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切り貼り
耐震偽装に関連しては、参考人質疑でのイーホームズの藤田社長の発言の時以来の怒りです。映像や文字を通してしか接していない事柄については、あまり感情を揺さぶられることがないように心がけているつもりです。しかし、この記事には衝撃を受けました。

国会で藤田社長の主張は、当初、私には許しがたいと感じられましたが、後に共感できるようになりました。後から考えて、主張の仕方や取り上げかたに問題があったように思います

同じように、これも、私の理解が及ばなかったということであって欲しいと願っています。

【改正建築基準法】追跡!建材・設備の大臣認定書問題(最終回)|プロの評価とトレンドがわかる建材・設備ガイド


【改正建築基準法】追跡!建材・設備の大臣認定書問題(最終回)
2007/11/05

改正建築基準法の施行以来、現場の混乱を招いていた大臣認定書問題。国土交通省は10月30日、大臣認定書の添付については、施行規則の改正によってほぼ全面的に撤回すると発表した。国交省は、いったい何がしたかったのか。連載の最終回として、9月上旬に実施した改正法担当官への直接取材のやり取りを伝える。(池谷和浩=フリーライター)

リンクした記事には、建築基準法改正にともない、「大臣認定書の写し」を添付しなくてはいけなくなった経緯が書かれています。担当の企画専門官の説明は、「切り貼り」。

一連の耐震偽装の手口が、切り貼りだったということを根拠にしているようです。大臣認定という制度そのものの問題も指摘されていますが、そんなことより、この建築基準法改正が、「切り貼り」を防ぐための施策だったとは!

国の経済統計に影響するほどの失政を生んだ問題意識と、その解決のために打ち出された施策が、このレベルだったということに愕然としました。

記事がふれた「確実に採用しないなら大臣認定書の写しは渡さない」というような企業の悪知恵は、けしからんことではありますが、枝葉のことです。また、PDFについては、コンピューター化のほんの一部にすぎず、本質的な意義ではないと思います。

いかに、図書に矛盾や不整合がないかという点や、論理的な飛躍や空白がないかという点が確認されなくては行けない点です。また、根拠となる数値や性能を、より一次資料に近い資料にさかのぼって検討できるシステムが求められています。コンピューター化は、設計作業については作業記録を残しておくことも容易になります。

最終的には、保存の都合などもあり、紙を用いなくてはならないのかもしれません。

しかし、設計の適切さの確認作業にしても、根拠となる資料の確認にしても、コンピューター化した方がいいと思います。資料の照合作業などは、紙の上で行うよりも、電子的な資料でデータベースやリンクをたどる方がはるかに楽で、おそらく、正確です。

やはり、官僚のみなさんは、いざとなったら破棄できるものが一番安心できるというわけでしょうか?

もちろん、コンピューターで構築されたシステムを出し抜こうとたくらむ輩はいるかもしれません。しかし、それは、紙では、もっと簡単に出来てしまうことです。

こんなレベルの人が、システムの設計の中心にいたのかと思うと……。

構造計算の大臣認定プログラムの作成が遅れてしまったという点については、高い仕様を要求しているために、遅れたのかも知れません。そう、信じたいと思います。

何年も前から、友人が、建築確認関係の書類がコンピューター化できないのはおかしいと言っていました。そんなものかと思って、聞き流していました。そのうち、できるだろうと。

また、イーホームズの藤田社長は、建築確認や検査のシステムのコンピューター化を構想していた人物だったと思います。

そうした人々の問題意識や現状認識、そして構想こそが必要なのかもしれません。

とりあえず、たまたま、この記事が、一部の極端な側面を取り上げたにすぎないと考えたいと思います。「切り貼り」問題の先には、しっかりとしたコンピューターシステムの構想があるのだと。この記事の主題の都合で、たまたま、そこに言及していないだけだと。
by gskay | 2007-11-09 00:02 | 揺れる システム