「震度7に耐える力」の証明?
安全や安心に気を配ることは大切です。しかし、「絶対」ということはあり得ないというのが前提です。「絶対」とはいえないからこそ、性能を向上させる努力が必要です。
その一方で、「絶対」でないからという理由で拒絶してしまうと、何もできなくなってしまいます。どこかで妥協し、納得しなくてはなりません。 建築基準法で定められた基準以上の性能を希望することはできると思いますが、私的な交渉だと思います。その場合、司法の場で決着を目指しても、制限する根拠がないのではないかと思います。 適法とされた建物の安全性の問題を、今にも壊れてしまいそうな危険な建物に対する処分や、日常的に迷惑な建物に対する判断、そして違法と判断された建物への処分などと混同して考えることには疑問を感じます。
住民が、建築主に私的に要求するのは構わないと思います。しかし、司法の場に持ち込んでも、住民に有利に進めるのは難しいのではないかと思います。そのような要求を公的に認めるためには、根拠が必要であり、それには何らかの立法が必要だと思います。 また、地震で倒壊した際の補償については、事前に約束するような問題ではなく、損害が出た場合に請求するべきことではないかと思います。その請求の相手も、建築主や売り主ではなく、所有者なのではないかと思います。なぜなら、建物を安全に保つ責務は、まず第一に、その時点での所有者にあるからです。もちろん、売り主、建築主、施工や設計に責任はあると思いますが、所有者の責任を飛び越えて、近隣住民にまで及ぶものではないと思います。あくまで、所有者の責任だと思います。もちろん、個別に約束するのは構わないと思いますが……。 そして、この記事で最も気になった点は、建築主が「震度7に耐える力」を証明する必要性の有無です。建築差し止めの請求をする側こそが、問題があることを証明すべき立場なのではないかと思います。その上で、その証明の内容に沿って、建築基準法では適法でも、制限を加えることができるのかどうかが、はじめて問題になるのではないかと思います。 続報として、
その後の展開はわかりませんが、判断の内容によっては、今後、様々な事業に制限を加えることが可能になる前例になると思います。より良い性能が目指されるのであればいいのですが、「絶対」などというあり得ないものを追いかけると、何もできなくなってしまうと危惧します。 また、続報によれば、建築確認以前の段階だとのこと。その段階で、このような請求ができるのかどうかも興味深いと思います。「建てるのであれば、強い建物を!」というより、「とにかく、そういう規模の建物はダメ!」という請求の内容であるような気がします。 どうやら、技術的な議論以前の段階の問題のようです。「証明」とか、差し止めというような段階ではないように思われるのですが……。
by gskay
| 2008-02-07 14:31
| 安全と安心
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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