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違反建築への対応
違法に第一に対応しなくてはいけないのは、建築主なのでしょうか?それとも現在の所有者なのでしょうか?

耐震偽装に巻き込まれて以来の疑問です。

耐震偽装では、所有者には「寝耳に水」でした。所有者は、かやの外でした。売り主であるヒューザーと、区からの通知があるまで、何も知らされませんでした。すでに、公的には「発覚」し、調査が行われていたにもかかわらず。

同様の違和感を感じる記事です。

神奈川県大和市のマンション地階に違法駐車場、建築主は埋め戻す方針


2008/07/11
違反建築   大和市   一休商事   防災   建築基準法   駐車場  

 神奈川県大和市内の分譲マンション2棟に、建築確認申請の図書に記されず、建築基準法違反の部位がある地階の駐車場がこのほど見つかった。建築主だったデベロッパーの一休商事(神奈川県大和市)は、地階を埋め戻して申請図書どおりの建物に直す方針を明らかにしている。

 マンションは、1994年に竣工した延べ面積697m2のファーストクラス南林間(大和市林間2丁目)と、95年に竣工した801m2のファーストクラス大和西(大和市深見西1丁目)だ。どちらも鉄骨造、地上3階建て、住戸数17で、確認申請図書に記されていなかった地階の駐車場がある。駐車場は防災設備の点で、建築基準法27条と大和市建築基準条例42条1項3号に適合していない。容積率などその他の点では適法だ。

 駐車場に避難階段などの防災設備を設けて適法にすることも可能だが、一休商事は撤去して地階を埋め戻す方針で、居住者に同意を求めていく。阿部英明・一休商事会長は、「建物は確認申請のとおりにつくるべきものという原則に従いたい。1棟につき1週間程度の工期で、150万〜200万円程度かければ埋め戻せるだろう」と話している。問題を解決した後で、代表権を返上し、取締役を辞任することを考えているという。

 一休商事の阿部会長は、2棟の地階に駐車場を造った経緯について、「駐車場を望むマンション購入者が確認申請前の予想よりも多かった。そこで市の完了検査を受けた後に、マンションの建築設計者と相談してつくることにした」と説明している。建基法に基づく手続きをとらなかった点に関しては、「2棟の建築設計と工事監理を担当した大和市内の設計事務所がすでに廃業しているので、はっきりした事情はわからない」と述べている。

 大和市建築指導課は現地調査に基づいて、一休商事が完了検査の後ではなく当初から地階の駐車場を施工し、完了検査時には仮設資材で隠ぺいしていた可能性があるとみている。こちらの真相も、すでに工事監理者が廃業しているため、明らかにするのは難しい状況だ。

 一休商事はこのほかに、1998年に竣工した神奈川県厚木市内のマンションで、1階の屋内駐輪場を駐車場に変更して厚木市建築基準条例に抵触した。市建築指導課によると、抵触したのは屋内駐車場の出口が道路の交差点から5m以内にあってはならないという条文(53条1項)だった。一休商事は駐輪場に戻したい考えを市に伝達済みだ。 安藤 剛 [ケンプラッツ]

建物は、必ず、誰かが所有しているはずです。建物への責任は、まず所有者が負うべきだと思います。問題は、所有者が主体になって解決すべきです。その上で、最終的な負担や損害などについて、売り主や建築主など、関連の業者に請求すべきではないかと思います。

売り主や建築主を第一の主体と考えてしまうと、「廃業」していた場合、是正されない可能性があります。

引用の記事については、基準に違反している点を是正するのは所有者であり、所有者が好ましいと思う方向で是正されるべきだと思います。その上で、そこで生じた費用が売り主に請求されるべきだと思います。売り主の都合で、是正の方向が決まるのはおかしいと思います。

おそらく、業者は、是正のための工事で、最も簡単で安価な方法を選択したいと思います。しかし、それが、所有者にとって都合がよいとは限りません。所有者は、きちんと交渉し、不都合については補償を求めるべきだと思います。

また、共同住宅についての意思の決定は、管理組合の場で行うべきではないかと思います。そうした手続きについての配慮もおざなりになっていると感じる記事です。

この業者に問題があるのか、この記事が書かれた視点に問題があるのかわかりませんが、耐震偽装で、所有者や居住者が不在でも、平気で手続きが進んでしまったことを考えると、単なる業者や記事の問題と考えることはできません。むしろ、役所や業界、そして多くの人々に、広く共通した発想なのかもしれません。

私は、こうした発想を適切だとは思いません。
by gskay | 2008-07-14 10:54 | 揺れる システム