兆3500億円 社保庁(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


10月9日11時32分配信 毎日新聞

 宙に浮いた5000万件の年金記録の保険料について、社会保険庁は9日、サンプル調査での試算では、総額で約2兆3500億円に上ることを明らかにした。同日開かれた民主党の厚生労働・総務合同部会で、社保庁が単純計算として出したもので、「正確なものでない」としている。
 試算は、5000万件のうち、氏名のない記録524万件のうち、東京社会保険事務局がこれまでに調査した150件から試算した。それによると、150件の総納付月数は5527カ月で保険料総額708万1966円。1件当たり4万7213円となり、5000万件では約2兆3500億円になる計算だ。
 5000万件について、政府は来年3月までに照合作業を完了させるとしている。保険料の総額はその際に確定される見込みで、国庫から加入者や受給者のために補てんされることになる。【野倉恵】

と、与党ではなく、民主党と連携を強めているようです。

また、

【衆院予算委】年金第1ラウンド 舛添厚労相は防戦一方(産経新聞) - Yahoo!ニュース


10月9日22時24分配信 産経新聞

 福田内閣の発足後初となる9日の衆院予算委員会は、注目閣僚の舛添要一厚生労働相と「ミスター年金」のニックネームを持つ民主党の長妻昭政調会長代理が初対決し、年金問題をめぐり火花を散らした。論戦は、長妻氏が押し気味で、舛添氏からはいつものような歯切れの良い答弁は聞かれなかった。
 「舛添大臣にはがっかりした。いまの答弁は」。先制パンチを見舞ったのは長妻氏だ。

 厚生年金や国民年金の未申請者数の質問に、舛添氏が「私も何とかできないかと思ってみたが、いまの(社保庁の)レガシーシステムではどうしても出てこない」と答弁したことに噛み付いた。

 長妻氏は「現場のコンピューター担当の人に聞くと、『一定の条件を作れば出せます』と言っている。ぜひ、現場をきちんと見て出すと言ってもらいたい。大変な数になったらどうするのか」と畳みかけ、舛添氏から「今プログラムの修正作業を指示したところだ。ほぼ1カ月ぐらいの修正が加われば数字が出る」との答弁を引き出した。

 差し込まれた舛添氏は、増田寛也総務相への質問にもかかわらず、増田氏を遮る形で答弁に立ち、「社会保険庁に対する不信感がここまで国民の間で広がっている。これは全く私も同じ認識を持っている。ずっと、党の中で長妻議員と同じように追及してきたことで、本当に不信感がある。この前私が提言したのは…」と、自身の実績を強調しようとの作戦に出たが、野党席からのブーイングに遭い、あえなく発言を途中で引っ込める一幕も。

 その後も、福田康夫首相への質問に、首相に代わって答弁を行ったが、長妻氏に「総理に聞いている」と抗議されると、「そこまで、まず、では、ご説明を申し上げます…」と説明を途中で終わり、いつものような明解さは影を潜めた。

 これに対し、長妻氏は「国民の義務として保険料を払っているのに、きちんと管理してくれない。右手に領収書をしっかり握りしめていないと、どこかに消えてしまう恐れがある非常に冷たい政府だ」などと、いつものようにバッサリ。“年金第1ラウンド”は長妻氏に軍配が上がったようだ。

という報道ですが、そういう評価でいいのでしょうか?

官僚や行政組織の不始末について、耐震偽装では、民主党はうやむやにする方向を作ってしまいました。あの時は、そのような意図をもっていたのかどうかわかりません。

今回は、あの時とは違っていて、単にまと外れとは言いがたい背景があるようです。現場とは、相当、通じているようで……。

行政のあり方について高い理想を掲げる代表的な政治家である菅さんは、この件については、陣営を間違えているのかもしれません。また、この問題についての最終的な決着は、とっくの昔に小沢さんが描いたようなところに収まるのかもしれません。

それに引きかえ、この追及は……。

省庁を横断した対応をいかに回避するかという抗争が行われています。壮大で意義深い取り組みに対し、問題を矮小化した追及で対抗しようとしているように思えます。

私は、壮大な取り組みがしぼんでしまわないように期待しています。
by gskay | 2007-10-10 12:24 | 政治と役所と業界